DMM GAMESからリリース予定のRPG『ミストトレインガールズ』。2019年の東京ゲームショウでの発表以降、まだかまだかと待ち望んでいたユーザーも多いであろう本作が、ついに2020年7月末から事前登録を開始した。

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ミストトレインガールズ~霧の世界の車窓から~ 第2弾PV

 ゲームタイトルやPVからは、“鉄道”の存在が大きく打ち出されている本作。キャラクター名も実在する駅名がモチーフのようだ。漠然と「鉄道の擬人化ゲームかなぁ」などと予想していたら、ある日、プロデューサー/クリエイティブディレクターである長谷川雄大氏にインタビューする機会を得た。

長谷川雄大(はせがわゆうた)

『ミストトレインガールズ』プロデューサー。後述する“クリエイティブチーム くまさん”を統括する立場にもある。通称、はせP。文中では長谷川。

 インタビュー開始前、同行したファミ通.comの編集者があるものを取り出した。“鉄道”や“列車”をモチーフにしたゲームということで、「こういうオリジナルグッズがあったらユーザーさんも喜ぶだろうなと思いまして」とのこと。

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吊り革である。鉄道会社が開催するイベントなどで、たまに廃棄予定だったものを買えるらしい。編集者「4つほど持ってます」。
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「え、何これ!?」と、いきなり混乱する長谷川氏。

長谷川いやー、せっかく小道具を持ってきていただいたのに恐縮なんですけど、『ミストトレインガールズ』は鉄道の擬人化とか、そういうゲームじゃないんですよ。

 鉄道の擬人化ゲームではないなら、いったいどんなゲームなのか。そもそも、“くまさん”とは一体どんなチームなのか。そのこだわりを、がっつりと伺った。

 なお、本記事に掲載した資料などは開発段階のものなので、正式版とは異なる可能性がある点はご了承いただきたい。

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“鉄道”推しのゲームではなく、あくまでストーリーや世界観を構築するための舞台装置のひとつだという。どういうこと?

すべてはアニメを観るかのような没入感のために

――まずは本作『ミストトレインガールズ』がどのようなゲームか、概要を教えていただけますか。

長谷川ファンタジックレールRPGと銘打っているオンラインゲームです。演出面にこだわりを持っていまして、アニメーションのスキルカットインなど演出をリッチに作り上げています。

――制作に携わるスタッフ陣については?

長谷川僕のほうで統括している“クリエイティブチーム くまさん”が制作にあたっています。ストーリーについては『プリンセスコネクト!Re:Dive』や『あんさんぶるスターズ!』のライターをされている日日日(あきら)さんにご参加いただきました。また、『フラワーナイトガール』や『ガールズシンフォニー~少女交響詩~』でライティングをお願いした川添枯美さんにもご参加いただいています。そして、ゲーム部分の開発・運営は『オトギフロンティア』の開発・運営のKMS様にて行い、弊社がクリエイティブ部分を担う形での共同開発となっております

――シナリオ面も開発・運営面も実績のある方々が関わっていて、かなり期待できますね。

長谷川ストーリーへの没入感を高めるため、アドベンチャーシーンのキャラクターイラストについてはアニメーションテイストで作っています。

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――資料を拝見したところ、シナリオにKADOKAWAも関わっているようですね。

長谷川世界観などにつきまして、ファミ通文庫さんにご協力いただいています。じつは僕、以前はエンターブレイン(※)に勤めていたんです。和田さん(ファミ通文庫編集長 和田寛正氏)とは、当時から懇意にさせていただいておりまして。今回もDMM GAMES内外からクリエイティブチームのメンバーが集うにあたり、お名前を連ねてもらっています。

※エンターブレイン:ファミ通.comを運営するKADOKAWA Game Linkageの前身にあたる会社。

――シナリオ協力の形で作家さんや小説レーベルが関わることはほかのゲームでもたまにありますが、最初からというのは珍しいですね。

長谷川そうかもしれません。僕がクリエイティブ面を統括した『フラワーナイトガール』や『ガールズシンフォニー~少女交響詩~』でもシナリオでご協力いただいています。ファミ通文庫さんはずっといっしょにやってきた戦友のように感じています。

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ライトノベルの観点から言っても、日日日氏、川添枯美氏、そしてファミ通文庫レーベルと来れば、シナリオの質は間違いなく期待できる。

――続いて、先にお話に出ていた演出面についてお聞きします。アドベンチャーパートではどういった部分にこだわっていますか?

