2018年11月2日(現地時間)にアメリカ・アナハイムのコンベンションセンターで開幕したBlizzard Entertainmentの祭典であるイベント“BlizzCon 2018”。本イベントで電撃発表された『ディアブロ』シリーズ初となるモバイルゲーム『ディアブロ イモータル』のインタビューとプレイリポートをお届けする。

※『ディアブロ イモータル』事前登録ページ https://diabloimmortal.com/ja-jp/

 本作は、『荒野行動』や『陰陽師』シリーズ、『IdentityV』を手掛けたNetEaseと共同開発されたモバイル版MMOARPGで、『ディアブロ2 ロード オブ デストラクション』と『ディアブロ3』のあいだ20年間の出来事が描かれる。
 『Diablo』おなじみのバーバリアン、モンク、ウィザード、クルセイダー、デーモン・ハンター、ネクロマンサーという6つのクラスがすでに発表され、AndroidではGooglePlayストアを通して事前登録が実施中。(AppStoreでの事前登録も近日中にスタート予定)

 正直に申すと、「『Diablo 4』が今年は発表されるか?」と思っていただけに、発表時はまさかのモバイル展開に、観客もプレス陣も衝撃を隠せなかった。予想外の発表に困惑し、『Diablo』シリーズの今後を勝手に心配までしてしまったが、デモバージョンを触らせてもらったら、しっかりと『ディアブロ』らしさを感じたし、プレイしていておもしろかった。何より「ディアブロやろうぜ!」と誘っても、「ゲーミングPCないから」、「ゲーム機持っていないし」なんて断れることは、本作ではない。

 プレイリポートは下記にてお伝えするとして、先んじて『ディアブロ イモータル』の料金形態、課金やPvPコンテンツの有無、『Diablo4』がウワサされていただけあってなぜモバイル向けに新作を発売したのかを、シニアコンテンツデザイナーのMatthew Berger氏とRichie Marella氏に直撃した。ただ、語られる範囲はやはり限られているようで、望んでいた答えをあまりもらってはいない。その点はご容赦頂ければ幸いだ。

『ディアブロ イモータル』開発経緯、料金形態など気になることを直撃&プレイリポート【Blizzcon 2018】_03
Richie Marella氏(左)、Matthew Berger氏(右)

――まずは、開発経緯を教えてください。

Berger タイミングがすべでした。モバイルになったからといって、『ディアブロ』の一部のみしか遊べないのは理想的ではありません。やっといまテクノロジーが、私たちのやりたいモバイル版『ディアブロ』に追い付けたこのタイミングだからこそ発表できました。

Marella このご時世、スマートフォンは誰しもが持っていますが、ゲーミングPC、コンシューマーゲームは持っていない人もいます。より多くの人にサンクチュアリの世界を体験してほしいと思うなら、スマートフォンというプラットフォームを利用するのが一番いいだろうという選択です。

――スマートフォン市場に『ディアブロ』が参入することになりますが、スマホゲームのユーザーは『ディアブロ』を触れたことがない人も多いと思います。とくに若い世代のスマホゲームユーザーはそうなると思いますが、そういった始めて『ディアブロ』の世界を体験する人にとって、本作は『ディアブロ2』と『ディアブロ3』の間を語るわけで、物語を理解していない人がいると思います。そういったユーザー層をどのようにカバーするのでしょうか?

Bergerディアブロ1』、『ディアブロ2』、『ディアブロ3』それぞれをリリースした時に、同じく『ディアブロ』の世界を知らない人がいます。ですので、『ディアブロ イモータル』に関しては『ディアブロ』シリーズを知らなくても楽しめるように設計しています。ゲーム内のシネマティックムービーなどで、ワールドストーンなどについて語られていますので、いくつかはカバーできるでしょう。
 もちろん過去作をプレイをしなくてもいいですが、本作をきっかけに「このキャラクターは一体どういう繋がりで出ているのか?」と疑問を持ってもらい、『ディアブロ2』、『ディアブロ3』をプレイしていただけたら嬉しいですね。くり返しになりますが、『ディアブロ イモータル』をプレイするだけでも、十分サンクチュアリの世界を楽しめますよ。

――となると、『ディアブロ イモータル』は『ディアブロ2』と密接に関わっていますが、『ディアブロ2』のリマスターは計画的されていますか?

