ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、2DアクションRPG『オーディンスフィア レイヴスラシル』です。

【こういう人におすすめ】

  • 十三機兵防衛圏』で初めてヴァニラウェア作品に触れた
  • ハイファンタジーの壮大なストーリーを堪能したい
  • アクションバトルでコンボをつなげる爽快感が好き

※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。

世界三大三代川のおすすめゲーム

『オーディンスフィア レイヴスラシル』

オーディンスフィア レイヴスラシル PV#02

 昨年、『十三機兵防衛圏』がヒットしたいまだからこそ、言いたい。『十三機兵防衛圏』にハマって、まだ『オーディンスフィア レイヴスラシル』をプレイしたことがない人は、大きな損をしていると。

 『オーディンスフィア レイヴスラシル』は、北欧神話をベースにした5人の主人公が紡ぐ、壮大なストーリーのアクションRPG。2007年にプレイステーション2でオリジナル版が発売された後、2016年にグラフィックをHDリマスター化し、さらにシステムなどに大幅に手を加えた本作が発売された。開発を手掛けるのは、前述の通り、2019年に発売された『十三機兵防衛圏』が大きな話題となったヴァニラウェア。『十三機兵防衛圏』からヴァニラウェアを知った人からすると、意外に思うかもしれないが、もともとはファンタジーの世界観を得意とした開発会社であり、『オーディンスフィア』はその代表作と言えるタイトルだ。

 プレイヤーが操作できる主人公は5人。5人の主人公それぞれのストーリーを通じて、終焉を迎えると言われている世界の行く末を体験していく。5人の主人公は、それぞれの目的のために動くのだが、ときには敵対し、ときには協力することになる。

 たとえば、主人公のひとり、ワルキューレのグウェンドリンは魔王が治める国・ラグナネイブルの王女。同じく、主人公のひとり、妖精のメルセデスは、ラグナネイブルと敵対し、戦争真っ只中の国・リングフォールドの王女。それぞれの国には戦う言い分があり、主人公の視点によって物語の見えかたは変わるのだが、それだけでなく、そもそもグウェンドリンの父・魔王オーダインや、メルセデスの叔父・妖精メルヴィンにもそれぞれの思惑があり、それが別の主人公に関係して……と、複雑に絡み合うストーリー構成からは『十三機兵防衛圏』の原点を感じられるはずだ。

『オーディンスフィア レイヴスラシル』爽快バトルとともに堪能できる、5人の主人公が紡ぐ壮大な叙事詩【推しゲーレビュー】_01

 本作の場合、『十三機兵防衛圏』のように、主人公を都度選びながら進んでいくわけではなく、それぞれの物語を堪能しながら、世界の全貌をつかんでいくのだが、本作のシステムと密接に絡んだ終盤の展開は、必見の内容。詳しくは書かないが、この原稿を書くために再びストーリーを見返したときに、改めて「よくこんな構成をまとめ上げたな……」と驚嘆してしまったほどすばらしい構成になっている。ぜひこのスゴさをもっと多くの人に堪能してほしいし、もっと多くの人とあの場面を語りたいので、みんな遊んで! ! !

 と、ここまでは本作のストーリーについて語ってきたのだが、このゲームのアクションのすばらしさも推していきたい。

 『オーディンスフィア レイヴスラシル』は、もともとの『オーディンスフィア』からバトルシステムを大きく見直し、アクション性が大幅にアップしているのだが、これがすごい。スティックとボタン連打の組み合わせで生まれるアクションの爽快さは、近年のアクションRPGの中でも随一。連続攻撃を当てつつ、敵を浮かし、さらに空中コンボでトドメを刺したのち、つぎの標的へとコンボをつないでいくのがたまらない。

 本作は、複数のステージが連なって、ひとつのフィールドを形成しているのだが、各ステージで敵を倒したときに、コンボ数やかかった時間、受けたダメージなどで、SやA、Bといった評価が表示される。ただコンボをつなげていく楽しさだけでなく、それがステージごとの評価につながり、高評価を取れば、アイテムも手に入るようになるという好循環。すでに敵の体力を削り切っているのにも関わらず、コンボ数を絶やさないために敵を落とさないように空中コンボをつなげていくのも日常茶飯事だ(でも、だいたい空中コンボ中にステージリザルトが表示されて敵が消えるので、渋々つぎのステージに行って、また空中コンボを始める)。

 そんなアクションをより快適にするために、さまざまなスキルなどを覚えていったり、レベルを上げていったりするのだが、本作は成長システムがユニーク。ステージ中で呼び出せる料理人やレストランで料理を食べると、最大HPがアップするとともに大量の経験値が獲得できるのだ。また、このときに表示されるご飯のおいしそうなこと!

『オーディンスフィア レイヴスラシル』爽快バトルとともに堪能できる、5人の主人公が紡ぐ壮大な叙事詩【推しゲーレビュー】_02
壮大なストーリーに、各キャラクターの細かい表情が加わって、思わず涙……。

 『十三機兵防衛圏』ユーザーならば、比治山の焼きそばパンや、薬師寺の作るご飯を思い浮かべてもらえればわかりやすいと思うが、“ヴァニラめし”という名称がつくほど、ヴァニラウェア作品に登場するご飯はおいしそうに描かれる。本作では、それがシステムに組み込まれ、冒険中に、そして冒険の合間に堪能できるのだ。ヴァニラウェア作品では『朧村正』も数多くのご飯が出てきたが、あちらが和食のフルコースだとすると、本作は洋食のフルコース。デザート、スイーツ用のレストランもあって、つい成長の効率を考えずに、食べたことのないメニューを選んでしまうくらい種類が豊富だ。…… いつの間にやら、ご飯の話にずいぶん力が入ってしまった。閑話休題。

 『十三機兵防衛圏』のヒットの記憶も新しいことから、要所要所でたとえに使ってしまったが、もちろん『十三機兵防衛圏』をプレイしていない人にもオススメしたい。遊びやすく爽快感溢れるバトルに、重厚感溢れる壮大なストーリー。そして、幻想的で美しいグラフィック。オリジナル版は13年前のゲームだが、いま遊んでも色褪せないどころか、一級品のクオリティーが堪能できる本作は、万人に勧めたいファンタジーRPGだ。

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