志倉千代丸氏(しくらちよまる)

MAGES.代表取締役社長。会社の経営やゲーム原作に留まらず、作詞・作曲などマルチに活躍するクリエイター。最新作『アノニマス・コード』では、企画・原作を担当。

「物足りなかった」。MAGES.がコロプラグループに参画した理由を志倉千代丸氏が語る

 KADOKAWAグループからの独立から約半年後。3月30日、『白猫プロジェクト』などで知られるコロプラがMAGES.のすべての株式を取得し、完全子会社化することを発表した。一連のMAGES.の動きには、どのような意図があったのか?

 そこで、同社社長の志倉千代丸氏にインタビューを敢行。コロプラの完全子会社に至った理由や科学アドベンチャーシリーズの最新作『アノニマス・コード』の進捗、さらに『シュタインズ・ゲート』(以下、『シュタゲ』)10周年記念プロジェクトの今後などをうかがった。

『シュタゲ』や『アノニマス・コード』に関する新情報も!? 志倉千代丸氏に直撃インタビュー_04

ドワンゴから独立して約半年。新たなパートナー探しへ

――2020年3月30日、コロプラがMAGES.のすべての株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。まずは、完全子会社化に至った経緯や意図をお聞かせください。

志倉MAGES.は、KADOKAWAグループから2019年7月12日に独立しましたが、コロプラグループへの参画を当時から考えていたわけではありません。

どちらかと言うと、ウチは引きこもりタイプな会社なんですが、みんなで何かやりたいという気持ちはつねにありました。そして、みんなでいい悪い、おもしろいおもしろくない、楽しい楽しくないみたいなところを共有しながら、プレイしてくれた方たちが、「このゲームを作った人たちは遊んでいるな、楽しんでいるな」と感じてもらえるような作品を作りたいんです。

そういう想いもあって、僕ひとりのオーナーで会社を経営していた半年ほどで、「何か物足りない」と感じるようになって……。

――それで新たなパートナーを探したと。

志倉そうですね。経営者の中には、物言う株主を嫌がる人がいるじゃないですか。でも、むしろ僕はいろいろな意見を言ってくれるほうがよくて。

否定的な意見の中に新しい発見があるかもしれませんし、否定的な意見が出てくる状況さえも歓迎できる客観性があれば、モノ作りを行う環境としては最強ですよね。

それで我々と手を組んでくれる会社を探し始めたところ、とてもありがたいことに、10社ぐらいがウチに興味を持ってくれたんです。

――10社の中からコロプラに決めた理由は?

志倉ウチはゲームだけの会社ではないので、価値を見出したり、分析したりするのが難しいと思います。いろいろな会社と交渉をさせていただく中で、コロプラが当社をより高く評価してくれました。それに、社長の馬場さん(馬場功淳氏。コロプラの創業者で同代表取締役社長)がユニークな方で、僕と波長が合うんですよ。

グループへの参画の話を進めるときは、どの会社も最初の打ち合わせに経営企画室やゲーム事業部の部長さんが参加して挨拶をするのですが、コロプラは最初から馬場さんと会食することになったんです。そこでお会いしてみて、馬場さんとなら楽しくモノ作りができるなと感じたんです。

――コロプラは最初から印象がよかったと。そこからコロプラの子会社になることは、トントン拍子で話が進んでいったのですか?

志倉拍子でいうと、トントントントントントン拍子ぐらいです(笑)。

――(笑)。交渉の期間でいうと?

志倉1トンが約1ヵ月になります。6トンなので、だいたい6ヵ月ぐらいです。

――半年でまとまるものなんですね。

志倉だいたい半年ぐらいで話はまとまるものですが、交渉途中で新型コロナウイルスが流行り始めたので……。

飲食業を中心に、自粛を余儀なくされる中で、当社の評価もリアルタイムに影響が出ていて、本当に冗談ではなく、コロナでダメになるのが先か、コロプラグループ入りが先かという状況でした。

もしコロプラとの交渉が決裂したときは、ほかを当たるのか、今後も独立してやっていくのか、本気で迷いもしましたが、ありがたいことに最後まで「いっしょにやりましょう」と言ってくれたんです。

『シュタゲ』や『アノニマス・コード』に関する新情報も!? 志倉千代丸氏に直撃インタビュー_03

パートナーの決め手はいい意味でバカかどうか

――先ほど、馬場さんをユニークな方だと表現していましたが、半年ほどのお付き合いの中で、馬場さんの印象は変わりましたか?

志倉馬場さんは相変わらず楽しい人ですよ。

楽しいというか、いい意味でバカなんです。

――それはどういう意味でしょう?