Berger  すみませんが、この段階ではお話しできません。

――では、本作が発表された時、ふたつの疑問を持ちました。ひとつ目は、中国企業のNetEaseが関わっているプロジェクトなのに、中国のゲーム見本市であるChina Joyでは発表せず、BlizzConでの発表になったのこと。ふたつ目は、なぜナンバリングタイトルではなかったのか? コミュニティが『ディアブロ4』を期待していたのは事実です。

Berger わたしはクリエイターなので、PRプランに関することに決定権を持ちません。開発に専念しているので……(笑)。『ディアブロ4』に関しては、皆さんがストーリーの続きを待ち望んでいるのだと思いますが、『ディアブロ イモータル』は新しいプラットフォームでの挑戦になります。ですので、まったく違いう時代設定を採用しました。コンシューマーで『ディアブロ3』をリリースする際にも、PC版とは名前を変えていますし、それは「まったく違うゲームである」ということを認識して欲しかったからです。

――では、ゲームよりのことを聞きますが、本作は基本無料の料金形態を採用する予定でしょうか? 課金についてはどのようになっていますか?

Berger 現時点ではアナウンスできません。いまはゲームをよりよくすることに専念していますので、料金形態については、追ってお伝えします。

――モバイル版でありながら、プレイフィールは『ディアブロ』シリーズそのものでした。エンジンはこれまでの『ディアブロ』シリーズのものを採用していますか?

Berger PC、コンシューマーとは異なるエンジンを採用しています。

――Blizzard、NetEaseどちらが開発したゲームエンジンなのでしょうか?

『ディアブロ イモータル』開発経緯、料金形態など気になることを直撃&プレイリポート【Blizzcon 2018】_02
『ディアブロ イモータル』開発経緯、料金形態など気になることを直撃&プレイリポート【Blizzcon 2018】_04
『ディアブロ イモータル』開発経緯、料金形態など気になることを直撃&プレイリポート【Blizzcon 2018】_05

Berger 詳細なことはお伝えできませんが、ゲームエンジンは『ディアブロ イモータル』に最適なエンジンがありましたので、そちらを採用いたしました。

――PvPの実装予定はありますか?

Berger 申し訳ありませんが、現時点でアナウンスできません。しかし、『ディアブロ』はPvPプレイヤーを大切にしていますし、今後の採用・決定において正しい判断を下していくことが大事であると思っています。

――では、現時点ではアドベンチャーモード、シーズンの実装はアナウンスできない?

Berger 申し訳ありませんが、お答えすることはできません。

――BlizzardとNetEase両者の役割分担について知りたいのですが、NetEaseが開発を行い、Blizzardがハンドリングを担当しているのでしょうか?

Berger 両方ともに開発チームを持っていて、ふたつでひとつのチームとして動いています。わたしたちはリードアーティストですが、NetEaseにも開発者が在籍しています。

――今回このように新らしいプラットフォームで『ディアブロ』をリリースすることになりました。スマートフォン市場で発売することでこれまで以上に間口が広がり、『ディアブロ』に触れたことのない新規プレイヤーを獲得できるチャンスでもありますし、昔『ディアブロ』をプレイしていて現在ゲームから離れている人が、懐かしがってプレイすることにもなるかと思います。クリエイターとしてどの層に遊んでもらのが一番嬉しいでしょうか?

Berger 基本的にコミュニティはオープンな状態を保ちたいと思っています(新規歓迎という意味)。誰しもがサンクチュアリで闘うことを経験してほしいですし、もちろん昔『ディアブロ』をプレイしていたが人が帰ってきてくれたらうれしいですよね。昔プレイしていた人、そしてその方の子どもがいっしょになってプレイしてくれたらうれしいです。

――では、『ディアブロ イモータル』はゲームパットでも遊べますか?

Berger 現在プランはありません。ただひとつ言えるのは、どの機種でも最適に遊べるようにし、モバイルでしかできない体験も追及したいと思っています。

――本作はオフラインによるソロプレイは可能でしょうか?

Berger 本作はMMOARPGですので、オフラインモードの対応予定はありません。

――オンラインマルチでは、最大何人の人とマルチプレイを楽しめますか?

