ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、推理アドベンチャー『探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ ~死者に捧げる石~』です。

【こういう人におすすめ】

  • コマンド選択式のアドベンチャーに興味がある
  • 推理小説やサスペンス系ドラマをこよなく愛する
  • 男性主人公よりも女性主人公のほうが好み

※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。

本田ベンツのおすすめゲーム

『探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ ~死者に捧げる石~』

※パッケージ版はほかのシナリオとのセット販売のみ。

『探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ ~死者に捧げる石~』短編小説の感覚で気楽に楽しめる『探偵 神宮寺三郎』シリーズ【推しゲーレビュー】_01

 『探偵 神宮寺三郎』シリーズと言えば、ヘビースモーカーで渋い私立探偵が主人公の、コマンド選択式アドベンチャーです。1987年に第1作がファミコンのディスクシステムで発売されてから、じつに30年以上! 最初は神宮寺のほうが年上だったはずですが、すっかり作中の神宮寺の年齢を追い抜いてしまいましたが、新作が出るたびに気になるシリーズのひとつとなっています。

 で、この『死者に捧げる石』ですが、2018年6月に発売された『プリズム・オブ・アイズ』に収録されたシナリオのひとつです。新シナリオ3本があるということで、気にはなっていたのですが、クリアーした作品のリメイク版も多かったので、踏ん切りがつかなかったんです。そんなこんなで、忘れかけていたのですが、今年の4月から各シナリオの単品発売が始まったので、プレイしていない新規シナリオに触れてみようと。やっぱり、各600円(リメイク版は各400円)というのがいいですね。やりたいシナリオだけ気軽にプレイできますし。もちろん、全部やるなら14本まとめたパッケージ版のほうがお得だと思いますけど(笑)。

 その新規シナリオ3本の中で、最初にこれをプレイすることにしたのは、神宮寺の助手の御苑洋子が主人公のシナリオだったから。ちなみに、残りの2本、『虚飾ノ夜』と『魔鏡の真実』は、前者が神宮寺で、後者が熊野参造が主人公のシナリオです。このふたりよりは、洋子メインのほうが華やかなのでは、という程度の軽い理由ですね。

『探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ ~死者に捧げる石~』短編小説の感覚で気楽に楽しめる『探偵 神宮寺三郎』シリーズ【推しゲーレビュー】_02
洋子が調査を進め、神宮寺がサポート役に。いつもとは逆の立場となる。

 シナリオの主人公となるのは御苑洋子ですが、“コマンドを全部試して、やることがなくなったら移動”という基本は、神宮寺での調査と同じです。ただ、初期のころに比べると、コマンドも整理されてわかりやすくなっており、つぎに何をするか、試行錯誤することが少なくなったと思います。カーソルで特定の場所を調べたり、会話の順番を考えたりする場面もありますが、あまり意地が悪いものはないので、テンポよく進められますね。

『探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ ~死者に捧げる石~』短編小説の感覚で気楽に楽しめる『探偵 神宮寺三郎』シリーズ【推しゲーレビュー】_03
カーソルを動かして調べる場面では、反応する場所には“!”が表示される。

 シナリオはやや短めで、ゲームオーバーになる場面もないので、クリアーまでは3~4時間程度。ゲームオーバーの要素があると、緊張感が増すというのはあると思いますが、セーブ&ロードでストーリーの腰を折ってしまうんですよね。だから、個人的には、こういった短い話では、なくてもいいかなと。ストーリーの中身についてはネタバレになるので詳しくは触れませんが、登場人物がそれほど多くない中で、「そう来るか」みたいなところもあって、うまくまとまっていると思います。ムービーなどの演出面に関しては、物足りない部分もありますが、もともと14本収録されたうちの1本だと考えると、ここはしょうがないかな。

 あと、このシナリオならでは、という部分では、“髪をかき上げる”のコマンドがお気に入りです。神宮寺の“タバコを吸う”にあたるコマンドなのですが、洋子の場合は、これが髪になるんですよ。画的にあまり動かない本作ですが、ここのカットインはかなりの見どころ(笑)。だいたい、先に進めないときなどに使うコマンドなのですが、どこでも関係なく使いまくってしまいました。

 かつては“タバコを吸う”に関してもそうだったんですが、分煙化が進むご時世で、タバコはだいぶ場所を選ぶようになったんですよね。その点、髪をかき上げるのは、どこでも気兼ねなくできるのがうれしくて(笑)。ちなみに、熊野参造が主人公のシナリオでは、このコマンドが“ヒゲをいじる”になるようです。まだプレイしていないのですが、これもどこでもできるコマンドだと思うので、場所を移動するたびにいじりまくりそうです(笑)。

『探偵 神宮寺三郎 プリズム・オブ・アイズ ~死者に捧げる石~』短編小説の感覚で気楽に楽しめる『探偵 神宮寺三郎』シリーズ【推しゲーレビュー】_04
洋子の固有コマンド“髪をかき上げる”。意味なくくり返してしまう……。

 10数年ぶりに『神宮寺』シリーズをやったのですが、らしさを残した進化版という感じですね。かなりブランクがありましたが、基本システムは同じなので、すぐに『神宮寺』ワールドに戻ることができました。シリーズ最新作『ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ』では、システムも大きく変わっているので、久々という人は、まず本作で慣らしてから、最新作に挑むのもいいんじゃないかと思います。また、ゲームオーバーがなく、簡単に進められるので、シリーズ未経験者が最初にプレイする場合でも、オススメのシナリオだと思いますよ。

 ところで、本作に限った話ではないですが、神宮寺や熊野に比べると、洋子の顔は作品ごとに毎回変化の度合いが激しくないですか? 昔はもっとキツめだったような…… いや、別にどれがいいとか悪いとかではなく、気になるんですよね(笑)。

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