1992年 3月7日 『弟切草』発売

 いまから29年前の1992年(平成4年)3月7日は、スーパーファミコン用ソフト『弟切草』が発売された日。

 『弟切草』は、チュンソフト(当時)が初めて自社ブランドで発売したソフトで、“サウンドノベル”シリーズの記念すべき1作目でもある。サウンドノベルとはチュンソフトが築き上げたアドベンチャーゲームの新ジャンルで、現在ビジュアルノベルと呼ばれているタイプのゲームの先駆け的存在と言っていいだろう。象徴的なグラフィックを背景にし、画面全体にテキストを表示して小説のように読み進めていくタイプのゲームだが、効果的なタイミングで音楽を流したり、サウンドエフェクトを入れたりするなど、読み手の臨場感をいやが上にも盛り上げてくれるのが当時は非常に斬新な試みだった。

【今日は何の日?】『弟切草』がSFCで発売された日。ホラータッチの恐ろしい物語と“ピンクのしおり”にドキドキしたサウンドノベル_02

 ある夏の夕暮れ、山道でクルマを走らせていた主人公と同級生の奈美は事故を起こし、助けを求めるために足を踏み入れた古びた洋館でさまざまな体験をすることになる……というように、ベースになるのはホラータッチで描かれるストーリー。ショッキングな演出で多くのプレイヤーを震え上がらせたものだが、選択によってはコメディーなノリの話になるなど、展開が大きく変化するのが特徴的だった。

 なかでも“ピンクのしおり”に関しては、思い出深く心に刻まれているプレイヤーも多いのではないだろうか。これは特定の条件を満たすことで最初の選択画面のしおりがピンク色になり、ちょっぴりアダルトな雰囲気の物語に変化するといった隠しシナリオのようなもの。『弟切草』以降のサウンドノベルでも定番となったので、遊んだことはなくとも知っている人はいるんじゃないかな。さすがに物語の内容までは覚えていないのだが、当時まだまだキッズだった筆者はかなりドキドキしながらプレイしたということだけは鮮明に覚えている。

 なお、シナリオは脚本家の長坂秀佳氏が担当。特撮やミステリーなど、テレビや映画で枚挙にいとまがないほどの作品を作り上げている方だが、ゲームファン向けには『街』や『彼岸花』の脚本家と言ったほうが伝わりやすいかもしれない。

 1999年3月25日には『弟切草 蘇生篇』と改題され、数々の要素が追加されたリメイク版が発売。以降も携帯アプリやバーチャルコンソールやゲームアーカイブスとして、さまざまなハードに移植されている。また、コミックや小説にもなったほか、2001年1月27日には映画版が公開。キャストとして奥菜恵さんや大倉孝二さんなどが出演している。

【今日は何の日?】『弟切草』がSFCで発売された日。ホラータッチの恐ろしい物語と“ピンクのしおり”にドキドキしたサウンドノベル_03
【今日は何の日?】『弟切草』がSFCで発売された日。ホラータッチの恐ろしい物語と“ピンクのしおり”にドキドキしたサウンドノベル_01

※画面はバーチャルコンソール版のものです。

※[2021年3月7日]記事の初出時より内容を一部更新させていただいています。