『NEW GUILTY GEAR』は続編ではなく“完全新作”!

 東京ゲームショウ2019のセガ・アトラスブースにおいて、アークシステムワークスが手掛ける『NEW GUILTY GEAR(仮題)』のステージイベントが開催された。ステージでは、アークシステムワークスの石渡太輔ゼネラルディレクターと片野旭ディレクターが登壇し、ゲームの魅力を紹介。初公開となったPVでは、迫力のバトルの映像を公開しつつ、シリーズの人気キャラクターであるメイの参戦が発表された。

 ステージイベントのち、石渡氏と片野氏へのインタビューを行うことができたので、本記事にて公開する。

『NEW GUILTY GEAR(仮題)』石渡氏と片野氏に聞く。続編ではなく“新しいタイトルを作った”というスタンス【TGS2019】_05

石渡太輔氏

アークシステムワークスゼネラルディレクター(写真左)

片野旭氏

アークシステムワークス ディレクター(写真右)

――『GUILTY GEAR』の続編ではなく完全新作であるとイベントでコメントされていましたが、ナンバリングタイトルではないという位置づけなのでしょうか?

石渡ナンバリングタイトルであるかというところも、現時点ではまだ公開できません。というのも、我々がこの新作をどのようにするべきなのかということも含めて模索している段階です。ナンバリングタイトルかもしれないし、そうでないかもしれません。

片野Xrd』のシリーズではないというのは、明言しております。

石渡『GUILTY GEAR』の新作というよりも、アークシステムワークスとして新しい格闘ゲームを作ったというスタンスをこのタイトルでは強調していきたいと考えています。

――『Xrd』シリーズは、『Rev2』で完結したということになりますか?

石渡ゲーム性というところでいうと、『Rev2』で完結したと考えていただいて構いません。物語としては、そのまま続いています。

片野『Rev2』はゲームとしては今後バージョンアップの予定はありません。いま遊んでいただいている方に向けて、何かしらのフォローをしたいと考えていますが、現段階でお約束できるものではありません。

『NEW GUILTY GEAR(仮題)』石渡氏と片野氏に聞く。続編ではなく“新しいタイトルを作った”というスタンス【TGS2019】_01

――PVを観ると映像面がパワーアップしているのは見て取れるのですが、格闘ゲームとして、システム面が大きく変わることはあるのでしょうか。

石渡格闘ゲームとしては、『Xrd』シリーズと比べてというよりは、『GUILTY GEAR』として大きく変わる手応えのシステムになると思います。

――本日公開されたメイを含め、現状4キャラクターが公開されました。現段階で明言はできないと思いますが、総キャラクター数はどれくらいになりますか?

石渡すべてを作り直していますので、それなりに労力は発生しております。リリースのタイミングから全キャラクターが登場することはないかなと思います。

片野『Rev2』からの続投がどれくらいいるのかというのが気になっている方も多いと思いますが、完全新作としていちから作っています。前作から流用している部分はないので、そこも含めて予想していただけると。なるべく、皆さんのご期待に添えられるような形にしたいとは考えています。

『NEW GUILTY GEAR(仮題)』石渡氏と片野氏に聞く。続編ではなく“新しいタイトルを作った”というスタンス【TGS2019】_02

――PVでは、完全新規のキャラクターとしてドレッドヘアーのキャラクターがいましたが、彼はどういったキャラクターなのでしょうか。

石渡あのキャラクターを発表させていただいたのは、まったくみんなが見たことのないビジュアルを見せることで、完全新作であるというアピールする一環だったのですが、まだ多くは語れません。従来の『GUILTY GEAR』の歴史に何かしら関係がある、ということだけお伝えさせてください。

――アークシステムワークスの最近のゲームだと、初心者でも入りやすいサポートシステムなどが入っていることが多いですが、本作は初心者が入りやすい何かしらのシステムが入っているのでしょうか。

石渡初心者向けのフォローがあるということは、そもそもそのゲームが難しいから、解釈を個人的に持っています。そういった意味で、そのようなフォローが必要のないゲーム性というものを考えています。従来の『GUILTY GEAR』のような、複雑なシステムであったり、システムの多さだったりはまずはいったん全部捨ててゼロから考え直して本作を開発しています。

片野初心者向けにするというよりは、シンプルにするというほうが近いかなと思います。具体的なお話ができないので理念的なコメントになってしまいますが、アークシステムワークスの従来のような初心者をフォローする仕組みではなく、べつの形でより幅広い方がプレイできるタイトルにできればと考えています。

石渡シンプルにするというとゲーム自体をシェイプアップするという方向に考えやすいですが、入り口がシンプルになっているというだけです。ゲームの奥深さがカットされるわけではありません。本作も、従来の我々らしい奥深い格闘ゲームにしていきたいです。

