CD PROJEKT REDが開発を手掛けるオープンワールドRPG『サイバーパンク2077』。ナイトシティと呼ばれる巨大都市を舞台に、謎のインプラントをめぐる主人公V(ヴィー)の物語と成長を描く本作。

 2020年11月19日の発売(※)を前に、本誌ではゲーム冒頭のプロローグ部分に限定したプレビュービルドを体験する機会を得たので、CD PROJEKT REDが公開したゲーム概要と合わせて、その模様をリポートする。

 今回プレイしたプレビュービルドは開発中のものであり、一部機能を制限しているなど、製品版とは異なる点を了承いただきたい。また、記事中の画像は海外版のデモプレイ映像のものも含まれる。

※本作はプレイステーション4、Xbox One、PC向けに、2020年11月19日発売予定(PS4 パッケージ版はスパイク・チュンソフトより発売)。後方互換により、プレイステーション5、Xbox Series Xでもプレイ可能で、プレイステーション4版、Xbox One版を所有していれば、将来的に予定されているプレイステーション5版、Xbox Series X版を追加購入なしでプレイできる。

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ナイトシティへようこそ

ストーリー

 “サイバーパンク”とは、企業による過剰な監視網の外で生きるアウトローのこと。プレイヤーはそんなサイバーパンクのひとり、V(ヴィー)となり、ナイトシティで名をあげるべく、相棒のジャッキー・ウェルズとともにさまざまな仕事を引き受ける。

 やがて不老不死の鍵を握るインプラント〈Relic〉を追うことになるV。そのインプラントには、この世界の誰もが知る人物“ジョニー・シルヴァーハンド”の人格がデジタルゴーストとして宿っていた。

 Vがライバルに打ち勝ってナイトシティの伝説となるためには、己の肉体を強化し、その代償を払う覚悟が必要だ。『サイバーパンク2077』の物語は、プレイヤーがこの街に足を踏み入れ、名をあげるために何が必要なのかを学ぶところから始まる。野心はあれど駆け出しの傭兵であるプレイヤーは、ナイトシティで誰もが知る大物になるべく、物語を通して自分自身を成長させていくことになる。

『サイバーパンク2077』先行体験レビュー。「俺はナイトシティで生きる」――プロローグにさえ、没入度MAXのゲーム体験が詰まっている_01

世界観

 『サイバーパンク2077』は、原作であるTRPG『サイバーパンク2.0.2.0.』と、大まかな歴史的背景を共有している。しかしながら本作で描かれるのは、さらに独自の要素や設定を加えた世界。

 権力、ルックス、絶え間ない身体改造に取り憑かれた2077年の世界で、ナイトシティほどそれを象徴するものはない。絶望的なまでに貧しい人々が超富裕層のすぐそばに住居を構え、街を支配する超巨大企業の監視の目と、ストリートに蔓延る危険なギャングたちのあいだで板挟みになっている。

●4つのスタイル
 未来を創造するためには、過去を知る必要がある。2077年の世界を具現化するにあたり、独自のアイデンティティを持つ4つのスタイルを通して、激動の進化を遂げた都市の歴史を表現する。本作のアートは常にこれらのスタイルを念頭において表現されており、街を探索するにつれ、建築からテクノロジー、衣服からキャラクターに至るまで、随所でその影響を目にすることになるだろう。

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キャラクター育成

ステータスと成長要素

 『サイバーパンク2077』では、主人公Vを成長させるための要素の自由度が非常に高い。能力値を基本とし、それに付随するスキルやパークが存在。また、ライフパスと呼ばれる主人公の出自が、物語の展開やナイトシティでの立ち回りかたに影響する。これらの組み合わせにより、あらゆるプレイスタイルを追求することが可能になっている。

能力値

キャラクター成長の基本は、次の5つのステータスとなる。

●肉体
物理的な力(体力、スタミナ、集弾性、肉弾戦におけるダメージに影響)

●反応
敏捷さ(クリティカル率、攻撃速度、敵の攻撃をかわす能力に影響)

●知力
知性や記憶力(ハッキングの難易度、プログラムのアップロード時間、メモリ容量に影響)

●技術
技術的な適正(防御力、クラフトに必要な素材の収集力に影響)

●意志
自制心や精神力(ステルス能力、クリティカル時のダメージ、耐性に影響)

成長要素

●レベル
経験値によって上昇するVのレベル。経験値はおもにクエストをクリアすることで取得する。レベルアップすると、能力値ポイントとパークポイントを獲得する。

●クレド
フィクサーの依頼や賞金首の撃破、その他オープンワールドにおけるプレイヤーの行動によって変動するプレイヤーの評判。クレドの値によって利用できる店の種類や依頼される仕事が増え、より高品質なアイテムや報酬にアクセスできるようになる。

