2019年12月3日、今年も東京都・品川にあるグランドプリンスホテル新高輪にて、PlayStation Awards 2019が開催された。PlayStation Awards(以下、PS Awards)は、プレイステーションフォーマットで発売されたタイトルの中から、ヒット作品を表彰する祭典。プレイステーション誕生の翌年、1995年から始まった。
今年はプレイステーション25周年。PS Awardsも記念すべき25回目の開催ということで、今回だけの特別なAwardsも用意された。
本記事では、各部門の受賞タイトルをまとめてご紹介するとともに、登壇者の受賞コメントにフォーカスしてイベント全体のリポートをお届け。
まずはソニー・インタラクティブエンタテインメント代表取締役社長ジム・ライアン氏による挨拶からスタート。ジム氏は冒頭で「私にとって、そして皆さんにも、長い4分スピーチです」と日本語で会場の笑いを誘った。その後も人生初だというすべて日本語でのスピーチを行い、プレイステーションに関わってきたすべての人たちに感謝を述べた。
インディーズ&デベロッパー賞
最初に発表されたのは、日本・アジア市場でのインディーズタイトル、および配信専用タイトルのラインアップの拡大に貢献した5タイトル贈られる、インディーズ&デベロッパー賞だ。対象となるのは、2018年10月1日~2019年9月30日までの期間中に発売・配信されたプレイステーションフォーマットタイトル。受賞者には、Heads of PS▼(Loves)Indiesの吉田修平氏よりトロフィーが贈呈された。
●Unravel Two
エレクトロニック・アーツ
●Hollow Knigh
Team Cherry
●Overcooked 2
チームセブンティーンデジタル
●ヒューマン フォール フラット
Curve Digital
●HARDCORE MECHA
RocketPunch Games
PlayStation VR賞
続いての発表は、PlayStation VR賞。同期間中に発売・配信されたプレイステーション VRタイトルの中で、日本・アジア市場でのプレイステーション VRの盛り上がりに貢献した3タイトルに贈られる。プレゼンターは、SIE LLC SVP 兼 グローバルパートナー・デベロッパーリレーション統括責任者のフィル・ローゼンバーグ氏が担当した。
●ASTRO BOT:RESCUE MISSION
SIE
●エースコンバット7 スカイズ・アンノウン
バンダイナムコエンターテインメント
●Beat Saber
Beat Games
PlayStation Network Award
続いての発表は、PlayStation Network Award。同期間中に配信されたタイトルのうち、年間のネットワーク売上上位3タイトルに贈られる。プレゼンターは、SIE SVP 兼 ジャパンアジアパブリッシャー&デベロッパーリレーション部門部門長の植田浩氏が担当。
●フォートナイト
エピック ゲームズ
プロデューサーのロブ・グレイ氏は、今年は賞金総額30億円の“Fortnite World Cup”が行われたり、『スター・ウォーズ』とのコラボがあったりと、「とても楽しい1年間だった」と話し、2年連続の受賞に対して感謝を述べた。
●モンスターハンターワールド:アイスボーン
カプコン
エグゼクティブディレクター/アートディレクターの藤岡要氏は、15周年を迎えた『モンスターハンター』シリーズは家庭用ゲーム機にネットワークが普及しだした頃に発売されたタイトルだったと振り返り、「今後とも業界の変化に食らいついていけるようにがんばりたい」と語った。
●FIFA 19
エレクトロニック・アーツ
ジャパンパブリッシング カントリーヘッドのエリシア・パークス氏は、受賞について「SIE、Jリーグ、そしてプレイヤーの皆さまのおかげです」と感謝を述べ、さらには“eJ.LEAGUE”についてもプレイヤーのおかげだと重ねて感謝した。
Gold Prize
Gold Prizeは、2019年9月30日までに発売・配信されたタイトルのうち、累計生産出荷数および配信数の合計が50万枚を超えたタイトルに贈られる賞。今年は9タイトルが受賞した。プレゼンターは、引き続き植田浩氏が担当。
●ウイニングイレブン 2019
コナミデジタルエンタテインメント
シニアプロデューサーの細田真規人氏は、「『ウイニングイレブン』も来年で25周年になりますので、来年もこのような賞がいただけるようにがんばります」とコメント。
