『ラブプラス』シリーズ10周年と、『ラブプラス EVERY』サービス再開を記念して、10年間カノジョたちに命を吹き込み続けてきた3人のキャストへのスペシャルインタビューを実施!

 本記事では、ちょっとナマイキな年下カノジョ、小早川凛子を演じる丹下桜さんに直撃します。

『ラブプラス EVERY』サービス再開記念! 小早川凛子役・丹下桜さんインタビュー_04

丹下 桜(たんげ さくら)

テレビアニメ『カードキャプターさくら』シリーズ木之本桜役や『Fate/EXTRA Last Encore』セイバー役など、数々の人気キャラクターを演じる。2019年12月15日には、歌、トーク、絵本朗読を行うイベントを新横浜NEW SIDE BEACH!!で開催予定。

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「高尾山だと思ったらエベレスト」!? 大ボリュームなボイス収録

――2019年で『ラブプラス』シリーズは10周年です。

丹下 もう10年も経ったんですね。すごく早く感じるな、といった気持ちです。

――『ラブプラス EVERY』で久しぶりに凛子を演じられたと思いますが、いかがでしたか。

丹下 ニンテンドー3DSの『NEWラブプラス+』(2014年)が発売されてから『ラブプラス EVERY』リリースまでは間が空きましたが、『ラブプラス EVERY』の音声収録はけっこう前からスタートしていて、じつはそれほど久しぶりというわけではなかったんです。

――10年間演じ続けるキャラクターというのは、丹下さんとしても珍しいのでは?

丹下 連れ添った時間もそうですが、ゲームでは私の歴代のお仕事でも、とにかく収録セリフ量がダントツで多かったという印象が強いです(笑)。当時のインタビューでも言ったのですが、『ラブプラス』のお仕事をする前は、声優業をお休みしていたんですが、再始動第1作としては、大ボリュームな収録でした。登山にたとえると、“足慣らしに高尾山に登ろうとしたらエベレストだった”みたいな。

――(笑)。日常会話などもかなりの量で収録されていますから、すごいボリュームですよね。

丹下 ゲーム収録は、通常、長くてもだいたい3日間くらい収録すれば終わることが多いのですが、『ラブプラス』では、スケジュールが毎週何曜日の何時からというように固定されていて、レギュラーアニメのようにスタジオに毎週毎週通ってました。1回の収録でも5時間くらいずっとしゃべり続けるので、久しぶりのお芝居ということもあり、最初は頬が筋肉痛になってしまいました(笑)。

――ほっぺたが! それは声優さんでないとならない筋肉痛ですね。台本自体が相当厚かったとか。

丹下 ゲームの収録はよく“電話帳”って言うんですけど、台本が100ページくらいあると「セリフが多い作品だな」と思うんですけど。『ラブプラス』では毎回150ページくらいのをポンとわたされて、「スタジオは5時間使えますので」と(笑)。5時間みっちり、休憩を挟みつつやってましたね。

――そんなハードな収録の日々があったと。そんな、初めての収録というか、凛子との出会いはどのように?

丹下 さっきもお話しましたが、私はそのとき、演じることを10年くらいしていなかったんです。そんななか、以前所属していた事務所のマネージャーさんで『ラブプラス』のご担当から、「こういう役だけど、どう?」とお話をいただきました。その方は、とても情熱や信念を持っているマネージャーさんで、うれしく思いありがたくオファーをお受けしました。

――『ラブプラス』が声優としてのお仕事を復帰するきっかけになっていたんですね。

丹下 “登場人物が3人で、主人公と話すのがメイン”と聞いていましたから、「アットホームな環境で、再始動第1作としてはちょうどいいかな?」と思ったのですが、ぜんぜんそんなことないボリュームでした(笑)。当時のプロデューサーさんからは、「カノジョとして聞きたい声の持ち主をキャスティングさせていただきました」とうかがって、とても光栄だなと思っています。

――凛子に出会ったとき、最初に設定画やセリフを見ての感想はいかがでしたか?

