異色の都市シミュレーションゲーム

 いまSteamで話題の本作は、1960年〜1990年代の冷戦下の共産圏都市をいちから建設していくという異色の都市シミュレーションゲームで、夢とロマンとマルクス主義の溢れる作品です。たとえば、住民ひとりひとりに“生活満足”のパラメーターがあり、不満を抱えた住民は国外逃亡を図るなど、歯応えのある難度が特徴。夢とロマンとマルクス主義はゲームのグラフィックに如実に表れています。たとえば、トラクターやトラックには、どう考えてもソ連赤軍からの払い下げにしか見えないものやダークグリーンの武骨なものが。四角張って冷たい印象を与える住宅、聴き惚れそうな音楽が、我々を共産圏都市発展という使命に駆り立てていきます。とにかく、夢中になると、時間が溶けてなくなるのが最高です!

『Workers & Resources: Soviet Republic』理想の共産主義国を君の手で!【とっておきインディー】_04
『Workers & Resources: Soviet Republic』理想の共産主義国を君の手で!【とっておきインディー】_05
建国当初は赤いトラクターが全国を走っていた農業中心の我が国も、いつか近代的な工業国家に発展する日がくるだろう。ウオッカで乾杯だ!

都市建設の作りかた

 本作では、プレイヤーは冷戦下の共産主義国家の指導者となって、都市建設をしていく。そのための手順を紹介しよう。

■住宅などの建設
 まずは、人民の住む住宅や働く場所を建設する。さらに、人民の生活に必要な食品や衣服、肉類を販売するショッピングセンターやアルコールが飲めるパブを設置。さらには、娯楽施設も準備する。娯楽施設の中で興味深いのは映画館。ちなみに共産圏では、映画というのは偉大なる政党の考えを人民に伝えるため、非常に重要視されていて、質の高い映画が生まれたという経緯がある(ちょっとうんちく)。

■税関を通して輸出を
 働く場所では人民が懸命に働き、生産物が生まれる。国内で消費してもまだ余る場合には、税関を通じて輸出できる。西側諸国に輸出することも可能だ。西側と接触すると堕落するという秘密警察などは存在しないので、安心して西側諸国の自動車や機械を購入しよう。

偉大な国家を築き上げるためのノウハウを指南!

 ソ連などの共産圏というと、“雄大なロシアの風景をバックに赤い星が輝き、妙に晴れやかな顔の人民が多数左右に配置されて、中央に敬愛する偉大な人民の指導者が、勇ましい顔をして両手を広げている……”といった印象を持つ方も多いのではないでしょうか? ここでは、読者の皆さんが偉大な指導者への道を歩む手助けをできればと思います。肖像画に描かれるような指導者を目指してがんばりましょう! ウラー!!

『Workers & Resources: Soviet Republic』理想の共産主義国を君の手で!【とっておきインディー】_02

▶建設/人民に愛される街作りを

 まずは、人民のために建物を建てましょう。偉大な指導者は、人民に敬愛される街作りをしなくてはなりません。人民が日常生活を送りやすいように、また仕事に通いやすいように、計画的な街作りを行うことが大切です。
 よく起こる出来事が、建物に道路が接続できないというケースです。我が国は起伏の激しい地形が多く、遠目に平地に見えたからといって、安心して建物を建てても、いざ道路を接続しようとすると坂道が急すぎて接続できないことがあるので、建設前に建物の起伏を確認しておきましょう。

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▶輸出と輸入/自給自足を目指せ

 本作には輸出と輸入の概念があります。近年の都市建設シミュレーションでは、人やお金、物などの流入、流出の概念が取り入れられていますが、本作も貿易や、諸外国からの移民を招くことなどが可能です。ゲーム初期の建設や、小売店の商品はすべてソ連からの輸入や有償支援で行われていますので、自国で生産による自足自給を目指しましょう。

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▶税関と通貨/生産設備どうしを接続

 我が国の国境には他国との税関が存在します。我が国は広大で、税関も10を超える数があります。税関では輸出することができますので、道路や線路を敷いて貿易を行いましょう。最初は何もありませんから、木材や農作物からスタート。国が成長すれば、電子部品など高価な輸出を目指していくことも可能です。なお、我が国は史上類を見ない四角形の国になっており、四辺はすべて外国と接しています。北方はソ連、南方は資本主義の国で、どちらにも輸出入が可能です。ルーブルを稼ぐもよし、ドルを稼ぐもよしです。

 輸出のためには生産が必要です。本作の特色とも言えますが、工場や倉庫などの生産設備どうしを接続することができます。接続することで、生産物が自動的に倉庫や小売店に搬送されます。この接続が、やり甲斐のひとつです。たとえば、農場→食品工場→倉庫→小売店と接続すると、道路や線路なしに農作物から食品を加工し、食料品店にて我が国の人民に提供できます。建物どうしを接続したいところですが、接続には距離や角度の制限があり、都市計画の緻密さが求められるなど、頭を使う楽しさがあります。

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▶電力と燃料/電圧を下げるべし

 ソ連の国境からは、高電圧線が我が国に延びています。発電所を建設するまでは、ソ連からの電力に頼っていくことになります(難易度高のみで、低難度ではただのモニュメントです)。ソ連からの電気は高電圧で送電されてきますので、建物で利用する場合は、まずは電圧を下げる必要があります。変電所を建設し、電圧を下げて各家庭に届けましょう。同じく高難度のときは、車両にもガソリンが必要になります。ガソリンスタンドの設置を忘れないように気をつけましょう。

『Workers & Resources: Soviet Republic』理想の共産主義国を君の手で!【とっておきインディー】_01

▶人民の生活/徒歩圏に必要な施設を!

 人民は徒歩の圏内で生活を成り立たせます。だいたい300mくらいが、人民が徒歩で行く限界のようです。人民の国外逃亡を防ぐためにも、徒歩圏内に生活に必要な衣食酒、スポーツ、エレクトロニクス、難易度によっては学校を建設する必要があります。徒歩圏内から外に行くには交通機関を設置。電車やバスを駆使して交通網を作り、人民を工場に送るようにします。ただし、バス停や駅は300m以上離して設置したほうがよいでしょう。筆者にも経験がありますが、バス停を徒歩圏内にふたつ設置し、バスを往復させると、人民はバスから降りた後、なぜか一目散に、乗ってきたバス停に歩いていきます。人民は歩く速度がけっこう速く、バスから降り、もとのバス停にバスより早く戻ってまたバスに乗る、という謎の行動を取ることがあるからです。

 本作はアーリーアクセスタイトルなので、こういった首をかしげたくなる行動がときどき見られますが、これもインディーゲームの魅力のひとつと考えて、改善を待ちましょう。

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▶音楽の魅力/聴き応えのある楽曲ばかり

 音楽も、雄大なソ連の情景が目に浮かぶものから、赤軍軍歌のような勇ましいもの、kraftwerkやpetshop boysのような電子音楽まで、聴き応えのある音楽が時間を忘れさせる一助になっています。まだまだ粗削りな面もある本作ですが、人を捉えて離さない魅力のあるタイトルで、多くの人に偉大な指導者を目指してほしいと思います。

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