“バトルロイヤルゲーム”と聞いて、FPSやTPSを連想する人は多いだろう。『PUBG』がブームの火付け役となり、バトルロイヤルシューターは一大ジャンルに成長した。

 今回紹介する『シャドウアリーナ』はPC用バトルロイヤルゲームの新作だが、少し様相が異なる。プレイヤーキャラクターが使うのは銃ではなく剣や弓、そして魔法。そう、本作はファンタジーバトロワゲーなのだ。

剣と魔法のバトロワゲーム『シャドウアリーナ』の魅力に迫る。『黒い砂漠』の戦闘システムを活かした3Dアクションはテンポ抜群!_01

 開発・運営元はオンラインRPG『黒い砂漠』を手掛けるPearl Abyss。本作は『黒い砂漠』に実装されていたPvP(対人戦)コンテンツ“影の戦場”を独立させて、新規タイトルとして立ち上げたもの。システムは『黒い砂漠』がベースになっており、アクション性の高い近接戦闘特化型のバトルロイヤルを楽しめる。

 そんな『シャドウアリーナ』の最終クローズドβテストをプレイした感想とともに、本作の魅力に迫る。

手汗握る対人バトル! スキルの使いどころが勝敗をわける

 『シャドウアリーナ』では、『黒い砂漠』にNPCとして登場する9人のキャラクターからひとりを選択して、最大40人が集う戦いに参戦する。

 基本的なルールは一般的なバトロワゲームと同じで、徐々に行動範囲が狭まるエリアで、最後のひとりが生き残るまで戦うというもの。装備やキャラクターのスキル習得度などは、試合ごとにリセットされる仕組みだ。

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 戦闘は近接アクションがメインだ。キャラクターごとに用意されたスキルを撃ち合ってダメージを与えていく。なかなかテンポがよく、楽しくプレイできる。

 プレイヤーどうしの戦いでは、相手を転倒させたり、状態異常効果を付与させるなど、行動を阻害してから高威力の技で大ダメージを与えるのが基本。スキルはキャラクターごとに5種ずつと限られているので、それほど複雑さは感じないだろう。

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弓や魔法を扱うキャラクターもいるが、基本的には肉弾戦がメイン。一瞬の判断で勝敗が決するので、気を抜くと即倒されてしまうことも。
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スキルは一度使うとリキャストタイムが発生するので連発は不可能。MMORPGではおなじみのシステムが踏襲されている。

 プレイの感覚としては、MMORPGというより対戦格闘ゲームに近いように感じられた。

 先に仕掛けるか、それとも相手が使うスキルをさばいてから反撃に転じるのか。1戦ごとにヒリヒリした緊張感と駆け引きを味わえるので、ついつい何度もプレイしてしまう。

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ひとたびプレイヤーどうしがぶつかり合うと、瞬く間に勝敗が決する。長期戦になることもあるが、試合全体を通して見れば短めなので、テンポよく遊べるのもポイント。

 キャラクターごとに個性が異なる点も特徴だ。先述したように、最終クローズドβテストで選択できたキャラクターは9人。

 剣と盾を装備した攻守のバランスが取れたジョルダインや、巨大な大剣を扱うゴイェン、魔法が主体のヘラウェンなど、キャラクターごとに違ったスキル、戦闘スタイルが用意されている。自分のお気に入りのキャラクターも見つかるはずだ。

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対人戦以外にも、練習用のAI戦も用意されている。まずはここで各キャラクターの使い勝手を探るといいだろう。

 キャラクターごとに所持スキルが違うということで、一通りの特性を覚えるまでは苦戦を強いられがちだ。この辺は格闘ゲームにも通じるところがあり、筆者も各キャラのコンボをざっくりと把握するまでは、対プレイヤー戦では何もできずに倒されることが多かった。

 マッチング完了までの待機時間で制限なく決闘ができたり、倒された後にほかのプレイヤーの様子を観察できたりと、プレイヤースキル向上の場は用意されている。やる気さえあれば必要な情報を得るのは難しくない。

