2018年12月20日に発売された『√Letter ルートレター Last Answer』は、島根を舞台にしたアドベンチャーゲームの最新作。全世界で40万本のセールスを記録した前作『√Letter ルートレター』をベースに、新要素の“ドラマモード”と“解明編”のシナリオが追加されたほか、前作をプレイしたユーザーの意見の中で、とくに要望の多かった箇所が重点的に改善されている。

 “ドラマモード”では、総勢90名のキャラクターと島根のロケーションを実写で再現。風光明媚な島根の景色や町並み、そこに暮らす人々の姿をリアルに描いており、ドラマを見ているような感覚で楽しめる。本作には、箕星太朗氏がキャラクターデザインを手掛けた“オリジナルモード”も搭載されているので、ふたつのモードを自由に切り換えられるのもうれしい。

『ルートレター Last Answer』主人公マックス(声:山寺宏一)の“やべーやつ伝説”_01
実写キャストによる迫真の演技が楽しめるドラマモード。
『ルートレター Last Answer』主人公マックス(声:山寺宏一)の“やべーやつ伝説”_02
箕星氏による繊細なタッチのイラストが堪能できるオリジナルモード。

 また、“解明編”はエンディングの“その後”を描いた追加シナリオ。プレイヤーの選択によって分岐する5つのルートのうち、4つのエンディングに“解明編”が実装されており、主人公が探し求めたペンフレンド“文野亜弥”を巡る驚きの真実や、主人公と級友たちの心温まる後日談が描かれる。

『ルートレター Last Answer』主人公マックス(声:山寺宏一)の“やべーやつ伝説”_03
『ルートレター Last Answer』主人公マックス(声:山寺宏一)の“やべーやつ伝説”_04
“解明編”のシナリオも、ふたつのモードでプレイできる。

型破りな主人公“マックス”は、マジでやべーやつ

 『Last Answer』の名を冠して甦った『√Letter ルートレター』ですが、作品の特徴はほかにもあります。ここからは、記事担当ライターの私、ジャイアント黒田が、本作の主人公、“マックス”のヤバさを語り尽くしたいと思います!

 でもその前に。そもそも“マックス”こと中村貴之(※名前はゲーム開始時に変更可能)は、米国生まれ東京育ちの 33 歳の建築士。“思い立ったが吉日”を地で行くアグレッシブな性格で、本人は“フレンドリー”なつもりでも、周囲からは“馴れ馴れしい”と評されています。とういうか、実際にかなり馴れ馴れしいです(苦笑)。

『ルートレター Last Answer』主人公マックス(声:山寺宏一)の“やべーやつ伝説”_05
マックスは主人公のニックネーム。名前の由来は、“いつでも全力”だから。

 物語は、そんな彼が消印のない1通の手紙を見つけたところから始まります。手紙の送り主は、マックスが15年前の高校時代に文通していたペンフレンドの“文野亜弥”。その手紙には、衝撃的な告白が書いてありました。「私は人を殺してしまいました」と……。

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文野亜弥から届いた手紙。いったいどういうことなの!?

 亜弥と連絡を取ろうにも、マックスは手紙に書かれた住所しか知りません。そこで、一路彼女の故郷である島根に旅立つことに。手掛かりは、亜弥から届いた10通の手紙と、手紙に記された“チビ”、“サル”、“ガリ”、“デブ”、“ビッチ”、“メガネ”、“親友”の7人のクラスメイトのニックネームのみ。手紙を頼りに、亜弥と仲のよかった7人のクラスメイトたちを見つけ出し、彼女の行方を追う算段です。

 15年前、亜弥に惹かれていたマックスは、手紙の真相と彼女を見つけ出すのに必死。建築士にも関わらず、探偵まがいの調査に夢中になって、いろいろな伝説を生み出してしまうのです! ちなみに、一部ネタバレがありますが、核心的な部分には触れていないのでご安心を。ネタバレを少しでも気にされる方は、ぜひ本作をプレイしてからご覧ください!

マックスやべーやつ伝説1 “デブやハゲに容赦がない!”

 肥満や薄毛は、非常にデリケートな問題。筆者も体重110キロの巨体なので、体型のことをよくネタにしていますが、見ず知らずの人にいきなり「デブ」と言われると、傷つきこそしないものの、さすがに驚くと思います(苦笑)。

 当時のニックネームとはいえ、きっと多くの人が初対面の相手に「あなたは“デブ”ですね?」と聞くのをためらうハズ。でも、マックスは立ち止まりません(笑)。大森準というイケメンパティシエがダイエットに成功したことを突き止めたマックスは、彼を呼び出し、「お前が優しいデブくんなんだろう」と問い詰めます。

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デブじゃないと否定する準に、追い打ちをかけるマックス。

 最初は否定していたものの、数々の証拠を突きつけられ、追い詰められていく準。動揺した彼は、主人公に勧められるままチョコポテチに手を出してしまい、ついにマックスに屈して自分が“デブ”だと認めてしまうのです!

