フロム・ソフトウェアより2019年3月22日に発売予定のプレイステーション4、Xbox One、PC用ソフト『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』。東京ゲームショウ2018にプレイアブル出展されるデモ版をひと足先にプレイすることができたので、リポートの形で内容を紹介したい。

 往年のフロム・ソフトウェア作品らしく、老若男女が訪れるイベントに展示されるビルドとは思えない高難易度で、「そうそう、俺たちが求めているホスピタリティはこれだよ!」と唸りながら何度も頭をかち割られた。TGS2018期間中の攻略に燃えている皆さんの参考になれば幸いだ。

『SEKIRO』プレイリポート、醍醐味は一撃必殺のカタルシス! ただし「やったか?」→「やってない」には注意しろ!! 【TGS2018】_09

しのぎを削る剣戟からの“忍殺”! 一撃必殺のカタルシス

 本作は、美しくも死の匂いが漂う“戦国時代の日本”をフロム・ソフトウェア流に再構築したアクションゲームだ。“中世ファンタジー”という王道を題材に唯一無二の世界を生み出した『ダークソウル』シリーズと同じく、『SEKIRO』の舞台となる日本もまた新鮮なケレン味に溢れている。

 真っ赤な紅葉と真っ白な雪のグラデーション、身の丈3メートルはありそうな大男、主人公の忍義手から放たれるビックリ忍術ーーそうした“嘘”の数々が、まるで最初からそういうものだったかのように違和感なく溶け込んでいる。探索意欲が泉のように湧いてくる和風世界は、180度テイストが違うはずなのに、まるでロードランやヤーナム(※)に帰ってきたような感動があった。

※それぞれ『ダークソウル』と『Bloodborne』の舞台となる地方。

『SEKIRO』プレイリポート、醍醐味は一撃必殺のカタルシス! ただし「やったか?」→「やってない」には注意しろ!! 【TGS2018】_04

 さて、今回プレイした試遊版では、ステージのどこかに存在するゴールを目指して、敵を倒しつつ探索を進めていくことになる。

 確認できただけでも、足軽のようなザコ敵から、ひと筋縄ではいかない将、「登場するステージ間違ってない!?」と叫びたくなるような怪物まで、さまざまな敵がプレイヤーの行く手を阻む。

 そうした敵たちは体力が非常に高く設定されており、刀で斬りつけても微々たるダメージしか与えられない。そこで重要になるのが、“忍殺”と呼ばれる一撃必殺のアクションだ。『ダークソウル』経験者ならパリィからの致命攻撃を想像するかもしれないが、“忍殺”は大ダメージではなく確殺。ボスや強敵だろうと一撃で体力を0にできる。

 ただし、ボスや強敵は複数本の体力ゲージを持っていて、その本数と同じ回数ぶん“忍殺”しなければ倒せない。敵の体力ゲージの数はひし形のアイコンで確認可能なのだが、知らないと「やったか?」→「やってない」みたいなことが起こりうるので気を付けたい。

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 “忍殺”をキメるためには、相手の体勢を完全に崩す必要がある。敵のバランスは“体幹”と呼ばれるゲージで視覚化されており、攻撃を当てたり、タイミングに合わせてガードボタンを押して敵の攻撃を弾いたりすると少しずつ溜まっていく。体幹ゲージがMAXになった一瞬の隙を突き、敵の心臓に刀をつき立てるカタルシスは、それまでの剣戟が激しければ激しいほど大きい。

 体幹ゲージは時間経過で回復してしまうので、逃げ回って隙をつくような消極的な戦法は成立しにくいような印象を受けた。ガードによる“弾き”を成功させるメリットが大きく、ステップ回避も優秀なので、相手の懐に飛び込んで積極的に斬り合いを演じるような戦闘が醍醐味になるだろう。

 ちなみに、敵によってはガード不可能な攻撃も行ってくるのだが、その場合は直前に“危”の文字が頭上に現れる。どの攻撃を避けるべきかわかりやすく、逆に言えばそれ以外の攻撃はすべてガードで弾けるので、臆することなく向かっていけるのもうれしい。

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 攻撃方法としては、通常の刀以外に、左手の忍義手に仕込まれた“義手忍具”を使ったアクションも特徴的だ。

