2019年10月27日、『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、LoL)はサービス開始から10周年を迎えた。

 10月16日には、日本でも“リーグ・オブ・レジェンド10周年記念感謝祭”が大々的に開催され、多くのファンがいっしょに10周年を祝った。私も、約7年間『LoL』を遊び続けてきたファンのひとりだ。

 『LoL』が10歳の誕生日を迎えた本日、個人的な思い出も少々交えつつ、改めて本作の魅力について語っていきたい。

『LoL』祝10周年! いま改めて振り返る『リーグ・オブ・レジェンド』という作品とその魅力_01
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『LoL』は世界的に人気のPC用オンライン対戦ゲーム。

ハイスペックのPCは不要で基本無料!

 私はジャンルを問わず遊ぶ雑食ゲーマーだ。「海外で人気らしい」という理由だけで、インストールしてみたのが『LoL』を始めたきっかけ。20人以上にもなる格闘ゲーマーコミュニティの人たちと同タイミングでスタートできたことも功を奏し、夜な夜な5人チームを組んで遊びまくった。

 あまり意識はしていなかったが、いま振り返ってみると“基本無料”という部分はかなり大きい。当時は日本語以外の言語で遊べるクライアントしかなかったのものの、「タダだからとりあえずやってみようよ」と誘いやすい要素ではあった。

 しかも、誘った後はボイスチャットでワイワイと雑談しながら遊ぶことができ、私が参加していたコミュニティもどんどん人が増えていった。

 また、今年で10周年ということからもわかるように、根本的なゲーム部分は10年以上前に作られたもの。最近の3Dシューターなどとは違って、ハイスペックなPCがなくても快適にプレイ可能だ。2016年より日本サーバーができたことで、日本語にも正式に対応したので気軽にインストールしてみてほしい。

※サインアップ、クライアントのダウンロードはこちらから

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アカウント登録ページには「終わりなき挑戦への第一歩」。身が引き締まる言葉だ。

白熱のチームバトル

 『LoL』は、日本でも少しずつ馴染みが出てきたジャンル、MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)の作品。

 各種モードの中でいちばん人気があり、プロの試合でも採用されている“サモナーズリフト”は、5対5のチーム戦だ。レッドとブルーの2チームに分かれて敵陣本拠地にあるネクサスという施設を攻撃し、破壊に成功したチームが勝利となる。

 シーズン(年)が変わるごとに多少の変化は起こることはあるが、戦場となるサモナーズリフトは、スポーツの球場やコートのように、あくまでもプレイヤーの競技の場として公正さを保っている。その中で、どういったチャンピオン(『LoL』での操作キャラクターの名称)や戦術を用いて勝利に向かっていくのか。戦術を練り、的確に実践することが試合のカギを握る。

 先ほどワイワイと雑談しながら遊べるとは書いたものの、いざ試合が始まってみると刻一刻と変化する戦局をお互いに報告しつつ、叱咤激励が飛び交う。ヒリヒリとした空気感が漂うこともしばしばだ。

 とはいえ、これはあくまでも私たちの周りの話。試合への取り組みかたは人それぞれではあるが、勝ったときの達成感は格別だし、負けたときの悔しさは睡眠の質にまで影響するほど。5人がひとつの目標に向かって力を合わせる連帯感は、一度味わえば病みつきになるはずだ。

1分でわかる!リーグ・オブ・レジェンド

個性豊かなチャンピオン

 リリース時には40体しかいなかったチャンピオンも、徐々にその数を増やし続け、いまでは140体を超える数にまで膨れあがっている。

 初期のチャンピオンのデザインは、日本で育った私からするとクセが強め。いかにも“洋ゲー”っぽさが漂う印象だった。しかし、ビジュアルアップデートも入り、いまでは日本人受けのよさそうなチャンピオンも増えてきた。

 各チャンピオンは4つのスキルを使用できる。試合では、通常攻撃とスキルを駆使しながら戦場にいるモンスターや敵チームのチャンピオンと戦う。チャンピオンには、瞬間的に大ダメージを叩き出すのが得意な“アサシン”、仲間を強化するのが得意な“サポート”、継続的にダメージを与え続ける“マークスマン”など、さまざまなタイプがいる。

 どのチャンピオンを選ぶかは基本的には自由だが、いまはチーム内でのロール(試合中に担当する役割のこと)を基準にしてチャンピオンを選ぶのが定番となっている。

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ロールは、トップ、ジャングル、ミッド、ボット、サポートの5つ。ランクマッチの場合は、あらかじめ自分がやりたいロールの希望を出しつつ試合に参加できる。