長谷川没入感を高めるために、アニメーションタッチで描き下ろし、キャラクターの動きなども含めてアート面を統一しています。キャラクターごとに各イラストレーターさんが描いているため、キャラクターのタッチがバラバラのままだと、物語に集中しにくいと思うんです。

――アニメを観るような感覚で、物語に没入できるわけですね。いまの話ですと、全キャラの立ち絵を長谷川さんが直接監修して描き直したと……?

長谷川さすがにたいへんでした(笑)。キャラクターの基礎となる“AR”というレアリティがありまして、これは内部で描き下ろして統一感を高めています。

――SSR、SRなどに加えて、アニメーションタッチのARがあるわけですね。

長谷川基本的にはこのARや、アドベンチャーパートで動いているキャラクターが、シナリオの没入感を高めるためのギミックになっています。参加メンバーの皆さんのおかげで、シナリオはかなりおもしろいものになっていますので、そこへの没入感をいかに高めるか、アート面でも工夫しています。

――全キャラクターについて描いていくとなると、かなりたいへんかと思いますが……。

長谷川そこはもう、とことんこだわりたかった部分ですので。ARのイラストはアニメーション部分の原画的な意味もありますし、何よりアニメのようにシナリオを読んでいけるように心がけています。

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掛け合いのアニメタッチの立ち絵が、ぱぁっと表情を明るくしながら片手を振り上げて飛び跳ねたりと、めちゃくちゃ動く。フルボイスは当然として、モンスターの立ち絵さえ動くのには恐れ入った。

世界観と仕込まれた“謎”が想像をかき立てる

――続きまして、本作の世界観について教えてください。

長谷川深い霧に覆われた大陸“イリスクラウド”の各国境にそびえる“巨大樹”の周囲から霧が発生し、それが世界を侵食しているというのが大まかな世界観です。霧の中からはモンスターが現れたりして人々に危害が及んでいる、と。その霧に“冒険”、“謎”、そして“恐怖”の3つのテーマが設けられています。

――危険なだけの存在ではないわけですね。

長谷川いまのところ、なぜ霧が発生しているのか、なぜ浸食していくのかさえ謎のままですが、発生源には必ず巨大樹があることは判明しています。本作では車掌や軍隊のモチーフを扱いつつも、学園ものとしての側面もありまして、登場キャラクターたちは軍学校のエリート学生が中心。見込まれて“特鉄隊(特別鉄軌隊)”という部隊に召集されます。

――名前からして、鉄道に関係ありそうな部隊ですね。

長谷川そうですね、特鉄隊は霧の発生よりも前に何者かによって大陸中に敷かれていたレールを“ミストトレイン”で駆け、各国を“冒険”しながら霧などの“謎”を解いていくことになります。そして“恐怖”については、霧を晴らさなければやがて各国ともに滅んでしまうという危機として描いています。

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ゆっくりと霧に侵食されつつある大陸“イリスクラウド”。この危険な霧の存在が、あらゆる謎や設定に関わっていく。

――なるほど、すると主人公(プレイヤー)は特鉄隊所属の軍人なのでしょうか。

長谷川特鉄隊は霧の謎を解くために軍学校から集められていますので、軍人とはまた少し異なる扱いになります。霧に対しての連合軍といった感じですね。また、ミストトレインを唯一動かせるのが主人公で、だからこそ彼が隊長でなくてはならないという立場にあります。なぜ彼だけがミストトレインを動かせるのか、それもまた物語の中で解き明かされていくことになります。

――PVには主人公をサポートするヒロインのようなキャラクターも登場していますよね。

長谷川ナビキャラクターの“パディントン”ですね。クリエイティブチームのかんなぎれいさんが描き下ろしたキャラクターです。主人公に寄り添うと同時に、“神子(みこ)”という特殊な存在でもありますので、彼女が物語への関わりかたも見守っていただきたいところです。

