2020年6月25日午前2時(日本時間)、マーベルのアメコミヒーローたちが活躍するスクウェア・エニックスのアクションアドベンチャーゲーム、『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』(9月4日発売予定)の最新情報が“Marvel's Avengers War Table”というオンライン配信番組として公開された。その内容は既報の通りだが、配信後、開発会社Crystal Dynamicsの主要スタッフへの合同インタビューに参加できたので、本稿ではその内容をお届けする。なお、インタビューに参加してくれたクリエイターは下の4人だ。

Scot Amos

スタジオヘッド

Shaun Escayg

クリエイティブ・ディレクター

Vince Napoli

コンバット・ディレクター

Phil Therien

ウォーゾーン・ディレクター

――9月4日の発売が迫り、今回、さまざまな情報も公開され、盛り上がってきた『Marvel’s Avengers(アベンジャーズ)』ですが、配信後にはゲームファンやマーベルファンからさまざまな反応があったと思います。手応えはいかがですか?

Scot 開発側としてもこのゲームのことを語りたくて仕方がなかったので、“Marvel's Avengers War Table”は待ちに待ったチャンスでした。今回の配信で本作のスケールの大きさについてご理解いただけたようで、皆さんに驚きを提供できたことはうれしかったです。

――ウォーゾーンのトレーラーでは最後にハルクバスターも登場していました。あのハルクバスターはプレイアブルなキャラクターとして登場するのでしょうか? それとも、コスチュームのひとつ?

Scot ハルクバスターはコスチュームではありません。トニー・スターク(アイアンマン)の武器のようなものと捉えてください。いまのところそれしかお伝えできないのですが、今後詳細を明らかにしていきたいと思いますのでお待ちください。

『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』配信番組“War Table”に登場したハルクバスターや協力プレイについて開発者に直撃!_01
映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』などにも登場する、アイアンマンのアーマーのひとつ。暴走時のハルクに対抗するために開発された。
※画像はトレーラーをキャプチャしたものです。

――本作のメインキャラクターになるカマラ(カマラ・カーン=ミズ・マーベル)について、改めて彼女の魅力について教えてください。

『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』配信番組“War Table”に登場したハルクバスターや協力プレイについて開発者に直撃!_02
コミックやアニメなどを見ていない方にはあまりなじみがないであろう、カマラが本作のメインキャラクター。アベンジャーズのファンである彼女だが、ヒーローたちの苦悩に巻き込まれることにもなりそうだ。
※画像はトレーラーをキャプチャしたものです。

Scotカマラはアベンジャーズが大好きで、自分でファンフィクションを作ってしまうほどの熱狂的な女の子です。そうした彼女のアベンジャーズファンの心が自分と重なる部分があり、親しみが持てますね。また、バトルでも彼女の戦いかたは非常にユニークです。身体のパーツが伸びたり、縮んだり。彼女自身が大きくなったりもするので、肉弾戦も遠距離戦も可能です。プレイヤーの方々には絶対に楽しんでもらえるキャラクターだと思います。

Shaun私は初めて彼女がゲームの中で動くのを見たときに驚愕し、こんなにおもしろいキャラクターで遊べるのかとうれしく思いました。物語で言えば、カマラがアベンジャーズの仲間になろうとして苦悩する部分はとても魅力的です。なにより彼女はメインキャラクターなので、彼女を通して自分(プレイヤー)がアベンジャーズの仲間になる、ということを体験できる点もすばらしいと思います。また、カマラは本作において希望を象徴するキャラクターでもあるんです。特殊な能力を持たなかった彼女が、A-Dayでの事件がキッカケで特殊な能力を開花させていく。つまり、「誰しもがヒーローになれる」ことの象徴として存在する点もとても好きです。

Philアベンジャーズの本当の姿や、これからアベンジャーズが何をしなければならないかといったことなど、彼女を通していっしょに体験できる点はすばらしいと思います。アベンジャーズの面々はA-Dayの事件後、責任を感じてふさぎ込んでいたのですが、そんな彼らに対してカマラが「あなたはすばらしいヒーローなんだ」と力説するシーンがあります。それは鳥肌が立つほどいいシーンだと思っているので、期待してください。

Vince私はコンバット・ディレクターを担当していることもあり、カマラの背景をどうやって戦闘シーンに反映させるかという点には気を配りました。彼女はもともとスーパーヒーローだったわけではないので、戦闘がうまいわけではありません。ただ、アベンジャーズのメンバーといっしょにいることで、彼らから学んだ動きをカマラなりの技にしていくんです。たとえば、ブラック・ウィドウの動きを真似たであろう技がある……といった具合です。このように彼女の背景をバトルに落とし込んだ部分にも注目してほしいですね。

ウォーゾーン・ミッションのAIキャラはカスタマイズ可能

――最大4人による協力プレイが楽しめるウォーゾーン・ミッションは、AIキャラクターとチームを組むことも可能とのことですが、他のゲームなどでは、AIキャラクターはプレイヤー操作より大きく劣る場合もあります。本作ではその点に関して何か工夫などは?

Vinceウォーゾーン・ミッションに挑むチームにAIキャラクターが入る場合、自分が育てたキャラクターをそのままAIキャラクターとして登場させることができます。ですので、全体攻撃のスキルを付ければ、AIキャラクターも全体攻撃技を使うようになります。また、AIキャラクターのコスチュームについても、自分が設定しているもののままになります。

――ウォーゾーン・ミッションで重要になりそうな、チーム技について詳しく教えてください。

Philチーム技は、仲間ふたりでくり出すタッグ技になります。これらはゲームを進めたり、レベルを上げて覚えるものではありません。チーム技を放つ条件になるのは敵の“スタンメーター”が満タンになることで、敵のタイプによって発生する技や、特定の仲間どうしが近くにいると発生する技があります。固有のヒーローアビリティでも仲間に効果を波及できますが、チーム技はまた別のものになります。

『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』配信番組“War Table”に登場したハルクバスターや協力プレイについて開発者に直撃!_03
※画像はトレーラーをキャプチャしたものです。

――ウォーゾーン・ミッションのチーム編成やギアの設定はシステム側で自動的にやってもらうことも可能でしょうか? また、同じキャラクターは選べるのでしょうか?

