2018年12月3日に、東京都・品川のグランドプリンスホテル新高輪にてソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)主催による“PlayStation Awards 2018”が開催された。プレイステーションフォーマットで発売されたタイトルの中からヒット作品を表彰する同授賞式は、今回で24回目を数え、この1年のゲーム業界のトレンドを俯瞰する絶好の機会ともなっている。

 そんな“PlayStation Awards”において、今年奇しくもアメリカ西海岸にオフィスを構える3つの実力派スタジオのタイトルが受賞を果たし、それぞれクリエイターが来日した。『The Last of Us Remastered(ラスト・オブ・アス リマスタード)』(PS4)でPlatinum Prizeを受賞したノーティードッグと、Gold Prizeとユーザーズチョイス賞を受賞した『ゴッド・オブ・ウォー』(PS4)のサンタモニカスタジオと『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』(PS4)のインソムニアック・ゲームズだ。

 世界に名だたる3つの開発スタジオの関係者にお話しを聞けるせっかくの機会!ということで、ファミ通.comでは“PlayStation Awards 2018”に合わせて来日したクリエイターにインタビューをさせていただいた。まずは、『The Last of Us Remastered』の開発スタジオであるノーティードッグのジョン・スウィーニー氏とアーニー・メイヤー氏に行ったインタビューの模様をお届けする(PlayStation Awards 2018受賞タイトルの詳細は、以下のリンク記事でご確認を)。

ノーティードッグ

 1984年設立。SIE ワールドワイド・スタジオのひとつ。『クラッシュ・バンディクー』シリーズや『アンチャーテッド』シリーズ、『The Last of Us』シリーズなどを手掛け、ゲーム開発に対する姿勢と高い開発力は、ユーザーのみならず世界中のゲームクリエイターからも高い評価を受けている。

『The Last of Us Remastered(ラスト・オブ・アス リマスタード)』

 2013年にプレイステーション 3向けに発売され、世界中で数々の賞を受賞したサバイバルアクション『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』をプレイステーション 4向けにフルHD化。さらに、配信済みのおもな追加ダウンロードコンテンツもまとめて収録されている。寄生菌のパンデミックが発生して荒廃してしまった世界で、ブラックマーケットでの取引で生計と立てているジョエルと、10代の少女エリーとのサバイバル劇が描かれる。2014年8月21日の発売以降着実にセールスを重ね、リリースから4年目にしてPlatinum Prize(※)の獲得となった。

※Platinum Prize……日本を含むアジア地域で累計出荷数(配信数) 100万本を超えたタイトル。

ノーティードッグクリエイターインタビュー、『The Last of Us Remastered』が評価されたのは、万人が楽しめるゲーム作りを第一にした成果_03

ジョン・スウィーニー氏

『The Last of Us Remastered』アートディレクター

アーニー・メイヤー氏

『The Last of Us Remastered』ディレクター・オブ・コミュニケーション

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より多くのプレイヤーに感動を届けることを目標に

――Platinum Prize受賞をおめでとうございます。『The Last of Us Remastered』ではどのようなところがプレイヤーに評価されたと思いますか?

ジョンプレイヤーごとに心に響くシーンや理由は異なると思いますが、終盤のキリンと遭遇するシーンは多くのプレイヤーに気に入っていただけたと思います。おそらく、ゲームの中でもいちばん人気のあるシーンなのではないでしょうか。

――開発を進めているときから、これほど人気が出ると想定されていましたか?

ジョンゲーム全体の中でも特別なシーンになると感じていましたし、プレイヤーに気に入っていただければいいなと思うシーンのひとつではありましたが、ここまで評価していただけるとは思っていませんでした。

――ゲームを作る際は、意図的にそうした印象的なシーンをいくつか作り、それらを織り交ぜながら全体の流れを構築していく、というスタイルなのでしょうか?

