ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、タワーディフェンスゲーム『にゃんこ大戦争』です。

【こういう人におすすめ】

  • ネコが好き
  • タワーディフェンスゲームが好き
  • 戦略を立てて挑むゲームが好き

※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。

山口ジョンのおすすめゲーム

『にゃんこ大戦争』

  • プラットフォーム:iOS、Android
  • 配信日:2012年11月15日
  • 配信元:ポノス
  • 価格:基本プレイ無料(アイテム課金制)
  • パッケージ版:なし
  • ダウンロード版:あり
  • 『にゃんこ大戦争』公式サイト
『にゃんこ大戦争』毎日少しずつ遊び続けて早3年。すっかり生活の一部になりました【推しゲーレビュー】_01

 『にゃんこ大戦争』は2012年に配信が開始された、スマートフォンアプリの中でもかなり歴史の長い部類に属するゲーム。僕はプレイを始めて3年くらい経つのだが、7周年を迎えた本作のプレイヤー層からすると、新参者ということになるのだろう。

 思うに、リリースからすでに4年が経過しているアプリにプレイヤーとして参加するというのは、なかなかハードルが高い。古参プレイヤーは4年も先にプレイを始めているわけだし、いまさらプレイを始めても追いつけっこない……と思ってしまいがちだ。ではなぜ、僕はリリースから4年も経っていた『にゃんこ大戦争』を遊ぶ気になったのか? 知り合いにすすめられたから、という他人任せな理由もあるが、それだけでは前述のハードルを越えるには弱い。では、ゲームが初心者にもやさしい作りになっているから? 確かに本作はゲーム序盤がチュートリアル的な内容で、プレイ開始時点から覚えることが膨大で心を折られるといったことはない。しかし、それはプレイを始めてから感じられるメリットであり、遊んでみようと決意するきっかけにはならないように思える。

 数多くあるほかの老舗アプリも、新規プレイヤーを獲得するために上記のような工夫は凝らしているはずであり、その中から本作を選んだのには、別の理由があったはずだ。とすると、いったい何がプレイを始める決め手になったのだろうか。思い返してみると、それはビジュアル面の圧倒的な親しみやすさにあったのではないかと思う。とくに序盤に登場するにゃんこや敵たちのグラフィックが、(こう言っては失礼だが)何とも言えず適当な感じで描かれており、あまり構えることなく「試しに遊んでみるか」と思えたように記憶している。

 また、キャラクターの説明やストーリーなどの文章が絶妙に気の抜けた内容に仕上がっているのも、同じ理由でプラスに作用したのではないだろうか。これがもし、緻密に描き込まれたキャラクターが大挙登場する重厚長大なストーリーが売りのゲームであったなら、4年遅れのプレイ開始に気後れしていたかもしれない。

『にゃんこ大戦争』毎日少しずつ遊び続けて早3年。すっかり生活の一部になりました【推しゲーレビュー】_02
超強いのに超かわいい、かさじそう。グッズが発売されたら全部買うのに。

 と、ここまでの内容だけで判断すると、まるで『にゃんこ大戦争』がやり込み要素の薄い、ただただライトなゲームのように感じるかもしれないが、もちろんそんなことはない。そもそも、やり込み要素のないゲームが7年間も続くわけはなく、むしろ本作は戦略性、やり込み要素ともに充実していると言えるのではないかと思う。

 たくさんの持ちキャラクターの中から10種類を選び、タワーディフェンス方式のバトルに挑む。敵キャラクターには赤い敵、黒い敵、エイリアンといった属性があり、自分の持ちキャラクターにも特定の属性に対して有利な特徴を備えたものがいる。そこで、各ステージに登場する敵との相性に合わせて、キャラクターの編成を組み換えるのが重要になる。

 また、ステージでは敵の登場する順番やタイミングもさまざまなため、やみくもにキャラクターを出撃させているだけではステージクリアーはままならない。まずは低コストな壁役のタンクネコを出しつつ、赤い敵が出るタイミングで“赤い敵にめっぽう強い”特徴を持つキャラクターを出撃させる。その後さらに大物の敵が出てくるが、こいつは攻撃の間隔が長めなので、こちらは高コストながら圧倒的な火力を持つネコムートを出撃させて、素早い攻撃で一気にせん滅を狙う。序盤は深く考えずにプレイしていてもなんとかなるが、ゲームの特徴をつかんだ中盤以降は、このような戦略を立ててプレイすることが必須となる。

 そして、この序盤のやさしい作りから、中盤以降の戦略性の高いステージにいたるまでの難度の変化が絶妙。なんとなくプレイしているつもりが、いつのまにか敵の属性を考慮に入れた編成を組み、出撃タイミングにまで気を配っている自分がいた。

『にゃんこ大戦争』毎日少しずつ遊び続けて早3年。すっかり生活の一部になりました【推しゲーレビュー】_03
ガマトト探検隊。探索に行って、経験値やアイテムを集めてきてくれる。

 僕は、細かい戦略を立ててプレイするタイプのゲームが得意ではなく、どちらかというと勢いや瞬発力でなんとかするアクション系のゲームが好きだ。そんな自分がタワーディフェンスタイプのゲームをおもしろいと感じて、かつ3年間もプレイし続けられるというのは、いまいち他人には伝わりにくいものの、すごいことなのだと思う。

 リアルタイムストラテジー、シミュレーション、タワーディフェンスといったジャンルを敬遠しがちな人でも、ネコさえ苦手でなければ『にゃんこ大戦争』は楽しめるのではないだろうか。まだ本作を未経験の人は、ものは試しといった軽い気持ちでいいから遊んでみてほしい。そうすれば、本作が累計5400万ダウンロードもの人気を誇る理由がわかるのではないかと思う。かわいいキャラクターが好きといった理由だけでも、十分に楽しめるはずだ。

 ちなみに、ニンテンドー3DSでは『とびだす!にゃんこ大戦争』、Nintendo Switchでは『ふたりで!にゃんこ大戦争』が配信されているので、気になる人はこちらもぜひ。本作とはまた違った楽しさが味わえるのでオススメだ。