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倒されると影状態となり、戦場の様子を自由に観戦できる。ここで上級者の動きやスキルの使いかたを学ぶのが上達のコツ。

 『シャドウアリーナ』はキャラクター性能よりも実力が勝敗を左右するゲーム。だからこそ、優勝することは難しいのだが、そのぶん、うまくキルを重ねて上位に食い込むと気持ちがいい。

 勝つまでのハードルは高いものの、試合のテンポのよさも相まって、何度も遊びたくなる。そして、くり返しプレイするうちに自然とプレイヤースキルが上達していく。そんな絶妙なゲームバランスを目指して設計されているのだと思う。

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自分の実力が大きく反映されるからこそ、やり応えを感じられる。
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試合前にひとつアイテムを選択して持ち込んだり、キャラクターを使いこんで熟練度を高めてスキルを強化するなど、本作特有のシステムも搭載されている。試合に大きくは影響しないが、モチベーションを維持するうえでうれしい要素だ。

モンスターを倒して装備を強化していく育成システム

 戦場にはプレイヤーのほかに中立のモンスターも存在する。モンスターを倒すことで、より強力な装備やスキルを習得・強化できる“スキル秘伝書”を入手可能。

 ざっくり言えば、ほかのバトルロワゲームの“ファーム(アイテムを集めてキャラを強化すること。ファーミングとも)”にあたるのが、このモンスター戦というわけだ。

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モンスター自体はさほど強くない。通常攻撃の連打だけでも勝てるので、ほかのプレイヤーにジャマされない限りはサクサクとファームできる。

 装備のシステムに複雑さはなく、とにかくレアリティの高いものを獲得すればオーケー。着用中の装備よりも上位のレアリティの装備を手に入れたら、Gキーを押せば上位装備を自動で装着してくれる。

 装備を手に入れたらとにかくGキー。とことんシンプルなシステムなので、装備に悩むストレスはゼロ。これがテンポのよさにつながっていて、何度プレイしていても苦にならない。というか、ファームをしているだけで楽しく感じるほどだ。

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同じレアリティの装備を3つ重ねると上位の装備を生成できる。Gキーを押せばワンタッチで生成できるので、装備を拾って画面に表示が出たらGキーを押すだけでいい。とにかくシンプルで遊びやすい。

 キャラ強化のもうひとつの要素はスキル。スキル秘伝書を入手するとポイントが獲得でき、これをスキルの習得や強化に使用する形だ。Ctrlキー+1~4キーのワンタッチでスキルの習得・強化が行える。こちらもシンプルでわかりやすい。

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試合開始段階では、ひとつしかスキルを習得できない。まずはモンスターを倒してスキル秘伝書を入手し、対人戦での選択肢を増やすのがよさそう。
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スキル強化の方向性もプレイヤーの自由。最終クローズドβテストでは、同じキャラクターでもプレイヤーごとに戦法が違っていた。

 装備のレアリティによって攻撃力と防御力の差が大きく違うのも、おもしろい部分だ。対人戦が苦手な人でも、ほかのプレイヤーと戦わないように逃げながら装備を集めれば勝機が見えてくる。

 もちろん、腕に自信があるなら序盤からキルを狙い、倒した相手の装備を奪って自身を強化していくというプレイもできる。同レアリティを組み合わせて上位のレアリティの装備を生成する仕組みのおかげで、プレイヤーどうしの戦いがムダになりにくい。たとえ倒した相手が低レアリティの装備しか持っていなくても、最終的にはキャラクターの強化につながるのだ。

 実際、序盤からキルを重ねていった猛者プレイヤーが優勝する様子を何度も見ることができた。

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プレイヤーをキルすると、一定時間、HP回復や攻撃力アップなどのバフが得られる。対プレイヤー戦が単純な消耗戦にならず、必ず最終的に自身の強化につながるというのは、ほかのバトロワゲームと大きく違うポイントだ。
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試合開始から4分が経過するまでは、プレイヤーに倒されても復活できる。手に入れた装備をロストすることなく復活できるので、気兼ねなく戦いを挑めるのだ。