●FIFA 19 / FIFA 20
エレクトロニック・アーツ
再度登壇したエリシア氏は、改めて受賞について感謝を述べた後、「今後も日本のサッカー文化を盛り上げていきたい」と意欲を語った。
●コール オブ デューティ ブラックオプス4
SIE
マネージングディレクター ジャパンの中本志都也氏は、今回の受賞は「ひとえにたくさんの『CoD』ファンに遊んでもらっているおかげ」とし、改めて感謝を述べた。
●エースコンバット7 スカイズ・アンノウン
バンダイナムコエンターテインメント
ブランドディレクターの河野一聡氏は、「今年1年こんなにいっぱいたくさんの人に感謝するんだと驚くくらい感謝の言葉を伝え続けてきました」と語り、シリーズ25周年を迎える来年もより多くの感謝を伝えていきたいと話した。
●バイオハザード RE:2
カプコン
プロデューサーの平林良章氏は、「初代プレイステーションで発売された原作から20数年経って、新作という形でいまの皆さんにお伝えできたことを開発チーム一同嬉しく思っております」と喜びを語った。
●デビル メイ クライ5
カプコン
ディレクターの伊津野英昭氏は、真っ先に「11年間待ち続けてくれたファンの皆さんに感謝したいです」とコメント。また、このご時世にアクション1本で勝負することには不安もあったが、この賞をいただけたことでアクション1本でもやっていけると証明できたのではないかと語った。
●SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE
フロム・ソフトウェア
ディレクターの宮崎英高氏は受賞について「新規IPでしたし、新たな挑戦を含んだタイトルだったので不安でしたが、多くのユーザーさんに遊んでいただけて安心しています」と心境を語った。
●モンスターハンターワールド:アイスボーン マスターエディション
カプコン
ディレクターの市原大輔氏は、「今回はDLCでのアップデートという新たな試みを行いましたが、その一方でパッケージ版も多くのファンの皆さんに受け入れていただき、このような賞をいただけて嬉しく思っています」と喜びを語った。
Platinum Prize
Platinum Prizeは、同期間中に発売・配信されたタイトルのうち、累計生産出荷数および配信数の合計が100万枚を超えたタイトルに贈られる。本賞は5タイトルが受賞した。プレゼンターを務めたのは、ジム・ライアン氏。
●NieR:Automata(ニーア オートマタ)
スクウェア・エニックス
本作のプロデューサーを務めるスクウェア・エニックスの齊藤陽介氏は、「2年前にGold Prizeをいただき、まさかいまになってPlatinum Prizeをいただけるとは思ってもいませんでした」とコメント。さらに、シリーズが来年10周年を迎えることを記念して、特設サイトを公開することを発表した。詳しくは、以下の記事にて。
●ゴッド・オブ・ウォー
SIE
開発を手掛けるサンタモニカスタジオのコミュニティーマネージャー、アーロン・カウフマン氏は受賞について、本作中で主人公が語る「自分たちはこれまでの負の連鎖を断ち切ってよりよい存在に成長しなければならない」というセリフになぞらえて、開発中の苦労を乗り越えたおかげでチームの成長につながったとコメント。改めて感謝を述べた。
●Marvel's Spider-Man
SIE
本作の開発を担当したインソムニアックゲームズのライアン・シュナイダー氏は全世界の『スパイダーマン』ファンに感謝を述べた。また、「本作で初めてプラチナトロフィーを獲得したプレイヤーが多くいるという意味で、今回の受賞には縁を感じる」とコメントした。
●レッド・デッド・リデンプション 2
ロックスター・ゲームス
ゼネラルマネージャーのニール・スティーブン氏は関係者やファンに感謝を述べると、「本賞における賞金はすべてチャリティーに寄付しよう」と考えていると語った。さらには「すべてのパートナーの皆さまに感謝します」とコメント。最後は日本語で「アリガトウ」と感謝を述べた。
●キングダム ハーツIII
スクウェア・エニックス
本作のDLC制作が絶賛進行中とのことで、開発チームに代わり登壇した専務執行役員の橋本真司氏は、プレイステーションというハードには長年お世話になっているとコメント。また、改めて『キングダム ハーツ』シリーズをともに作り上げるディズニーにも感謝を述べた。
