SFファンにはぐぐっとくるビジュアルと設定の『Disintegration(ディスインテグレーション)』の最新情報が公開された。発売元であるプライベートディビジョンによると“FPSにRTS要素を融合させたSF FPS”である本作は、『Halo』の共同クリエイターであるマーカス・レート氏が、新たに設立した独立系スタジオV1 Interactiveが手掛ける注目作。

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 “FPSにRTS要素を融合させたSF FPS”って何のこっちゃ?と思われる方もいるかもしれないが、プレイヤーが“グラビサイクル”という飛行するビークルを駆使しつつ(一人称視点)、さまざまなユニットアビリティーを持つ仲間となるクルーを操作する(RTS要素)というゲーム性で、まさに“FPSの新機軸をお届けしたい!”という作り手の熱意がうかがえる1作となっているのだ。

 そんな新機軸さを補完するかのような、SFファンを熱くさせる設定もいい。本作の舞台となるのは、異常気象や食糧不足、人口過剰などにより世界規模のパンデミックが発生し、国家が崩壊した近未来の地球。人類の絶滅を懸念した科学者たちは解決策として、ロボットの体に人間の脳を移植する“機械転向”というプロセスを考案した。このロボット化はあくまで一時的な対策で、問題解決後はもとの人間に戻すはずだったのだが、反旗を翻す勢力が出現する。“機械転向”をこそ人類の未来と考える“レイヨン”だ。主人公は、もとグラビサイクルのパイロットであるローマー・ショール。アウトローのレジスタンスを率いることになったローマーは、人間社会の残滓を掃討しようとする“レイヨン”に対抗していくことになる。

 ローマーが率いるレジスタンスは、小規模ながらも、所属するメンバーはメカニックや教師、ジャーナリストなど多種多彩。そんな、ひと癖もふた癖もありそうな連中を指揮しながら、戦いを続けていく。

 とまあ、わくわくするような設定ではないですか。そんな本作では、シングルキャンペーンに加え、PvPマルチプレイヤーモードが楽しめる。今回情報が公開されたのは、シングルプレイの概要。本来は、GDC 2020に合わせて紹介されるはずだったものだが、折からの新型コロナウイルスの影響にともないオンラインによるプレゼンに変更。世界中のメディアに向けて、マーカス・レート氏みずからのプレゼンが行われた。以下、その概要をお届けしよう。

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 まずは、このオンラインプレゼンに合わせれ公開された『Disintegration』のシングルキャンペーンのプレイ動画をお届けする。30分を超える映像で、迫力の戦闘シーンを確認できる。

シングルプレイでも多彩な攻撃オプションを実現

 さて、改めて本作のシングルプレイヤーキャンペーンの内容を紹介しよう。本作の舞台となるのは、およそ150年後の未来。連続する天災や飢饉、暴動により人類存亡の危機が迫った世界。人類滅亡に対抗する手段のひとつつが、ロボット内に人間の脳を移植する“機械転向”で、大半の人々はこの機械転向を、情勢が安定した将来に、新しい肉体の器に脳を戻すそのときまでの中継点のようなものだと考えていた。そんな中、進化を妄信する狂信者の集団が出現する。彼らは“Disintegration”と呼ばれ、人間とロボットのハイブリッド新種族による支配を広めるために旧来の人類(ナチュラル)を滅ぼそうとするのだ。

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 そんな人類(ナチュラル)の最後の希望となるのが、かつてグラビサイクルの凄腕パイロットとして名を馳せたローマー・ショール。強力な銃を装備した、空飛ぶ全地形対応車とでもいうべきグラビサイクルだが、このマシーンがあれば、戦場をあっという間に突っ切って側面から敵をマシンガンで攻撃したり、崩壊する軍事基地の柱や壁の間をアクロバット飛行するといったこともお手のもの。「重力の制約に縛られず、自由に3次元の空間を飛び回れる『Disintegration』のゲームプレイには、ほかのシューティングゲームにはない開放感があります。プレイヤーが操作できる数々のグラビサイクルと、選択できるアップグレードの豊富さによりこの自由度がさらに強調されています」とマーカス・レート氏。