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マックスとチョコポテチの誘惑に負けた、クラスメイトの“デブ”こと準。

 また、“メガネ”こと田中耕介も、マックスの“口撃”に屈したひとり。亜弥のクラスメイトであったことをなかなか認めない耕介に、マックスはとっておきのネタで揺さぶりをかけます。そして、マックスの「はぎ取ってやる!」という言葉がトリガーとなり、耕介は自暴自棄に! 全力投球でカツラを投げ捨ててしまうのでした……。

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マックスさん、それ禁句だから!
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耕介さんもちょっと落ち着いて!!

マックスやべーやつ伝説2 “女だろうが子どもだろうが関係ない!”

 青春時代の憧れの存在を追うマックスは、たとえ女子どもが相手だろうとも追究の手を緩めません! “ビッチ”というニックネームから、このクラスメイトは女性だろうと目星をつけたマックス。普通ならここで、「初対面の人に“ビッチ”ですかと聞きづらいなあ」と立ち止まるはずですが、恋は盲目。“ビッチ=よくしゃべる=アナウンサー”というロジックのもと、看板アナの村上美咲(もちろん初対面)に「あんた、おしゃべりのビッチだろう」と問いかけます。

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マックスの失礼なひと言に、激昂する美咲。心中、お察しします……。
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一方マックスは、美咲が図星を指されて逆ギレしたとポジティブシンキング。空気を読むことなく、果敢に攻め続けるー!

 ですが、“ビッチ=美咲”というマックスの推理はハズレ。彼は、新たな“ビッチ探し”の旅へ出ます。マックスが目を付けたのは、ステージママとして人気子役の娘をサポートする、主婦の佐々木理子でした。理子が元タレントだと知ったマックスは、ビッチが女優を目指していたことを思い出し、“ビッチ=理子”だと確信して彼女のもとを訪れます。そして、マックスをスカウトマンだと勘違いした理子を連れ出し、ふたりでカフェへ。挨拶もそこそこに、日中のカフェで必殺のセリフ「あんた、ビッチだろう」が炸裂します!

『ルートレター Last Answer』主人公マックス(声:山寺宏一)の“やべーやつ伝説”_13
マックスは、決してくじけない鋼のハートの持ち主。ある意味、見習いたいかも!

 さらにマックスは、理子が苦手な“あるもの”を使って彼女を追い詰めようとしますが、残念ながら作戦は失敗。でも、そこで立ち止まらないのが我らのマックスです。理子がタレント活動を行っていた証拠品を見つけ出し、再び彼女のもとを訪れます。証拠品の中には、グラビアアイドル時代に理子が撮影した過激な水着姿のポスターも! ビッチと認めて当時のことを話さなければ、「このポスターをありさちゃん(理子の娘)に……(見せるぞ)」と脅す姿は、とても主人公に見えません。マックス、半端ないって!

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子どもの前で、“黒歴史”を話すのはやめてあげて!

マックスやべーやつ伝説3 “なんだかんだ最終的には憎めない存在になる”

 やりたい放題のマックスですが、クラスメイトたちと本音でぶつかり合ったせいか、はたまた彼の裏表のない性格の賜物か、次第に打ち解けて交流を深めていくことに。まさに、雨降って地固まるというやつですな。前作に収録されていたエピソードはもちろん、新たに追加された“解明編”でも、マックスとクラスメイトたちの心温まるエピソードが楽しめます。

 新たに収録されたエピソードでとくにグッときたのは、“政府の陰謀ルート”と“縁結びルート”のふたつ。前者には、大多数の男子が大好きな“アレ”が登場! 亜弥を巡る謎の真相を知った代償として、政府に捕らえられてしまったマックスは、島根を襲う大いなる脅威とみずからの使命を思い出すことに。そして、7人のクラスメイトと協力して巨大な敵に挑むという、熱いストーリーが展開します! 一方、本作のトゥルーエンドにあたる後者は、一大決心をしたマックスを級友たちがサポートする展開に、目頭が熱くなりました。

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“政府の陰謀ルート”の“解明編”のワンシーン。マックスと立ち上がるクラスメイトの勇姿にしびれる!

 本作をプレイすると、最初はマックスが肌に合わないかもしれません。正直、僕もそうでした(苦笑)。でも、いろいろなシナリオをプレイしていくうちに、自然とマックスやクラスメイトたちが好きになっていったのも事実です。

 本作は、マックスの声をベテラン声優の山寺宏一さんが担当しているのも好印象。何事にも全力で取り組む姿勢と、山寺さんのダンディーな声は絶妙にマッチしていて、マックスのことが前作よりも好きになれました(笑)。そうそう、“政府の陰謀ルート”は、山寺さんによる決めゼリフも必見!! 前作を見逃した人はもちろん、遊び尽くした人も、新鮮な気持ちで楽しめると思います。

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マックスの決めゼリフに登場する“Gギア”や“マックスモード”とは!? ぜひ本編で確認してね!