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本作でナビを勤めるパディントン。ミストトレインを造った主人公の母親を尊敬している。イラストレーター・かんなぎれい氏のお気に入りキャラクターとのこと。

――霧といい神子といい、裏設定がたっぷりありそうじゃないですか……。

長谷川もちろん設定は練りに練っていますので、物語の中で描かれていくことになるでしょう。霧の中は独自の資源が採掘できたり、時間の概念がおかしくなってしまったりという特殊な環境。そこを旅するには特殊な訓練を積まなければいけなくて、だからこそ軍学校の精鋭が特鉄隊に集められているわけですね。

――霧は入ったら即死亡みたいなものではなく、いろいろな謎を抱えた存在なんですね。

長谷川霧から出現するモンスター以外に、霧の中で隠れ住むレジスタンスや、霧を崇拝する者たちの活動など、同じ人間が起こす問題にも特鉄隊は関わっていくことになります。

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霧そのものだけではなく、霧に関わった人間たちによる事件も発生する。

――では続いて、先ほどもお話に出ていた主要5国とキャラクターについて教えてください。

長谷川まず、テーマとして駅の擬人化要素は入っていません。

――そうなんですか? 駅名のキャラクターが多いようなので、てっきり擬人化かと。

長谷川モチーフとしては取り入れていますけどね。たとえば“セントイリス”という国はテーマとしては現実世界のイギリスを中心に、一部アメリカの要素も少し。各国に所属しているキャラクターには、モチーフとしているリアルの国の地名などを名前に取り入れています。

――すると、各キャラクターの衣装も、キャラ名出展のモチーフではなく、むしろ各国の特徴に寄せた形になるわけですか。

長谷川衣装のデザインは、車掌や軍人のイメージをベースに、各国のイメージを取り入れた形になっています。日本の学生服などとは異なり、自分でかわいくアレンジする程度の着崩しはオーケー。これが個性の表現のひとつです。

セントイリス イメージイラスト

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見た目としては、かなりイギリスのイメージが近い街並みとなっている。5国の代表会議も、地理的な理由からここで行なわれる。
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セントイリスの軍学校・騎士科の制服と、パディントンが着ている鉄道警備隊の制服。剣や銃を中心とした戦闘スタイルの国で、こちらにもイギリスや騎士のサーコートのようなイメージが見られる。

――一般的な擬人化のように、駅や地方の特徴や史実が、嗜好や性格に取り入れられるような感じではないんですね。

長谷川あくまで名前がそうであるというだけですね。駅の特徴的な外観などをオブジェクトとして衣装に取り入れている場合もありますけど。

フレイマリン イメージイラスト

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5国で唯一海に面する国“フレイマリン”は東南アジアやフィジーなどがモチーフ。熱砂地帯もあり、南国のイメージが強い。
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普段着が水着をベースにした服装のため、学生服も同様となっている。

アイゼングラート イメージイラスト

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ロシア、とくにシベリア地方をモチーフとし、都市部はドイツのルール工業地帯をモデルとしているという雪の軍事国“アイゼングラート”。
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霧に対しても攻撃的な国で、学生服のイメージは軍服らしさと防寒性が強い。主要兵装は銃と鞭で、鞭は伊達で持つものではなく、雪上で動かずとも相手を寄せ付けず戦える。

ヴェルフォレット イメージイラスト

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フランスやイタリアの森林をモチーフとした国“ヴェルフォレット”。エルフのような長い耳の人種が共存しており、魔法技術が発達している。
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ヴェルフォレットの主要兵装は杖と弓。軍学校の制服も、どこかエルフや魔法使いのローブを思い起こさせる。

ニシキ イメージイラスト

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日本をモチーフとした神秘的な国“ニシキ”。和服とケモ耳の小柄な種族が特徴的で、“コメ”を中心とした食文化が発達している。
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ニシキには獣人特有の身体能力で、格闘戦を得意とする者が多い。また、魔法とは異なる呪術を行使する。
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食にこだわるニシキの民がコメを持ち歩くため生み出したベントウは、駅弁という形でシナリオ中にも登場するとか。

お気に入りのキャラをとことん育成可能

――キャラクターは全員、特鉄隊への所属なのでしょうか。

長谷川一部、炊事役をやってくれているお母さん的な人など、単純に全員が所属しているわけではないですが、大多数は所属メンバーとなります。

――使用できるキャラクターはストーリーを進めたり、ガチャで入手することで増えていくのでしょうか?