●スキル
プレイヤーが特定のアクションを行うと、それに応じたスキルの習熟度がアップしていく。たとえば銃で敵を倒すと、ガンスリンガーのスキルがアップする。習熟度を高めていくことで、各アクションをより効果的に行えるようになる。

●パーク
各スキルには、アクションやパッシブボーナスを解除できるパークツリーが複数存在し、レベルアップ時に取得するパークポイントを使って、自分の好きなパークを獲得できる。

●アイテムと装備品(武器防具・サイバーウェア)
レベルが上がり、行動範囲が広がるにつれ、より多くの服装や武器、サイバーウェアに出会うことになる。これらはVにさまざまな恩恵を与えてくれるが、とくにサイバーウェアはプレイヤーのアクションを増やす重要な要素。

●非固定性のクラスシステム
本作には厳格なクラスの概念は存在しない。プレイヤーは上記の要素を自分の好きに成長させることで、自分のプレイスタイルにあったVを作り上げることが可能なのだ。

ライフパス

 Vには3つのライフパス、すなわち出自を設定できる。選択したライフパスによって、Vがいかにして『サイバーパンク2077』の物語を歩むようになったのかを、異なる地位や視点から体験する。この影響がもっとも大きいのはゲーム冒頭の導入部分だが、ゲーム全体を通して、ライフパスによるさまざまな変化を感じ取ることができる。たとえば、会話では各ライフパス専用の選択肢が出現することがある。

●ストリートキッド
ナイトシティの住民として育ち、ストリートでも一目置かれている。コネも豊富で、コンクリートジャングルでの生き方を心得ている。そんな出自なだけあって、野心にはこと欠かない。人生を乗りこなすのは大変だが、どうせ乗るなら派手に乗り回してやろうじゃないか。

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●ノーマッド
ノーマッドは基本的にファミリーとともに生活するが、君は一匹狼としてナイトシティ郊外のバッドランズにやってきた。道を外れたノーマッドの目には、ナイトシティという大都会は、さぞや魅力的に映ることだろう。

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●コーポレート
君は人生の成功者だ。アラサカ社のエージェントとして、軍用レベルのサイバーウェアを惜しみもなく装着し、一流の生活を送っている。多大なるストレスとプレッシャーを抱えながらも、凡人がブレインダンスを通じてしか経験できない日々を謳歌しているのだ。そんな人生において、失敗など起こりえるだろうか?

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プレイレビュー:この世界だからこそのキャラクリの幅の広さ

 ついに、ナイトシティに降り立つときが来たのだ。巨大ビル群とスラム、ハイテクとローテク、無機物と有機物、すべてが渾然一体となり、秩序と混沌、欲望と絶望、エロもグロも内包した世界観。これこれ! 好きな人はとことん好きなこの世界観にどっぷりと浸れることこそが『サイバーパンク2077』の最大の魅力。

 今回のプレビュービルドではゲームのプロローグのみがプレイ可能だったが(それでも4時間ほどかかる)、物語やアート以外の、たとえば何気なく聞こえてくる住人の会話や、壁のポスターなどのナイトシティの一面を見るだけで、一人称視点の効果も相まってか非常に没入感を得られる。この、引き込まれ度合いがすごい……というか、もはや「ありがとう」と感謝したほど。

 そんなナイトシティでこれから成りあがっていくわけだから、Vのキャラクタークリエイトにもこだわりたい。顔の細部や肌の色、タトゥーなんかはほかのゲームでもよく見るが、本作では歯や虹彩、乳首のオンオフなども可能。さらに驚いたのは、男性の外見で女性の声(もちろんその逆も)を選べる点だ。この場合、Vは選んだ声のほうの性別として、ゲーム内の他キャラクターに認識される。なお、あくまでVは20代の若者なのでたとえば、おじいちゃんの見た目にはできない。また、本作では性器のサイズまで選べると話題になっているが、国内家庭用ゲーム機版では実装されない。

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一人称視点なので、自分の姿は鏡で見るか、ステータス画面くらいでしか確認できない。……が、フォトモードが実装されるようなので、映(ば)えたスナップも撮影できるだろう。

ナイトシティの各地区

 前述のように選択したライフパスに応じて、ゲーム開始時の状況は変化する。各ライフパスの冒頭に登場するキャラクターは、ほかのライフパスでは登場しない場合も多く、また冒頭にプレイするエリアも異なる。ライフパスに応じた3つの地区を中心に、ナイトシティについて紹介しよう。

