新型コロナウイルス(2019-nCoV/COVID-19)の感染拡大リスクを避けるために中止が決まった世界最大級のゲームショウ“E3”(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)。毎年世界の最新ゲームが発表されるイベントだけに、パブリッシャー各社は代替案の模索に追われている。

E3 2020中止、ゲームメーカーはどう対応する?

マイクロソフト

 そんな中いち早く方針を表明したのは、次世代ゲーム機のXbox Series Xの展開を控えるマイクロソフト。Xboxフランチャイズを統括するフィル・スペンサー氏が自身の公式Twitterアカウントで、オンライン(デジタル)イベントとしてファンに向けた発信を行う予定であることを公表。時期等については近々発表するとしている。

ユービーアイソフト、Devolver Digital

 またユービーアイソフトも公式Twitterで決定への理解を示すとともに「デジタル上で皆さまに最新情報をお届けできる方法を模索中です」と投稿しているほか、大手インディーパブリッシャーのDevolver Digitalも例年通りの発表配信などを行っていくと宣言。少なくとも映像配信等で最新ゲームの発表を楽しむことはできそうだ。

任天堂

 また任天堂は、米国支社ニンテンドー・オブ・アメリカ(NOA)を通じてE3 2020開催中止と、その対策へのコメントを発表。ファミ通.comでもそのコメントを入手した。下にその翻訳したものを掲載する。

「多くのお客様に、我々の製品や取り組みについて知っていただくため、別の方法への転換など柔軟に対応して注力していきます。COVID-19の発生により、しばらく大きなイベントへの影響が予測されますが、さまざまな方法を検討しており、今後いろいろな情報をお伝えしていこうと考えています」

 E3時期の任天堂と言えば、以前は大規模な発表会(プレスカンファレンス)を行っていたが、2013年以降はストリーミング番組での発表へ移行(途中からニンテンドーダイレクトの名称を使用)。また、E3開催期間中は”Treehouse Live”と題して、E3出展タイトルを中心に開発者がみずから解説する番組をお届けしてきた。そういった例年の取り組みを鑑みると、本来E3 2020の時期に発表する予定だったものを、ニンテンドーダイレクトなどで発表するといった展開が期待できるだろう。

カプコン

 例年、E3の大型ブース出展に加え、プラットフォーマーのプレスカンファレンスで大型タイトルを発表するカプコンは、ファミ通.comの取材に下記のコメントで回答。

「E3の休止は大変残念ですが、現時点では何もお答えできません」

 カプコンは2018年にSIEのカンファレンスで『バイオハザードRE:2』を、マイクロソフトのカンファレンスで『デビル メイ クライ 5』を発表。2019年は『モンスターハンターワールド:アイスボーン』の試遊台を初出展。そういった発表に合わせて、現地で開発者インタビューを行ってきたが、E3 2020の中止を受けてどういった展開を行うか。

スクウェア・エニックス

 スクウェア・エニックスは、ファミ通.comの取材に対し、「E3中止に関して、当社からのメッセージをtwitter上に掲載しております(編注:下記Twitter投稿のこと)。現在、何らかの方法で皆さまに情報をお届けできる機会を検討しております。詳細については決定次第、発表させていただきます」と回答。ツイート、および、文面を下記に転載する。

 世界がいまその想いをひとつにしているように、私たちの社員とその家族、パートナーの各社の皆さま、そして言うまでもなくファンの皆さまの健康と幸せを守ることが何よりも大切です。私達は、E3 2020の開催を中止するというESAの決定を支持すると共に、E3に向けて忘れがたいゲーム体験を届けるべく尽力してきた全ての方々に心から感謝いたします。今回の決定に関して、ゲームの開発に携わる皆さま、パブリッシャー各社の皆さま、そしてゲームの祭典E3を世界中で待ち望んでいた数えきれないファンの皆さまは、とても残念に感じられているでしょう。私達も同じ想いです。

 2020年、そしてその先の次世代に向けて、私達SQUARE ENIXでは、かつてないほど充実した作品ラインアップを準備しています。E3はこれまで常に、私達の新たなゲームをお披露目する素晴らしい機会と場を提供してくれました。いま私達は、新たな方法で私達のゲームの情報に触れていただく機会をご用意すべく、検討を進めています。続報を楽しみにお待ちいただければ幸いです。

 ありがとうございます。
出典:SQUARE ENIX公式Twitter(@SquareEnix)

 スクウェア・エニックスは、E3 2019では自社のプレスカンファレンス開催と合わせて、大型ブースを展示。2019年は『ファイナルファンタジーVII リメイク』のミッドガルをイメージしたブースになっていた。

 上記のコメントに、“新たな方法で私達のゲームの情報に触れていただく機会をご用意”とあるように、何らかの発表、もしくは体験の場を用意する様子。何よりも“2020年、そしてその先の次世代に向けて、私達SQUARE ENIXでは、かつてないほど充実した作品ラインアップを準備しています。”という部分が気になるが?

セガ・オブ・アメリカ

 セガ・オブ・アメリカは、ファミ通.comの取材に対して下記のコメントを回答。今回のESAの決定を支持するとともに、ゲームファンが新作タイトルを体感する機会について方法を模索中であることを明かしている。

“E3 is an important staple of our industry, but we are experiencing an unprecedented situation with COVID-19, and public health must always take priority. We support the ESA’s decision to cancel E3 2020 and are exploring new, exciting ways for people to experience our upcoming titles. We truly wish the best to all those affected by COVID-19, and are committed to doing our part to ensure a speedy recovery for everyone impacted.“

(翻訳)
 E3は我々ゲーム業界にとって重要なイベントではありますが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)によって引き起こされている前例のない状況を考慮すると、来場者、またイベント開催に係る方々の安全が優先されるべきで、E3を中止するというESAの決定を支持します。

 予定していた弊社タイトルを体感いただく機会については、新しい、エキサイティングな方法を現在模索しています。

 コロナウイルスの影響を受けた方々の幸運を祈るとともに、影響を受けたすべての方々が一日も早く回復できるよう、私たちができることに力を尽くして参ります。

バンダイナムコエンターテインメント

 本取材に対し、バンダイナムコエンターテインメントからも回答を得た。ワールドワイドに向けた英語でのコメントだったため、翻訳文も掲載する。E3 2020に向けて整えていた準備は、イベントとは異なる形でお届けしていくとのことだ。

“BANDAI NAMCO Entertainment Inc. was poised to have one of its most exciting displays of upcoming games at E3 2020. While it’s unfortunate that E3 2020 has been cancelled due to COVID-19 concerns; the health and safety of show attendees and event staff must take precedence over all else. We look forward to sharing news and updates pertaining to our upcoming title slate through different platforms with our media partners and fans.”

(翻訳)
 バンダイナムコエンターテインメントは、E3 2020で今後発売予定のゲームを皆さんにエキサイティングな形でお見せする準備ができていました。COVID-19懸念によりE3 2020が中止になってしまったことは残念ではありますが、参加者やイベントスタッフの健康と安全が何よりも優先されなくてはなりません。今後のタイトルに関するお知らせや最新情報について、違った形でメディアやファンの皆様にお届けできることを楽しみにしています。

[2020年3月17日19時05分追記]
バンダイナムコエンターテインメントのコメントを追記しました。