2019年7月16日、『ドラゴンクエスト』シリーズ初の3DCGアニメーション映画として、2019年8月2日より全国で公開される『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の完成報告記者会見が、東京・六本木のザ・リッツ・カールトン東京にて行われた。

 ゲームファンや『ドラゴンクエスト』ファンならすでにご存じかもしれないが、同作は『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』(以下、『DQV』)を原案に、『ALWAYS 三丁目の夕日』や『STAND BY ME ドラえもん』などを手掛けた山崎貴総監督率いる制作チームが、4年もの歳月と総力を挙げて完成させたタイトルだ。そんな注目作品の完成報告記者会見の模様を、仔細に渡ってお届けする。

映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』制作秘話が飛び出した完成報告記者会見の模様を徹底リポート。主人公役の佐藤健を始め豪華キャストが登壇!_01

制作陣が語る本作への想いや見どころ

 同会見には、主人公のリュカを演じる佐藤健さんを筆頭に、ビアンカ役の有村架純さん、フローラ役の波瑠さん、ヘンリー役の坂口健太郎さん、パパス役の山田孝之さん、サンチョ役のケンドーコバヤシさんといったキャストが登壇。そして、制作スタッフの代表として山崎貴総監督と、本作の監督を務めた八木竜一監督&花房真監督、さらに『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親であるゲームデザイナーの堀井雄二氏、本作にも楽曲を提供した作曲家のすぎやまこういち氏も登場し、まさに本作に関わるパーティ大集結! といった形でスタートした。

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 以下では、記者会見に登壇したスタッフのコメントをまとめて紹介していこう。

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 会見は原作の『DQV』を手掛け、本作の監修も務めている堀井雄二氏の「『DQV』はいちばん思い入れのある作品なので、映画化は本当にうれしい。ゲームをやってない人にもぜひ観てほしいです」という言葉からスタート。また、映画化に際してリクエストを出したのかという質問に対し、「ゲームをやったことのない人もわかる映画にしてほしいということはお願いしました。その点はよくできていると思います」と答えた。

 さらに、「『ドラゴンクエスト』が社会現象なった30年ほど前に、映画化をしてみては? という話はあったのですが、ゲームは体験するエンタメなので、映画にしてもおもしろくないかもと思っていた時期もありました。でも、いまは技術の進歩もあり、追体験できる作品にするのはありかなと思って。いまだにビアンカとフローラの論議はありますが、映画でどうなっているかも楽しみにしてほしいです」と語った。

 本作の楽曲を担当し、「いちオーディエンスとして楽しみ」だというすぎやまこういち氏は、「ゲーム音楽の場合は、町の曲でも戦闘の曲でも、何回も聴くことになるので、“聴き減りのしない音楽”にすることを心掛けています。ところが映画音楽の場合は一発勝負なので、『DQV』の音楽を映画用に再編曲するときに、1回で聴いてもわかるよう、それぞれの曲の色をハッキリ出すようにしました。また、ボクはふだんから“オーケストラ音楽の伝道師”と自称しているので、お客さんにオーケストラのよさを感じてほしいと思いましたし、劇中のセリフと同じくらい音楽も語ってくれるよう、監督にお願いした」とのこと。

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本作について熱く語るすぎやまこういち氏(写真左)と、笑顔を見せる堀井雄二氏(写真右)。

 山崎貴総監督は、「本作は“プレスコ”という作りかたをしていて、最初に演者さんに声をいただきました。そのときに、お芝居の雰囲気や気配、その方が持っている資質などをいっしょにもらって、それをCGにしていきました。だから、今回のキャスティングは“そのまま実写化しても大丈夫な方々”で固めました」とコメント。

 主人公のリュカを演じた佐藤健さんについては、「主人公を背負ってくれたな、と。ゲーム好きな方ですから、こういう企画は怖かったと思うのですが、真摯に演じてくれた」と、太鼓判を押した。それを受けて佐藤健さんは、「このチームだからこそ成立した企画で、制作陣に対する信頼があったからこそ」と答え、制作チームとキャスト陣の信頼度の高さをうかがわせた。

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脚本も担当した、山崎貴総監督(写真左)。魂を削って本作を形にしていったのが、八木竜一監督(写真中央)と花房真監督(写真右)だ。

キャスト陣が披露する収録秘話!

 そんな佐藤健さんにまつわるエピソードとして、ビアンカ役の有村架純さんが「ビアンカを演じるにあたって悩んでいたら、健さんから“舞台に立っているように演じるといい”というアドバイスをいただきました」と、収録時のこぼれ話を披露。

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ビアンカを演じた有村架純さん。佐藤健さんからのアドバイスがビアンカの演技に影響を!?