ナイトシティの地区

 本作のマップは、ワトソン、ウエストブルック、サントドミンゴ、パシフィカ、ヘイウッド、シティ・センターという6つの地区と、バッドランズと呼ばれる周辺地域に分けられる。住民や建築物のスタイル、人口密度から危険度まで、地区ごとに特色は異なる。序盤に登場する地区はつぎの3つ。

●ヘイウッド
(ストリートキッド選択時のスタート地点)
地元ギャング、ヴァレンティーノズの息がかかったクラブやバーが立ち並び、壁という壁が独自のスタイルのグラフィティで埋め尽くされている。決して安全ではないが、野心溢れる若者にとっては魅力的な場所だ。ストリートキッドのライフパスでは、ヘイウッド内の一区域であるヴィスタ・デル・レイの裏社会構造を垣間見ることができる。

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●バッドランズ
(ノーマッド選択時のスタート地点)
ナイトシティ郊外の荒野。極度の公害で荒れ果てた不毛の大地で、ここと比べたらナイトシティの市内がオアシスにすら思えてくるほどだ。だが、一部の人間にとってはチャンスに溢れた場所でもある。

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●シティ・センター
(コーポレート選択時のスタート地点)
企業のテリトリー。高層ビルが織り成す巨大な壁は、まるで要塞のよう。逆にビルからはナイトシティを一望でき、コーポレートのライフパスでは、そんな一流の世界をほんの少しだけ体験できるだろう。ただし、それもつかの間……。

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 ほかの地域についても紹介。

●ワトソン
ナイトシティの中心地となるはずだったが、街にアラサカ社がやってきたとき、この地区は植民地さながらにむしり取られてしまった。今日では、ナイトシティでも比較的治安の悪い地区として知られており、数少ない工場で日銭を稼ぐ低収入労働者が集まる。ライフパス導入部以降のプロローグは、ここワトソンが舞台となる。

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●ウエストブルック
ラスベガスと新宿歌舞伎町を足して2で割ったような場所、それがウエストブルック。とくに活気があるのはジャパンタウンで、毎日、大金が湯水のように使われている。

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●サントドミンゴ
メガビルディングとは、さながらブラジルの貧民街、ファヴェーラを縦に繋げたようなもの。それが何棟も立ち並ぶサントドミンゴには、何千何万もの小さなアパートがひしめき合っている。ほかに目にするのは発電所や工場、それにゴミでまみれた庭とストリートくらいだ。

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●パシフィカ
一大リゾート観光地として整備が始まったパシフィカだが、投資がストップしてからというもの、その抜け殻だけが残ってしまった。この地区はナイトシティでももっとも謎めいたギャングのひとつ“ヴードゥー・ボーイズ”の根城でもある。

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プレイレビュー:新たな発見に満ち溢れた街歩き

 ライフパスはノーマッドを選択した。郊外のバッドランズから物語は始まり、コネも金もない一匹狼が小さな仕事をこなす。クルマでバッドランズを飛ばしていると、遠くに見えるナイトシティに徐々に近づいていくにつれ、夢が膨らんでいく。その冒頭の仕事の過程で、ナイトシティでの相棒となるジャッキーに出会うのだが、ライフパスによってその出会いかたも異なる。ちなみにノーマッドの場合、最初からいきなり銃撃戦という手荒い歓迎があり、アウトローの仕事がどんなものか身をもって教えられた。あと、この世界では極めて希少なイグアナを撫でられる機会があるのはノーマッドだけ(かも)なので、爬虫類好きはぜひ。

 ナイトシティに到着すると、今回のプレビュービルドではワトソン地区の一部をプレイできた。入り組んだ街並みや、日本語、中国語で書かれたネオンサイン、怪しげな食料を売る屋台など、皆が思い浮かべるサイバーパンク感が満載。ショップの品揃えを見て回ったり、住人をスキャンして賞金首狩りをしたり(クレド=評判が稼げる)と、好きなことをして過ごせる。移動したければ自分のクルマを呼び出してもいいし、そのへんのクルマを強奪してもいい(もちろん、ファストトラベルもある)。ワトソン地区だけでひとつの街ほどの大きさがあるので、ナイトシティ全体で見ると、とんでもない広さになりそうだ。

 そこらにあるポスターや落書きなどが、しっかり文字を読み取ることができることにも驚き。また、街中のデジタルディスプレイに表示される広告はすべてゲーム内広告制作チームによって手掛けられており、サイバーパンクというジャンルのお約束でもある“過剰な消費至上主義”が表現されている。こういったディテールが、ナイトシティというディストピアにより深みを与える材料として存在しているのだ。