Philチーム編成やギアの設定を自動的に行うシステムは用意されていません。ただし、ミッションに合わないスキルだと思ったら、自由に変更できるようになっていますので、ベストな形を模索してほしいですね。また、ひとつのミッションに同じキャラクターで出撃できるかどうかの質問ですが、マーベルのキャラクターは世界にひとりですので、同時に存在することはできません。

――ウォーゾーン・ミッションではレベルの違いなど強さの違いなどがあると思うのですが、それでも楽しめますか?

Vinceウォーゾーン・ミッションは、レベル固定のものと、レベルが自由に設定できるものが存在します。ビギナーであれば、低いレベルのミッションに挑戦するのがいいでしょうし、もっと経験値が欲しい、あるいはいいギアが欲しいということであれば、高いレベルのミッションに挑戦するといいでしょう。なお、参加するキャラクターのレベルに差がある場合は、参加するプレイヤーの平均のレベルになるような設定も可能です。レベルが高い人は、自分がまだ育てきっていないキャラクターを使って遊ぶといいかもしれませんね。

――ウォーゾーン・ミッションの開発時に苦労したことはありますか?

Philレベルの異なるキャラクターが同じフィールドの中で戦う作品ですから、その部分の調整には苦労しました。また、マーベルのキャラクターだからこそ、それぞれのヒーローたちの個性が埋もれないように、際立つようにという部分では気を配りました。アベンジャーズと言えば、ヒーローがそれぞれ強い個性を持っているので、たとえばアイアンマンであれば、飛びながら遠隔攻撃をしつつ、地上でハルクが縦横無尽に敵を倒す……というようなシーンが想像できると思います。ですが、アイアンマンであっても地上で戦ったり、好きなスタイルでプレイできます。しかし、地上戦だからといってアイアンマンの個性が埋もれることなく、その部分はしっかり練り込みました。さらに、敵の強さから得られる“戦い応え”のような部分も調整しています。

――みんながバラバラで戦う、といったようなことにはならないのですか?

Philフィールドの別々の場所で戦うということもできなくはないのですが、ウォーゾーン。ミッションはチームプレイが重要にもなるので、開発として推奨するのは近くでいっしょに戦うこと。これがミッションをクリアーするための秘訣にもなります。

――ウォーゾーン・ミッションは他機種版のプレイヤーといっしょにプレイすることはできるのでしょうか?

Scotいわゆるクロスプレイと呼ばれる、他機種間でのプレイには対応していません(※編集部注:海外では、プレイステーション5、Xbox Series X向けにも『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』がリリースされることが発表され(⇒こちら)、クロスジェネレーションと呼ばれる、同じプラットフォームの世代間……たとえば、PS4とPS5のプレイヤー、Xbox OneとXbox Series Xのプレイヤー間ではいっしょに遊ぶことが可能とのこと。また、プレイステーション4版、Xbox One版の購入者はそれぞれ次世代機版へとアップグレードできるという。日本での対応は現時点で未発表)。

――コスチュームがデフォルトで10種類以上あるということでしたが、今後のアップデートで追加もありますよね?

Scotゲームを遊べばすぐに手に入るコスチュームは存在しますし、マーケットストアで手に入れるようなものも用意しています。また、シングルのストーリーをクリアーすることで手に入るコスチュームもあります。発売後もアップデートをくり返し、新ヒーローや新しい敵、新たなエリアなど、さまざまなコンテンツを追加していく予定なのですが、そういったアップデートごとに新しいコスチュームが追加されることを期待していただければと思います。マーベルの80年の歴史の中から、皆さんがお気に召すようなコスチュームを追加していければと思っています。

『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』配信番組“War Table”に登場したハルクバスターや協力プレイについて開発者に直撃!_04
各キャラクターの基本的な個性は踏襲しながらも、クリエイターによってさまざまな設定が作られるのがアメコミの特徴のひとつ。ゆえに、コスチュームデザインの種類もキャラクターごとに膨大な数にのぼる。その中で、どんなものが登場するのか!?
※画像はトレーラーをキャプチャしたものです。

――発売が約2ヵ月後に迫りましたが、現在はどんな作業を?

Scotゲーム自体は完成していますので、そのブラッシュアップを全力で行っているところです。具体的には、ギアの入手の難度をプレイしながら調整したり、といった具合です。たくさんのプレイヤーに長く本作を楽しんでほしいので、ここの調整は手を抜くことなく続けていきます。また、予約した方を対象としたβテストを計画していますし、その後はオープンβも行う予定です。発売前に触れたいという方は、ぜひそちらを楽しみにしてください。

――本作は今後のマーベルユニバースにどんな未来をもたらしますか?

Scotマーベルは80年の歴史を持つ中で、ゲームという側面から展開できることを光栄に思っています。マーベルキャラクターやアベンジャーズは、もはやライフスタイルのひとつになっていると思います。ハロウィンになれば、マーベルキャラクターのコスチュームを着たりしますしね。そんなアベンジャーズのストーリーをマーベルといっしょに展開できることを我々もワクワクしますし、ぜひ期待していてください。