Berger いま言えることは『ディアブロ3』よりは大人数で遊べます。(6名によるパーティプレイが可能)

――プレイさせていただきましたが、操作面は昨今のスマートフォンゲームの操作感に似ていて、すぐに馴染めましたし、あのDiabloがスマホで遊べてしまうとは、プレイするまで想像がつきませんでした。PCゲームをスマートフォン向けに操作を落とし込むうえで、一番苦労した部分を教えてください。

Berger コントロールがまったく違うので……。左手で移動し、右手でスキルを選択する機能は、やはり一番苦労しました。ですが、そこさえクリアーしたら、あとは『ディアブロ』らしさを追求するだけでしたね。

――では、リリース後のアップデートに関するロードマップはどのようになっていますか?

Berger 細かいタイミングはまだ決まってはいませんが、新クラス、新ゾーン、新ストーリーが追加されます。新しいエネミーも登場します。

――こちらは無料アップデートでしょうか? それとも有料アップデートでしょうか?

Berger すみませんが、そちらについてはお答えできません。

――『ディアブロ3』でケインもエイドリアもリアもいなくなり、エイデンから始まった物語が完結したように見えました。『ディアブロ1』〜『ディアブロ3』でひとつのトリロジーが終わったと思いましがが、このように『ディアブロ』にはまだまだ語られるべき部分が沢山あるのでしょうか?

Berger トリロジーで完結したのでは? と思うかもしれませんが、本作は『2』〜『3』の間の20年間を語る内容になっています。語られていない部分がまだまだあるわけです。

――『ディアブロ4』でまた物語を続けることも可能だったのでは?

Berger わたしたちはあくまで『ディアブロ イモータル』の開発チームであるので、それに関してはここでお話できることはありません(笑)。ごめんなさい。

――最後に、日本には『ディアブロ』の熱心なファンがいます。彼らにメッセージをお願いします。

Marella 『ディアブロ1』からプレイしていただいてる皆様には、新しいゲームをお届けできることが楽しみです。いままで知らなかった事実を、本作で知っていただきたいですね。

プレイリポート

 本作は、スマホ向けにプレイが簡略化されていると思いきや、CSバージョンとプレイ内容は大差がないように作られ、左手タッチスクリーンで移動・エイムし、右手でスキルをタップして使用する操作を採用。アクションゲームのように操作していく感覚はスマホでも実感できる。
 マップは右上、ヘルスバーは左上で、ヘルスバーの下にはクエストボードが表示(クエストボードは閉じたり展開したりが可能)。
 
 今回選択したクラスはウィザード。瞬間移動をして逃げることができるテレポートは敵に囲まれて蹂躙されそうな時に重宝し、通常攻撃の電撃攻撃に加え、ライトニング・ノヴァといった範囲攻撃と敵を一網打尽にできるメテオなど、これまでのシリーズと変わりはない。範囲攻撃は左手移動キーで移動しながら右手で攻撃地点を選ぶのだが、これが結構最初は難しかったり(慣れれば問題ないかとは思うが……)。
 敵を倒すとマネーのほかに防具と武器がドロップするハクスラ要素も変わりない。ドロップしたアイテムは、タップで回収可能(ただし、あまりアイテムと離れているとタップしても回収できない)。

『ディアブロ イモータル』開発経緯、料金形態など気になることを直撃&プレイリポート【Blizzcon 2018】_06

 また、しばらくマップを進んでいると、ほかプレイヤーと遭遇した。『ディアブロ3』のように、フレンドと協力してプレイしたり、パブリック設定でフレンド以外のプレイヤーとも共闘できる。ここまでくると、「あのディアブロがスマホで手軽に遊べる時代になったのか」としみじみする。

 ただ、『ディアブロ』ライクなゲームはスマートフォン向けにいくつかリリースされており、スマホ特有の手軽に爽快感のあるアクションが楽しめるよりは、本作は少し骨太で、よく言えばやりごたえがたっぷりある感じに仕上がっている。
 スマートフォンゲームユーザーにどれだけ受け容れられるか気になる所だが、昔『ディアブロ』シリーズをプレイしていていまはもうゲーム機から卒業した人が、懐かしさから『ディアブロ イモータル』でサンクチュアリの世界に戻ってくるには最適な環境ではないだろうか。

『ディアブロ イモータル』開発経緯、料金形態など気になることを直撃&プレイリポート【Blizzcon 2018】_01