 ファームメインで強化していくもよし、対人戦メインで強化していくもよしと、いろいろな立ち回りかたで試合に挑めるので、くり返しプレイしていても飽きずに楽しめるのも、本作の魅力のひとつだろう。

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装備の差があるとダメージにも大きな差が生じる。プレイヤースキルがあれば装備差を覆せることもあるが、上位のレアリティを装備したプレイヤーが有利なのは間違いないので、ファームを続けていれば上位に食い込むチャンスが広がる。

 また、ゲーム開始から一定時間が経過すると“影の君主”という巨大なモンスターが出現する。倒すと一定時間、強力なバフを獲得できるため、基本的にはほかのプレイヤーとの奪い合いだ。

 出現地点はランダムで、出現するとマップに表示されるので、我こそはというプレイヤーが続々と集結。カオスな空間が生まれる。

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 ひたすら影の君主に突撃するプレイヤーもいれば、近くの草陰から漁夫の利を狙うプレイヤーもいる。静かなフィールドから一転、一気にお祭り会場と化すので、ドラマが起きやすく、様子を伺いに行くだけでもワクワクが止まらない。

 出現地点が離れているときは参加しづらいが、毎回のように試合展開が変わるのがおもしろい。こういったゲーム中でのイベントが、いい具合にスパイスとなるのだ。

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影の君主は非常に手強い。雑魚モンスターと違って耐久力も高いので、倒し切るまでにほかのプレイヤーが続々と集まってくる。自然と激戦区になり、多数のプレイヤーが入り乱れたお祭りバトルが楽しめる。

チーム戦では味方との連携が勝敗を分ける!

 本作には、自分以外が全員敵という個人戦に加えてチーム戦も用意されている。筆者も知り合いに声をかけてふたりひと組のチーム戦に参加してみたところ、個人戦とは違った楽しみがあると感じた。

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チーム戦では各々がファームしてキャラクターを強化する。
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手に入れた装備をドロップして、味方に渡すことも可能。使用キャラクターに合わせて装備を交換するのもありかもしれない。

 チーム戦では個人戦以上に行動阻害のスキルが重要。より緊迫したバトルが楽しめるのが特徴だ。一度、敵に転倒させられると、そのまま連続攻撃を受けて倒されてしまうこともしばしばあった。コンビネーションを磨くまではまったく勝てないかもしれない。それくらい、チーム戦はシビアだと感じられた。

 そのぶん、勝利できたときの快感は格別。「最初に転倒させる」、「囮になるからその隙に後ろから攻撃して」といったように、味方とのコミュニケーションがうまくいくと、めちゃくちゃ気持ちいい。勝てるようになるまではなかなか苦戦したが、仲間と話し合い、いろいろと試行錯誤を重ねて戦術を練るのはなかなかに楽しかった。

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倒された味方を復活させる要素も存在する。敵が待ち伏せていることが多いので、復活させるタイミングがカギとなる。

テンポのいいファンタジーバトロワ

 何度か書いたように、本作の魅力は“テンポ”にあると思う。1戦にかかる時間が20分弱と短めなので、気兼ねなく何度もプレイできる。フィールドも広すぎず、試合展開がスピーディーなので、ついつい時間を忘れて遊んでしまったほどだ。

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 ゲームシステム自体はシンプルで取っつきやすく、気軽に遊べるが、いざプレイヤーとの戦いとなると非常にやり込みがいがある。

 『黒い砂漠』がベースになっているものの、MMORPGのような複雑さは感じない。遊んでいるうちに自然と「こうすればいいのかな」と感覚を掴めていくだろう。

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 ただ、最終クローズドβテストでは、常時ではないが、ごくまれにラグを感じることがあったのが気になった。一瞬の動きが勝敗を分けるゲームなので、正式サービス時は修正を期待したいところ。

 『シャドウアリーナ』は、5月21日からSteamにてアーリーアクセスが開始される予定。基本無料でプレイできるので、興味がある人は剣と魔法の戦場を体験してみよう。