ディライトワークス新作はボードゲーム! カナイセイジ氏協力による『The Last Brave』『CHAINsomnia』の2タイトル発表!

 ディライトワークスは2018年11月12日、オフィス内特設会場にてオリジナルボードゲーム『The Last Brave』と『CHAINsomnia~アクマの城と子どもたち~』の発表会を開催した。いずれも2018年11月24日、25日に開催されるゲームマーケット2018秋にて先行発売される。

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ボードゲームはゲームデザインの多様性を養うことができる

 発表会の冒頭にクリエイティブオフィサーの塩川洋介氏が登壇し、「なぜ、ディライトワークスがボードゲームを手がけるのか」についての説明を行った。

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ディライトワークス株式会社の塩川洋介氏。

 まずは現在のボードゲーム市場について解説。ドイツで行われた世界最大級のボードゲームイベントは19万人も集まり、日本のアナログゲームイベント『ゲームマーケット』も回を重ねるごとに来場者数が増えている。全国各地にボードゲームカフェがオープンしている現状から、ここ数年で世界も日本もボードゲーム市場が非常に盛り上がってきているという。

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 そのうえで「ボードゲームはなぜ人を引きつけるのか」という疑問に対し、塩川氏はその答えのひとつとして“多様性”という答えを出した。

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 ボードゲームを作る際には、コマやカードなどいろいろなものを自由に使ってルールを組み立てることができるので、デジタルゲームと比べて制約が少ないぶん、いろいろなことができる。
 つまり、ボードゲームを作ることは多様性のあるゲームの発想をする勉強にもなり、“ただ単純に、面白いゲームを創ろう”というディライトワークスの理念にも通じるものとなる。

 ボードゲームからいろいろなことを学び、デジタルゲームを作るときにそれを活かすことができたら……ということで、ディライトワークスでは今年の春からボードゲームに関するいくつかの活動を始めた。

 まずはボードゲームカフェを会社内に設置。これは一般に開放しているわけではなく社員専用として作られたもので、コミュニケーションやゲームのおもしろさを研究するのに役立てているという。現在は250個ほどのボードゲームが常備されており、ちょっとしたボードゲームカフェ並みのラインナップになっている。

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 そして、7月からはこのカフェでゲーム業界関係者だけのボードゲームパーティーを月1~2回ペースで開催中だ。

 また、8月に発売された『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』(発売元:アニプレックス)というフィギュア+カードゲームでは、ディライトワークスが開発に携わった。

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そして今回の発表会では、完全オリジナルのボードゲームタイトルを公開したので、そちらを紹介していこう。

少しずつ相手の素顔が明らかに!? 『The Last Brave』

  まずは1本目は『The Last Brave』。

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パッケージサイズはいわゆる小箱と呼ばれる大きさ。

 3~7人で遊べるカードゲームで、カード枚数は全部で28枚、プレイヤーが使うカードはひとり4枚と非常にコンパクトだ。キャラクター・職種・武器・属性のカードを1枚ずつ計4枚を手札とし、相手から攻撃を受けるとカードを1枚公開しなければならない。少しずつそのキャラクターの特性がバレていく……、というようなイメージだ。

 ダメージを受ける代わりに、そのカードを公開すると効果が発動して、ゲームを有利に進められる。プレイ時間は10分程度と、手軽に遊ぶことができる。

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 ルールを聞いただけで絶妙な悩ましさが想像できるのだが、このあたりはゲームデザインを手がけたカナイセイジ氏の真骨頂と言っていいだろう。

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ボードゲームデザイナーのカナイセイジ氏。

 カナイ氏は、16枚のカードで奥深い駆け引きが楽しめる『ラブレター』を全世界で大ヒットさせた、いま日本でいちばん有名なボードゲームデザイナーだ。

 本作を開発するにあたり、カナイ氏がとくに注力したのは“期待に応える”という点にあった。ディライトワークスから発売される以上、『FGO』のようなテイストを期待する声が大きいはずなので、少しずつ正体が明かされていくような部分は、まさにそういう雰囲気があるかもしれない。

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 プレイ人数も7人と大人数向けでありつつ、プレイする場所はそこまで広くなくても問題なさそうなのはうれしい。カナイセイジ氏による新作というだけでも、ボードゲームファンなら入手しておくべきだろう。

2018年入社の新入社員たちで開発! 『CHAINsomnia~アクマの城と子どもたち』

 今回はさらにもう1タイトル、最大4人で遊べる協力ゲーム『CHAINsomnia~アクマの城と子どもたち』が発表された。こちらはカードだけでなくタイルやコマ、サイコロも使う本格的な仕様で、プレイ時間も60分程度となかなか手応えのあるものになっている。