片野見た目が難しそうというのを払拭できればいいなと。従来のゲームにはボタン連打でコンボがでるようなシステムもあって、それによって格闘ゲームに入ることができた方も非常に多いと思います。じゃあ、本作にもそのシステムを入れればそれでいいのかといえば、そんなこともありません。連打コンボがあっても、格闘ゲームをやらない人から見れば簡単そうには見えないし、何が起きているのかがわからないのではないかと思っています。本作では、格闘ゲームをふだんプレイしていない方が見ても、何が起きているのかわかるというゲーム性を大事にしたいなと考えています。

石渡今回の我々のキーワードですね。

片野目下開発中ではあるのですべてが決まっているわけではないですが、いままのアークシステムワークスのアプローチとは違った形で、より幅広い層の方に触っていただけるようなゲームにしたいと思っています。

石渡そもそも『GUILTY GEAR』シリーズを作っていたときに、わかっていながら『GUILTY GEAR』だからできなかった問題点がありました。新しい『GUILTY GEAR』で、その問題点は解消できないのかというを見直している最中です。

片野日本国内でも、長くプレイした人がナンバリング変えてもスタートラインから強かったのは、いままでの『GUILTY GEAR』でした。それを否定するわけではないのですが、本作を完全新作として売り出すなら、いろいろなプレイヤーに対してフラットなゲームシステムにしたほうがいいのではないかという発想もあります。

『NEW GUILTY GEAR(仮題)』石渡氏と片野氏に聞く。続編ではなく“新しいタイトルを作った”というスタンス【TGS2019】_03

――本作での新たなチャレンジや目標はどんなところなのでしょうか。

石渡この部分をどうしようというよりも、ゲームそのものがチャレンジだと思っています。『GUILTY GEAR』だと、これまではどこをパワーアップさせるのかというのを考えていましたが。ですが、本作では『GUILTY GEAR』がそれまで持っていたものは、いったんないものとしてゼロから構築し、いままでよかったものは残すというスタンスで考えています。

片野いままで『GUILTY GEAR』シリーズやアークシステムワークスのゲームは、日本に向けたアプローチが多く、日本のプレイヤーが強いタイトルでした。本作は、より一層世界全体に向けてアプローチしていくというチャレンジを、ゲームシステムやプロモーションでしていきたいです。もともと『GUILTY GEAR』をプレイしていた人や、ゲームセンターで生まれ育った人じゃないと遊べないようなゲームにはする気はありません。どのデバイスでも平等にプレイできるようになればいいなと。

石渡いままでの『GUILTY GEAR』は、ゲームセンターがメインになっていて、アーケードスティックでプレイする人が多くて、我々もそれを基準にゲームを開発していました。ですが、海外に目を向けると、アーケードスティックの普及率が違っていて、パッドでプレイされている方もたくさんいます。じゃあ、これをパッドでプレイしたらどうしようか、というのはこれまで以上に考えている部分があります。突き詰めれば難しくなるのは競技性の奥の深さなのですが、今回の『GUILTY GEAR』は、難しいコンボを競うのはやめましょうと。

――最新PVで登場したメイですが、すごし大人になったような印象を受けました、時代的には、『Rev2』よりも未来の話になりますか?

石渡時代が変わっているのではなく、デザインが変わったと捉えていただければと思います。世界設定としては地続きになっていますし、はるか未来の話ではありません。『Rev2』のその後のお話になっています。

――『GUILTY GEAR』といえば、石渡さん作曲の楽曲・BGMが使われることも魅力のひとつですが、本作では?

片野今回のテーマソングも、『Xrd』と同じくNAOKI HASHIMOTOさんにお願いしています。音楽も、石渡が担当しています。

石渡絵柄が変わったのと同様に、路線みたいなところがいままでと変わっているかもしれません。

――PVでもっとも見どころだったのが、キャラクターが吹き飛んでステージが変化するシーンでした。アークシステムワークスさんの過去の作品から考えると、ただの演出ではなくシステム的な働きがあると予想するのですが、そういう部分は考えられていますか?

石渡我々の専売特許としては、何をするにしても格闘ゲームのバランスであったり哲学に落とし込むというところです。間違いなく、ただの演出ではありません。

――ARCREVO America 2019にて試遊が行えるようですが、どういった内容のものがプレイできるのでしょうか。

片野フルスペックではないですが、ゲームの概要がわかるような内容のものがプレイできます。使用できるキャラクターについては続報をお待ちください。また、プレイステーション4で発売することは発表していますが、プレイステーション4独占タイトルというわけではありません。それ以外の対応ハードなどについては、続報を待ちください。

『NEW GUILTY GEAR(仮題)』石渡氏と片野氏に聞く。続編ではなく“新しいタイトルを作った”というスタンス【TGS2019】_04