長谷川それが基本ではありますが、“はせP”の名前を出して担当するタイトルですので、『フラワーナイトガール』から引き続き、KMS様にも相談しつつ、広くのプレイヤーに楽しめるような運営を心掛けたいと思っております。

――そこもまた、没入感などに関わるポリシーなのでしょうか。

長谷川うーん、じつは“この作品を通じて伝えたいメッセージ性”といった大仰なものはないんです。僕と(KADOKAWAの)和田さんとでずっとやってきた中で、作った作品などを単純に皆さんに楽しんでほしいという気持ちがありますので、なるべくたくさんの皆さんに楽しんでもらえればと。シンプルにそれだけです。そして今回ゲーム部分の開発、運営にあたるKMS様も同じ気持ち(なはず)です!

――キャラクターの育成などで、ガチャの課金の有無が響くような気もするのですが。

長谷川育成システムでは“レイヤー”という方式をとっています。たとえば“ヤクーツク”というキャラクターがいます。そのヤクーツクのAR、SR、SSRというレアリティ別のキャラクタータイプが用意されます。これらをそれぞれ育成することで、そのキャラクター自体の能力が上がっていく形です。お気に入りのキャラクターを深く育成できるので、どんどん深堀りして強くして、愛情を注いでいけるわけです。

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長谷川氏お気に入りの“ヤクーツク”のAR版イラスト。見ての通り、かなりシンプルでセルアニメ寄りな陰影とタッチになっており、そのままアニメで動かしやすそうな造形だ。
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SR版のヤクーツク。イラスト然としたタッチになっており、背後のパーツなどもボリュームがあり、豪華。
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SSR版ヤクーツク。なお、彼女は当初お姉さんキャラだったが、長谷川氏が「ロシアと言えば銀髪でちっちゃい双子だろう!」と和田氏に頼んで怒られつつも、最後には双子以外の部分を通してもらえたらしい。

――各レアリティのレイヤーは、状況によってSRのこのレイヤーを使おうとか、あのスキルを持っているSSRをここでは使おう、といったように着替えて使い分けるのでしょうか?

長谷川そうした着替えるタイプではないんですよ。クリスマス版のヤクーツクがいたとして、そのクリスマスヤクーツクを育成すれば大元のヤクーツク自体のパラメーターにもブーストがかかる、と。

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全レイヤーの育成の結果がそのキャラクター自体の地力になり、またほかのレイヤーで習得したスキルを別レイヤーでも装備可能。お気に入りのキャラクターをとことん強化でき、幅広い育成がムダにならない仕様だ。

――ちなみに、初期のプレイアブルキャラクターは何名くらいですか?

長谷川だいたい40人くらいでしょうか。各国から10人弱ずつエリートが集まるイメージです。

――それだけキャラがいると、ストーリーがどのように展開するのかも気になるのですが。

長谷川なるべく1キャラクターごとの物語が描けるように、とは考えています。基本となるメインストーリー部分は、5人とナビキャラクター・パディントンの6人を主軸に描かれて、そこに各国のキャラクターのシナリオを加えていきます。

――なるほど、キャラが多すぎて話が薄まるといった問題はなさそうですね。

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メインストーリーを牽引していくのは5国から集い、特鉄隊の旗揚げメンバーとなるこの6名となる。

長谷川ちなみにメインキャラクター以外では、日日日さん謹製のちょっと変わったキャラクターも多く出てきます。日日日さんってお話に関わるキャラクターをつぎつぎ作っちゃうんですよ(笑)。これがまたおもしろくて、いいキャラで。「モブではなくキャラクターとして出そう」といった感じでイラストを用意したキャラクターも多いんです。日日日さんは想定していないのかも知れませんが、僕らとしてはストーリーを読んで出さざるを得ない! と。

