皆さんに先駆けて製品版をプレイしました、西川くんです。2020年4月24日に、いよいよ発売となりました『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』(※Nintendo Switch/PS4版は2020年4月24日発売。PC(Steam)版は2020年4月25日配信予定)。『ファイナルファンタジーVII リメイク』がまだ終わっていない! というRPGファンの方も少なくないとは思いますが、『聖剣伝説3』のリメイクも忘れずにね!

『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』製品版がっつりレビュー。あのころ思い描いた冒険がそのまま3D化され、かつ新たなやり込み要素が待つ_01

 本記事では、全体的な感想を交えつつ、本作のレビューをお届けいたしましょう。ちなみにパーティは、ホークアイ、リース、シャルロットという体験版から引き続きのパーティです。

 ちなみにこれまで試遊版、体験版のレビューもお届けしています。詳細なシステム紹介はそちらのほうに書かれているので、あわせてチェックしてみてください。

ファンのイメージに応えるグラフィック

 オリジナル版『聖剣伝説3』と言えば、スーパーファミコン後期ということもあり、メチャクチャ描き込まれた繊細な2Dグラフィックが特徴でした。本作はそのイメージを崩さずに、かつデフォルメしすぎていない感じで、うまく3D化に成功している印象です。たとえば写実的でリアリティのあるデュランたち、というのはなかなか想像しにくいですし、そうなったら世界観もちょっと変わってしまいますよね。

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 もちろんそれが合うタイトルもあるとは思いますが、『聖剣伝説3』については、“それじゃない”と僕は思うんです。体験版をプレイされた方々も「これだよこれ!」という意見が多かったことから、皆さんのイメージ通りのグラフィックになったのではないでしょうか。

 唯一残念なところは、本作はアンリアルエンジンを採用しており、アンリアルエンジン特有のテクスチャ表示の遅れがムービーシーンなどで発生してしまうこと。テクスチャが一瞬だけ粗いキャラクターが表示されてしまうので、ちょっと没入感が削がれることもありました。なんとか対応してほしかったのが正直なところです。

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 ちなみに、武器は全種類専用のグラフィックが用意されています。武器のグラフィックは共通なのかなと思っていたので、個人的には予想外にうれしかったポイントでした。

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ちょっと暗いけど明るいストーリー

 物語はオリジナル版とほとんど変わらず、主人公たちが悲劇に遭い、悲しみを背負って冒険に出掛けるわけですが、道中は結構明るめで、ときどき破天荒(笑)。たとえば大砲で大陸間を移動するなんて、まるでギャグのような要素があるのも『聖剣伝説』シリーズらしいところですよね。それもうまく3Dに落とし込めているから、違和感なく見れるのだと思います。

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 “ほとんど変わらず”と言ったのは、追加のセリフがあるのと、オリジナル版で矛盾していたストーリーが直されているからです(と言っても僕は開発陣にそれを聞くまで、オリジナル版の矛盾について気づいてなかったのですが)。具体的には、風の精霊・ジンを助けるくだりの物語が辻褄が合うよう変わっています。さらに、主人公と因縁のライバルの対決前には、しっかりと前口上が追加されていて、かなり気分も盛り上がりました。

 ただ、仲間に選んでいないが、以前会ったことのあるキャラクターが再登場したとき、まるで初対面のようなセリフを放つ……というのはオリジナル版でもあったシチュエーションですが、そこもそのままになっているのは、ちょっと手を入れてほしかったかも。

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 また、ストーリーには直接関係ないのですが、キャラクターたちの掛け合いが多い点を評価したいです。物語の進行に合わせてキャラクターどうしが「フェアリーのもとに急ごう!」などと会話をしてくれたり、寒い場所、熱い場所など、シチュエーションに合わせたセリフが多数用意されていて、冒険感が増してにぎやかな旅ができました。

 ちなみにセリフは全キャラクターが主人公、仲間1、仲間2で選んだ場合で変わるそうで、特定のキャラクターどうしの組み合わせや、男3人/女3人パーティ限定のセリフもあるのだとか。全部聞くのは大変そうですねぇ……。

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いろいろな部分が親切設計

 オリジナル版を初プレイしたとき、フィールドで迷うこともあったり、何をすればいいのか分からなくなってしまうことも多々あったと記憶しています。本作では目的地への誘導が全編通してあるので迷うことはありませんし、ミニマップから全体マップまで揃っているので、迷うことはないでしょう。

 また、キャラクターがヒントを言ってくれるという要素もあるので、謎解きなどもしやすいです。たとえば赤い花を辿れば目的地に付けるダンジョンがあるのですが、そういったときも「赤い花を追うといい」というようなアドバイスをキャラクターがくれます。バトル中にもヒントを言ってくれますし、自然とプレイヤーを攻略に導いてくれるのが楽しいところでした。

 クラスチェンジについてですが、オリジナル版はクラス2になる際、最初のマナストーンをスルーするか、もしくは風の回廊でひたすらレベル上げをしましたよね。本作では風の回廊の最後にあるマナストーンに到着した時点で、レベル18前後になるよう調整されているようで、すんなりクラスチェンジが可能に。レベル上げの必要がないのはうれしいポイントでした。

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 あと、クラス3になるには“???の種”から、クラスチェンジアイテムを出現させる必要がありますよね。オリジナル版同様に、特定の敵を倒してドロップを狙うのがおもな取得方法ですが、本作では宝箱に???の種が入っていることもあり、入手しやすくなっているのもうれしかったです。

 また、オプション面の充実も評価したいです。たとえば、カメラの表示距離やカメラ速度などのアクションに関わる部分から、必殺技などの演出スキップといった細かいところまで調整可能に。さらに、発売時のパッチで追加される要素なので僕は体験していませんが、ダッシュの仕組みも変えられるようになるようです。

