テイクツー・インタラクティブ3番目のパブリッシングレーベルPrivate Divisionより発売予定の『Ancestors: The Humankind Odyssey』は、初期『アサシンクリード』シリーズなどのクリエイテイブディレクターを努めたパトリス・デジーレ氏による最新作。デジーレ氏が2015年に立ち上げた自身のスタジオPanache Digital Gamesの第一弾タイトルとなる。

 タイトル名にある “Ancestors”は、“祖先”という意味で、本作は1000万年前のアフリカを舞台に、人類の進化を描くという壮大なスケールの“サードパーソンオープンワールドサバイバルアクション”だ。E3 2019の会期に合わせて、パトリス・デジーレ氏に話をうかがうことができたので、そのコメントを交えながら本作の概要をご紹介しよう。

1000万年前からの人類の進化を描く壮大なサバイバルアクション『Ancestors: The Humankind Odyssey』は、とにかく歴史の始まりを描きたかった!?【E3 2019】_09

 『Ancestors: The Humankind Odyssey』で描かれるのは1000年前~200万年前までの800万年間。最初に登場するのは16人の仲間たちで、プレイヤーは彼らをうまく導きながら、人類を進化させていくことになる。本作では、プレイヤーはときに神の視点に立って、カップルをマッチングしたり、ときに先陣に立って凶暴な野生動物と戦ったりすることになる。仲間たちを生き延びさせるために力を尽くすというのが、プレイヤーの役回りだ。ちなみに、1度失われた仲間は戻ってこないというから、慎重な判断が必要となりそうだ。

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 デジーレ氏の話をうかがう限りでは、進化のキモは子孫の存続にあるようだ。前述の通り、本作では仲間どうしのカップルをマッチングするのがプレイヤーの仕事になるようだが、カップルの組み合わせしだいでは、スペシャルアビリティを持った子どもが生まれてくることがあるという。最初はたどたどしかった仲間たちも、代を経るごとに肉食を覚えたり、ジャンプできるようになったり、長く走れるようになったり……と、徐々に強靭さを身に着けていく。食べて、眠って……という生活を送るうちに、被食者から捕食者になっていくというという、人類の進化の過程を体験できるのが本作だ。

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 本作のために、2年間にわたって人間の進化をきっちり勉強したというデジーレ氏。進化の過程はリアルに踏襲しているという。ただし、進化の過程をなぞってきっちりゲームを進める必要は一切ない。本作のプレイ時間を聞いてみたところ、「テスターは5時間でフィニッシュできた」そうだが、「人類が辿った道筋よりも早く進化できることもできるし、逆に進化しないでまったりと長時間楽しむこともできる。とにかく好きにできるんですよ」とデジーレ氏。

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 と、ここまで話を聞いてきて、いちばん聞きたかった質問をぶつけてみた。「なぜ、このゲームを発想したのですか?」というものだ。それに対するデジーレ氏の答えは……「最初は、小さいチームでオープンワールドをやりたいというのと、3Dでサードパーソンをやりたいという思いがあったんです。とくに題材は考えていませんでした。そんなときまわりの人から“あなたは『アサシンクリード』を作っていたのだから、歴史モノをやったら?”と言われたんです。ただ、歴史モノをやるとなると、町を作らないといけない。それはたいへんだから……ということで、ヒト族とゴリラ族が分岐したと推定されている約1000万年前にしたんです」と、嘘か真か微妙に判断がつかないようなお答え。とはいえ、実際のところ開発はそんなに簡単ではなかったようだが……。

 にしても、時代を遡るにもほどがあるが、デジーレ氏の「いちばん最初をやりたかった」とのコメントが本音であるような気がする。「キャラクター性があまりないから感情移入がしづらいのでは?」との疑問をぶつけてみると、「自分の中のDNAが、どんなゲームにも負けないストーリーを思い出させてくれますよ」(デジーレ氏)とのこと。

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 さて、前述も通り『Ancestors: The Humankind Odyssey』は、デジーレ氏が立ち上げたPanache Digital Games最初のタイトルとなる。チームメンバーは35人で、「会社を作って、人を雇ってゲームを作るというのはかなりたいへんなことでした。本作は私が作る初めてのゲームではありませんが、チームと組んでいっしょに作る最初のゲームです。何もかも初めての経験で、すべてを学習しながら取り組んでいます」と、何とも『Ancestors: The Humankind Odyssey』のゲーム内容とリンクしているかのようなお言葉。ゲーム内容にしてもスタジオの軌跡にしても、まさに“進化の過程”が大きなテーマであったのかもしれない。ちなみに、チームメンバーとなる35人の中には、数々の大作を手がけたベテランスタッフが多く在籍しているようで、デジーレ氏にとっては力強いサポート役となったようだ。

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 『Ancestors: The Humankind Odyssey』はPC版が2019年8月27日に、プレイステーション4版とXbox One版が12月4日に配信予定。聞くところによると、どうやらPrivate Division自身の手でローカライズの作業が進められているようで、日本語を含む13ヵ国語への対応を予定しているという。日本のファンにとっては何ともうれしいお話だが、最後にデジーレ氏にメッセージをお願いすると、「本作は、アフリカの1000万年前を体験できるパーフェクトなゲームです。ぜひともご期待ください」とのこと。「つぎのゲームにつながるようなエンディングになっている……」とのことなので、早くも次回作も視野にあるようだ。

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