 チャンピオンの見た目を変更できる“スキン”の種類も豊富だ。始めたばかりの頃は「見た目が変わるだけでしょ? べつにチャンピオンが強くなるわけでもないしいらないよ」と思っていた私も、チャンピオンへの愛着が強くなったり、かっこいいスキンが発表されたりすると、ついつい購入ボタンに手が伸びるようになった。

 公式サイトには課金額を調べる機能もあり、驚くことにケチな自分でもこの7年間で10万円以上課金していた。といっても、まったく課金せずにずっと遊んでいる友だちもいるので、課金しなきゃ楽しめないといったことはまったくない。その点についての心配は不要だ。

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パンキッシュな女の子、ジンクス。SF風のスキンもあれば、変身ヒロイン風のものも。

 スキンを変えると、試合のロード画面でのスプラッシュアート(チャンピオンの画像)が変化し、ゲーム内での姿も変わる。スキル使用時のエフェクトも変わるほか、チャンピオンのセリフが変わることも(※)。

 さらに、下のように、スキンのリリースを盛り上げるムービーや期間限定のモードが公開されることもあり、ちょっとしたお祭り感覚も味わえる。

※チャンピオンのセリフ:チャンピオンはキャラ立ちがしっかりしていて、ライバル設定のキャラに遭遇するなど、特定のシチュエーションでしゃべることがある。

光と闇(ft Sawano Hiroyuki)|スターガーディアン アニメーショントレーラー

 ちなみに、2018年末に配信されたスキンシリーズ“K/DA”のプロモーションムービーは大きな話題を呼んだ。

 完成度の高い楽曲とダンスは、まるで一流のK-POPアイドルのよう。『LoL』の名を改めて世界に轟かせた。

K/DA - POP/STARS

深みを増していくルーンテラの世界

 近年の『LoL』では、チャンピオンたちが住む世界“ルーンテラ”への掘り下げにとくに力が入っている。

 もともと各チャンピオンには、どのようにしていまの姿になったのかが描かれたストーリーが用意されているのだが、それを補足するようなショートストーリーやコミックなどもつぎつぎと公開。最近では、マーベル・エンターテインメントとのコラボレーションによるコミックも登場し、設定好きの私はうれしい限り!

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公式サイトでは、ルーンテラの地図と各地にまつわるエピソードなどが細かく見られる。ある程度『LoL』の知識が増えた後にのぞいてみると、いろいろな発見があり、さらにルーンテラへの興味は増すばかり。

※ルーンテラの地図はこちらで閲覧可能

 “リーグ・オブ・レジェンド10周年記念感謝祭”では、ルーンテラの世界をモチーフにしたカードゲーム『レジェンド・オブ・ルーンテラ』やアニメーションシリーズ『Arcane』が発表。どちらも『LoL』と世界観を共有しているようで、バックボーンを知ることでチャンピオンへの思い入れはより一層高まっていくだろう。

 『レジェンド・オブ・ルーンテラ』には設定や物語に登場するキャラクターもカード化している。マーベル・エンターテインメントとのコラボレーションコミックのひとつ『ラックス』に登場したラックスとガレンの叔母、ティアナのカードも。プレビュー版で実際に使ったところ、かなり強かった。

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個人的には気になっていたヨネ(チャンピオンのひとりであるヤスオの兄)のカードも登場。ゲーム内ではヤスオとのボイス付きのかけあいもあった。

 『レジェンド・オブ・ルーンテラ』の内容については、ファミ通.comに掲載した開発者インタビューを参照してほしい。

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『Arcane』発表時の特別映像では、最後にチャンピオンのジンクスらしきキャラクターの姿も。どういったストーリーが展開されるのか、どのチャンピオンが登場するのか気になるところだ。

Arcane: アニメシリーズ制作告知|Riot Pls: 10周年記念版

毎シーズン繰り広げられる熱戦! eスポーツとしての『LoL』

 『LoL』を語るうえで忘れてはならないのが、プロシーンを観戦する楽しさ。昨年書いた世界大会“Worlds 2018”の取材記事でも語らせてもらったが、1年に及ぶ長いシーズンを戦い抜いたチームが世界一をかけてぶつかり合うことで見えてくるドラマは、プロスポーツの観戦が好きな人ならすぐにわかってもらえるはず。