 オプションと言えば、アレンジBGMとオリジナルBGMを選べるのもポイントですよね。アレンジBGMですが、全編通して違和感ナシ! オリジナル版のイメージそのままに、豪華になった楽曲たちがゲームを盛り上げてくれます。いやぁ名曲揃いだなぁ……と、しみじみ感じながら冒険できました。本作は広いフィールドを行ったり来たりすることも多いのですが、BGMのおかげで苦ではなかった感じがします。以前も言いましたが、『Nuclear Fusion』だけはギターサウンドによる大胆なアレンジで驚きましたね(笑)。

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 道中の敵はサクサク倒せるようになっているので、通常の敵とのバトルが面倒になることはなかったです。通常の敵はテンポよく、ボスはじっくり戦うというようなバランスになっています。ですので道中は「この敵、強かったな~」と記憶に残りにくいのは、ちょっと賛否が分かれる点かもしれません。たとえば黄金の街道に出現するポロンは、オリジナル版ではダーツでプレイヤーたちを苦しめましたよね。本作ではダーツもカンタンに回避できるので、苦労はしませんでした。

 反面、ボスはオリジナル版よりも個性派揃い。どのボスにも多彩なギミックが用意されていて、戦っていて飽きがくることはなかったです。たとえばローラント城のボス・ジェノアはメチャクチャ激しい攻撃を仕掛けてきて驚きました。「いやこれどうやって回避していくんだよ!?」というくらい激しいのですが、水属性攻撃をすることで攻撃が弱まるという仕組みがあったりと、攻略しがいのあるボスが多かったです。

 物語後半の神獣戦は、もはやオリジナル版とは完全に別モノ。神獣ごとにさまざまな攻略方法があり、さらに倒す順番によってボスがパワーアップしていく(ここはオリジナル版と同様ですね)ので、やり応えバツグンです。

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シンプルなアクションゆえに

 本作は弱攻撃と強攻撃によるコンボ攻撃や、必殺技&魔法(特技)、そして回避を駆使して戦います。アクションゲームとしてはシンプルな操作なので、アクションが苦手な人でもすんなり馴染めることでしょう。アクションの幅は、クラスチェンジしていくごとに新たなコンボ攻撃と必殺技を覚えていくので、クラスチェンジのワクワク感がオリジナル版よりも強いです。

 ただ、シンプルがゆえに、クラスチェンジするまでは基本的にはどの敵にも同じ攻撃のくり返しになってしまい、やや単調に感じられる部分もありました。クラス2→クラス3ともなると、そこまでの道のりが長いので、どうしても同じ戦法になりがち。通常の敵がテンポよく倒せるようになっていることもあり、「早くクラス3にならないかなあ」とぼんやり思いながら戦うことも……。もちろん、そのぶんクラス3になったときのうれしさは倍増したのですが(笑)。

 もちろん先述のように、ボスとの戦いはギミックがふんだんで遊び応えがありますし、バトル中もさまざまなセリフをキャラクターが放ってくれるので、そういう面では飽きさせない作りになっています。

アビリティはゲーム終盤&周回プレイが本番

 本作より新たに追加されたアビリティシステムは、装備したアビリティによってさまざまな恩恵が得られます。クラス3になるまでは、回復量アップやダメージアップ系のアビリティが強いので、そこまでカスタマイズ性は感じられないのですが、クラス3になってから個性的なアビリティが多数登場。アビリティが6つも付けられるようになり、多彩なビルドを楽しめるようになりました。

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 また、周回プレイをすると、習得したリンクアビリティを引き継げます。物語の中で出会った人たちから手に入るリンクアビリティは、特定のキャラクターが主人公/仲間でないとゲットできないものもあるので、周回プレイで集めたいですね。クリアー時のメンバーによって手に入るリンクアビリティもあるので、よりさまざまなビルドが楽しめるようになります。

 最初は、アビリティは“冒険を少しラクにしてくれるもの”という印象でしたが、アビリティを集めていくことが、やり込み要素のひとつだったことには驚きました。このおかげで、これを書きながらもほかの主人公で遊びたくなっています(笑)。ちなみに成長ポイントはリセット可能です。またクラスリセットも可能で、1周内でほかのクラスにいけるのもやり込みポイントとなっています。

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当時の思い出が蘇るフルリメイク

 さて最後にまとめますと、物語などはオリジナル版のままですが、プレイフィールはまったくの別モノ。フルリメイクだからこその魅力がたっぷりと詰まったタイトルになっていました。かといって、原作の雰囲気を損なわず、オリジナル版の要素を感じながらプレイできる絶妙なバランスなのがグッド。

 同時期に発売されたからこそ比較しますが、『ファイナルファンタジーVII リメイク』は、原作の要素を含みつつも、内容の多くが大胆にアレンジされているリメイクタイトルですよね。現代の技術で『ファイナルファンタジーVII』を作ったら? というような側面もあるのではないでしょうか。そういったリメイクももちろんすばらしいのですが、本作は『聖剣伝説3』の魅力をそのまま味わってもらい、プラスの要素として新たな冒険を楽しんでもらおう、という意識が強いんだと思います。最新ハード向けのゲームだけれど、オリジナル版のよさとテイストを伝えたい。本作はそんなタイトルなのではないでしょうか。

 もし購入を迷っている人がいたら、とりあえず体験版をやってみてはいかがでしょうか。それでも迷ってしまったら、イチ『聖剣伝説3』ファンとして断言します。ぜひ遊ぶべきです!

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ドキドキでち?シャルロット写真館

 体験版レビューでも書きましたが、本作のシャルロットはめちゃくちゃかわいいです。めちゃくちゃかわいいです。リースやアンジェラに目がいきがちですが、シャルロットしゃんにも注目でちよ!!!!

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