 本作は、カナイセイジ氏とボードゲームカフェ『JELLY JELLY CAFE』オーナーの白坂翔氏が監修役に回り、ゲームデザインやイラストなど実作業は2018年度の新入社員が行った。

 デジタルゲームの場合、開発も大規模かつ長期に渡るものになってしまうが、ボードゲームなら小規模かつ短期間で発売できる。企画スタートから開発して発売、ユーザーからの反応までを一気に体験できるのは、新人にとって非常に貴重な経験となるだろう。

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開発スタッフの2018年度新入社員とカナイセイジ氏。

 新人スタッフは、デジタルゲーム開発の通常業務をこなしながらボードゲームも作る、ということでなかなかたいへんだった様子。監修のカナイ氏によると、
 「数多くのいろいろなアイデアを出し合っていて、すごいなあと感心していたのですが、先週まであんなにおもしろかったのに、今週はアレ?と思うくらいつまらなくなった、なんていうこともありました(笑)。でも努力を重ねて最終的には、すばらしいゲームになったと思います」
 とのことで、新人たちの試行錯誤とカナイ氏のアドバイスがしっかり反映されたものになっているようだ。

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 プレイヤーはアクマの夢の城に連れ去れた子どもたちとなり、協力して出口を見つけて城から脱出する、というもの。ダンジョンのような城内を探索し、戦闘や脱出に有利なアイテムをゲットしながら進んでいく。

 新しい部屋を探索することで恐怖を表すクサリゲージがあがっていき、このゲージが全員マックスになったらゲームオーバー。

 誰かひとりでも出口に到達すればプレイヤーサイドの勝利となる。キャラクターごとの特性を考えながら、役割分担しながら進めていくのは勝利へのコツだろう。

 開発スタッフは「ホラーボードゲームの『ハコオンナ』とテーブルトークRPGに影響を受けました」と説明していたが、脱出しようにもどんどん追い詰められているような恐怖は確かに『ハコオンナ』に通じる恐怖感があり、全員で協力しかながらどう切り抜けていくかを相談する雰囲気はテーブルトークRPGに近いものだった。

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 今回、『CHAINsomnia~アクマの城と子どもたち~』をプレイできたのだが、全員で効率を求めて「とにかく先へ進んで出口を見つけよう!」という方向に走りすぎてしまい、探索をしてアイテムを取ることを怠ってしまった。ここぞというときにうまく立ち回りができず、最後は全員が魂のすべてをクサリでつながれてしまってゲームオーバーとなった。

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 手番時のアクションとしてどれを行うのか、恐怖によって増えていくクサリトークンをどう管理していくかがポイントだと感じたので、つぎにプレイするときはもっとうまくいきそうな気がする。「あともう1回!」、「つぎこそは!」と思わせてくれるのは、いいゲームの証拠だ。

 この2作品は11月24日、25日に東京ビッグサイトで開催されるゲームマーケット2018秋にて先行発売され、『The Last Brave』は12月13日よりボードゲームショップ等での販売が開始となる(『CHAINsomnia~アクマの城と子どもたち~』は一般発売日未定)。

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 また、この2タイトルの先行試遊会がJELLY JELLY CAFE 渋谷店/池袋2号店/名古屋大須店/福岡天神店で行われる。詳細は各店舗に問い合わせてほしい、とのこと。こちらぜひチェックしてみよう。

『The Last Brave』概要
商品名:『The Last Brave』
ジャンル:勇士創像バトルロイヤルカードゲーム
価格:2000円[税込]
発売日:2018年12月13日(木)
※2018年11月24日(土)~25日(日)「ゲームマーケット2018秋」にて先行販売。特別価格1800円[税込]
ゲームデザイン:カナイセイジ
発売元:ディライトワークス株式会社
プレイ人数:3~7人

『CHAINsomnia~アクマの城と子どもたち~』概要
商品名:『CHAINsomnia~アクマの城と子どもたち~』
ジャンル:探索×協力型脱出ゲーム
価格:未定
発売日:未定
※2018年11月24日(土)~25日(日)「ゲームマーケット2018秋」にて先行販売。特別価格4000円[税込]
企画・開発:ディライトワークス株式会社
発売元:ディライトワークス株式会社
監修:カナイセイジ(カナイ製作所)/白坂翔(JELLY JELLY CAFE代表)
プレイ人数:1~4人