核戦争後のクレイジーな世界を舞台にした、ベセスダ・ソフトワークスのオープンワールドアクションRPG『Fallout』(フォールアウト)シリーズ。その最新作『Fallout 76』のXbox One版のβテストが本日より開始したので、プレイリポートをお届けしよう。

 さて今回のβテストは負荷対策などを念頭に置かれており、ゲームコンテンツは製品版と変わらないフルの内容が遊べる一方で、アクセスを意図的に集中させるために指定の時間帯のみ遊べるという仕組みになっている。

 というわけで初日に遊べたのは、日本時間で言うところの午前8時から正午までの4時間。ちなみにXbox One版が先行実施となっており、北米の10月30日(恐らく日本の10月31日)よりプレイステーション4版とPC版の予約者に向けたβテストが行なわれる予定だ。

核戦争後のリア充にはなれなかった

 さて、記者は今月頭にゲームの舞台ウェストバージニア州で行なわれたプレイイベントに招待され、その模様は記事でお伝えした(細かい仕様なども書いているので未見の方はご確認頂きたい)。

 そこで「ソロ(単独)でも遊べるがチームを組むといろいろメリットがある」という趣旨のことを書いた手前、プレイを始めるにあたって「よーし、先行プレイで少し知ってる分を活かしてチームリーダーでみんなを率いちゃうもんね」と思っていたのだが、なかなかうまく行かないもんですな……。

 というのも、キャラメイキングをテキトーに済ませ(顔は後からどこでも弄れるし、なんせ4時間しかないのだ)、スタート地点Vault 76内で最初に遭遇した相手に自信満々に「チームに加わらんか」というエモート(感情表現アクション)を発したところ、ゲロを吐くエモートで煽り返される始末。いいよ、ひとりで行けばいいんだろ。俺はそっちの方が慣れてるよ……。

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ちくしょう、早速煽りに使いこなしてんじゃねぇか。ちなみに十字キー上がウェポンホイール、下がエモートホイールとなっております。以下、画像は海外版のものです(記者が海外長期滞在中のため)。

弾! メシ! 水! 物資不足は深刻だ

 涙を振り払ってVault 76を飛び出し、まずは監督官の足跡を追っていくメインクエストを進めていくことにした筆者。だが、Vaultの出口右の死体から奪ったピストルを武器にバンバン戦っていたら、早速弾が尽きる。

 この危険な世界アパラチアにほぼ丸腰で飛び出した冒険者を悩ませるのが、深刻な物資不足である。「俺ツエー!」と気前よく弾をばら撒いていれば弾がなくなり、逃げてたどり着いた最初の目的地のキャンプでハチェットでも作って近接攻撃でしのぐことにして、街道沿いで突然襲ってきた巨大ゴキブリ(ラッドローチ)や野犬(ワイルド・モングレル)の群れでも片付けて慣れてきた頃には空腹や渇きが進行している。

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序盤は弾切れが辛いので、最初のキャンプに着いたら念のために近接武器を作っておくといいですよ。

 弾がなければ戦闘に支障をきたすし、空腹や渇きが進行するとAP(アクションポイント)などに影響が出る。だから弾は欲しいし、メシや飲み物も困らない程度に持っていたい。では物資不足を解消するには?

 『Fallout 4』のプレイヤーなら連邦を旅した記憶が蘇るだろう。そう、探索して物資を回収しまくり、リサイクルするのだ。動物系クリーチャーを倒したら肉を拾い、野菜や果物を採集し、川があれば汚染された水を汲み、廃墟から放置された20年モノの食料品をがめつくいただき、あらゆる棚や箱を漁って弾や薬やゴミを集めまくる。断捨離とか言ってる場合じゃない。

 そして作業台を見つけたらゴミアイテムをスクラップに変えてスタッシュ(各プレイヤー専用の物置き)に収納し、焚き火があれば放射能だらけの水や肉を加工して多少マシな形にする。荒野を生きるにはまずリサイクルからだ(なお肉や野菜はほっとくとすぐ腐るので、気がついた時にすぐ調理すべし)。

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焚き火があれば水を沸騰させて当面の飲料を作れる。肉や野菜なども腐る前に調理しちまおう。
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回収業を少し楽にするPerkカードも存在する。これはたまに弾が多めに手に入るやつ。