 今回の試遊で使えたのは手裏剣、仕込み斧、火炎の3つ。それぞれ通常攻撃にコンボをつなげることができ、手裏剣なら投げた相手に一気に距離を詰めて斬りつける、斧なら刀と組み合わせた回転斬り、火炎なら刀に火属性を付与……といった具合に、それぞれ敵の弱点を見極めて有効に利用していきたい。

 製品版には上記以外の義手忍具も登場するほか、同じ忍具でも強化の仕方によって性能に変化を持たせられるという。TGSに合わせて公開されたトレーラーでは、槍のような武器を手に戦っているのも確認できる。

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 また、本作では身をかがめたり物陰に潜んだりといったステルス行動が可能で、背後や頭上からの奇襲という形でも“忍殺”できる。こうした絡め手も考慮しながら作戦を組み立てるのが非常に楽しい。

 絡め手の中には戦闘中に殺されたとき条件を満たしていればその場で復活できる“回生”というシステムも存在し、油断した敵に背後から襲い掛かる奥の手としても活用できる。

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 アクションアドベチャーを銘打っているだけあって、アクションRPGである『ダークソウル』や『Bloodborne』よりも正面戦闘の緊張感やスピード感が増しているように感じた。HPではなく“体幹”を削っての一撃必殺や、残機のような“回生”システムも、伝統的なアクションゲームを再解釈した結果なのかもしれない。

 操作には慣れが必要だが、確実におもしろい。あとから熟練者のプレイも見せてもらったが、流れるような攻防一体の動きは痺れるほどかっこよかった。アクションの上達そのものが楽しさにつながる類のゲームを求めているなら、これほど適したタイトルはないだろう。

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縦軸の移動が可能になり、探索の楽しさは次のステージへ

 軽い気持ちで入った脇道にとんでもない強敵が待ち受けていたり、迷ってたどり着いた袋小路にレアアイテムが眠っていたり、そんな絶妙なマップデザインも『SEKIRO』にはしっかり継承されていた。むしろパワーアップしているといっても過言ではない。

 主人公の義手には鉤縄が仕込まれており、これを使ってステージの特定のポイントへ飛び移ることができる。屋根や木の枝に登れば敵を避けて進めるし、一見行き止まりに見える崖の先にも道があるかもしれない。縦軸の移動が可能になったことで、探索の楽しさが何倍にも増していた。

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 基本的には“鬼仏(※)”と呼ばれるチェックポイントを目指して進むことになるのだが、そのためのルート選択も自由度が高く、プレイヤーによってかなり異なる体験をすることになるはずだ。

※鬼仏:死んだ際の復活ポイントになり、回復アイテムの補給もできるが、触れることで敵が復活してしまう。『ダークソウル』における篝火。

 試遊版ということで、脇道にそれた先で手に入るアイテムは“一時的に防御力を上げる飴”、“煙幕のように使える灰”といった消費アイテムがほとんどだったが、製品版では強化アイテムや忍具なども配置されると予想できる。ワクワクは募るばかりだ。

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 繰り返しになるが、本作の舞台は唯一無二の戦国時代だ。寺や城、侍や忍といった日本人ならば親しみ深い要素に、フロム・ソフトウェアらしい力強いファンタジーがミックスされている(強い奴は身長もデカい、とか)。四季が強調されたグラフィックや、“鬼仏”のような宗教的モチーフは、我々が見慣れてしまった和の美しさや神秘を改めて感じるきっかけになるかもしれない。

 試遊を通じて、一撃必殺のカタルシスが魅力の戦闘と、立体的で探索しがいのあるマップデザインに触れることができた。アクションゲームのファンにとって、あるいは『ダークソウル』や『Bloodborne』のファンにとって、本作は新鮮さと安心を兼ね備えたプレイ必至の1本になるだろう。

 一方で、イベントシーンやアイテムテキストなどは今回のデモ版では描かれなかった。固定の主人公が存在し、リニアなストーリーが展開される『SEKIRO』だが、そうしたシナリオ部分の魅力はまだまだ未知数だ。公開されたトレーラーに期待を膨らませながら続報を待ちたい。