2018年9月20日(木)から9月23日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2018(20日・21日はビジネスデイ)。9月22日のセガゲームスブースでは、セガ往年の名作を甦らせるプロジェクト“SEGA AGES”のステージが行われた。開発スタッフやゲストによるトーク、そして新作発表で盛り上がったその模様をリポートする。

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 ステージには、シニアプロデューサーの下村一誠氏、スーパーバイザーの奥成洋輔氏、開発担当のエムツー代表・堀井直樹氏が登場。下村氏が発売が遅れたお詫びに続いて、「ポロリあるかもね」と開会を宣言すると、“レトロゲームLOVE”を公言する謎のアーティスト・MC8bitさんをゲストに加えて、発売ラインアップをチェックしながらのよもやま話に花を咲かせていった。

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左から、エムツー代表の堀井直樹氏、スーパーバイザーの奥成洋輔氏、ゲストのMC8Bitさん、シニアプロデューサーの下村一誠氏。

 最初の話題は、9月20日に発売された『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、『サンダーフォースIV』、そして近日リリース予定の『ファンタシースター』、『アレックスキッドのミラクルワールド』、『ゲイングランド』について。とくに『ゲイングランド』に関してMC8bitさんは、「鼻歌を歌いながら、メガドライブ版を友だちとよくプレイしていました」との思い出を披露。その鼻歌の影響もあってか(!?)、なんと『ゲイングランド』の原始ステージのBGMに歌詞を載せた新曲をメイク。会場や配信で曲が流されると、一様に驚きの声が上がっていた。なお、今後なんらかの形でユーザーが手元に届くようにするとのことなので、楽しみに待とう。

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MC8bitさんと堀井氏は『ゲイングランド』を実演プレイ。ふたりで協力してステージを進めるもゴーグルで画面が見づらく、MC8bitさんが仲間を置いてきぼりにして苦笑いする一幕も。

 続いては先日ラインアップに新たに加わった5タイトルについて、出演者がひとことづつコメント。下村氏が「これがないとはじまらない」という『スペースハリアー』については、MC8bitさんが「シェンムーのゲーム内で、つい昨日のショウ会場でプレイしたばかり」と語って来場者の笑いを誘っていた。

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 奥成氏が「僕のリクエストで加えてもらいました」という『コラムスII』は、ラインアップにパズルゲームが必要だろう、(3D復刻アーカイブスと)同じものを用意するのも芸がないだろうということで、「対戦に特化した『コラムスII』を遊んでいただきたい」(奥成氏)とのこと。ひとり用が高難易度なことで知られるタイトルでもあるだが、「中断機能を使えばミスをなかったことにできます」(堀井氏)とのコメントも。

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 『サンダーフォースAC』については「アーケードのグラフィックのキレイさを見せたくてACを選びました」(下村氏)、「元となった『III』はメガドライブ版なんですけど、アーケードに持っていくにあたって結構手が入っている。使っているのはメガドラ基板だけど、よりキレイな絵が出せるようテクノソフトのスタッフががんばっているのがわかる」(堀井氏)と、マニアックな仕上がりになりそう。

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 「1作目が出ている以上やっぱり外せない」(奥成氏)という『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』には、『ソニックマニア』で採用された新アクション・ドロップダッシュも追加されるとのこと。「開発の仕組みを考えずに“こういうのがあるんだけど”と言われると手数を考えず作ってしまう」(堀井氏)とエムツーらしい発言も飛び出した。

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 最後に紹介されたのは『アウトラン』だが、タイトルが表示されると同時に流れ出したのは、メガドライブ版にだけ収録されたBGM“STEP ON BEAT”。しかもよく聴けば、アーケード版による音源となっているというこのサプライズ、気づいたマニアはニヤリとしたはずだ。ラインアップの理由は、「『スペースハリアー』と並ぶアーケードの代表作ですから当然外せない」(奥成氏)。3D復刻版同様に、画面のワイド化と、秒間60フレーム描画(原典の倍)にもなっているとのころだ。

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 続いては、ツイッターで公募していた移植希望を発表。多数の応募があったことで集計が間に合わず、あくまで速報ということだが、以下のような結果となった。

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80年代後半のアーケード作品から2000年代の家庭用タイトルまで幅広い声が寄せられたアンケート結果。ポリゴンタイトルが過半数を締めているのが印象的。

 「これを1位から順に移植するわけではありませんが、できるだけ皆さんの想いを汲んでいきたいと思います」とは下村氏。ちなみに、1位の『ジェットセットラジオ』シリーズの得票数がぶっちぎりで多いのは、同作のコンポーザーである長沼英樹氏が全世界のファンに投票を呼びかけたからなのだそう。移植の可能性について堀井氏は「ドリームキャストまでならかなりできていて、その先はこれからがんばります」と、驚きの発言。つまり、ドリームキャストで発売されたタイトルならば移植の可能性が十分ありえるということだ。今後の“SEGA AGES”の期待がさらに高まったといえるだろう。

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「このランキングの中にすでに何本か発売が決まっているタイトルもあります」(奥成氏)という気になる発言も。下村さんが熱望する『三輪サンちゃん』には2票ほど集めていたとか。

 そして「ポロリあるかもね」の言葉通りに、11本目となるラインアップとして『バーチャレーシング』が発表に! 同作はニンテンドー3DSで展開されていた3D復刻アーカイブスで移植が“できるかも……?”という段階まで移植が進んでいたが、完成にまでは至らなかったという経緯を持つタイトル。それだけに、今回のラインアップ追加には、ひとかどならぬ感激を覚えるファンは多いはず。

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 しかも「一度3DS用に作ったプログラムを破棄して、ゼロから作り直しています」(堀井氏)、「3DS版のときに見つからなかったプログラムのソースコードが見つかった」(奥成氏)という発言もあっただけに、移植再現度に関してはかなり期待できそう。さらに「いろいろ追加するには、ソースコードがあったほうがいい」とのコメントも飛び出たので、原典にはない追加要素も用意されることになりそうだ。

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16:9のワイド画面が使用されたアーケード版を完全再現。テクスチャのないソリッドなグラフィックスは美しさすら感じる。画面分割による2P対戦も楽しめるようだ。

 最後に出演メンバーは、以下のメッセージを残してステージを締めくくった。なお、ステージ後に中核スタッフに話を聞いたインタビューを後日掲載予定。そちらも楽しみにしてほしい。

堀井氏
「セガのポリゴンゲームを移植するのは夢だったのでみなさんご期待ください」

奥成氏
「復活してから一週間経ってません。どれだけシリーズが続けられるから皆さんの応援にかかっていますのでよろしくお願いします」

MC8Bitさん
「このステージに立てたことがすごく楽しみ。男の夢、セガ社員になったような気分」

下村氏
「ユーザーの皆さんに育てていただいて、皆さんと共に成長していくプロジェクト。今後はセガのアーカイブをしていきたいので応援よろしくお願いします」

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関連アイテムとして、在予約受付のFREEing製『サンダーフォースIII』『サンダーフォースIV』のフィギュアの告知も。