荒野で出会った仲間との予期せぬ珍道中

 序盤の注意点はそんな所で、装備や旅に必要なアイテムをチョイチョイ作りつつ序盤のスポットをいくらか探索すれば、物資不足による危機も脱していく。レベルもそこそこ上がって、さまざまな特殊ボーナスを得られる“Perkカード”で能力を特化させてプレイスタイルを作り出している頃だろう。

 本作はオープンワールドゲームである。メインクエストに一定の方向性はあるが、基本的には広大な世界を好きな方向に歩んでいけるゲームだ。PvP(対人戦)可能なレベル5に到達する頃には次第にプレイヤーが好き勝手な方向に探検し始め、バラけて行った。

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おなじみ解錠ミニゲーム。もちろん関連するPerkカードも存在する。
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おなじみの単語当てハッキングゲームも健在。単語を選ぶと“正解と一致している文字の数”が表示されるので、そこから正解を推測する。

 さまざまなプレイヤーがオンライン経由で同じ世界に接続し、PvPもアリというのが本作の特徴だが、ひとつのワールドには24人程度しか割り当てられず、しかも全員がアクティブなプレイヤーというわけでもない。

 出会いそうで出会わない。出会わなそうでたまに出会う。このバランスがいい具合に緊張感を保っている気がした(と言っても、みんなビミョーな初期装備でPvPするより4時間の間に遊び尽くしたかっただけかもしれないが)。

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基本的にはマップ上に他プレイヤーの場所が表示される。一方的な攻撃で賞金首になるようなプレイヤーや、ブロックした相手には表示されない。

 “二人組”と出会ったのは、ひとり旅を少し続けた後半パートのことだ。たまたまグールと戦っていた彼らを助太刀する形となり(こっちはアイテムが欲しかっただけだが)、見事掃討が終わった所で「グッジョブ」のエモートを出してみると、ふたりとも返してくれた!

 なぜか「チームを組まんか」のエモートはスルーされたため一旦は別れたのだが、近所の建物の地下に怪しい通路を発見。地上に戻って「こっちに来い」のエモートをすると、何かを察したのか二人がやってくる。

 3人でダンジョンを潜り、グールを蹴散らして気付けば最上階に。何やら怪しい金庫があるが、残念ながら解錠に必要なヘアピンを切らしている筆者。その時、コンピューターに向かってガサゴソしていた二人組の片割れが「グッジョブ」のサインを出した!

 「もしや」と思い金庫の前に行ってみると予想は的中。彼がコンピューター経由で金庫を開けてくれたのだった。3人で交わす「LOVE」のエモート。なんなんだ俺達は。そして我々はその後も時間ギリギリまで3人組で冒険し続けた……なぜかチームは組まないまま。ワクワクしてチーム用のPerkカードを用意してあったのにすっかり無駄である。

 そんな一期一会の珍道中が起こり得るのが、このアパラチアという土地なのである。続きに挑むのが楽しみだ。

その他の気づいた点

 初日のプレイリポートはこれぐらいにして、ここからはβテストでのプレイで気づいた細かな点を紹介していこう。

重量制限はソフトキャップ制

 すでに紹介したように、荒野の廃品回収業に勤しむことになる本作では、気がつくと持ち運べる重量の限界を突破しがち。本作の仕様では、重量を少しオーバーしてもいきなり鈍足の徒歩にはならず、ファストトラベルなどは使用不可能になるものの、通常の駆け足スピードで移動はできる。ただしAPを消費するようになり、APが尽きると遅くなる(止まると回復)。

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右下に出ているのが重量オーバーの状態。

 この状態(ソフトキャップ)をさらに超えて重量限界の2倍に到達すると、今度こそ徒歩での移動しかできなくなる(ハードキャップ)。旧作のプレイヤーならご存知だと思うが、こうなると敵を相手にするのがなかなか難しくなる。

 死亡すると相手がプレイヤーでもクリーチャーでもジャンクアイテムを落としてしまう。せっかく集めた素材用のゴミが無駄にならないように気をつけよう。

C.A.M.P.で節約!