 ちなみに、街ブラ中に謎の酒を飲んだら攻撃精度がアップして、移動速度がダウンした。

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登場キャラクター

 ここでは、序盤に登場するおもな登場人物を紹介する。

●ジャッキー・ウェルズ
経験豊富なソロで、家族を第一に考えている。ヘイウッド出身で、元ヴァレンティーノズ。ジャッキーとの出会いや、仲良くなった経緯はライフパスによって異なる。コーポのVにとってジャッキーはもともと友達で、信頼できるビジネスパートナーでもある。ストリートキッドのVとジャッキーの出会いは必ずしも友好的とは言えないが、その後意気投合する。ノーマッドの場合は仕事仲間として出会うが、アラサカとのカーチェイスを経て仲良くなる。どのパスでジャッキーと出会っても、どうしてVがジャッキーに惹かれるのかすぐに理解できるようになるだろう。

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●T-バグ
Vとチームを組む腕利きネットランナー。彼女とは最初のクエストが完了すると出会うことになる。T-バグの目的は、ナイトシティを離れて平和な暮らしを送るための資金稼ぎのようだ。

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●デクスター・デショーン
通称“デクス”。アフターライフに集う傭兵連中にとって、デクスは伝説的なフィクサーのひとり。Vのチームを雇って大規模な強奪計画を実行に移そうとしている。彼が狙っているのはアラサカの試作型テック〈Relic〉だ。

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●エヴリン・パーカー
デクスに〈Relic〉強奪を依頼した謎の女性で、Vたちに強奪に必要な情報を提供してくれる。その中には、〈Relic〉が隠されているヨリノブ・アラサカのペントハウス内部を収録したブレインダンスが含まれていた。彼女がナイトシティの大物たちとつながりが深いのは確かだが、その目的は謎に包まれている。

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●ジュディ・アルヴァレス
ギャング「モックス」に所属するエヴリンの知人。ブレインダンスのエキスパートで、解析の際にVに力を貸してくれる。エヴリンの頼みは断れないようだ。強奪計画への関与には明らかに気乗りしていない。

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●ロイス
ギャング“メイルストローム”の新リーダー。予測不可能で超危険なサイコパス。デクスはメイルストロームに取引を持ち掛けたが、その取引が成立した後にロイスがリーダーに成り代わった。ロイスは取引条件をそのまま受け入れるだろうか?

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●ヨリノブ・アラサカ
巨大企業アラサカのCEOであるサブロウ・アラサカの息子。アラサカはナイトシティを実質的に支配している。父に反旗を翻してアラサカを離れたこともあったが、アラサカ帝国の後継者となるべく席を戻している。彼の目的や、彼がなぜ父親の研究所から〈Relic〉を運び出したのかは不明。その間隙を突くのが、Vたちによる強奪計画の肝だ。

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ギャングと企業

 ナイトシティで起こる日常的な暴力沙汰の多くが、ギャング間または企業間の小競り合いによるもの。ナイトシティを支配するのは企業だが、混沌をもたらすのはギャングだ。どういった勢力が存在するのか、理解を深めておこう。

ギャング

 ナイトシティのギャングには、それぞれ異なる特徴がある。縄張りややり口も異なるため、不用意に相手にするのは危険だ。

●タイガークロウズ
タトゥーを入れ、カタナを振り回すタイガークロウズは、ジャパンタウンを縄張りとするギャング。歓楽街の奥でひっそりと運営されている違法キャバレーから、表面的には完全合法のサービスにいたるまで、彼らは過激な“お楽しみ”を求める人々から金を絞り取る方法を熟知している。逆らおうものなら、失うのは金だけでは済まない。

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●メイルストローム
こぞって機械化を図るメイルストロームのメンバーたちは、その代償はさておき、強力かつ違法性の高いサイバーウェアで極限まで身体を改造している。密輸、暗殺、強盗犯罪は彼らのビジネスの核であり得意分野だ。血のように赤く輝くサイバーアイをこの世で最後の思い出にしたくないのであれば、彼らのルールに従い敬意を持って接するのが賢明だろう。

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●モックス
モックスは、規模や縄張りこそほかのギャングに及ばないものの、強力なギャングの一派。水商売従事者、不良、アナーキストやマイノリティによって構成されており、ストリップクラブの伝説的オーナー、故・エリザベス・ボーデン、通称「リジー」に触発され、暴力や虐待からの自衛に努める。ただし誤解するなかれ、彼らは決して聖人などではない。彼らの言う“自衛”は、怪しげな取引や流血沙汰と切り離して語ることはできない。