志倉いろいろな感覚がふつうではない人なんです。でも、僕にとっては、組む人がバカかどうかというのは、非常に大事なことなんです。

2013年にドワンゴの完全子会社になったときも、イメージ通りの会社で安心しました。なんてバカな会社なんだろうって。もちろん、いい意味でですよ。

でも、2014年にKADOKAWA・DWANGOが設立されて、角川グループのさまざまな影響を受ける中で、残念ながら、僕と合うバカな人たちが減っていったと感じました。

バカをやめるのは、僕にとっては死ぬのと同じことなので、ドワンゴからの独立を考えるひとつのきっかけにもなりました。

――ドワンゴから独立した背景には、そういった事情もあったのですね。

志倉あ、でも、KADOKAWAの角川会長(角川歴彦氏)は究極のバカだと思います。ある意味で、僕が目指すバカの理想形ですね。勝手に師匠だと思っています。

――角川会長のことを尊敬しているのですね。

志倉本当にすごい人なんですよ。たとえば、平日の夕方に突然電話がかかってくるんです。「これから成田(空港)に来れる?」って。いや、行けませんよ!

一同 (笑)。

志倉しかも重要な用事があるわけではなくて、おもしろいことを思いついたから、わざわざ直接話がしたくて連絡をくれるんです。この感覚は、ふつうではないじゃないですか。

角川グループにはまじめなサラリーマンの方が多いですが、角川会長がいる限り、バカな会社だと思っています。

――なるほど。

志倉大人になると、どうしてもマジメに考えてしまうので、かつてのドワンゴや馬場さんのように、大人になってもバカなことができるのは、じつはけっこうすごいことなんです。

メンタルが強いとか、経済的にはもちろんですが、心にも相当に余裕があるとか、そういった人でないとバカ話をする余地が作れないんですよ。僕としても究極のバカというか、クリエイターバカになりたいと考えているので、コロプラと同じグループになることで支えてもらいたいですし、逆に僕たちがコロプラを支えていきたいですね。

経済性と、大人による本気のバカを、いいバランスで保つ中で創成されるおもしろい作品を皆さんにお届けできたら最高ですね。

――コロプラの子会社になったことで、ほかにどんなメリットがあるとお考えですか?

志倉コロプラは業種の近い会社ではありますが、家庭用ゲーム中心のMAGES.とは違って、ウチにはいなかったタイプのスタッフがいたり、別の高いスキルを持っていたりと、改めて抱えている人材のおもしろさ、豊富さがすごいなと実感しました。

少しずつではありますが、コロプラの雰囲気もわかってきたので、お互いの強みをうまくクロスさせていいモノを作りたいですね。

――スマホ市場に強いコロプラグループに参画することで、MAGES.のスマホ事業を強化できるのも大きな利点だと思いますが。

志倉もちろん利点だと思いますが、スマホ事業への進出を狙って、コロプラのようにスマホ事業に強いパートナーを探していたわけではありません。

僕は映画を観た後、みんなで感想を言い合う時間が好きなんです。ゲームでも同じようにプレイしてもらった後に熱く語り合ってもらえるような、そんな作品の在りかたをつねに目指しています。新しいストーリー、新しいキャラクター、新しい作品を通じ、プレイしてくれた人どうし、その感想や考察がはかどる。そんな風にユーザーどうしで意見を交換してもらえる作品なら、プラットフォームは何でもいいと考えています。

とはいえ、ゲーム、映像、音楽、飲食などの事業がある中で、ウチがスマホに弱いのは事実です。ただ、これもいろいろとチャレンジした結果として、アドベンチャーゲーム自体がスマホの課金スタイルにマッチしなかったので、そこに注力すべきではないと判断した結果ではありますが。

――早くから参画して価格帯の設定もされていましたが、きびしかったわけですね。

志倉それにアドベンチャーゲームを作るなら、アニメとの親和性を大事にしたいですし、そもそも原作がゲームであることにこだわっているわけでもないので、アニメやノベル、ドラマCDなどで感触を探りながら、後にゲームを作ったっていいんです。ゲームにしてもアニメにしても、基本的には同じ世界観や設定、キャラクターをもとに作れますから。

コロプラはスマホ、とくに位置情報系のタイトルに強いですが、僕らのスタンスというか、大袈裟に言えば使命は、やはりオリジナルな原作をつぎつぎと生み出すことだと思っています。

せっかくメディアを問わずチャレンジできる環境があるので、そこは貫いていきたいし、コロプラグループとしても、僕らに期待してくれているのはその部分だと思っています。グループに入った途端に同じようなことを始めてもしかたがないですからね。

――なるほど。志倉さんが、今後コロプラとやってみたいことはありますか?