プレイステーション 25周年記念ユーザーズチョイス賞
ここで、プレゼンターを務める元ソニー・コンピューターエンタテインメント名誉会長の久夛良木健氏が登壇。「プレイステーションという名前には、遊びのための最高のプラットフォームを世界中のゲームファンにお届けしたいというわれわれの熱い思いが込められています」と語り始め、こうした思いを積み上げてきたクリエイター、メディア、そしてユーザーに深く感謝の言葉を述べた。
本賞は、過去24回のPS Awardsで各賞を受賞したタイトルのうち、ユーザーによる投票数が多かった上位5タイトルに贈られる。……はずだったのだが、急遽7タイトルに贈られることに。急な変更だったが、カビラ氏の「いいんです!」が出たことによって会場からも拍手が起こった。
●The Last of Us
SIE
本作の開発を務めるノーティードッグに代わって登壇した石立大介氏は、ノーティードッグより預かったメッセージを代読。制作に関わったすべての人たちおよびプレイヤーに感謝を述べた。
また、本作の続編『The Last of Us Part II』の最新トレーラーが授賞式後に配信されることを発表。最新作への期待もあおった。
●ペルソナ5
アトラス
クリエイティブプロデューサー/ディレクターの橋野桂氏は、「このような賞を受賞できて光栄です」とコメント。「応援してくださるユーザーの皆さんの気持ちに応えられるよう、すこしでもいいゲームを作っていきます」と今後の意気込みも語った。
●NieR:Automata(ニーア オートマタ)
プラチナゲームズ
ブッコロのヨコオタロウ氏はおなじみの被り物をしたまま登壇。やや籠った声のまま「『ニーア』というタイトルはここに立っていいようなメジャーなタイトルではなく、マイナーなタイトルだと思う」と正直な気持ちを明かした。そのうえで、「ファンの皆さんの熱意がほかのどのタイトルにも負けないくらいすごいパワーがあったおかげで、ここに立つことができました」と力強くコメント。
最後はお辞儀をしようとして被り物がマイクにぶつかるというオチをきっちりつけ、会場と生放送のコメントを沸かせた。
●ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて
スクウェア・エニックス
ディレクターの内川毅氏は、「本作は『ドラゴンクエスト』の生みの親である堀井雄二さんといっしょに、皆さんの思い出に残るものを目指して作った」と語り、改めて受賞の喜びを述べた。
●モンスターハンター:ワールド
カプコン
プロデューサーの辻本良三氏は受賞の喜びを語った後、本作および『モンスターハンターワールド:アイスボーン』のさらなるタイトルアップデートを準備中であると明かした。最後に改めてプレイヤーに感謝を述べ、これからもともに歩んでいきたいと話した。
●ゴッド・オブ・ウォー
SIE
再度登壇したアーロン氏は、「こうしてファンの皆さんに選んでいただけることこそ、われわれがゲームを作る原動力になっている」と喜びを語った。さらには英語で「Thank you」を3回繰り返した後、最後は日本語で「アリガトウ」と感謝を述べた。
●Marvel's Spider-Man
SIE
こちらもライアン氏が再度登壇。インソムニアックゲームズもプレイステーションとおなじく25周年を迎えたと話し、今後は同社のモットーである“つねにより良くあれ”に従って、さらによりよくプレイステーションを盛り上げたいと意欲を語った。
PlayStation 25周年特別賞
これにてすべての受賞作品が出揃った。ハズだったのだが、さらにPlayStation 25周年特別賞が追加で発表されることに。受賞タイトルは以下のとおり。
●リッジレーサー
バンダイナムコエンターテインメント
●闘神伝
タカラトミー
●バイオハザード
カプコン
●ファイナルファンタジーVII
スクウェア・エニックス
●メタルギア ソリッド
コナミデジタルエンタテインメント
●真・三國無双2
コーエーテクモゲームス
●龍が如く
セガゲームス
●モンスターハンターポータブル 2nd G
カプコン
これにて、PS Awards 2019は今度こそ閉幕となった。プレイステーション25周年のアニバーサリーイヤーということもあり、例年より特別感が増していた今回のPS Awards。
2020年にはいよいよプレイステーション5が発売される予定になっており、ゲーム業界全体がさらに盛り上がることが期待される。来年以降のPS Awardsも楽しみだ。