ジョンそうですね。制作の段階からストーリーにリズムを持たせることを意識しながら、シーンごとに何かを感じていただけるように考えて重要なシーンを作っています。ストーリーのなかにいくつか、キャラクターの内面を描写するシーンや、印象的なシーンを入れ込むという感じですね。

アーニーシーンごとに描いている内容はさまざまで、緊張感に満ちたシーンがあれば、和むようなシーンもあります。そういったシーンを通してプレイヤーに感情移入してもらうことで、よりストーリーに没入できるようにしているんです。

――シーンごとにコントラストを出しているわけですか。

ジョンはい。その例としてわかりやすいのがキリンのシーンですね。プレイヤーはそのシーンを迎えるまでに、ゲームプレイやいろいろな出来事を通してジョエルとエリーが絆を築く過程を体験していくわけですが、キリンと出会う直前にはエリーがどこか気分が浮かないような様子を見せるんです。その後にキリンを見つけて興奮する彼女の姿を描くことで、緊張と緩和が生まれて印象深いシーンに仕上がったのかなと思います。

――なるほど。ちなみに、キリンのシーンで、制作の裏話はあったりしますか?

ジョンじつはあのシーンは、もともとキリンではなくシマウマが登場する予定だったんですよ。私はそのシーンのアートを担当していたので、シマウマのアートでTシャツを作ったのですが、結局キリンに変更になったため、そのTシャツが日の目を見ることはありませんでした(笑)。

――それは悲しい(笑)。なぜキリンに変更になったのでしょうか?

ジョン自分以外にも多くのスタッフが関わっていたこともあって、シマウマからキリンに変わった正確な経緯は覚えていません。キリンでなくてもあのシーンの感動は損なわれなかったかもしれないと思いますが、直前のゲームプレイでハシゴを使って高い場所に登ることになっているので、その後に登場しても不自然ではない動物としてキリンになったのだと思います。

――ゲームプレイ全体を通したリアリティーのためでもあったんですね。

ジョンあとはニール(ニール・ドラックマン氏。脚本・ディレクターを担当)を始めとするディレクター陣が、キリンの見た目や、ありふれた動物ではないというところが気に入ったのかなと。

アーニーおもしろいことに、シマウマが登場する予定になっていた段階から、コンセプトアートの背景にはキリンが描かれていました。室内にはシマウマがいて、屋外にはキリンがいるという絵を無意識のうちに描いていたんですよ。
 それから、エリーはそのシーンまで自分の目で生きている動物を見たことがないので、その感動をより大きく表現するためにも、ありきたりな動物ではなく特別な動物にしたかったんです。

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――今回受賞したリマスター版を合わせて、世界中でプレイされてきた『The Last of Us』ですが、地域ごとにプレイヤーからの反響に差はありましたか?

アーニー世界中のプレイヤーに楽しんでもらえるようなストーリーを作っていることもあって、どの地域でもほぼ同じように感動してくださって、反響が地域ごとに異なるということはありませんでした。
 ただ、プレイヤーごとの立場の違いで反応も違うことは興味深かったですね。たとえば、冒頭でジョエルの娘のサラが亡くなるシーンではとくに、子どもがいるプレイヤーからの反響がどの地域でもすごく大きかったんです。

――となると、ターゲット層はとくに設定せず、あらゆる人が楽しめるようなゲームを目指して開発を進めたわけですか?

ジョンええ。先ほど例に挙がったサラが亡くなるシーンも、子どもを持つプレイヤーに向けて作ったというわけではなくて、どのプレイヤーでも感動できるようなストーリーを作りたいと考えた結果生まれたものです。

アーニーノーティードッグは、自分たちの作るゲームをできるだけ多くのプレイヤーに遊んでほしいというポリシーで開発しています。それを実現するための取り組みの一環として、障害を持つプレイヤーに配慮して『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』などでは連打を要求される操作を長押しでおこなえる設定を用意したり、攻撃を行うときに自動で対象に照準が合うようにできるようにしたりと、アクセシビリティの充実に力を入れています。

――ストーリーを作るときにも、その考えをもとに万人に楽しめるものを目指していると。

ジョンどんな人でもコントローラーを手に取って、ストーリーに没入して楽しめるゲームを作るというのが私たちの理想です。

――『The Last of Us Remastered』においては、どのようなところで万人に受け入れられるための工夫をされましたか?

