ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、今回のテーマは、2Dサンドボックスゲーム『テラリア』です。

【こういう人におすすめ】

  • 滝の裏の邸宅や雲の上の城など、凝った建物を作ってみたい人
  • トライ&エラーが苦にならず、ハック&スラッシュが好きな人
  • 珍しいものはとにかくすべて収集しないと気が収まらない人

※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。

ハトヤ伊藤のおすすめゲーム

『テラリア』

  • プラットフォーム:ニンテンドー3DS、PSVita、Switch、Wii U、PS4、PS3、Xbox One、Xbox 360、PC、iOS、Android
  • 発売日:2019年12月19日
  • 発売元:スパイク・チュンソフト
  • 価格:4180円[税込]
  • パッケージ版:あり
  • ダウンロード版:あり
  • 『テラリア』公式サイト

※データはSwitch版のものです。

Nintendo Switch『テラリア』アナウンストレーラー

 この文章を書くにあたって、改めて『テラリア』を始めた明確な理由を思い出してみる。しかし、どうしても思い出せない……。きっと「おもしろそうだった」からだろう。それは大正解だったが、ここまでハマってしまうとは想像もつかなかった。

 物語にはきちんとした設定がないので、とらえかたは自由だ。だから自分のように、ファンタジー世界にぽつんと降り立った主人公を見て、“異世界転生もの”だと決めてもいいはずだ。異世界に急に放り込まれたら、まずは身の安全を確保できる町を探すだろうが、『テラリア』の世界にそんなものはない。それならば突如として開花する主人公の超能力に期待したいが、残念ながら主人公はわずかな道具を持っているだけの非力なただの人間なのだ。

『テラリア』遊びかたは千差万別! 2Dでもできないことは一切ない!【推しゲーレビュー】_01

 そんな世界でうろうろしていると、当たり前のようにスライムが襲ってくるので、身を守るために拠点となる家を建てなければならない。スライムたちに手持ちのソードで抵抗しながら斧で木を伐り木材を集め、掘っ建て小屋を作る。しかし、家が完成したからといって、ひと息ついてはいられない。日が暮れ夜になると、スライムよりも恐ろしいゾンビを始めとした強力なモンスターが出現する。外に出れば生身の人間はすぐに餌食となってしまうので、ゾンビが家のドアを叩く音に震えながら、屋内で夜を過ごさなければならない。

 「抵抗もできずに怯えながら生活していくのだろうか……」という気持ちになるかもしれないが、このゲームには“作る”(クラフト)要素がある。木材があれば作業台が作成でき、スライムを倒すと手に入るジェルと木材を作業台で組み合わせれば、暗闇を照らす松明ができる。竈と金床を作れば、ツルハシで掘り出した鉱石を鋳造して強力な武器や防具も仕立てられる。このように日中の安全な時間帯に素材を集めてクラフトをくり返すと、弱々しかった主人公の装備も充実していく。そうなると夜間も出歩けるようになり、行動範囲も徐々に広がるのだ。

 クラフトでは、装備品だけではなく、机や椅子などの家具や体力を回復するポーションなども生み出せる。探索して素材が集まったら、家を増築したり、家具を作って飾り付けるのも楽しい。条件を満たせば、商人や魔法使いといった主人公を手助けしてくれるNPCが家に住み着いてくれるので、モチベーションも上がる。

『テラリア』遊びかたは千差万別! 2Dでもできないことは一切ない!【推しゲーレビュー】_02
武器だけで200種類以上。登場するアイテムは全部で4000種類以上存在する。

 素材を探す探索だが、『テラリア』は2D世界なので、画面の上下左右のいずれかに進む。だが、この世界は地上よりも地下の面積のほうがはるかに大きいので、探索の大部分は下へ“掘る”ことになるのだ。

 松明を携えツルハシでカンカン、コンコン下へ下へ。地下だからといってほとんどが土と石かと思うかもしれないが、地上の環境(雪原、砂漠、ジャングルなど)によって地下の環境もがらりと変わり、ところどころに坑道や廃屋があったり、洞窟やダンジョン、最下層には地底世界も広がっている。

 もちろん危険なモンスターが生息していたりトラップも設置されているのだが、それらをかいくぐり、ゴールドやミスリルといった貴重な鉱石、珍しいアイテムの入った宝箱を見つけられると、「もっとあるかもしれない」という欲望が芽生え、さらに掘り進んでしまう。この中毒性は、ほかのゲームではなかなか味わえない。

 ある程度装備が整い、モンスターとの戦いで苦労しなくなっても、まだまだやれることは山盛りだ。『テラリア』には通常のモンスターのほかにもボスモンスターが存在していて、“戦い”も存分に突き詰めることができる。ボスに勝つには、装備やポーションをしっかり揃えなければならない。動きやすいように事前に地形を整地したり、足場やバフ効果のあるアイテムを設置すれば、優位に戦いを進めることができるので、そういった工夫ができるのもこのゲームのおもしろいところだ。

 ボスは20体以上存在し、倒すことでしか手に入らない希少な素材もある。さらに、特定のボスを倒せば自動的に“ハードモード”へ移行。世界に変化が生じ、新たなモンスターやボス、イベントが発生するので、戦いだけをとってみても楽しみは尽きない。

『テラリア』遊びかたは千差万別! 2Dでもできないことは一切ない!【推しゲーレビュー】_03
ゲームが進めば火星人が宇宙から襲来! 高度なテクノロジーで攻められる。

 水辺でできる釣り、ワイヤーとスイッチをつないで作動させるギミック作り、地上の上空にある浮島や宇宙エリア、オンラインでの複数同時プレイなど、まだまだたくさんの要素がある『テラリア』。これほどさまざまな遊かたが用意された本作は、サンドボックスゲームに分類される場合も多いが、RPGやアクションゲームの性質もしっかり持っている。それらのジャンルや、2Dドットで描かれた世界が好きな人は、一度このゲームを遊んでみることをおすすめする。

 2011年にPCで配信されたゲームだが、いまではほとんどのハードで遊べ、昨年12月にはニンテンドースイッチ版が発売。国内のPS4版とiOS/Android版には、大型アップデートver.1.3が配信された。城を建てるもよし、地下世界を隅々まで探索するもよし、アイテムを求めてモンスターを討伐するもよし。摩訶不思議な世界の扉はいつでも開いている!

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