――用意したキャラクターをベースにシナリオが作られるだけではなくて、シナリオきっかけで作られたキャラもいるわけですか。それがけっこうな人数で。日日日さんは筆が早いことでも知られていますしね。かつては毎月どころか1週間で1冊の本を書き上げたとか。

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参考までに、メイン以外のキャラクターも一部紹介しよう。こちらは長谷川氏もお気に入りのキャラクター“ブルーゼ”のAR版。
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ブルーゼのSSR版。人形やイスといった小物類が気になる。
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“ルーアン”のAR版。表情がわかりやすく豊かに描かれるのも、アニメタッチの利点と見える。ちなみにイラストレーター・メロントマリ氏のお気に入りキャラとのこと。
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ルーアンのSSR版は、いかにも魔法使いといったイメージ。左目にかざした指やポーズから性格が想像できるのもまたよし。

長谷川日日日さんも『ミストトレインガールズ』に思い入れがあるんだろうなと思っています。勝手に。一応、日日日さんの立場もあるでしょうから、気を遣ってX版(※)はこちらからは触れていなかったんですが、ご本人から「X版も全部チェックさせてください」と申し入れがあったんです。で、修正してもらって、明らかによくなっている。Twitterでもそのことを公言されていて「マジか!?」と(笑)。

※X版:大人向けのR18版のこと。

――作家がこだわるのはあくまで物語であって、全年齢向けだろうが大人向けだろうが関係ないのかもしれませんね。私の中でお話の期待値がどんどん上がっています。ぜひ制作側と拳で語り合ってほしい(笑)。

長谷川僕はプライベートでゲームを遊ぶ時は物語を深く読むほうではないんですけど、(今作では)「ぜひ絵に起こしたい」と思わされるキャラクターがつぎつぎに出てきます。あのですね。

――はい。

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長谷川めちゃくちゃおもしろいんですよ。

――溜めて言わなくても十分伝わってます。

長谷川魅力的なキャラクター作りがとてもうまくて、人物像ができたら物語が自然と走り出す、といった感じなんだと思います。登場人物の行動を俯瞰視点で眺めて書き起こしているような。

――日日日さんや川添さんなど、小説家さんがシナリオを書いてくださると心強いですね。むしろ、お話を重視するゲーム開発のスタンダードな形になっていくのかもしれません。

長谷川ただ、この形にできているのはKADOKAWAさん、ひいてはファミ通文庫さんのおかげですからね。僕だけでは成し得ない、長年のご協力あっての成果だと思いますので、感謝しかありません。

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メインシナリオだけでなく、各キャラクターの魅力を掘り下げるサイドストーリーにも期待が高まる。

“くまさん”チームもまた、情熱のるつぼだ!

――協力といえば、本作は“クリエイティブチーム くまさん”が手掛けておられますよね。こちらについても伺いたいのですが。

長谷川先ほどもお話ししたように、僕や和田さんでいろいろやってきたんですけど、深夜までひとりで作業して鼻血が出そうだったり(笑)、少人数では限界が見えてきたんですね。そこで、イラストレーターさんやデザイナーさんを中心に著名なスタッフとともに新たな育成枠として新卒を入れました。今後、DMM GAMES内または外部含めていっしょに開発を行っていくチームにしていく予定です。

――ちなみに、この“くまさん”というチーム名についての由来は?

長谷川ニコ生などで僕が直接出てきたときに、『フラワーナイトガール』のユーザーの皆様と司会の川本さんから「クマさんみたい」と言われまして(笑)。せっかくですので、プレイヤーさんが付けてくださった愛称をそのままチーム名に使わせてもらいました。

――本作が本格的なチーム制作の1本目となりますが、意気込みはいかがでしょうか。

長谷川開発のKMS様の皆さんは、日日日さんと川添さんがやりたがっているであろう部分をしっかり汲んで、熱意をもって対応してくれています。僕が「このキャラは絶対動かせないだろうなぁ」と思っていても、想定外に動かしてくれたりするんです。