ジョンジョエルとエリーを主人公にストーリー全体を通して描いている、人と人との絆は誰でも共感できるものだと思います。
 それに、本作では、ふたりの旅路の中で起こるいろいろな出来事を通して、エリーとジョエルの絆がどのように深まり、どうやってふたりが成長したのかを、プレイヤーがともに体験できるようになっています。
 ゲーム全体でそういった流れを作ることで、先ほどのキリンのシーンや、ラストシーンで、プレイヤーがキャラクターの気持ちを理解できるようになるんです。たとえ共感はできなくても、キャラクターがなぜその行動を取ったのかがわかるようにストーリーテリングを工夫しているので、多くの人の心に響くものになっているのではないかと思います。

――そうして制作された『The Last of Us』では、プレイヤーの年齢層や男女比はいかがでしたか?

アーニー『The Last of Us』や、ノーティードッグがこれまでに作ってきた作品は、TPSやアクションアドベンチャーというジャンルの平均に比べて、はるかに女性の割合が高いですね。我々のもとに届くファンレターやファンアートの数にも表れています。
 とくにファンレターなどを見ると、エリーや『アンチャーテッド 古代神の秘宝』のクロエとナディーンのように、女性の主人公に勇気づけられたり感動したりしていただけているようです。それは我々にとっても、非常にうれしいことですね。

ジョン女性のキャラクターが重要な役割として登場することも大きな理由だと思いますし、そうしたキャラクターの描きかたや、演じるアクターの方の演技も非常に感情移入しやすいものになっているので、そういったところで性別に関係なく楽しんでいただけているのかなと思います。
 それから、ここでとくに強調しておきたいのが、ノーティードッグは質の高いものを作ることにこだわっていて、パフォーマンスキャプチャーにもとても注力しているということです。そのため、非常に繊細な表現をアニメーションや声の演技で実現できていますし、ローカライズにおいても、オリジナルの英語の演技で伝わるものと同じ感情をプレイヤーに伝えてもらえるような演技ができる方に吹き替えてもらうということを重視しています。

――日本での高い評価も、そうしたローカライズへの姿勢が影響しているのでしょうね。

ジョンJAPAN Studioのローカライズチームとは、非常に長いあいだパートナーシップを結んでおり、『アンチャーテッド』のころからローカライズに必要な資料はすべてお渡ししています。そうやって互いに協力しながら、緊密にコミュニケーションを取ってきた成果が出ているのだと思います。

石立(※) ちょっと補足させていただきますと、ノーティードッグはローカライズに必要なアセットの準備もしっかりしているので、ローカライズを担当する側としては、余計なことに気を取られずにクオリティーを高めることに集中できます。日本語版の声優さんのキャスティングは日本側のローカライズチームが行っているのですが、キャラクターに関する詳細な資料を渡してくれたり、キャラクターにぴったりの声優さんを探すために必要なサポートもしてくれています。

※石立大介氏……『アンチャーテッド』シリーズや、『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』などのローカライズを担当するSIE ワールドワイド・スタジオ JAPAN Studioのローカライズプロデューサー。当日は通訳を担当していただいていた。

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ゲーム業界全体で連携しながらゲームを進歩させる

――ふだんから日本のファンの声は届いていますか? また、どのような手段で届いているのでしょうか?

ジョンいちばん多くファンの声を受け取るのはノーティードッグの公式Twitterアカウント(https://twitter.com/naughty_dog)ですね。あとは、日本のファンの方も含めて、世界中から手紙やファンアートを送っていただいています。それをアーニーがまとめてチーム全体に回覧してくれているのですが、我々の作ったゲームがいろいろな方に遊んでいただけているのがわかって非常にうれしいです。

アーニーちょうど今朝ジョンと話していたのですが、あるファンの方は、友だちのプレイを見ただけで物語にすごく感動して、エリーの絵を描いて送ってくださったんです。

――ところで、そうしたファンアートはどのくらい届くものなのですか?