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 とはいえ、『Disintegration』の特徴は、ゲーム中の戦術的要素だとマーカス・レート氏は言う。プレイヤーは最大4つの地上ユニットを指揮しながら、“レイヨン”と戦うことになるのだが、これにより、シングルプレイヤーモードでも多彩な攻撃オプションを実現。たとえば、みずから先陣を切って上空から敵に射撃を浴びせ、残敵をクルーに掃討させることもできれば、自分は後方支援に徹して、地上部隊に前線で敵を倒して同盟者を救出してもらうといった、多彩な戦術も取れるのだ。RTSの要素により、FPSがあまり得意ではない人でも快適に楽しめそうな予感。

 ここでマーカス・レート氏は、「部隊を管理するための細かい操作が多数必要となり、ゲーム全体が護衛ミッションに毛が生えた程度のものになってしまいそうだと考える方もいるかもしれませんが……」と、疑問を先取りしたうえで、そのような心配は無用だという。『Disintegration』では、レジスタンスの仲間たちは強力なAIを備えており、みずから遮蔽物を使い、攻撃するターゲットの優先順位を決め、自身とプレイヤーの身を守ることができる。これにより、プレイヤーは部下への指示に煩わされることなく、迫り来る試練との戦いに集中できるというのだ。

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 『Disintegration』では、地上部隊にも多彩なアビリティが用意されていて、戦闘において存分に火力を発揮してくれるようだ。適切なクルーを選択すれば、迫撃砲の斉射で敵のロボット軍団を粉砕したり、衝撃弾で敵をマヒさせて、そのあいだに味方を移動させるなど、さまざまな戦術を駆使できる。各ミッション前にはみずからのプレイスタイルに合った、ミッション達成に最適なユニークスキルを持つ地上ユニットを選択可能だ。

 「多数のミッションとさまざまな場所でこのような奥深い戦術による白熱の戦闘が展開します。プレイヤーはロッキー山脈の頂から、高層ビルがひしめく大都会、さらには灼熱の砂漠で、敵である“レイヨン”の本部を目指して戦っていくことになります。ミッションの合間には、プレイヤーハブで装備やスキルのアップグレードを選択したり、残存する人類(と主人公の魂)を救済するための戦いの前にチームと交流することもできます。人類の本質とその未来について問いかける魅力的なストーリー(それと恐ろしいほどに病みつきになれるマルチプレイヤー)が揃った『Disintegration』は、今年の下半期のリリース後にはゲーマーから大きな注目を集めることでしょう」とマーカス・レート氏。

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マルチプレイは3種類のモードが

 今回のプレゼンに合わせて公開された、マルチプレイヤーゲームモードの概要もかいつまんで紹介しておこう。最大5人対5人で行われるマルチプレイで遊べるのは、“ゾーン・コントロール”、“回収戦”、“コレクター”の3種類。望みのグラビサイクルを選択して、自分のクルーを指揮しチームメイトとともに戦うことになる。マルチプレイヤー戦のクルーには、それぞれのビジュアルと性格だけでなく、個別のスキルセットとプレイスタイルも用意されている。お気に入りのクルーの扱いをマスターし、多彩なスキン、バナー、バッジ、エモートでゲーム体験をカスタマイズできるようだ。

『Disintegration』マルチプレイヤーゲームモード

  • ゾーン・コントロール: クルーとともに3つのコントロールエリアを確保して占領し、ポイントを貯めることで勝利できる。
  • 回収戦: クルーを指揮しながら核のコアを奪い発射台へ運ぶ攻撃チームと、防衛チームが攻防をくり広げる。第1戦の後に攻守交代して第2戦を行い、スコアが高い側が勝者となる。
  • コレクター: チームを組んで敵のパイロットとクルーを倒すモード。相手を倒すだけではなく、倒した敵の脳が入った容器を回収することで勝利となる。

 『Disintegration』はプレイステーション4、Xbox One、PC向けに2020年に発売予定。ただし、日本語対応に関しては、リリース後に実装されるようだ。RTS要素により戦術性が加味されてゲームプレイの幅が広がる『Disintegration』。そのリリースが楽しみだ。