ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、1997年に発売されたRPGが2020年に新たな姿で甦った『ファイナルファンタジーVII リメイク』です。

【こういう人におすすめ】

  • FFVII』をプレイしたことがある人
  • 『FFVII』をプレイしたことがない人
  • 新しいRPGを遊びたい人

※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。

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『ファイナルファンタジーVII リメイク』

FINAL FANTASY VII REMAKE ファイナルトレーラー

 オススメしたいソフトは、『キングダム ハーツIII』や『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』、『Life is Strange 2(ライフ イズ ストレンジ 2)』といったスクウェア・エニックス作品ばかりになってしまい、「忠犬スタンプかよ!」と自分でも突っ込まざるを得ませんが、それでも書かずにはいられない、それが『ファイナルファンタジーVII リメイク』(以下、『FFVII リメイク』)。つまり、ここでオススメするのは『FFVII リメイク』です。もはや自分がオススメする必要性を感じないほど、世界で好評を博している本作ですが、E3 2015の発表から約5年にわたって待望し続けていた私が感じた『FFVII リメイク』についてまとめておきます。

 まず強調したいのは、オリジナル版をプレイした人がこんなにワクワクできるリメイク作品がこれまでにあっただろうか!? ってこと。現代の技術でグラフィックやバトルを一新、物語に深みを持たせるシーンの追加……など、リメイクされた要素の数々はどれも予想を遙かに超えたクオリティー。プラント多数で一大工業地帯を思わせる壮大なミッドガル(ファンタジーだけどリアル)、雑多感溢れる七番街のスラムに伍番街の教会やその周辺の廃墟、昭和テイストのウォール・マーケットなど、各ロケーションは新たに設計され、もはや初めての場所、といっても過言ではないけれど、懐かしさも感じさせてくれるいい塩梅のバランスに。

『FF7 リメイク』物語もバトルもリメイク! まさに2020年から始まる新しい『ファイナルファンタジーVII』【推しゲーレビュー】_02
床への写り込みや光源による陰影もリアルタイムで表示されるバトルも圧巻。

 キャラクターに関しても、これまでのイメージ通りの部分と新たな一面がミックス。たとえば、これまでクールでカッコいいキャラの代表格のようだったクラウドは、クールに立ち回りたいけれどまわりに翻弄され、その結果“ちょっと痛くておもしろいツンツン頭なヤツ”になっており(オリジナル版でも多少その傾向はありましたが)、個人的には好感度アップ。

 好感度と言えば、今回、多くの人の好感度を爆上げ、心を鷲づかみしたキャラはジェシーではないでしょうか!? オリジナル版からクラウドにちょっかいを出すキャラではありましたが、本作では「明日の夜 来て?」とか、「華麗な運転でわたしを酔わせてくれる?」とかあっけらかんと言い放ち、若い男を手玉に取るお姉さんっぷりで、ダブルヒロインであるエアリスとティファをも霞ませてしまうほどの存在感です。「なんつって」という口グセも破壊力抜群。

 また、ローチェといい、ウォール・マーケットの代理人の3人といい、新キャラも個性的、というかクセが強くて楽しい! そんなクセ者揃いの新キャラの中で地味な優等生タイプ、チャドリーはバトルシミュレーターをすべてクリアーした際に明かされる秘密にビックリ。ゲームの進めかたによってキャラの反応が変わったり(そもそもキャラクターのセリフのパターンも掛け合いが豊富で、こんなセリフまで用意してたんだ、と感心すること多々)、請け負えるクエストが変わったり、女装イベントの衣装が変わったり、さなざまなところに発見やサービス精神が溢れている作品になっています。

『FF7 リメイク』物語もバトルもリメイク! まさに2020年から始まる新しい『ファイナルファンタジーVII』【推しゲーレビュー】_03
本作では、ドキドキするシーンも多いですね。若いっていいわ(アラフィフ)。

 バトルは『FF』らしいATBを使うコマンドRPGとアクションが絶妙なバランスで融合した新機軸のもの。バトル中は、剣を振るクラウドから、銃弾を放つバレットへ、さらに格闘攻撃のティファへといった感じで、バトルスタイルの異なるキャラクターにシームレスで操作を切り換え可能。いわば異なるジャンルのバトルに瞬時に手軽に切り換えられるって、スゴくないですか?

 また、バトル中はコマンドメニューを開くと周囲の動きが超スローモーションになり、RPG的にじっくり戦略を練ることもできます。すると一見簡単そうに感じるかもしれませんが、それがなかなか。何も考えずに戦うと苦戦しがちなバトルバランスになっています。ですが、マテリアのセッティングを見直したり、対処法を実践して、敵をバースト(一定時間攻撃し放題になる)状態にしたときに、攻撃をガンガン叩き込む快感はクセになります。

 そして忘れてはならない音楽。オリジナルの『FFVII』からのアレンジは聴くだけで自然と感情は高まり、新曲もたっぷり。楽曲はこのシーンしか流れない、という曲も多く、かなり贅沢な作り。なんてったってサントラはCD7枚組ですからね。すべての要素に執念のような作り込みがなされていて、開発に時間がかるのもうなずける。でも、そのぶん、期待以上の完成度。これぞ『FF』といった内容になっています。

『FF7 リメイク』物語もバトルもリメイク! まさに2020年から始まる新しい『ファイナルファンタジーVII』【推しゲーレビュー】_01

 今回は“運命の番人”という謎の存在が登場し、勘のいい人ならある程度の予測がつくかもしれませんが、まさに物語も時代に合わせた『FFVII』になっています。単に新しくしただけではない、新作のような未知のモノに挑むワクワク感が本作にはあるんです。しかも『FFVII』という名作でそれをやり、原作のファンも納得させる形になっているのがスゴい。この絶妙なバランスを保った作品は奇跡に近いのでは!?

 そんな『FFVII リメイク』をまだプレイしていない人はぜひ。ボリューム的にもきっと満足できると思いますよ。

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