志倉現在開発している『アノニマス・コード』をリリースした後になりますが、科学アドベンチャーシリーズで『スーパーロボット大戦』や『アベンジャーズ』のようなゲームを作りたいですね。

科学アドベンチャーシリーズの登場人物たちが一堂に会して、オリジナルのストーリーを展開したり、作品の垣根を超えた掛け合いを楽しんでもらったりできるような。まぁシリーズの主人公たちの中でヒーローになれるような強いキャラはいないんですけどね(笑)。

これまで応援してきてくれたファンのために、科学アドベンチャーシリーズの世界観を一歩進めるような仕掛けはそろそろ何かで形にしたいですね。シリーズを通じて彼らが戦ってきたものとはいったい何なのか? その輪郭や姿をこういう形で表現していくことは考えていたりします。

――それは夢が広がりますね。

志倉めちゃくちゃ課金しないと、ステージをクリアーできない昭和の難易度にしてね。あ、冗談です(苦笑)。

ただ僕はひねくれているので、課金ができるにしても、「まさかとは思うが、いま課金しようと考えてないか? 貴様は正気か?」みたいな、とても現実的なことをキャラクターに言わせちゃうかも知れません……。これだからダメなんですよね。やっぱり向いてないわ(笑)。

――いわゆる、課金したら負けってやつですね。

志倉そうです、そうです。まぁ、わざわざ作らなくても、ダル(橋田至。『シュタゲ』の登場人物)やフラウ(神代フラウ。『ロボティクス・ノーツ』の登場人物)なら逆に(フラウの口調で)「デュフフ、全力で課金するべき。って言うかしろ」とか、(ダルの口調で)「さすがのお金持ちは、さすがなんだお~そこにしびれる憧れる〜」って言いそうですが(笑)。

――(笑)。逆に、コロプラからMAGES.に提案されたことはありますか?

志倉いまのところはとくにありませんが、個人的には“何か”いっしょに作品ができたらとは思っています。ゲーム事業に関しては、引き続き年10本程度のリリースを目標として複数のラインを動かしているところです。

『シュタゲ』や『アノニマス・コード』に関する新情報も!? 志倉千代丸氏に直撃インタビュー_01

『アノニマス・コード』の新情報が続々と明らかに!?

――今後のMAGES.の方針を教えてください。ゲーム事業は年10本が目標とのことですが、制作ライン数も増やしているのですか?

志倉ラインの数は増やしていませんが、外注で協力してくれるスタッフの数は増えています。去年の前期は2本しか出せなかったものの、多いときは移植版を合わせて年に20本近く出していました。そのときと社員の数は変わらないので、いまのままでも年10本は実現できる数だと考えています。

それに10本出すことができれば、そのうちの何本かに興味を持ってくれた方たちと委員会を作ってアニメ化できるかもしれませんし、出版社と組んでマンガや小説を展開できるかもしれません。

――ゲーム事業と言えば、『アノニマス・コード』の進捗も気になりますが……。

志倉発売をお待たせして申し訳ありません。もちろん、『アノニマス・コード』の開発も進めていて、少しずつ形になってきています。ただ本作は、もともと3年前にリリースしているはずでしたが、発売日が延びたことで、当時おもしろいと思って入れたネタが古くなってしまったり、科学やガジェットが日々目まぐるしく進歩する中でネタを修正したりしています。

また、科学アドベンチャーシリーズは、物語に直接的なつながりはないものの、全体としての世界観は地続きになっているので、他作品と整合性を取らなければいけません。この確認作業にも時間がかかっています。

『アノニマス・コード』公式サイト

――確かに、ネタを確認するのに時間がかかりそうですね……。

志倉そうなんですよ。これをお話すると、まずは『アノニマス・コード』を完成させろと言われると思いますが、じつはつぎの作品の構想も頭の中にはあるんです。

取り上げるネタを精査するとき、「このネタは次作のために取っておこう」ということまでやっているので、正直、時間がいくらあっても足りなくて……。今年で50歳になりましたが、科学アドベンチャーシリーズを作り続けているうちに、死ぬんじゃないかと思っています(苦笑)。

――でも、それぐらい壮大なシリーズになっていますよね。

志倉そうですね。科学アドベンチャーシリーズを都市伝説のようなものだと考えている方がいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。リアリティーな背景、もしくはある程度予測されている未来の出来事をもとに、それぞれ作品を手掛けています。

『シュタゲ』では科学アドベンチャーシリーズを代表して世界線変動率を示しましたし、『オカルティック・ナイン』では人間の死を科学的に描いています。科学アドベンチャーシリーズの世界観で、いちばん遠い未来を描く『アノニマス・コード』では、個々の作品の問題がある程度解決している中で、個々の作品の問題から世界規模の問題に発展した、ある意味で集大成とも言えるネタも考えています。

現時点で詳しいことはお話できないのですが、年内には発表会を実施して、改めて『アノニマス・コード』の進捗や、発売する時期などをお伝えしたいと考えているので、ぜひご期待ください。

――発表会を実施予定なんですね。とはいえせっかくの機会なので、『アノニマス・コード』の新情報をこの場で教えてもらうことはできませんか?