 「僕がいちばん最初に声を撮り始めたんですが、初日は何も掴めずに終わってしまい……。2日目くらいからなんとなく掴めてきて。3日目に有村さんといっしょの収録だったのですが、有村さんが初日の僕のように困っていたので、アドバイスしたんです」と、佐藤健さんも恥ずかしそうに答える。

 すると、すかさずフローラ役の波瑠さんから「私は佐藤さんからアドバイスをもらっていないんですけれど……何でだろう?(笑)」とツッコミが。そんな波瑠さんに「(波瑠さんは)最初から上手だったので!」と返すのが精一杯の佐藤健さんだった。

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主人公のリュカを演じた佐藤健さん(写真右)からはアドバイスされていないとツッコむ、フローラ役の波瑠さん(写真左)。

 ヘンリーを演じ、自身も大の『ドラゴンクエスト』ファンであるという坂口健太郎さんは、「リュカを演じる佐藤健さんとタイミングを合わせて絶叫するような演技があり、そこが難しかった」そうだ。

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『ドラゴンクエスト』シリーズが大好きだという、ヘンリーを演じた坂口健太郎さん。

 声優の経験も豊富で、『ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり』でツェザールというキャラクターの声を演じたこともある山田隆之さんは、「監督に大げさに演じるかフラットに演じるかを相談したら、“ハイブリッドで”と言われたので迷いました。だから、ほどほどのパパスだと思います」とコメントし、笑いを誘った。

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誰もが認める『ドラゴンクエスト』ファンの山田孝之さん。大好きなパパスの声を演じることはプレッシャーだったそう。

 『DQX』のプレイヤーとしてもおなじみのケンドーコバヤシさんも、「ナンバリングはすべてプレイしてきた作品なので、その世界に入れたことは喜びでした」と、『ドラゴンクエスト』ファンらしい率直な想いを語った。

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『ドラゴンクエスト』大好き芸人としてもおなじみのケンドーコバヤシさんは、サンチョを演じている。

 続いてのキャスト陣への質問は、“熱くなったシーンは?”というもの。佐藤健さんは、「プロポーズのシーンは演じるうえでもたいへんだったのですが、そのシーンを映画で観たときはエモかったです(笑)。ビアンカが好きな人もフローラが好きな人も満足できる終わりは存在しないと思っていたけれど、存在しましたね!」と、重要な選択を見せてくれるシーンに言及。

 坂口健太郎さんは「ヘンリーがリュカといっしょに戦うシーンがあるのですが……再会するところがいいです」と、ネタバレに注意しながら慎重にトーク。山田孝之さんも「天空の剣が柄から抜けるシーンは……『DQV』を遊んでいるからわかっていたけど、感動しました。ギリギリ泣かずに済んだくらい」と、ならではのシーンを選出。

 『DQ』に格別の思い入れがあるケンドーコバヤシさんは、「バギ系ってこう使うのね、というのがわかるシーンはカッコよかった」と、独特の視点でピックアップ。花房監督によれば、「バトルで呪文を使うときなどの動きに関してはこだわり、激論をくり返した」とのことなので、そこが気になるというのも納得だ。

 ケンドーコバヤシさんはさらに、「個人的には、ビアンカが階段を降りるシーンで、アップになったときのビアンカの表情にはゾクゾク来ました」と、ピンポイントなシーンに言及。これには「表情はかなり気合を入れて作っていた」という八木監督や花房監督も、うれしそうな表情を見せていた。

 女性キャスト陣は、主人公に感情移入できるシーンがお気に入りのようで、有村架純さんは「リュカが感情的になっているところは、いっしょに応援したくなる。そういうシーンが好きです」とコメント。波瑠さんは「リュカが心を決めてプロポーズするシーンは好きです」と語ってくれた。

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フローラ役の波瑠さんは、町中の男性が憧れるお嬢様を自分が演じると聞いたときは驚いたそう。

 最後に佐藤健さんが「本当の見どころは話せないところなんですけどね」という意味深な言葉で、熱くなるシーンのトークを締めくくった。

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佐藤健さんのコメントは核心に迫る発言ではないものの、何かが本作にはあることを期待させてくれた!

 記者会見の最後は、『DQV』を遊んでいたという男性キャスト陣に、「当時はビアンカとフローラのどちらを選んだのか」という質問が。坂口健太郎さんは「みんなに驚かれるのですが、フローラ派でした。2回目はビアンカでしたけれど」とコメント。ケンドーコバヤシさんは「昔はビアンカでした。けれど、本作ではこんな美しいふたりが演じていますし、両方どうにかならいかなという想いも……」と邪な考えをのぞかせて、笑いを誘った。

 誰もが認める『ドラゴンクエスト』ファンの山田さんは「いろいろなところでビアンカ派と言っていますが、一途と言われるのもイヤなので……いまからウソをつきます。ビアンカとフローラを行ったり来たり」と語って場を混乱(?)させ、「でも、ウソなんだよね?」とケンドーコバヤシさんからツッコまれる場面も。

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 佐藤健さんは「ゲーム的には、フローラ。ステータスも高いし、いいアイテムをもらえるから。ただ、当時は無垢な少年だったので、最初にビアンカを選んで、2周目にフローラを選びました」とのこと。ステータスにまで言及する佐藤健さんに、山田孝之さんも「健らしい」と笑っていた。

 終始、和やかなムードで、『ドラゴンクエスト』愛に溢れた完成報告記者会見だった。だが、キャスト陣が語った見どころは本作の本当に一部であり、佐藤健さんが語った「本当の見どころは話せないところ」という言葉は、とても納得できるものだ。キャストの皆さんのように多くは語れないが、そういったシーンがあるということを踏まえたうえで、ぜひ劇場に足を運んで、その目で確かめてほしい!

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