ジョンTwitterのアカウントでは毎週月曜と金曜にファンから送っていただいたアートやコスプレ写真を載せるのですが、それは届いているもののほんの一部で、すごく多くの方から送っていただいています。
 TumblrというSNSにも公式アカウント(https://naughty-dog.tumblr.com/)があるので、そちらに向けて送ってくださるようお願いしています。メールで送ってくださる方もいます。
 開発中にそうしたファンの方からの手紙やファンアートを見ると、モチベーションにつながりますね。ファンにどれだけ感動していただけたかを知ることで、自分たちがゲームを開発している理由を、再確認することができるんです。

――ファンから寄せられる声の中には「続編を出してよ!」という声もあったり?(笑)

アーニー本当によくもらいます(笑)。とくに新しいトレーラーを公開するたびに届くのですが、必ずあるのが「発売日はいつ?」と「なんでまだ発売されていないの!?」「もう待てないよ!」という反応ですね。

――ちなみに、いちばんファン層が厚いのは欧米だと思うのですが、意外なところからファンレターが届くことはありますか?

アーニーどこで売れたのかというデータはすべてノーティードッグにも報告されているので、「こんなところから来るなんて!」と本当に驚いたことはありませんでした。
 ファンレターは欧米から届くことが多いですが、日本や韓国はもちろん、プレイステーションがあまり普及していないはずの東ヨーロッパの国からもファンレターが届くこともあって。我々の作っているゲームが、しっかりと人間の本質的な部分をつかめているからこそ世界中の人々に伝わったのだろうという自信にもつながっています。

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――ところで、最近の日本のゲームで印象に残っているものはありますか?

ジョンゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は大好きなゲームです。過去1年では最高のゲームだと思いますし、いまだにプレイしています。何より、世界全体が生きているという感じがしますし、その世界を探索するのが楽しくて。
 私のプレイスタイルは、メインストーリーはたどらずに新しいものを見つけたらそれに飛びつくという感じです。あとは、アイテムを集めるのも楽しくて、いまはコログの実のコンプリートを目標にプレイしています。
 それから、『人喰いの大鷲トリコ』や『ワンダと巨像』など、上田文人さん(※)のゲームもすごく好きです。

※上田文人氏……ジェン・デザイン所属のゲームクリエイター。『ワンダと巨像』などのディレクターを務めた。

アーニーBloodborne(ブラッドボーン)』はすごく熱心にプレイしましたね。ストーリーやフレーバーテキストがとても興味深くて、自分でプレイしたり、ほかの人のプレイを見たりして、どういう物語なのかを探り当てるのがとても楽しかったです。

――プレイしたゲームの気に入ったところを、ゲームを作るときに参考にすることはありますか?

ジョンノーティードッグのスタッフはみんな、ほかのスタジオのゲームもすごくプレイしているのですが、そのときにいいものに出会ったら影響されますし、どうにかしてこの経験を自分たちのゲームでも再現できないかと考えます。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をプレイしたときは、ゲームの中の世界に没入する感じや、世界のリアリティーに感銘を受けました。『The Last of Us Part II(仮題)』では、そういった体験を生み出すにはどうすればいいのかということを考えながら制作しています。

アーニーただ、「このゲームではこの部分がよかったから取り入れよう」という直接的な影響というよりは、「こういうことができるのか!」と、自分たちの目を開かせてくれたり、新たなゲームデザインの可能性に気づかせてくれたり、ということが多いと思います。
 それから、ほかのスタジオが開発したゲームをプレイしていると「彼らがここまでやっているということは、自分たちはこれを超えなきゃ!」というプレッシャーも感じます(笑)。たとえば、『ゴッド・オブ・ウォー』や『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』、『Horizon Zero Dawn(ホライゾン ゼロ ドーン)』など、すでに発売されているゲームを見て、『The Last of Us Part II(仮題)』をよりよいゲームにしなくてはと意気込んでいますし、それがスタジオの原動力にも、業界の推進力にもなっていると思います。

ジョンそういう意味では、新たに発売されるゲームはつねに我々が越えなくてはいけないハードルを上げているように感じます。我々はそうしたゲームを見て、それをどう超えるか、そのためにはどういうアプローチがあるのか、ということをスタジオ内で情報を共有しながら一丸となって考えています。

――SIEのワールドワイド・スタジオのあいだにもライバル意識があるということですか?

