シリーズ最新作『アサシン クリード ヴァルハラ』先行プレイレビュー

 ユービーアイソフトのオープンワールドRPG 『アサシン クリード ヴァルハラ』を先行してプレイする機会を得たので、そこで判明した本作の詳細をお届けする。なお、プレイしたのは英語版の開発中ビルドで、製品版とは仕様が異なる可能性がある点にご留意いただきたい。

 本作は、全世界を魅了し続ける人気シリーズ『アサシン クリード』最新作。その舞台となるのは9世紀の中世ヨーロッパ暗黒時代で、プレイヤーはヴァイキングのリーダー“エイヴォル”のサーガをたどりながら永住の地を求め、仲間とともに豊かな土地が広がるイングランドを目指すことになる。

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主人公エイヴォルの性別は男女、好きなほうを選べる。

ヴァイキング流の戦いを爽快感抜群の操作性で楽しむ!

 本作の戦闘は、ガードや回避で敵の攻撃を凌ぎつつ、弱攻撃と強攻撃を織り交ぜながらダメージを与えていくというダイナミックな攻防が特徴。エイヴォルは弓と近接武器を装備し、状況に応じてそれらを切り換えながら立ち回っていく。また、敵を攻撃するとアビリティゲージが溜まっていき、それを消費することで弓または近接攻撃に対応したアビリティをくり出せる。アビリティは習得したものの中からあらかじめボタンにセットすることで使用でき、強化も可能だ。

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今回は、近接武器としてフレイル、片手斧、盾、両手斧、槍を使ってプレイした。本作では二刀流も可能で、片手斧や盾を両手に装備することもできた。
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右手、左手の武器、遠隔武器、防具5部位に装備可能。矢は撃つたびに消費する。
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画面左下の各ゲージは上から、スタミナ、体力、アビリティゲージだ。スタミナは敵の攻撃をガードする、回避行動を取る、強攻撃をくり出すことで減少していく。スタミナが枯渇すると、敵の強力な攻撃をかわせなくなるため、スタミナ管理はかなり重要!

 基本的には、前作『アサシン クリード オデッセイ』の戦闘システムをかなり踏襲しており、アクション性が強く、切った張ったの大立ち回りがつねに楽しめる。シリーズお馴染みの鳥(本作ではカラス)を使った上空からの偵察も健在だ。ではどういった部分が違っているのか、今回のプレイで発見できた前作との大きな違いを紹介する。

 ひとつ目は回復システム。前作は非戦闘時に自動的に体力が回復する代わりに戦闘中の回復手段がアビリティのみとややシビアな面があった。本作では、それが一新され、戦闘の有無に関係なく、マップ上に自生している薬草や果物を採取することですぐさま体力が回復できるようになった。しかも体力ゲージが満タンの場合は、回復量の余剰分がポーチにストックされ、自分の好きなタイミングで回復が可能。

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画面左下にあるハートのマークが回復ストック。今回のプレイでは最大8ストックまで蓄積可能だった。薬草や果物はマップのいたるところにあり、襲撃時の戦場にもかなり生えていた。
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敵が転倒もしくは膝をついているときに近づくと踏みつけなどの強力なダウン攻撃がくり出せる。

 3つ目はレベルシステムの廃止。『オリジンズ』や『オデッセイ』ではレベルが上昇し、それに応じて獲得できる武器の性能や、出現する敵の強さが変化するという要素があった。RPG好きにはうれしいシステムだったが、レベリングの必要性と探索の制限といった問題もあり、この要素を受け入れられないプレイヤーも少なからずいた。本作ではキャラクターと武器のレベルシステムが撤廃され、代わりに冒険の中で獲得したスキルポイントを使ってキャラクターを強化するシステムが採用されている。

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スキルの画面は星座を模した盤面になっていて、自分のプレイスタイルに合ったものを習得できる。

 4つ目は暗殺システム。『オデッセイ』ではレベルシステムによって敵が自分と同じぐらいの強さに調整されていたため、暗殺技では殺し切れずに通常戦闘に発展してしまうケースが多かった。本作では、レベルシステムの廃止によって暗殺が成功しやすくなり、シリーズの代名詞とも言えるステルスプレイがやりやすくなった。また格上の相手を暗殺する際は、タイミングよくボタンを押すことでダメージが上昇し、暗殺の成功率が高まる特殊なゲージが追加されている。

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これが新しく追加された対格上用の暗殺ゲージ。白いマーカーが赤い部分に重なったタイミングでボタンを押すと大ダメージを与えられる。

ヴァイキングらしい大迫力の襲撃戦で、物資や富をごっそり略奪

 本作を特徴づけるもっとも大きなシステムのひとつが、“襲撃”システム。これは仲間とともに真正面から敵と戦う大規模な戦闘要素で、『オデッセイ』の征服戦争に似ているが、大きな違いは戦いが段階的に進んでいく点だ。強襲・襲撃は、ロングシップ(海岸を襲撃する際に用いたヴァイキング船)に乗って敵の砦に攻め入る→エリアの敵を掃討しながら破城槌で扉を突破して進む→敵のリーダーを倒して砦を制圧する、という流れで進んでいくため、敵の領地をじわじわ支配していく感覚が楽しめる。