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●ヴードゥー・ボーイズ
ナイトシティで、ヴードゥー・ボーイズほどネットの深部に繋がっている者はいないだろう。ハイチ文化と伝統に根ざしたこの凄腕ネットランナーたちは、デジタル領域に精通し、凡人には到達すらできないデータや情報をハック・利用している。パシフィカ地区を拠点に活動する彼らは、ブラックウォールの向こう側に到達したい場合には頼れる存在となるが、警戒心が強く、気を抜けない存在でもある。

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●シックス・ストリート
ナイトシティ警察の無能さに辟易し、地元コミュニティをギャングや企業から守る、善良な自警団として始まったのがシックス・ストリート。しかしその理念は今や過去のもの。サントドミンゴを牛耳る彼らは、ナイトシティのほかのチンピラたちと何ら変わりなく、利己的で独善的だ。

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●アニマルズ
ナイトシティ住民のほとんどが最先端のサイバーウェアと銃に頼るなか、アニマルズは生まれ持った自然の力、すなわち筋肉を最大化することにすべてを捧げている。ステロイドやサプリメント、積極的なトレーニングで己の肉体を強化し、“教訓”を必要とする人々への威嚇や恐喝に使用しているのだ。

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●ヴァレンティーノズ
名誉、正義、兄弟愛といった価値観が、ヴァレンティーノズの信条の核を成す。ヘイウッドのストリートはまさに彼らの天国。彼らが崇拝するサンタ・ムエルテに捧げる壁画や祭壇で色とりどりに飾られ、深夜のドラッグレースやストリートパーティの会場にもなっている。気のいい連中ではあるが、彼らの縄張りでトラブルを起こせば最後、コミュニティ全体からの手厚い洗礼が待っているだろう。

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巨大企業

 ナイトシティの支配者である巨大企業は、裏切りやパワープレー、軍事競争などといった、終わりなきサイクルの中で権力を奪い合っている。サイバーパンクとして活動する者にとって、企業は敵側にまわることが多い。ここでは、各企業の特徴を紹介していこう。

●アラサカ
アラサカ社は世界でもっとも影響力のある巨大企業のひとつで、企業向けのセキュリティサービスとエリート層向けの銀行業務を提供している。洗練された超ハイテク施設でナイトシティの支配者であることを誇示しながら、冷酷なエージェントや傭兵によって遂行される血なまぐさい“隠密活動”でも知られている。

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●ミリテク
世界有数の軍用兵器・車両・装備品メーカーであるミリテク社は、アラサカ社の最大のライバル。顧客の区別なくグローバルに事業を展開し、民間の軍事請負業者とのネットワークを通じて、防衛・平和維持・国民統制などのミッションを遂行している。

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●カン・タオ
企業間競争において、新規参入プレイヤーであると同時に、いまもっとも勢いのある企業でもある。銃器の製造で知られる中国の企業であり、とくに彼らの最新世代“スマートガン”は、ナイトシティでますます人気が高まっている。

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プレイレビュー:クセしかないヤバいやつらが物語を盛り上げる

 本作に登場するキャラクターたち、とくに物語に直接関わる人物は、とにかくクセモノ揃い。というよりクセしかない。相棒のジャッキーは気のいい兄ちゃんだが、態度が横柄でギャングにいきなり喧嘩腰だったりハラハラする。でも、傷つけたVのクルマを修理して返してくれたりもするので憎めない。

 T-バグとは(ここまで)直接会わず、チップを通しての会話のみだったが非常に頼もしいネットランナーで、チームの司令塔的存在。ある女性の救出に向かったときには、任務をスムーズに遂行するための指示を出してくれた。けっきょくステルスに失敗して敵に見つかってしまったが、その場合も閉まっていた窓をハックして開けてくれたりと、いろいろ手助けしてくれる。

 企業のアラサカや、その社長の息子のヨリノブといったように、本作には日系の企業や人物も多く登場。とくに序盤のワトソン地区は日系、中国系の住人も多く、街のあちこちに漢字やカタカナを見かける。街では日本語の会話が聞こえてくることもあるようだ(外国語音声選択時でも)。

 ヨリノブといえば、彼の部屋を探るクエストがあるのだが、その方法が本作ならでは。だいぶ要約すると、エヴリンのエロいハニトラに引っ掛かったヨリノブがまんまと彼女を部屋に招き入れたのだが、そのときにエヴリンが周囲の環境を記録したデータを洗い直して、特別なチップ(例のジョニーが宿るインプラントだ!)の隠し場所を探すというもの。エヴリンの主観・三人称視点から自由にそのときの映像を再生・巻き戻しすることができ、周囲の音声データや熱データも参照しながら知識や情報、手掛かりが得られる。じつに本作らしい演出だ。

