gumiより本日(2019年6月7日)配信された、Oculus Rift、HTC VIVE、WindowsMRおよびOculus Quest向けソフト『ソード・オブ・ガルガンチュア』(価格1990円[税込]、開発:よむネコ)。自分の体の動きが仮想空間に反映されることによる“没入感”の高さがかねてから話題となっていた本作だが、ローンチの直前にプレイする機会を得たので、その感触をお伝えしたい。

自身の動きがバーチャル空間に反映

 まず、本作について簡単に説明すると、重厚な鎧をまとった兵士が地下空間で敵と戦い、最終的に巨大で強大な敵“ガルガンチュア”を倒すことを目的とするVR剣戟アクションゲームだ。実際に自分が剣を振り、盾を構えるというアクションがそのままバーチャル空間へと反映されるわけだが、前述の通りその“没入感”が大きな特徴。敵の攻撃をタイミングよく盾でガードしたり、相手が怯んだ隙に一気に攻撃を仕掛けたりとリアルな剣戟はシンプルではあるものの、その臨場感はかつてない水準のものと言えるだろう。

 最初は敵との間合いがつかめなかったり、ガードのタイミングがずれてダメージを喰らったりすることも。しかし、慣れてくると敵との適切な距離もわかってくるし攻撃されるタイミングに合わせてガードできるようになる。こういった自分自身の上達を実感できるのが、本作の醍醐味とも言えるのだ。

【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_10
ちなみにこれは後述するOculus Questの画面。Oculus QuestでのマルチプレイがPCと同じ感覚でできるのも特徴のひとつだ。

 プレイしてみてすぐに感じたのは、「いま“自分”が剣を握って戦っている」という感覚の強さだ。これまでもVRゲームのプレイ経験はあるが、どれもコントローラーで操作するもので、座ったままでも遊べるものばかりだったので、実際に身体を動かし、しかもその動きがそのままゲーム内に反映されるという感覚が新鮮で楽しかった。

MR撮影機能(LIV)にも対応
 ゲーム内に自分がいるような映像が簡単に作れる機能にも対応している。アニメのキャラクターに置き換えても作成できるので、なりきってプレイするのもおもしろい。また、まわりで見ている人も臨場感を味わえてみんなで楽しめる。

【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_04
【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_05
実際のプレイの様子。MR機能でこのように投影される。

敵との距離=“間合い”が大事

 本作では30種類もの武器が使用可能。それぞれの武器にあわせて、戦いかたや構えかたも当然変わるので、自分なりにしっくりくる戦闘スタイルを探してみるといいかもしれない。ちなみに、戦闘において重要なのが、先ほども言及した“間合い”。当然ながら、敵との距離が遠すぎると攻撃は当たらず、近すぎると敵からの攻撃を受けやすくなってしまう(本作では、敵に接近するとやたらと蹴られて吹っ飛ばされる。いったい何度蹴られたことか……)。

【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_02
蹴られた瞬間。この写真ではわからないが、プレイヤー視点だとけっこう後ろに飛ばされる。
【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_11
間合いを詰めるとこんな感じに。至近距離での駆け引きは相手の攻撃もかなり迫力がある。

 非VRゲームとの違いなのかもしれないが、ふだんのテレビモニターとコントローラーでの操作感で敵と対峙すると距離が遠くなりがちだ。私が剣を振るうアクションが控えめだったこともあり、なかなか攻撃が届かない。敵に斬撃を食らわせるには、思い切って接近する必要があるのだ。間合いを把握するのはなかなか難しいし、思い切りが必要だが、それだけに攻撃がヒットするとより大きな喜びが感じられる。

攻撃を防いで反撃のチャンスを

 画面を見ると想像しやすいと思うが、攻撃を防御し、反撃するというのが本作の基本的な戦闘スタイルとなる。この戦闘スタイルを採用した理由について開発を手掛ける“よむネコ”のプロデューサー土橋氏は、「“VRらしさ”を表現するには、防御の動作に重きをおくことが重要だから」と語っていた。バトルの駆け引きが“剣を振って攻撃する”というアクションだけになるよりは、“敵の攻撃を防御し、怯んだ隙に攻撃を加える”という一連の流れが大切というわけだ。確かに、仮に防御がボタン操作で行うものだったら、格段に没入感は落ちることだろう。

【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_06
盾を構えて“防御”しながら進もう。くれぐれも味方にまかせっきりにはしないように!