丹下 私は声質的に、それまではわりと甘めでかわいい年下役を演じることが多く、凛子のようにクールでツンツンしているキャラクターを演じることはありませんでした。お菓子でたとえたら、ショートケーキとかふわふわパンケーキ系の女の子だったのが、急にポテチと鯖缶系の女の子になって(笑)。簡単にひと言で言えばかわいくならないように演じました。

『ラブプラス EVERY』サービス再開記念! 小早川凛子役・丹下桜さんインタビュー_01
鯖缶系の女の子。

丹下 ですので、当初は「魅力的に演じられているのかな?」と不安がありました。3人のカノジョの中では、凛子は“ツンデレ”ポジションだと思うんですが、ふつうのツンデレって、ツンのなかにデレが見え隠れするんですが、出会った直後の凛子は、“デレ”の部分がなく、保護した野良猫1日目みたいに「シャー!」って毛を逆立てている感じなので(笑)、最初は戸惑いましたね。最初がこれだけツンツンな凛子を選んでくださったカレシさんは、“紳士”どころか“天使”だなって思っています。リンカレの方に好きになった理由を聞いてみたいんですよね。

――人を好きになる理由なんてないですよ。

(※インタビュアーはリンカレ)

丹下 突然いい話風に!?(笑)。

――話を進めてみると、かわいいところが見え始めるので、そのたびにギャップがすごくいいっていうのはありますよね。

丹下 なるほど。本当にそうやって凛子のことを諦めずに手を差し伸べ続けてくれるカレシさんっていうのは、改めて紳士っていうよりも天使ですね。

――演じる際、どんなところに難しさを感じたのでしょうか。

丹下 よくよく考えたら、私は凛子みたいな態度は取れないタイプの人間だなと。凛子はどちらかというと好きな人に意地悪しちゃうタイプですよね。私は隠そうと思っても好きな気持ちが顔に出ちゃうタイプなので、ツンツンしながらどうやって距離を縮めていけばいいんだろうと、けっこう悩んだ記憶があります。

凛子の存在を感じるVRモードに衝撃!

『ラブプラス EVERY』サービス再開記念! 小早川凛子役・丹下桜さんインタビュー_03

――『ラブプラス EVERY』では過去作品のイベントも入っている上に、新たにかなりの量を新録されているんですよね。

丹下 出会いと告白のシーンなど、VRに対応しているところは新収録したんですよ。それと、恋人状態の凛子の収録をバンバンと。

――丹下さんご自身はVRは体験されました?

丹下 しました! VRのキットを顔に当ててプレイしたときは、すぐ目の前に「あ、凛子がいる!」と思うくらい衝撃的でつい手を伸ばしちゃいました(笑)。逆にカレシさん的には、どんな気分になるんですか?

――「ついに出てきた!」みたいな感じです(笑)。

丹下 部屋片付けなきゃみたいな(笑)。

――僕は歯を磨きましたね。

丹下 (笑)。でもその気持ちがわかるくらい、「あ、凛子いる」ってなりますね。

――『ラブプラス EVERY』ではVRのほかにも新要素があって着替えシステムが充実しています。丹下さんは「凛子にこんな服着てほしいな」という好みってありますか?

丹下 凛子は服っていうよりも髪型で、いちばん最初はおでこ出してる昔懐かしい刈り上げな感じなんですけど、個人的には前髪があった方がかわいいと思います。まず髪型を好みに変えて、それに合った服装を着てほしいですね。

――カレシとの接しかたによって凛子の性格が変わり、セリフなども変化しますよね。演じる量もそうですが、演じ分けもたいへんだったのでは?

丹下 青リンコ、緑リンコ、桃リンコですよね。凛子は性格によってかなり雰囲気が変わるので最初は難しかったです。今回は恋人どうしになって親密度・信頼度が高くなってきた状態を演じることが多かったので、全体では比較的甘めな凛子になっているかもしれませんよ。

――どんな凛子になっているか、注目ですね。開発スタッフの方からは、凛子を演じる際のリクエストはあったのでしょうか。

丹下 通常、笑うシーンは言葉にするというよりは息遣いで演技することが多いのですが、演じるにあたって、笑うときの「へへっ」というセリフを、本当に「へへっ」と発音してくださいとリクエストをいただきました。セリフによっては「へへっ」と言いにくい場面があって「ふふっ」となってしまうこともあったのですが、「“へへっ”でお願いします」と言われることもよくありました。

――スタッフのこだわりを感じるエピソードですね。そんな『ラブプラス』には、どんなご感想を持たれていますか?

