2020年3月26日に先行体験版の配信が始まった、スクウェア・エニックスの『ブレイブリーデフォルトII』(2020年発売予定。以下、『II』)。
この先行体験版は、『II』の基本形を短時間で遊べるようにした特別バージョン。ストーリーは先行体験版オリジナルの内容で展開され、ジョブとアビリティの組み合わせや、本シリーズならではの“ブレイブ&デフォルト”のシステムを活用するために、バトルの難度をやや高めに設定しているという。
本記事では、『ブレイブリー』シリーズの体験者である、記事担当ライター・ジャイアント黒田の先行体験版のレビューをお届け! なお、ストーリーのネタバレは書いていないので、まだ遊んでいない人も安心して読み進めてほしい。
Nintendo Switchの性能でグラフィックがますます美麗に!
2015年4月に発売された『ブレイブリーセカンド』(以下、『セカンド』)から約5年……。待ちに待った新作が発表されました! 先行体験版をプレイして、まず驚いたのがグラフィックの大幅な進化。『ブレイブリー』シリーズは、PCやスマートフォンで展開している派生作を除けば、1作目も2作目の『セカンド』も、ニンテンドー3DSでリリースされていました。
ですが今回、本筋のシリーズ最新作となる『II』は、Nintendo Switch用のタイトルとして登場。ハードの性能差も相まって、グラフィックの美しさに磨きがかかっています。まずは、先行体験版の冒険の舞台となる、砂漠の都、渇水の国“サヴァロン”の全景や街中をご覧ください。
もともと『ブレイブリー』シリーズは、街に入るとまず遠景のマップが表示され、プレイヤーが操作をすると主人公のもとにカメラが寄っていくシステムでしたが、『II』では遠景の時点で、細部まで丁寧に描き込まれていることがわかるクオリティーで、冒険心がくすぐられます。あちこちに配置された宝箱や、住人からお願いされるサブクエストの存在も、街中をくまなく探索する原動力に。ストーリーを進めるのを忘れて、ぶらり旅に没頭しちゃいます。
会話シーンで登場人物たちが大きく表示されるのは、これまでのシリーズを踏襲。ですが、『II』ではキャラクターの表情が、従来作以上にイベントの内容に合わせて豊かに変わるのも見どころ。本作のメインキャラクターは、船乗りの青年セス、亡国ミューザの王女グローリア、師匠が残した魔導書を解明するために旅立った学者エルヴィス、エルヴィスに雇われた傭兵アデルの4人。先行体験版ということで、4人がどんなキャラクターなのかまだわからないことだらけですが、会話シーンの表情や仕草がより豊かに、美しくなったことで、キャラクターの特徴がより伝わりやすくなったように感じました。
とくにお気に入りなのは、エルヴィスとアデルのコンビ。(おそらく)メンバーの中で最年長者にも関わらず、子どもっぽい一面のあるエルヴィスを、アデルがうまく手のひらで転がしている関係が微笑ましくて印象的でした。本編での関係性ややり取りが気になるふたりです!
キャラクターの魅力をさらに引き立てるのが、ジョブシステムです。『ブレイブリー』シリーズは、ジョブを変えることで戦闘中に使えるアビリティ(技)や発動するジョブ特性が変化するほか、見た目もジョブごとに用意された専用のコスチュームに変わります。本作では、このジョブシステムがパワーアップ。後述しますが、サブのジョブも設定できるようになりました。
先行体験版では、最初から “すっぴん”、“モンク”、“白魔道士”、“黒魔道士”、“ヴァンガード”のジョブが選べます。特筆すべきは、シリーズ初登場となる新ジョブの“ヴァンガード”。騎士のような見た目で、盾役ながら敵の攻撃力や防御力を下げるサポート役も担います。使えるアビリティは、自身の物理防御力によって与えるダメージが変化する“シールドバッシュ”や、敵の魔法防御力を下げる“鱗剥ぎ”、物理防御力を下げる“甲羅割り”など。ほかにも、敵の注意を引きつける“挑発”が使えるのもポイント。攻守にわたって活躍が期待できますよ。
ジョブはコスチュームにもご注目! 本作でも、同じジョブでもキャラクターごとにデザインが異なるこだわりようで、見比べるのがとても楽しい。4人のキャラクターをどんどんジョブチェンジさせて、全部のデザインを確認したくなってしまいます。5つのジョブの中では、黒魔道士のコスチュームがいちばん好み。ここでは、あえてジョブの衣装は一部しか掲載しないので、興味のある方はぜひプレイしてチェックしてください。