志倉そうですね……。主人公のポロンは、ゲームのようにセーブ&ロードの能力が使えるというのは既出情報ですが、当然プレイヤーもセーブ&ロードを行えます。ただ、プレイヤーがこれらの機能を使うと、「誰かがいまセーブ&ロードをしたな?」ってポロンが気づくようなシーンもあります。

なぜなら、ポロンとプレイヤーのセーブデータは共有されるので、ポロンの身に覚えがないデータ=プレイヤーが残したデータということで、ポロンが怪しむんです。でも、プレイヤーが何者なのかまではわからないので、ポロンはプレイヤーのことをずっとハッカーだと勘違いしてストーリーが進んでいきます。

――なるほど! おもしろい設定ですね。

志倉ポロンとプレイヤーのセーブデータを共有することで新たなフラグも考えられます。

――どんなフラグを考えているのですか?

志倉たとえば、あるシーンの直前でポロンがセーブするのを忘れていたとき、プレイヤーがセーブをしていないと、そのシーンに戻れないので、ポロンが困ってしまいます。

――プレイヤーがセーブをしていれば、そのデータをポロンがロードして、やり直せるというわけですね。おもしろいフラグですが、セーブをしないプレイヤーもいるのでは?

志倉もちろんその可能性はあるので、こちらとしては絶対にセーブをするような状況やトリックを用意しておく必要があります。

セーブする状況をしっかりとお膳立てすることで、逆にあえてセーブをしない人が出てくることも考えられますが、僕のようにひねくれたプレイヤーに向けて、ネタを仕込むこともできます。これだけ忠告したのに、セーブをしなかったんだから、見てろよって(笑)。

――そう言われると、かえっていろいろ試してみたくなりますね(笑)。

志倉ちなみに、シナリオが分岐するフラグは、セーブ&ロードのほかにも用意していますよ。そのひとつが、“マンガトリガー”です。

―― そのシステムも詳しく教えてください。

志倉『アノニマス・コード』もアニメ化を前提に開発していて、シナリオに動きの激しいアクションシーンを多く取り入れていますが、ト書き(セリフ以外の文章のこと)だけでは想像してもらうのに限界があります。そこで、激しいシーンはマンガ風の演出で見せることにしました。

そのマンガの中に出てくるフキダシやコマを選ぶことで、物語が分岐したり、セリフがちょっとだけ変わったりします。これがマンガトリガーになります。キャラクターデザインを担当する中田さん(中田春彌氏)はマンガ家ということもあって、僕がやりたいマンガトリガーの表現とうまくマッチしているのもうれしいですね。

――手応えを感じているのですね。

志倉あとは、オープニングにも注目してもらいたいですね。『ロボティクス・ノーツ』では、メタ的に世界線を表示しましたが、『アノニマス・コード』もメタ的に世界線を描くのか、それとも登場人物たちが見える状態で世界線を描くのか。細かいところまでネタを仕込みながら開発を進めています。

『シュタゲ』10周年を記念したプロジェクトもファン必見!

――ゲーム事業以外の今後の方針もお聞きしたいです。映像・音楽事業はどうですか?

志倉どちらも当社にとって大切な事業なのですが、とくに音楽は重要なファクターのひとつです。

僕らが作っているゲームは、音楽ゲームではありませんが、作品と音楽との一体感をとても大事にしています。歌の向こう側に作品の世界や登場キャラクターが見えるからこそ、感動が深まるじゃないですか。作品のための音楽という意味では、今後も究極系を目指していきたいと考えています。

――番組制作事業はいかがでしょう?

