アメリカのバスケットボールリーグNBAのワシントン・ウィザーズに所属する八村塁選手が、2K Gamesのバスケットボールゲーム『NBA 2K20』のチャリティー大会でユタ・ジャズ所属のドノバン・ミッチェル選手を破り、1回戦を突破した。

 このトーナメントは、16人のNBA選手が参加して行われているもの。優勝者は栄誉とともに、NBA・2K Games・NBA選手会による10万ドル(約1090万円)の寄付先を決定できる。

 あらゆるプロスポーツが中断中であるため、スポーツ専門局であるESPN2での全国放送も行われている本トーナメント(本当に放送するものがあまりないので前番組つき)。八村選手はロサンゼルス・レイカーズを選択し、ミッチェル選手の操作するブルックリン・ネッツとの試合に臨んだ。

八村レイカーズとミッチェル・ネッツの戦いはファウルゲームにもつれ込む激戦に

 リーグ中断前にウェスタン・カンファレンス1位を走っていたレイカーズだが、対するネッツは順位こそイースタン・カンファレンス7位であるものの、リアルでは長期欠場中のカイリー・アービング選手とケビン・デュラント選手というリーグ屈指の選手をゲームでは使えるため、まったく油断ならない組み合わせ。試合は実際に一進一退の攻防が続き、最後の一投までもつれ込む激戦となった。

 決め手となったのは八村選手の終盤の粘り強いプレイ。最終の第4クォーター残り1分17秒で同点にした八村選手は、続くネッツのオフェンスでボールを奪い返し、速攻からリードの奪取に成功。さらに次のオフェンスでゴール下の攻防から2点+ファウルを受けてのフリースローの3点プレイを決め、リードを一気に5点に広げる。

 しかし、リーグの先輩として負けられないミッチェル選手も意地を見せ、ファウルゲーム(※)をしながらシュートを確実に沈めて望みを繋ぐ。(※故意にファウルをして相手にフリースローを打たせ、相手の攻撃時間を短縮しつつフリースローミスからの逆転を狙う戦術。ゲームでは終盤に自動で発動する)

 ラストは八村3点リードの残り4.9秒、ミッチェル選手の期待通りに八村選手が操作するダニー・グリーン選手が2投目のフリースローを失敗し、3ポイントシュートが決まれば同点という場面に。ミッチェル選手はゴールからまだ遠かったカイリー・アービング選手から去年好調だったスペンサー・ディンウィンディ選手にボールをパスする選択を取ったが、少し早打ちになったシュートはリングに弾かれタイムアップ。

 勝利した八村選手は、2回戦ではフェニックス・サンズ所属の点取り屋、デビン・ブッカー選手とのマッチアップに挑むことになる。

意外に上手い選手、ゲームでも実際のプレイスタイル通りの選手など、選手の素が見える好企画

 1回戦の全8試合が終了し、ひと通りの選手がプレイした形。その技量も真剣具合もさまざまだが、選手のオフの素顔が垣間見える好企画となっている。

 その落ち着き具合と渋いプレイスタイルが「ベテランのようだ」としばしば形容されるサンズの若手デアンドレ・エイトン選手が「KG(ケビン・ガーネット)が表紙の『NBA2K09』からやってるね」とゲームでもベテランなのが判明したり、ロサンゼルス・クリッパーズ所属のパトリック・ビバリー選手がハードなディフェンスと相手をイライラさせる煽りが売りのプレイスタイルまんまにゲームでも対戦相手を煽り倒すなど、「あぁ、やっぱり」と思ったNBAファンも多いことだろう。

 かと思えば、昨年のプレーオフでそのビバリー選手の執拗な密着マークにイラッと来て両者退場になってしまったデュラント選手が、自ら操作するビバリー選手のナイスディフェンスに「それだ! いいぞパット!」と褒めるという、マニアならニヤッとする展開も。

 またリーグ中断を『コール オブ デューティ ウォーゾーン』の配信中に知ったほどのゲーマーであるデビン・ブッカー選手は自チームのサンズを使うか聞かれて「うーん、ないね」と正直すぎるコメントを残してしまったり(弱小なため)、八村選手もゲームのタイムアウト中に実際の試合さながらにタオルと水を手渡してもらう仕込みネタを披露するなど、こういった機会ならではの珍場面が見られた。

 というわけで日本のプロスポーツでもこういった企画を見てみたいのだが、各リーグやメーカーの関係者の皆さん、いかがだろうか。