 ちなみに、この手法はブレインダンス(BD)と呼ばれる、通常はエンターテイメントとして提供されている神経テクノロジー。有名人やインフルエンサーなどの記憶が人気を集めているそうだが、スリルや快楽を得るためのアブない方面でも使われている。バーチャルポルノってやつかな。とくに未編集のナマのBDは、感情や痛みが直に使用者に来るので危険極まりない。この手の、いかにもサイバーパンクな演出にワクワクが止まらない。

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▲ブレインダンス中の画面。音声や熱を感知すると上のシークバーに表示される。その場面から情報を探りあてるのだ。

クエスト紹介

 本作のプロローグをプレイすることで、ゲームプレイやストーリー、キャラクターへの導入だけでなく、ゲーム全体の雰囲気をつかめるだろう。プロローグでもハイライトとなるクエストのひとつが“回収”というクエストだ。

クエスト“回収”

背景:
 ナイトシティのサイバーパンク界隈で、メジャー入りを果たしたいジャッキーとV。ふたりは伝説的なフィクサーであるデクスター・デショーン、通称“デクス”にコンタクトする。彼から依頼される強奪計画を成功させれば、ふたりもまた伝説的な傭兵となれるのだ。

 だが、計画の実行にはいくつかの下準備が必要で、そのうちのひとつが蜘蛛型ボットの奪取である。そのミリテク製の軍用ボットは、同社のコンボイからメイルストロームによって盗まれていた。デクスはボットを購入するためにすでにメイルストロームに代金を支払っているが、その後にメイルストロームのリーダーが代替わりしたため、取引が反故にされる可能性が高い。

プレイレビュー:よくある“自分だけの物語”どころじゃない

 過去のトレーラーなどでおなじみ、デクスにいよいよご対面。ギャングのメイルストロームからブツを奪いにいくのだが、その前に、ブツを奪われたミリテクのエージェントに会うという(任意の)サイドクエストが発生。電話でアポを取るも、ちょいめんどうになり、放置して先にメイルストロームのアジトに向かった(エージェントからブチギレメールが来た)。これが、あとでとんでもない事態に……。

 向かった工場内で、メイルストロームのリーダー、ロイスとの交渉が始まった。デクスから代金が渡っているはずだが、リーダーを替わったばかりで、そんなの知らんとのこと。ははーん、こいつクズだな。やっちまうか、と思ったらキルするか無力化するかの選択肢が出現。ウッ……と躊躇したらタイム切れで、ロイスにいきなり撃たれて死亡。

 後からわかったが、事前にエージェントに会っていると、別の選択肢が選べた模様。金で解決したり、穏便な解決方法もあるようだ。けっきょくリスタートして、今度は躊躇せずキルすることに。そこからは、お決まりのドンパチだ。とりあえず部屋の手下たちを片付けて、工場からの脱出を図る。初期装備のハンドガンがはっきり言って弱いのだが、敵を倒すとけっこうな装備や回復薬をゲットできるので、その後の戦闘はそれほど苦労することはなかった。

 つねに一人称視点のゲームなので、ふだんFPSをプレイする人は問題なく戦闘をこなせると思う。僕はマウス+キーボード派なので、今回のコントローラーでの戦闘にはエイムやリコイルの調整などに少し慣れが必要だった。FPSを遊んだことがない人には若干難度が高いかもしれないが、オートエイム可能な武器もあるし武器のグレードアップや改造などである程度カバーできるだろう。ガチなFPSほどシビアではなく、ヘッドショットを一発くらうだけで死んだりはしない(敵も同じなので、やや固くは感じる)。

『サイバーパンク2077』先行体験レビュー。「俺はナイトシティで生きる」――プロローグにさえ、没入度MAXのゲーム体験が詰まっている_05

 ……と、このように会話の選択ひとつや、サイドクエストを行うかどうかによって結果がまるで変わる。その結果によって、その後の展開もさらに変化していくので、プレイヤーの数だけ物語があると言っても過言ではないだろう。この“回収”のクエストひとつを取っても、開発者が言うところの“ストーリーの非リニア性とゲームプレイの非リニア性との融合”が楽しめる。

 ロイスとのやりとりで、ほかの展開としてはおもに下記があった模様。

・エージェントから受け取ったウイルス入りのチップをロイスに渡す
・ロイスにウイルスについて警告する
・自分の金でボットを購入する

 まあ僕はエージェントに会わなかったので、どの選択もできなかったわけだが。ええんや、あんなクズは即射殺や、というスタンスのロールプレイで行こうと思う。とはいえ、ほかの結果も気になるよなあ……。エージェントやロイスからもっと情報が得られたりしたよなあ……。