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今回のプレイでは、物語の序盤で登場する襲撃を体験した。
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火薬の詰まったツボや吊るしてある荷物を利用して敵を一掃することも可能。
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ボスを含め、ネームドの敵が多数登場する。かなり手ごわく、ゴリ押し戦法は通用しにくい。回避やガードのアクションが攻略の鍵といえる。

選択肢が持つ意味がより強くなったストーリー

 ストーリーでは、会話の中でさまざまな選択肢が表示され、選択次第ではのちの展開に大きな変化が生まれる。それは単なるストーリーの分岐ではなく、野蛮人や略奪者というヴァイキングのイメージを覆す展開へとつながっていくことも(実際にヴァイキングには外交や交易に長ける一面もあったようだ)。そのため、これまでのシリーズ以上に選択肢を選ぶ意味が強くなっており、ストーリーへの没入度が高くなっている。

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強襲・襲撃戦で戦ったボスを生かすか殺すかという選択肢。“殺す”を選んだ場合はボスの首を跳ねて終わりだが、“生かす”を選んだ場合は、ヴァイキングの習わしにそぐわないその行為に仲間が驚くとともに、「そういう生きかたもある」という意識が芽生える展開が見られた。

 またヴァイキングは、友情や仲間意識といったものを重要視しており、単独行動の多かった歴代のシリーズとは異なるストーリーが展開されていく点も新鮮味があって興味深い。

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世界観やヴァイキングの雰囲気が満喫できる充実のアクティビティ

 今回のプレイでは、メインストーリーや強襲・襲撃戦に加え、さまざまなアクティビティを体験することができた。

ワールドボス

 ワールド内のさまざまなロケーションに潜んでいる特殊な力を有する強敵。個々の討伐報酬としてスキルポイントがもらえるほか、その地域のワールドボスをすべて倒すことで豪華な報酬が得られる。今回対峙したのは炎の力を持つ“Regan”と、雷の力を持つ“Cordelia”の2体。いずれも体力が少なくなるとド派手な攻撃をくり出し、通常の敵では味わえない緊張感と熱いバトルが楽しめた。ちなみに、ReganとCordeliaは3姉妹のうちのふたり(リア王がモチーフ?)とのことで、もうひとりのワールドボスもいるようだ。

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Reganは攻撃時に炎の幻影が追撃を仕掛けてくる。本体だけではなく、幻影もしっかりかわさなければならない。
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Cordeliaは周囲に無数の落雷を引き起こす。落雷地点には赤色の予兆範囲が表示されるので、足元を注視しながら立ち回るようにした。

伝説の獣

 各地に生息している巨大な獣で、ワールドボスほどではないが、こちらもかなり手ごわい相手だ。討伐すればクエストアイテムとスキルポイントが得られる。クエストアイテムの使い道は不明だが、武器やアイテムのクラフトに必要なのかも?

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今回戦ったのは“Black Shuck”というオオカミ。ほかにもさまざまな動物がいるとのこと。

口論詩(フライティング)

 相手を罵るヴァイキングの伝統競技で、現代のラップバトルに近い。相手の侮辱の言葉を聞いたうえで、それにあった返答を選ぶ戦いがくり広げられる。

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選択肢は3つ。うまく韻を踏んだ言葉を選ぶことが重要。時間制限があるため、深く悩んでいる時間はないぞ。

酒飲み対決

 タイミングよくボタンを押して酒を飲み、先に3杯の酒を飲み切ったほうが勝ちというミニゲームのようなバトル。2杯目、3杯目と進むにつれてボタンを押す感覚が早まっていく。シンプルながら意外と難しい。

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石積みパズル

 形の異なる石を積み上げて石のタワーを作るというアクティビティ。物理法則が忠実にシミュレートされており、石を置く順番や積むときの角度が重要。

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シンクロ

 高所にあるビューポイントでシンクロを行うとその場所のファストトラベルが解放され、広大なオープンワールドの移動が楽になる。もちろんイーグルダイブも健在!

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より幅広い層のプレイヤーが楽しめるようになった新しい形の『アサシン クリード』!

 レベルシステムを廃止したことで作業感の強かったレベリングから解放されると同時に『アサシン クリード』らしい暗殺ステルスプレイの魅力も高まった。シビアさを生んでいた回復要素にも変更が加わり、好きなタイミングで回復できる仕様に。これにより、アクションが苦手なプレイヤーでも取っ付きやすくなり、より幅広い層のプレイヤーが楽しめるものになったと感じた。

 さらに直感的な操作性で歯ごたえのあるバトルが楽しめる戦闘システムを踏襲しつつ、スキルシステムを強化したことで、プレイヤーの腕前がキャラクターの能力に直結するようになった。「『オデッセイ』の戦闘システムじゃ物足りない!」という熟練プレイヤーも納得の骨太アクションを体感できるようになったのはうれしいかぎりだ。

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 また強大な力を持つワールドボスや伝説の獣との手に汗握るバトル、ヴァイキングらしさ溢れる迫力の襲撃、彼らの文化を知れるアクティビティなど、コンテンツが充実していて、やり込みを重視するプレイヤーにとっても十二分に楽しめる作品に仕上がっていると感じた。