 重量制限を超えないようにするには、こまめに素材や冒険に不要なアイテムをしまっていきたいところ。そこで重要になってくるのが拠点となるC.A.M.P.(以下、キャンプ)だ。

 最序盤はNPCが設置したキャンプを使わせてもらう事も多いかと思うが、キャンプ自体は全プレイヤーが多少の例外を除きどこでも設置可能。周囲に家を建てたり、作業台や自分専用の物置きも設置できる。

 ゲーム内通貨のCapを多少支払えばキャンプは設置した後で移動することもできるので、「この周辺をしばらく探索したいな」という時は道外れなどにキャンプを展開し、物資回収が済むたびにキャンプに戻って荷物を下ろすといいだろう。

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気分は核戦争後の『ゆるキャン』? あんまりゆるくないけど。

もはや鉄板のベセスダ流オブジェクト配置芸は健在

 ベセスダ・ソフトワークスのオープンワールドRPGでプレイヤーを楽しませてくれるのが、意味深なオブジェクト配置で何かを語る芸風。死体やちょっとしたアイテムの組み合わせで「ここで何があったんだよ……」と連想させてくれたり、「こいつバッカじゃねぇの?」と笑わせてくれる。

 そんなノリは本作でも健在で、冷蔵庫に閉じ込められて死んだらしい死体を発見したかと思えば、怪しい地下室で処刑現場らしき跡を発見して震えることになったり、探索中にはいろいろな発見があって実に面白い。

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地下室で意味深な死体を見つけちゃったんで、思わず絵葉書にしてみました。

リアルタイムV.A.T.S.はサブ的に使うと吉

 シリーズで特徴的な照準補助システム“V.A.T.S.”。これまでは“時間停止して指定したターゲットに対して距離や遮蔽に応じた確率攻撃を仕掛ける”という内容だったため、FPS/TPS系の操作が苦手な人には頼もしい機能だったし、何が起こったかわからない時に一旦止めて状況を整理するといったこともできた。

 しかし過去の記事でもお伝えしている通り、本作では仕様が変わってリアルタイムに発動する確率攻撃になったため、“一旦止めるために使う”という使い方はできない。

 なのでこれに頼り切ることはできないのだが、リアルタイムでも“焦って弾を外しまくるよりはV.A.T.S.でとりあえず手近な敵をふっ飛ばす”とか、Perkカードで部位を指定できるように強化して“速い敵が近づいてきた時に足を指定攻撃して速度低下を狙う”といった作戦は可能。

 使い勝手が違うのでV.A.T.S.を使わずにFPS力で乗り切ってしまう人もいると思うが、あくまで補助としてのイメージで使っていくとその便利な部分が見えてくると思う。

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リアルタイムV.A.T.S.でターゲットすると、狙いがテキトーでも表示されている確率で攻撃が当たる。

有料ポイント“Atom”はデイリーチャレンジなどでも獲得可能

 βテストではプレイコンテンツ自体は製品版同等のものが入っているが、まだ未実装の機能もいくつか存在する。そのひとつがAtomを使うストアだ。

 Atomは外見に作用する(能力値には作用しない)アイテムを購入するためのポイントで、ゲーム中のチャレンジを通じて獲得するか、有料で購入することになる。

 Atom獲得のためのデイリーチャレンジやウィークリーチャレンジなどはすでにゲーム中に用意されており、「このエリアの敵を何体倒せ」といった項目も存在。これによって今後“特定のエリアでプレイヤーが接触する可能性を上げる”といった使い方もされていくだろう。

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ウィークリーチャレンジの画面。
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デイリーチャレンジの画面。

人間が死滅した世界だが、“死んだ世界”ではない

 本作の世界は、プレイヤーたち以外に生きている人間(NPC)が存在しないという設定になっており、セリフ選択によるストーリー進行などもない。では“死んだ世界”に感じられるかというと、もちろん感じ方は人によると思うが、個人的には「そうでもない」というのが今の率直な感想だ。

 まずNPCがいない代わりに他プレイヤーがいるわけだし、友達と冒険することだってできる(フレンドのいるワールドへ任意に参加可能)。そして単に敵かチームメートかの関係だけでなく、ロールプレイによってはフォールアウト世界らしい中立の奇人として接することもできるだろう。今日会った“二人組”にとっての筆者が恐らくそうだったように。

 そして、あらゆる所でホロテープを通じて生前に遺された録音を聞ける。冷蔵庫で死んだ奴の助けを呼ぶ声もだ。以前お伝えした合同インタビューでセリフ分岐がない代わりに固有のセリフ数そのものはかなり多いと語られていたが、それも頷ける。

 だがいずれにしても、この世界はまだ始まったばかり。いや、正式にはまだ始まってすらいない世界だ。プレイヤーの動向によって殺伐とした修羅の世界にもなりうるし、銃を片手にキャッキャと騒げるほのぼの荒野にもなりうる。『Fallout 76』はライブ・サービスという意味で“生きた世界”なのだ。