装備とアイテム

 ナイトシティで名をあげるには、一流の装備品も欠かせない。この薄汚れた近未来の世界には、さまざまな武器やサイバーウェアが溢れている。自分のプレイスタイルにあった装備品を見つけよう。

 本作の銃は次の3つに分類される。

●パワー
火薬によって弾を射出する従来の武器。シンプルで信頼性が高く、安価なことが多い。

●スマート
推進機構を備えた弾を射出できるタイプの銃で、いわば超小型のミサイルランチャー。スマートリンクにより自動的に目標をロックオンするため、エイムの必要がない。弾自身に推進機構が備わっているため、銃身を長く取る必要がなく、放熱管理も容易。

●テック
銃身のまわりに磁石を配置し、電磁力を使って弾を高速で射出する携行兵器。防具や防壁を貫通する。テック弾の薬莢は三角柱で、銃身から射出されると焼失する。またホロサイトが標準装備されている。

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サイバーウェア

 Vはあらかじめいくつかスタンダードなインプラントを装備した状態でゲームを開始する。生体情報をHUD形式で画面に投影する眼球機器がその例だ。それ以外は、プレイヤーの好きにカスタマイズできる。本作の世界観において、サイバーウェアの存在は欠かすことができず、キャラクター育成においても重要な要素となるだろう。サイバーウェアの販売や調整を行うリパードクの店は頻繁に訪れるようにしよう。銃と同じようにサイバーウェアにも3つのカテゴリが存在する。

●アクティブ
一般的な武器と同様で、プレイヤーの行動によって使用できるタイプ。

●トリガー
特定の条件が満たされると起動するタイプ(例:HPが一定%以下になった場合)。

●パッシブ
常時効果が発動するタイプ。

 本作には多種多様なサイバーウェアが存在する。サイバーウェアはプレイスタイルを大きく変えるため、さまざまな組合せを試してみよう。サイバーウェアは、Vの肉体の各部位にあるスロットにインストールする。もちろん複数のウェアを同時に装備することも可能だ。

 サイバーウェアにはコモン、アンコモン、レア、エピック、レジェンダリーのレアリティが存在し、レアリティによって効果の度合いが変わる。全レアリティのバージョンが存在するウェアもあれば、特定のレアリティしか存在しないウェアもある。上位レアリティのウェアはインストールに多くのスロットを必要とする。また、一部のサイバーウェアはフラグメントと呼ばれる強化要素を追加でき、これによってカスタマイズの幅はさらに広がる。

 ナイトシティのリパードク診療所で手に入るサイバーウェアをいくつか紹介しよう。

●マンティスブレード(アクティブ)
腕スロットにインストールする折り畳み式の仕込み刃。フラグメントのインストールも可能な近接戦闘用のアップグレード。

●ゴリラアーム(アクティブ)
腕スロット用で、腕力を大幅に強化する。フラグメントでアップグレードできる。

●モノワイヤー(アクティブ)
腕スロットに装着すると、敵を簡単にスライスできる鞭状の単分子ワイヤーを射出できるようになる。フラグメントでアップグレードできる。

●マイクロローター(パッシブ)
神経系スロットにインストールし、移動速度と精度をアップさせる。

●反射神経チューナー(パッシブ)
神経系スロットにインストールし、HPが一定値を下回るとスローモーション効果を発動させる。

●人工肺(パッシブ)
人工的に生み出された肺組織、循環器スロットに装着するとスタミナの自動回復を得る。

●ケレズニコフ(トリガー)
神経系スロットに装着し、敵の攻撃をかわすとスローモーション効果が発動する。

●血液ポンプ(トリガー)
循環器スロットに装着するトリガータイプのサイバーウェア。回復力を強化する。

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サイバーデッキ

 サイバーデッキとは、さまざまなデーモン(プログラム)をインストールできるネットランナー用の機器のことで、それを使って敵にマルウェアをアップロードできる。デーモンの用途は偵察、陽動、障害物除去などさまざま。

 機器にインストールできるデーモンの数は決まっているため、サイバーデッキのカスタマイズは直接戦闘を好まないネットランナーとしてプレイする際に重要となる。いくつかデーモンを紹介しよう。

●回路ショート
対象のサイバーウェアを過負荷状態にし、回路をショートさせて電気ダメージを与える。

●強制自殺
サイバーサイコシスプログラムをアップロードし、対象を自分の武器で自殺させる。

●オプティクス再起動
対象の光学サイバーウェアを強制的に再起動させ、一時的に視界を奪う。

●SOS信号
仲間からのSOSを模倣した信号を出し、対象を移動させる。

●オーバーヒート
対象のサイバーウェアをオーバーヒートさせ、時間経過型の熱ダメージを与える。

●武器グリッチ
対象の武器を故障させ、その威力を損なわせるか、対象に武器を持ち替えさせる。

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ハッキング

 本作にはハッキングを行うことで有利に立てる場面が多数ある。ナイトシティには無数のサブネットが存在するが、それらにアクセスするにはハッキングミニゲームを突破しなければならない。