 操作に慣れるまでは、防御は失敗するし、攻撃は当たらないしで何度も倒されてしまう。しかし、このもどかしさこそが、何より自分が戦っているという実感を与えてくれるように思う。やはり、リアルに両手を動かし、体の重心を変えながらアクションする過程が、圧倒的な“没入感”につながっていくのだ。

 ちなみに本作では、盾を使わずに敵の攻撃を回避するアクションにも工夫がこらされている。身体を前後左右に素早く振るとステップ(※)を踏むが、“敵の攻撃をよけた”という感覚になるのだ。記者はステップを習得してからはこれを多用していたのだが、それはタイミングが合えば華麗に攻撃を回避でき、盾でガードするよりも爽快感が増すからだ。姿勢を低くして攻撃をよけてもいいが、敵は下から振り上げる攻撃もしてくる。隙を見せたら負ける……これぞまさに“戦い”だ。

※ステップ:攻撃回避の際、コントローラーの左トリガーを押しながら頭(上半身)を前後左右に素早く振ることで、その方向へ一瞬で移動できる。

成長するのは自分自身

 本作に成長要素のようなものはないが、ゲームシステム上、自分自身の成長がプレイに直接影響してくるので、レベルアップするのは自分、ということになのかもしれない。武器はアンロックされていくので、特定の武器での戦いかたを極めてみるのもおもしろいだろう。

 さて、成長と言えば、プレイ中成長できなかったことがある。後ろを振り返り忘れることだ。いつもコントローラーのカメラ視点を移動させているので、どうしてもコントローラーで視点移動してしまう。何度背後に回られたことか(「うしろうしろ!」と周囲で見ていた方が声を掛けてくれたのだが、振り返っているあいだに攻撃をうけまくった)。自分自身で振り返るほうがゲームにより深く入り込めるので、プレイするときはできるだけ後ろを振り返ったりしながら、自分で動いてみることをオススメする。

【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_03
「うしろ!」と言われた場面。目の前の敵を倒した直後なので全然気づかなかった。

Oculus Quest

 性能の異なるVRハードでプレイできる世界初の本格剣戟ゲームでもある本作。今回はOculus Questでのプレイも体験させてもらったが、外部センサーがなく、コードレスでのプレイはさらに没入感がアップする。配線がないことによる操作感の違いは想像以上のものだった。ちなみに、本作は日本製初のOculus Quest向けゲーム(※2019年6月6日時点)とのことなので、その点でも日本のゲームファンには注目の1本となるだろう。

【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_08
【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_09
実際にプレイしてみたらこんな感じに。剣を振るときなど、コードを気にしないので快適だった。
【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_07
盾を構えてまさに剣を振ろうとしているところ! まわりからはこう見える。

オンラインマルチプレイバトルでは仲間とともに討伐を

 本作は、オンラインでマルチプレイが楽しめる。最大4人でチームを結成し、敵を倒していくのだ。今回は体験できなかったが、ボイスチャットを通して声を掛け合いながらの協力プレイはよりゲーム内に入り込んでいる感覚が味わえるはず。倒れた仲間に手をかざすことで蘇生させられる仕組みなので、当然だがチームワークが大切となる。

【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_12
これが最後の敵“ガルガンチュア”。見上げないと全体像が見えないほど大きい。

“VRならでは”の剣戟を実現できたからこその“没入感”

 開発を行うよむネコのプロデューサー土橋将人氏、代表取締役として本作に携わる新清士氏によると、一番苦労したのはVR空間にプレイヤーの動きを投影する部分での調整だったという。あたり判定にもこだわったそうで、動作にかかわる部分だけで1年もかかったというのだから驚きだ。

 “没入感”を高める工夫のひとつに、壁や塀に手をつくとプレイ画面内ではちゃんと手をついた状態で止まるというものがある。現実では何もないので空を切るのだが、おもしろいことに脳が視覚情報に寄せて補正をかけ、本当に手をついたように錯覚するのだそうだ。実際、NPCと共闘する場面で、戦闘後に「よくやった」とNPCの頭を撫でてみたのだが本当にそこに人がいる感覚になった。これは不思議な感覚だった。

【新次元の没入感】仮想空間でリアルな剣戟が楽しめる! “VRならでは”にこだわった『ソード・オブ・ガルガンチュア』レビュー_01
反応はしてくれないが、かわいかった。これは仲間意識が芽生える。

 ちなみにプレイする前は、いわゆる“VR酔い”をかなり心配していたのだが、いざプレイを始めるとその存在自体を忘れてしまうほど自然に遊ぶことができた。これは、VR空間での見えかたを可能な限り実際の視界に近づける工夫を随所にほどこしているからなのだとか。

 たとえば、本作の操作キャラクターや敵は移動速度が若干遅いと感じる人がいるかもしれないが、これも“VR酔い”を起さないギリギリの速度に調整が施された結果、とのこと。もっとも、重厚な鎧をまとったキャラクターが剣戟をくり広げる本作では、その遅さも演出と感じるのだが。もちろん、絶対に酔わないとは断言できないが、「VRゲームは酔うから……」と敬遠している人も、本作なら従来作よりもVR酔いを気にせずにプレイできるのではないかと思う。

 “剣戟のゲームを作りたい”という思いで、2年もの歳月をかけ真剣に作られた本作。遊び応えのある作品に仕上がっているのは間違いないので、興味を持った方はぜひ遊んでみてほしい。

購入ページ
【steam】
https://store.steampowered.com/app/895200/Swords_of_Gargantua/
【Oculus Store:Rift】
https://www.oculus.com/experiences/rift/2001971263187898
【Oculus Store:Quest】
https://www.oculus.com/experiences/quest/3064046640291676/