 私自身、プレイし始めた当時といまでは『LoL』への接しかたはかなり変化している。昔がプレイ7:観戦3くらいの割合だったとすると、いまではプレイ3:観戦7。見るものとして楽しむことのほうが多くなった。

 最初に観戦の興奮を教えてくれたのは、2013年のIEM(Intel Extreme Masters)という大会でのFnatic対SK Gamingの試合。xPeke選手のスーパープレイによる大逆転、そして負けて泣き崩れるOcelote選手の姿は、それまでの『LoL』の歴史を知らなかった私の心にも深く刻まれた。

fnatic vs SK Gaming - Group B - IEM Katowice League of Legends

 昨年の世界大会“Worlds 2018”では、決勝のInvictus GamingとFnaticの試合の視聴者数が9960万人という新記録も樹立したそうで、この記録からも『LoL』を観戦するファンの多さがうかがえる。

 私自身、『LoL』友だちとの旅行も兼ねて、2014年から世界大会の決勝を見に行くようになった。今年も決勝会場であるパリに足を伸ばす予定だ。

※いまとなっては懐かしい2014年決勝のリポート記事

 以前、LJL(日本の『LoL』プロリーグの通称)で韓国人選手の通訳を務め、LJLの熱心なファンでもあるスイニャンさんインタビューをさせていただいたことがある。が、彼女はほとんとゲームをすることがないという、観戦専門とも言えるファン

 初めてお話を聞かせていただいたときには、ゲームではなく選手にフォーカスすることでファンが増えることもあるのかと驚かされた。

 そういった意味では、毎年全世界でリーグ戦が行われ、その末に世界一を決める大会まで開かれるというのは、『LoL』の大きな強みのひとつと言える。個性豊かなチームや選手が活躍し、そこから見えてくるさまざまなドラマは、確実にファンの心を掴んでいるはずだ。

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 2014年から始まった日本プロリーグの“LJL”は年々規模が拡大。2019年は渋谷にあるヨシモト∞ホールで開催され、大勢のファンが選手の息遣いが感じられる距離で観戦が楽しめるようになった。会場では、出場選手とのファンミーティングが頻繁に行われ、観戦好きにはたまらない環境となっている。

 また、近年では日本チームの世界的な活躍もめざましく、世界の名だたる強豪チームとの対戦にも目が離せない。

『LoL』の進化は止まらない

 10周年を迎えたにも関わらず、飽きやマンネリとはまったく無縁なのだから、『LoL』はすごい。10周年記念特別放送“Riot Pls”では、来シーズンの変更点が少し発表されたが、その内容は“サモナーズリフトのマップ構造が変化する”というもの。「とんでもないところに手を付けるんだな」というのが率直な感想だ。まだどうなるか検討もつかないが、影響は小さくなさそうだ。

 これまでも、賛否の声を受けながら、大きな変更をくり返してきた『LoL』。私は7年間この作品と付き合ってきて、「ヤバい時期があるかもしれないけど、きっとおもしろくなるんだろうな」という強い信頼感を持っているし、きっと多くのファンも同じ気持ちなのではないだろうか。

 特別放送では、さきほど紹介したカードゲームの『レジェンド・オブ・ルーンテラ』、アニメ『Arcane』以外にも、格闘ゲームやMMO(ハクスラ系RPGのようにも見えたが詳細は不明)、シューターなどを開発していることが発表された。

 いつかは『LoL』以外のゲームもリリースするだろうとは思っていたが、マシンガンのように立て続けに発表され、いまだに「これは夢なのではないか?」という感覚すらある。

 近いうち(2020年予定)に『LoL』のモバイル版もリリースされるそうなので、『LoL』に興味はあるけどパソコンがない! というプレイヤーはそちらを心待ちにしておいてほしい。

“Riot Pls”の10周年記念特別放送はこちら

 最後に、最近公開になったドキュメンタリー作品『League of Legends Origins』を紹介しておきたい。この映像には、リリース当時からの『LoL』の変遷だけでなく、私が思っていたことや感じていたこと、そしてその答えのようなものがたくさん詰まっていた。

 『LoL』ファンならずとも、きっとおもしろいと感じられるはず。関係者たちの熱気にあてられ、『LoL』に触れてみたくなるに違いない。

※ドキュメンタリー作品『League of Legends Origins』の視聴方法はこちら

ドキュメンタリー作品『League of Legends Origins』トレーラー