アーニーある種の競争はありますが、それはライバル意識によるものというよりは協調的な競争です。たとえば、ほかのスタジオがおもしろいことをしていれば、「これはどうやっているの?」と直接聞きますし、彼らも教えてくれます。その逆も同様で、聞かれたときには共有しています。そうやって互いに協力して技術を進歩させながらレベルを上げていっているので、協力関係という言葉が近いかなと思います。
 一例としては、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は開発段階ではフレームが安定しないという問題を抱えていました。そこで、フレームレートが非常に安定していた『KILLZONE SHADOW FALL(キルゾーン シャドーフォール)』を見て、その技術についてゲリラゲームズに聞いたところ、情報をくれただけではなく技術的にも援助してくれたんです。そのおかげで、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』のフレームレートが安定するようになりました。

――とてもいい話ですね。トップレベルのスタジオ間でもそういった協力関係があるとは意外でした。

アーニーそれがワールドワイド・スタジオの特別なところで、スタジオ間ではよくコミュニケーションを取って、直接助け合います。また、ワールドワイド・スタジオではないのですが、インソムニアック・ゲームズとはすごく長い付き合いがあるので、手を取り合うことも多いです。さらに、それほど直接的ではないのですが、サードパーティーのスタジオとも情報交換や協力を行っていて、過去にはサードパーティーの開発者にノーティードッグのスタジオに来てもらって、開発の手順をお見せしたり、技術の紹介・提供も行っていました。日本の大手開発会社さんがいらっしゃったこともありますよ。

ジョンインソムニアック・ゲームズとはかつて同じビルにスタジオがあったこともあり、いまでも緊密な関係を築いています。
 また、サンタモニカスタジオとも、それぞれのスタジオからいっしょにランチを食べに行ったりする人たちもいますし、活発にやり取りをしています。
 ゲーム業界自体がそれほど広い世界ではないと言いますか、同じ学校を卒業した人がインソムニアック・ゲームズや、サンタモニカスタジオに就職している、ということもあったりするので、近い距離感でコミュニケーションを取り合っています。

――ゲーム業界全体でつながりがあるんですね。ところで……最新作の『The Last of Us Part II(仮題)』について何かお話いただけることはありますか?

ジョン鋭意制作中ですので、詳しい情報はまだお伝えできないのですが、最近になって「このゲームはこういう感じになりそうだ」「ここはすごく感動するシーンになるかもしれない」という全体像が見えてきました。ファンの期待が大きいのは感じていますが、スタジオ内の期待もすごく高まっているところです。

アーニー現時点ではゲーム全体として自分たちの納得のいくものに仕上がってきていると思います。トレーラーを公開したE3 2018の段階では個々のシーンに取り組んでいて、まだ全体を整理してはいなかったんですね。

――では、この半年のあいだに急速に開発が進められたという感じですか。

アーニーノーティードッグでは新作の開発時、マイルストーンを設定して、そのマイルストーンごとに特定の目標を達成しようとするんです。たとえば、「このイベントではこの情報を出したい」、「E3 2018ではこの情報を!」、という感じですね。
 E3 2018では、本作のゲームプレイをプレイヤーの皆さんにお伝えするという目標がありました。自分たちの中でも、「これがこのゲームでできる体験だ」というのを固めたかったんですよ。E3 2018ではその目標を達成できたと思っていて、その後にどんどんほかのシーンも制作が進み、ゲームの全体像ができあがってきたわけです。だから、この半年に急に開発が進んだというわけではなく、この半年はゲーム全体を整えて、ストーリーの流れを作っていく段階だったということです。

――では、つぎのマイルストーンは?

アーニー遠からずお知らせできると思います(笑)。

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世界中のゲームファンからの期待値も高い『The Last of Us Part II(仮題)』。

――お待ちしています! 最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

ジョン皆さんが応援してくださったり、期待してくださったり、ファンレター・ファンアートを送ってくださったりするその全てが我々の力になっています! 感謝を伝えても伝えきれないくらいですが、本当にありがとうございます。

アーニージョンが言ったこととも重なるのですが、『クラッシュ・バンディクー』の時代から日本のファンの皆さんは、我々にとって特別な存在ですし、作品をリリースするごとにその反響で、皆さんとの絆が深まっているのを感じてきました。皆さんの応援に心から感謝したいと思います。

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