――より本作をおもしろくするために、とことん熱意を注いでいるわけですね。

長谷川ユーザーの皆さんに楽しんでいただきたい、おもしろいものを届けたいという一心だと思います。開発の現場からもそれが伝わってきまして、日々驚かされています。「えっ、何でここ動いてるの!?」って。

――立場的には、長谷川さんは本作のプロデューサーとチームくまさんの一員という、ふたつの立場を持っているわけですよね。

長谷川プロデューサーとクリエイティブチームというふたつの現場に立っていますが、内部、開発のKMS様の皆さんのいずれも驚くほどの情熱に満ちています。

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筆者は本作を少しプレイして、細かな部分まで動くアニメーション演出に驚かされた。一部スキルのアニメーションカットインも短時間ながら鮮烈かつ濃密にまとまっていて、ゲームのテンポを損なわない。
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――そこまで情熱があるとなると、今後のマルチメディア展開にも期待が高まります。

長谷川もちろん考えてはいます。まだ構想程度ですが、いつかはアニメ化などもできたらいいですね。

――と、言いますか、日日日さんがライトノベルを書かない未来が思い浮かばないのですが。

長谷川ライトノベル展開はぜひしたいですね、KADOKAWAさんから出ることになったら、ファミ通さんのほうが情報が早いと思いますけど(笑)。

――いろいろな展開ができそうですが、たとえば鉄道側にコミットした展開などもお考えですか?

長谷川鉄道、電車をテーマよりも、駅などをモチーフに取り入れた形ですので、そこまで寄せた形にはならないかと思います。スチームパンクの世界観の中で、ややファンタジー寄りにした鉄道が走るという形ですから。

――むしろ鉄道は、世界観設定の中から後で生まれてきたものなんですね。

長谷川僕と和田さんで「スチームパンクものを作ってみたい」という話は以前からありまして、その中で一要素として出てきたのが“ミストトレイン”なんです。仮にそういった要素にコミットするとなると、駅や土地の名産をアート内にどう取り込むか、という部分になると思います。

――設定的に、陸路で各国をつなげることが重要なわけですもんね。空を飛ぶ乗りものが発達していたら、謎はすぐに解決しそうですし。だから、舞台装置として“鉄道・列車”を選択した、と。

長谷川そうですね。国や大陸が分断されているので、自動車だと往来が難しいかもしれない。各国を結ぶ制限されたルートがあったとしたら、それを活用して経済活動が生まれるはず。その状況で、いちばんイメージしやすいのが鉄道だったんです。

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本作と“くまさん”の展開から目を離すな!

――『ミストトレインガールズ』以外に、チームくまさんの今後の展開は決まっているのでしょうか?

長谷川チームとしての2本目、3本目は動いておりまして、すでに2本目の作品は製作中です。かんなぎれいさんが本格参加するゲームなども含まれております!

――ちなみに、『ミストトレインガールズ』のリリース時期は決まっていますか?

長谷川たいへんお待たせしてしまって申し訳がない経緯もありますし、もうズルズルと引き延ばすことはしたくなかったんです。ですので、事前登録はリリースの確度が上がってから開始しよう、と決めていました。

――事前登録が始まっているということは……?

長谷川はい、ユーザーの皆さんの期待に応えるためにも確度を高めてきましたので、リリースに向けて鋭意調整中です。もうすぐです! これで延びたら僕はもう、何かの放送のときに頭を丸めなくてはならないのではと……いや、ないと願いたいです!

作家陣ふたりからコメントが到着

 最後に、本作のシナリオを担当する、小説家にしてシナリオライターである川添枯美氏と日日日氏からいただいたコメントを掲載。って、何だか最後にすごいことを言っているような。

川添枯美氏

 キャラ設定からメインシナリオ、イベントと、シナリオに関する重要な部分に関わらせて頂いています。
 この幻想的な世界観にユーザー様が入り込めるよう、日日日さんといろいろと相談しながら、わりと思い切って書いています。

日日日氏

 本作ではキャラ設定やシナリオ、ボイスなどを作成してます。
 川添さんが築きあげた美しい世界観をさらに広げ、深める、という名目でわりと好き放題にやってます。
 宇宙人を出してみたり。