志倉番組制作事業はいまがチャンスだと思います。ここ数年、広告費がテレビ業界からインターネット業界に流れている中で、コロナの影響などもありYouTuberになる有名人も増えました。

以前、100チャンネル時代が来ると言われていましたが、いまや100チャンネルどころではないですよね。そんな状況の中で、ユーザーが番組に参加できる双方向のコンテンツ製作に慣れている当社だからこそ、ビジネスチャンスはあると思います。トラブルに対処する力もありますし、番組を放送するたびに数万単位の貴重なデータも取れていますから。

一方、店舗事業はまだまだきびしい状況が続きそうです。こちらは状況を見ながら今後の方針を考えていきたいと思います。

――昨年から、『シュタゲ』10周年を記念した10のプロジェクトも展開中です。まだ明かされていない企画に関して、どのようなことを実施する予定なのか教えてください。

STEINS;GATE 10th Anniversary

志倉こちらも新型コロナの影響で遅れておりますが、10周年イヤーのタイミングで、すべて発表だけでもできるように調整しています。

この記事が載るころには発表されていると思いますが、『シュタゲ』のアニメ・コミック無料公開と、発表会の実施がプロジェクトの7と8になります。

7は公開時期や配信媒体を調整しているところなのですが、期間限定で『シュタゲ』のアニメとコミックを無料公開します。再放送版の第23話(再放送で公開された、β世界線へと分岐する改変版。第23話のシナリオが『シュタゲ ゼロ』につながる内容に改変された)や、劇場版も公開できるかどうかも調整中です。

8は先ほども少し紹介しましたが、年内に大きな発表会を実施予定です。『シュタゲ』だけではなく、『アノニマス・コード』の新情報のほか、MAGES.の今後の取り組みなども発表予定です。

さらに発表会で9の企画も公開します。ものすごい爆弾を仕込んでいますので、ご期待ください。

――それは楽しみですね。ハリウッドの有名スタジオ、Skydance Televisionによる、『シュタゲ』実写化企画の進捗もお聞きしたいです。

志倉こちらも新型コロナの影響で遅れていますが、発表会のタイミングで、何かしらの新情報をお届けできるように調整しています。

――なるほど。いずれにせよ、発表会は目が離せないイベントになりそうですね。10のプロジェクトとは別に、『シュタゲ』関連でやってみたいことはありますか?

志倉シュタゲ エリート』に続く、フルアニアドベンチャーシリーズの新作を早く出したいです。

じつは僕自身、『シュタゲ』で検索して、いろいろチェックしているのですが、最近YouTubeで、『シュタゲ』を知らない人向けにオススメのコンテンツを紹介する動画を見たんです。動画では、「テレビアニメ版がいちばん手軽だけど、トゥルーエンドしかない。すべてのエンディングが見たい人は、『シュタゲ エリート』がオススメ」だと紹介してくれていました。「アニメを観るような感覚でプレイできるし、エンディングがすべて楽しめる」と。

そういう選択をしてくれる人もいるんだなと、いい発見になりました。ただ、この方は本当に細かいところまで見てくれていて、「『シュタゲ エリート』は、原作版よりもト書きが減っている」という指摘もありまして。あ、バレてるって(苦笑)。

――(笑)。でも、ト書きをカットしているのはちゃんとした理由があるんですよね?

志倉もちろん理由はあって、『シュタゲ エリート』はアニメで見せているので、ト書きで説明しなくてもいい箇所があって、テンポよくプレイできるようにカットしています。

いずれにせよ、フルアニアドベンチャーにも需要があることが改めてわかりましたし、『シュタゲ』は知っているけど、『シュタゲ ゼロ』は知らないという方はけっこう多いので、『シュタゲ ゼロ エリート』は出したいです。そもそも『シュタゲ』は、両方プレイしていないとダメですから。

『アノニマス・コード』には、『シュタゲ ゼロ』のネタも出てくるので、まだクリアーしていない方は、発売するまでの期間にぜひプレイしておいてください。

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――『シュタゲ ゼロ』もアニメ化されているので、こちらを観るのもいいかもしれません。

志倉あと、前からやりたいやりたいと言っていますが、『エヴァ エリート』(『新世紀エヴァンゲリオン』)は出したいです。ほかにも、『まどマギ エリート』(『魔法少女まどか☆マギカ』)や『君の名は。 エリート』も作ってみたい。とくに『君の名は。』は、めちゃくちゃ分岐に向いた作品なんですよ……って、勝手に妄想しているだけなんですが(笑)。

――どんどん夢が広がりますね(笑)。

志倉フルアニアドベンチャーというフォーマット自体はとてもおもしろいと思っているので、ファンの方たちに少しでも楽しんでもらえるように、今後もいろいろな情報を出していきたいと思っています。ぜひファミ通をチェックしてもらえると。なんなら、発売の半年前から連載をやりませんか?

――いいですね! ぜひやりたいです。

志倉でも、また発売延期になるとたいへんですよね……。延期しないようにがんばりますので、引き続き、応援をおねがいします!

『シュタゲ』や『アノニマス・コード』に関する新情報も!? 志倉千代丸氏に直撃インタビュー_02