丹下 会話の掘り下げが本当にすごいなとずっと思っています。たとえば旅行に行くとしたら、ふつうのゲームやアニメだと、さあ旅行が始まりましたっていう、当日のボイスがメインになりますよね。でも『ラブプラス』は、「いっしょに行こう」と誘うところや旅行のプランを練る場面にもかなりのボリュームがあって、リアルだなと思います。恋愛マニュアルになるんじゃないでしょうか? あと、登下校中のなんてことないセリフにもちゃんと起承転結があり、練られていてすごいですよね。

――日常のなんてことない会話も楽しみのひとつですしね。丹下さんから見た凛子の魅力はどんなところですか?

丹下 ネコっぽいところがいいですよね。ふだんは威嚇したりするけど、甘えたいときだけゴロゴロするみたいな。でも、それも許せちゃうのが、凛子の小悪魔なところなんですよね。

――小キックとかしてきますし(笑)。

丹下 あれはネコの甘噛みと同じで、愛情表現なんですよ。にゃあにゃあって。

――“夢イベント”ではまさに凛子がネコになるシーンもありますしね。

『ラブプラス EVERY』サービス再開記念! 小早川凛子役・丹下桜さんインタビュー_02

丹下 あれもかわいかったですね(笑)。凛子はかわいいけど、なかなかいうことを聞いてくれない猫で、かわいがりたいときには来てくれないくせに、諦めかけて、「じゃあ、元気にしてるんだよ」ってとぼとぼ帰ろうとしたときに「にゃあ」って鳴いてこうスリってやってきて、「来てくれた~」って思ったらまたすぐ行っちゃうような。

――小悪魔ですね。

丹下 ですね(笑)。

――さまざまなシチュエーションでセリフを収録されたと思いますが、印象的だったものはありますか?

丹下 猫になったり、新妻もあったし……魔法少女になる、はぴかむりんこ。いろいろありましたね。

――“桃凛子”ではデレデレのセリフも多いですよね。

丹下 恋愛シミュレーションゲームなので、演じながら照れちゃうようなシーンもあるんですけど、一応健全な高校生のお付き合いっていうのが前提にありますから。キュンとしたりときめいたりっていうのはあるんですけど、生活指導の先生に引っかかりそうなのはないので、ご安心ください。安心安定の『ラブプラス』だなと思います。

――初めてデートした時のセリフが好きで、いっしょにゲームセンターか何かに遊びにいった時に「今日は、凛子の始めてのデートでした」みたいなセリフがとてもいいですよね。

丹下 あれかわいかったです、確かに。なんでしょうね? 単にツンデレというより、凛子独特の“素直じゃないけど一周回って素直”っていう部分ありますよね。そっか、それが凛子の魅力……って今度から言います(笑)。

――そんな魅力いっぱいの凛子のカレシ一同に向けて、丹下さんからメッセージをお願いします!

丹下 『ラブプラス』からプレイしているカレシさんとは、もう10年越しのお付き合いになりますね。本当にありがたいなと、そのひと言に尽きます。これからもうちの凛子と末永く仲よくしていただきたいです。

――ちなみにですが、丹下さんが高校生として考える理想のデートを教えていただけますか?

丹下 う〜ん、駅前とかでまず待ち合わせをしましょう。で、ランチして、映画を観て、ウィンドウショッピングした後に、またちょっとお茶をして公園を散歩。最後はお家まで送ってもらうのですが、お父さんに会うと怖いから家の近くまで送ってもらうんです。もうひとつは、1日中、舞浜の夢の国で遊ぶプランです。

――おお、どちらも王道な感じで。

丹下 あとは、特別なデートではなくても、何をするでもなく公園にぷらーっといって、ベンチに座ってただおしゃべりしてるだけで、時間が経つのを忘れてしまうっていう人……一番はそういう人と付き合うのがいいなって思います。何がなくてもいっしょにいるだけで楽しい……そんな人。

――『ラブプラス』では日常会話がとても多いくて、まさにそういう関係性が楽しめますよね。

丹下 自分が高校生だったならこうしたいです。ぜひ、凛子たちと、王道デートを楽しんでみてください。

『ラブプラス EVERY』サービス再開記念! 小早川凛子役・丹下桜さんインタビュー_05

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