 ミニゲームでは、ハックしようとしているネットワークにプログラムをアップロードすることができる。ハックできるのは機器に接続されたネットワークだけでなく、敵部隊の指揮系統に侵入することも可能だ。アップロードするプログラムによって、ハッキングによる効果も変化。プログラムをアップロードするには、盤面に表示された文字列から、プログラムごとに異なるコード配列を正しい順番で入力する必要がある。

 選択できるコード配列の数は限られているため、一度に複数のプログラムをアップロードするには、配列をうまくチェインさせるプレイヤースキルも必要になる。

プレイレビュー:思いのまま過ぎるカスタマイズ要素がすごい

 自分の戦闘スタイルとしては、できるだけステルスキルを狙い、バレたらしゃーない、といった脳筋寄りタイプ。ステルス以外にも、ハッキングで弾を一発も撃たずに戦闘を回避することもできる。

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 ハッキングはかなり遠隔で敵を仕留めることも可能。たとえば、目の前にある監視カメラをハックし、そのカメラから別の電子機器(冷蔵庫とか扉とか)をさらにハック。そこから警報を出したりして敵を引き寄せ、敵をサイバーデッキで自殺させるなんて芸当もできる。ただ、僕はハッキングの際のミニゲームが少しわずらわしく感じたので、けっきょく武力行使した。そういう人のために、ミニゲームをオフにする設定の追加も検討しているとのことだ。

 武器やサイバーウェア、スキルの組み合わせ次第で、プレイスタイルは無限に広がる。ゴリラアームで近接もいけるネットランナーなんてイロモノも楽しいかもしれない。記事冒頭では能力値などを紹介したが、ここで成長・カスタマイズ要素について少し掘り下げたい。

 5つの能力値それぞれに複数のスキルカテゴリーが存在し、それぞれのスキルにつき2~3系統のパークツリーがある。たとえば、肉体の能力値にはストリートブロウラー(近接戦闘系)、アスレチック(移動系)、アナイアレーション(ショットガンやLMGなどの取り扱い系)のスキルがあり、それぞれのツリー内にある無数のパークを取得することが可能。そして知力を上げれば、サイバーデッキの記憶容量を増やせる。

 また、特定の武器を使い続けると、その武器のスキルがアップして強化される。武器や防具、サイバーウェアには改造スロットがあり、たとえば銃ならマズルやスコープなどのパーツを取り付けられる。

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 さらにサイバーウェアでは、光学迷彩やホロ迷彩(弾が当たりにくくなる)を備えたり、ブレードやロケランを腕に仕込んだり、HPやスタミナの増強など、多彩なカスタマイズが可能だ。

 どう? こだわり出したらキリがないほどのカスタマイズ要素! サイバーウェアはどれも高額で最初はなかなか手が出せないかも知れないが、どういうプレイスタイルを目指そうか考えるだけでワクワクしてしまう。

体験プレイを終えて

 今回の体験プレイは4時間ほどで、最初はたっぷり時間があるなと思ったが、実際に終えてみると本当にあっという間。プロローグ部分だけで3時間強あるのだが、まったく中だるみせず、VとVを取り巻く人物や環境、そしてナイトシティというものをプレイヤーに強く印象付ける内容だった。

 そんなグイグイ引き込まれる物語に加えて、キャラクターのカスタマイズ要素の自由度、マップの広さと細部のディテール、あらゆる解決策が存在するクエストなどにも驚愕したが、何といってもナイトシティで生きているという実感を得られる没入度の高さ。

 一人称視点のRPGということで、とっつきにくい印象がある人もいるかもしれないが、一人称での表現や演出にこだわり抜いた本作は、ナイトシティに自分が存在しているという特別な体験を必ずやもたらしてくれると、ゲーム開始4時間のプレイでそう確信した。くり返しになるが、本作の没入度は非常に高く、たとえばサイバーウェアを眼球に取り付けるシーンでは、歯医者嫌いの人はかなりイヤな感じを受けるかもしれない(僕がそうだ)。

 そんな特別な体験(?)も詰まった『サイバーパンク2077』。Vとして服を着て、Vとして銃を構え、Vとしてナイトシティで成り上がる。まるで作中の“ブレインダンス”のような、このゲームの続きをプレイできる日が待ち遠しい! ジョニー・シルヴァーハンドさん、「準備はいいぞ!」。

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