死因究明のスペシャリストを最高峰のキャスト陣が熱演

 2018年に放送され、大ヒットを記録したTBSの金曜ドラマ『アンナチュラル』が、アマゾンプライムビデオにて見放題となっています。

 亡くなった人の遺体を解剖し、死因を究明するスペシャリストが集まる“不自然死究明研究所(UDIラボ)”。ここに所属する人々の奮闘を描いたミステリードラマである本作。

 石原さとみさん、市川実日子さん、窪田正孝さん、井浦新さん、松重豊さんという人気・実力ともに日本最高峰のキャスティングや、『逃げるは恥だが役に立つ』が大ヒットした野木亜紀子氏が脚本を手掛けたことでも話題となりました。

 また、主題歌は米津玄師さん最大のヒット曲となった『Lemon』。ドラマの余韻を、切なくも温かく引き立てます。

TBSドラマ『アンナチュラル』(Amazon Prime Video)

2018年にウィルスによる社会不安を描いた第1話『名前のない毒』に注目

法医学ミステリードラマ『アンナチュラル』アマゾンプライムで配信中。石原さとみ主演、主題歌米津玄師『Lemon』が話題に 【アマプラオススメ作品】_01
画像は公式サイトより

 1話完結型のストーリーが描かれる『アンナチュラル』。いま改めて視聴すると、第1話『名前のない毒』での事件の描かれかたに驚かされます。

 ある日、UDIラボに運ばれてきたのは、死因不明の遺体。警察はこれを心不全による事件性のない死として処理しようとしたものの、亡くなった男性・高野島の親夫婦の依頼により、UDIラボで遺体を解剖、死因を調べることになります。

 UDIラボ所属の法医解剖医・三澄ミコト(石原さとみ)は死因が薬毒物である可能性があると考えるも、死因特定には至らず。そんな中、高野島の同僚だった女性も、突然死していたことが判明します。

 その後、紆余曲折あり、ミコトはふたりの死因を特定。それはなんと、日本では発症例のない特殊なウィルス“MARSコロナウィルス”だったのです。

 海外旅行で国内にウィルスを持ち込んだとして世間からバッシングを受ける高野島と、その遺族たち。検査を受けた病院にも感染が広まっていたことで、非難はさらに激しいものになります。

 未知のウィルスへの不安をきっかけに引き起こされる、社会パニック。この描写は、いまを生きる私たちだからこそ、当時にも増してリアリティを感じます。

 その後、物語は驚きの結末を迎えるのですが、このエピソードからは、誰かに責任をなすりつけて責め立てることがいかに愚かであるか、改めて気付かされました。

ドラマ『アンナチュラル』公式サイト(TBS)
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 これ以降のエピソードも、謎が謎を呼び、予想が何度も覆る展開が続きます。毎回、最後まで結末が読めず、ハラハラさせられっぱなし。

 そのうえで、第3話『予定外の証人』では女性への偏見、第4話『誰がために働く』ではブラック労働、第7話『殺人遊戯』ではイジメ、などなど……現実で社会問題になっているテーマを落とし込み、視聴者に“気づき”を与える手腕には、舌を巻くしかありません。

 視聴中、「この人が悪いに違いない!」と感じた人物がいたとして、その人もまた社会の歪みが生んだ被害者であることが明かされたり……視聴者の中にあった固定観念を揺さぶられる展開の数々も、本作の魅力のひとつと言えるでしょう。

 ちなみに、作中には遺体解剖のシーンもありますが、直接的な表現は避けられているので、そういったシーンが苦手な方も問題なく楽しめるかと思います。

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 石原さとみさんが演じるミコト以外のUDIラボの面々も、魅力的な人物ばかり。

 臨床検査技師の東海林夕子(市川実日子)とミコトとの気心の知れたやりとりは笑いを誘いますし、アルバイトとして記録員をしている久部六郎(窪田正孝)は未熟な言動が目立つものの、ミコトたちの役に立ちたいとがんばる姿は応援したくなります。

 UDIラボの所長・神倉保夫(松重豊)の実直で親しみやすい性格には、誰もが好感を持てるはず。

 ミコトがじつは現在の母親と血がつながっていないこと、六郎はUDIラボ以外にゴシップ週刊誌でのアルバイトも掛け持ちしていることなどが明らかになると、これらの設定も物語に複雑に絡みはじめます。

 そんな中、ひと筋縄ではいかない人物なのが、同僚ながらミコトと対立しているもうひとりの法医解剖医・中堂系(井浦新)。

 仕事中の暴言が目立ち、彼に耐えられずUDIラボを辞める者が絶えないという中堂ですが、中盤以降は、彼が抱える“闇”にもスポットが当たります。彼がかつて「人を殺している」という噂を耳にしたミコトの行動にも注目です。

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 誰もが、後悔や苦しみを抱えながら生きている。ミコトや中堂の想いが、亡くなった人や、残された人々の感情とリンクする各エピソードのクライマックスには、感動とともに、胸が痛みます。

 「法医学は未来のための医学」

 これは第1話での神倉所長の台詞。誰かの死因を解明することは、いまを生きるすべての人々の安全を守ろうとすること。同時に、残された人々が過去に囚われず、前を向いて生きていくために必要なことでもあるのです。

 『アンナチュラル』というタイトルに込められた、”不自然死(Unnatural Death)”の原因を解明するためのミコトたちの奮闘。それはきっと、これから本作を視聴する方にも、未来への温かな希望をもらたすことでしょう。

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 個人的には、本作は、特撮ファン・アニメファンにもおすすめしたい作品にもなっています。

 石原さとみさんと市川実日子さんといえば、映画『シン・ゴジラ』でカヨコ・アン・パタースンと尾頭ヒロミを演じたコンビでもありますし、実際の科学に基づいた息もつかせぬストーリーが展開されるという点で『シン・ゴジラ』と『アンナチュラル』は共通している……と思います。

 また、脚本の野木亜紀子氏は、アニメ『日本沈没2020』や『映像研には手を出すな!』の湯浅政明監督とのタッグで、2021年公開予定のアニメーション映画『犬王』でも脚本を手掛けます。

 いま挙げたタイトルがお好きな方、気になっている方にも、『アンナチュラル』は視聴してみてほしい作品と言えるでしょう。

 そして『アンナチュラル』が気に入った方は、同じスタッフが手掛ける、現在放送中の星野源さん、綾野剛さんによるW主演ドラマ『MIU404』もぜひ視聴してみてください。

TBSドラマ『MIU404』(Paravi)

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※Amazon Prime Videoの配信情報は記事制作時のものです。