“ブレイブ&デフォルト”やアビリティを駆使する奥深いバトル
『ブレイブリー』シリーズの戦闘でキモとなるのが、“ブレイブ&デフォルト”のシステム。これは、簡単に言えば行動できるターンの“貯蓄”と“前借り”です。
防御効果もある“デフォルト”を行うと、行動に必要な“BP”と呼ばれるポイントが溜まっていきます(貯蓄)。このBPは、行動回数を増やす“ブレイブ”で使用します。
なお、ブレイブはBPが溜まっていなくても発動可能。バトル開始直後の1ターン目だとしても、ブレイブを使って最大4回まで行動回数を増やせるので(前借り)、一気に攻めて大ダメージを与えたり、戦況を立て直したりできます。
ただし、BPが溜まっていないときにブレイブを行うと、BPがマイナスになり、しばらく行動できなくなってしまいます。ブレイブは、デフォルトでBPを溜めてから使うのがセオリーですが、敵が状態異常にかかっていて攻めるチャンスがあるとき、1ターンで敵を全滅できそうなときなどは、 最大までブレイブをかけてパーティー全員が4回行動をする“フルブレイブ”で畳み掛けるのも手。ジョブのアビリティと組み合わせることで、戦術の可能性が広がるうれしいシステムになっています。
そして、本作最大のパワーアップしたポイントがサブジョブの追加。本作ではメインジョブのほかに、サブジョブを設定できるようになりました。これは、シリーズでおなじみの“ジョブコマンド”が変化したもの。サブジョブを設定することで、ほかのジョブで習得したアビリティが使用可能になります。たとえば、メインジョブをすっぴん、サブジョブをモンクにした場合、すっぴんとモンクの習得済みアビリティが使えるといった具合です。
この組み合わせを考えるのが非常に悩ましい! 先述した通り、ジョブごとにアビリティやジョブ特性が変わるほか、ステータスなども変わります。すっぴん+モンクの組み合わせも、どちらをメインジョブにするかで、以下の通りステータスが大きく変化。ジョブの組み合わせの選択肢が広がります。
このように書くと敷居が高く感じてしまうかもしれませんが、ジョブチェンジはいつでもどこでも行えるので、実際にバトルで試しつつ組み替えたりと、試行錯誤をするのが楽しい。強敵に負けた後、ジョブの組み合わせを変えてリベンジに成功したときの爽快感と達成感は格別です。
ちなみに、5つのジョブの組み合わせで使いやすいと思ったのは、メイン:ヴァンガード+サブ:すっぴんの組み合わせ。ヴァンガードは、デフォルト中に攻撃を受けるとBPが1増える“BPデフォルト”というサポートアビリティを習得できるのがミソ。このサポートアビリティはほかのジョブでも有用ですが、ヴァンガードは挑発で敵の狙いを集めやすくできるぶん、BPデフォルトを発動させやすいというわけです。溜まったBPは、1BPと引き換えにパーティーメンバーのMPを20%回復するすっぴんの“おまじない”に活用すれば、エーテル・宿屋要らずに! 黒魔道士や白魔道士がガンガン魔法を使えます!!
戦闘では、アビリティやブレイブ&デフォルトのほかに、シリーズおなじみの必殺技が発動できます。本作の必殺技はジョブごとに用意されており、すっぴんなら“たたかう10回”、モンクなら“体術10回”というように、それぞれ設定された使用条件を満たすと発動可能に。必殺技は、どれも効果が強力なうえ、発動時にはかっこいい演出が挿入されるのもポイント。Revo氏による必殺技専用のBGMが流れ、曲中はパラメーターがアップする仕様になっています。先行体験版ではセスのみ必殺技を使えるので、こちらもぜひチェックを!
先行体験版ながら、やり込み要素も楽しめる!
これまでお伝えした通り、先行体験版では登場人物の掛け合いで進むストーリーや、美しく表現された世界を駆け回るフィールド探索、アビリティやブレイブ&デフォルトを駆使した戦闘など、『ブレイブリー』シリーズのいいところを凝縮。そのうえで、ヴァンガードなどの新ジョブ、サブジョブなどの新要素が楽しめるようになっています。本作をプレイすれば、『セカンド』から5年の時を経て、最新のハードで開発が進む『II』への期待が高まるハズ! 筆者自身、いろいろなアビリティの組み合わせを試したくて、原稿そっちのけでプレイを進めて仲間全員の全ジョブをカンストさせちゃいました!
さらに、ボスを倒した後はちょっとしたやり込み要素も存在。世界を探索することで、新しい発見がありますよ。 先行体験版をクリアーした方はさらなる冒険もお楽しみに!