2020年7月14日、505 Gamesとコジマプロダクションより、小島秀夫監督による『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』のPC版が、SteamとEpic Gamesにて配信される。

 本作は“デス・ストランディング”と呼ばれる現象によって人々や都市が分断された近未来のアメリカを舞台に、プレイヤーは伝説の配達人ことサム・ポーター・ブリッジズとなり、都市へ支援物資を運び、人々をつなぎながら西海岸を目指す異色の作品。2019年11月8日にはプレイステーション4版が発売され、そのゲーム内容やストーリーなどが高く評価され、多くのプレイヤーを魅了した。

 本記事では、PC版の特徴についてレビューしていくが、基本的なゲーム内容はプレイステーション4版と同じ。ファミ通.comではゲーム部分についてはすでにレビュー記事を掲載しているので、ゲーム内容についてはそちらをチェックしてほしい。なお、筆者はプレイステーション4版をクリアー済み。プレイはSteam版のクローズドサーバーにて行った。

『デス・ストランディング』PC版レビュー。超美麗なグラフィックで、サムの遠く長い配達が再び。限定の『ハーフライフ』特典アイテムもアリ_01

超美麗になったアメリカの大地

 PC版最大の特徴といえば、やはり制限のないグラフィックスオプションだろう。プレイヤーの使用するグラフィックカードなどの性能に左右される部分ではあるが、プレイステーション4版よりも美麗になっている。と言ってももともと、本作のグラフィックはかなり綺麗だ。筆者はプレイステーション4版を、プレイステーション4 Proでプレイしていたこともあり、漠然と「おお綺麗になってる!」って思った程度。

 ただ、その中でとくに違いが感じられたのが、サムの髪の毛。プレイステーション4版の髪の毛はある程度ジャギーを感じたが、PC版ではパサつきがなく、滑らかなサラサラヘアー。そしてシャワーを浴びるサムの背中がより綺麗でたくましく、そして大きく見えた……のはグラフィックというより、筆者が本編をクリアー済みだからだろうか。

 グラフィックもさることながら、フレームレートの上限が大幅に上がり、ハイフレームレートの220FPSなども出せるようになった。いやもう、サムがメチャクチャに、メッッチャクチャに滑らかに動くのである。アメリカの大地を見回すだけでも、プレイフィールの違いに驚くはず。いわゆるヌルヌルな動きで遊びたい人にはたまらないハズだ。

 さらにPC版では、ウルトラワイドモニターにも対応している。左右に視界が広がるので、臨場感バツグンの風景を味わえるほか、ゲーム的には左右に視界が広がるおかげで、ルート探索や落とし物の発見、敵の察知(おもにBT)などがやりやすかった。カットシーンまでウルトラワイドに対応しているので、これまでの印象とは違うカットシーンも楽しめる。

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フォトモードももちろん搭載

 2020月4月1日のアップデートにより、プレイステーション4版にも搭載されたフォトモード。本来はPC版の機能だったが、ファンの熱い要望によりプレイステーション4版にも搭載されたものだ。

 基本機能はそのままに、PC版ならではの高繊細なグラフィックのまま写真を作れるのがポイント。サムのポーズや表情、カメラのカラーや被写界深度などを変えて、自分だけのユニークな写真を撮影してみよう。

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マウス&キーボード操作について

 もちろん各種ゲームパッドに対応している本作だが、PCゲームということでマウス&キーボードで遊ぶという人もいるだろう。一通り触って感じたのは“しっかりとPCゲーム用のキー配置にチューンされている”ということ。

 家庭用から移植されたタイトルは、マウス&キーボードがネックになることも少なくないのだが、本作はどの操作もバッチリ。移動は基本的なWASD操作で、Eで各種インタラクト、スペースキーでジャンプや、Tabキーでメニュー画面、Escキーでポーズ画面などなど、基本的なPCゲームと同じ配置。もちろんキーバインドも可能だ。たとえば何気ない操作だが、右クリックでメニュー表示のキャンセルなど、そういった細かい配慮にも行き届いている。

 プレイステーション4版でプレイヤーがもっとも使ったであろう、バランスをとったり武器などを構える、大事な大事なL2&R2ボタン。これはマウスの左クリックと右クリックに配置されている。コントローラをギュっと握る感じが、サムが荷物をギュッと握りしめる姿とシンクロしているのが特徴だったが、マウスの場合はマウスを握りしめるという感じ。

 方向キーでおこなっていた装備のショートカットは1、2、3、4キーに割り振られており、UIにキーアイコンは表示されているものの、十字の直感的なショートカットではないので、そこだけはほんの少し慣れが必要だろう。

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ハーフライフコラボミッション

 PC版ならではの要素として、Valveの『Half-Life(ハーフライフ)』シリーズとのコラボアイテムが登場している。『ハーフライフ』コラボアイテムは、帽子や眼鏡、車輛の塗装など、『ハーフライフ』にちなんだものとなっている。

 筆者が体験できたのは、とあるひとつのミッション。プライベートルームに呼び出されると、“λ(ラムダ)”マークが入ったメールが突然入り、『Half-Life(ハーフライフ)』コラボミッションがスタート。なお、配送端末から受けるのものではないので、メールの文章からミッションを達成する必要があった。

 指定の場所へ行ってみると、『ハーフライフ』シリーズと世界観を共有している『Portal(ポータル)』シリーズでおなじみの、コンパニオンキューブが落とし物として登場! 最高にキュートな落とし物を届けることで、『ハーフライフ』シリーズの主人公こと、ゴードン・フリーマンの眼鏡が貰えた。うーん、バールを持ちたくなる。

 “λ”といえば、『ハーフライフ』ではおなじみのマークだ。λのメールはぜひ注目しておこう。ちなみに、フィールドに設置できる看板にも、λ柄の看板がある。こちらはゲーム開始時から使用可能だ。

 なお、『ハーフライフ』だからといって、Valveが運営するSteam版限定の要素ではなく、Epic Games版にも登場するとのこと。

ちなみにアプデで遊びやすくなっています

 あとは基本的に『デス・ストランディング』のすばらしい体験が、そのままに楽しめる。まだプレイしたことがない人かつ、ゲーミングPCを持っている人は、PC版一択。プレイステーション4版を1度プレイしている人は、「もっと綺麗な画面で遊んでみたい!」、または「もう1度サムの旅を味わいたい!」と思っているのならば買いだろう。クリアー済みの人が特典アイテムのために遊ぶ、というほどの違いはあまりないので、そこまで無理する必要はないかも。

 なお、筆者はプレイステーション4版を発売直後くらいにクリアーしたので、その後はフォトモードくらいにしか触れていなかったのだが、今回イチからサムと旅をしてみたところ、荷物を届けた際のシーンをボタン操作(マウスの場合はクリック)でスキップできるようになっていたり、BT遭遇シーンをオプションでオフにできるなど、細かい部分で遊びやすくなっていることに驚いた。

 もちろんPC版ではそれらのアップデートもすべて含まれている。PC版で、快適かつ高繊細な配達ライフが送ってみてはいかがだろうか。

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