逆輸入。

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シンプルでサクサク進められるリーズナブルな逆輸入タイトル

 今回紹介する『百鬼城 公儀隠密録』も、ジャンルは大きく変わるもののSteamにて海外向けに配信された“和風”リアルタイムダンジョンRPGで、それがこのたびさまざまなブラッシュアップを経て国内の家庭用ゲーム機、Nintendo Switchとプレイステーション4で配信されることになった“逆輸入タイトル”なのである。

『百鬼城 公儀隠密録』プレイリポート、怖くて手応えある本格派リアルタイムダンジョンRPGを堪能_01

 そんなわけで、そこそこ期待しつつゲーム前半戦をプレイさせてもらったわけなのだが、とりあえず「これはいい!」と感じたところを挙げてみよう。

・ルールがシンプルでわかりやすい
・ヌルくない
・余計な演出もなくサクサク進む
・(価格が)安い

 ゲームシステムやルールがわかりやすいのは、何よりの魅力である。基本的には、城内をくまなく歩き回り、行く手に立ちはだかる敵を倒したり、ギミックを解除しながらずんずん奥を目指していくだけ。

 ギミックもそれほど複雑なものはなく、何回かがんばればネットに頼らなくても突破できるものばかり。ほとんどの場合は壁にヒントを記した紙が貼ってあるので、それを参考にしてみたり、メモを取りながら挑んでみるのもありだ。

『百鬼城 公儀隠密録』プレイリポート、怖くて手応えある本格派リアルタイムダンジョンRPGを堪能_02

 ただ、ギミックこそそれほど難しくはないが、バトルはなかなか骨太な作りになっている。序盤のうちから、ちょっと間違えると途端にピンチになったり、全滅まで持っていかれるくらい敵が強いのである。正確に言うと“堅い”。

 そのため、できる限りリスクを避け、数発攻撃しては左右もしくは後ろに移動して敵の攻撃を回避、ということをくり返す、いわゆる“ヒットアンドアウェー”戦法が有効となる。このゲーム、4人のパーティーで進んで行くことになるのだが、ひとりでも欠けると途端にバトルがキツくなるのだ。

 と言うのも、本作では4人をふたりずつもしくは1対3に分ける“チーム分割”というシステムがあり、これが非常に重要だからである。道中2ヵ所のスイッチを同時に作動させないと進めないギミックがそこかしこにあったり、正面からの攻撃が通りにくい敵もいたりして、数分に1回はチーム分割を行うことになるくらい。

『百鬼城 公儀隠密録』プレイリポート、怖くて手応えある本格派リアルタイムダンジョンRPGを堪能_03

 つまり、ひとりいなくなると、どちらかのチームの戦力がガタ落ちになってしまってバトルがきびしくなる……というわけ。それを避けるためのヒットアンドアウェーなのだ。

 一方、ザコ敵でも初見だと攻撃方法が読めず、一撃でやられてしまう(全員攻撃で全滅)こともあったりする。そんなこともあるあたり、まったくヌルくはないゲームバランスになっているのだが、「こんなの無理ゲー!」というほどではなく、コントローラーを投げずに「こなくそ!」とがんばらせる程度の心地よい難易度に調整されていると言える。

 ザコ敵にしても、ボス敵にしても、基本的には“パターン”が決まっていて、それを覚えてしまえばそれほど苦にはならない(ただ、第2のボスの召喚玉+腹顔は物量がすごくてたいへんだったが……)。各階の階段付近には必ずセーブポイントがあるので、全滅してもそこまでの痛手にならず、すぐにやり直せるのも評価したいところ。

『百鬼城 公儀隠密録』プレイリポート、怖くて手応えある本格派リアルタイムダンジョンRPGを堪能_04

 攻略のコツとしては、出現する敵の属性に応じてスキルや装備を細かく付け換え、活用していくとかなりバトルが楽になる。しっかり覚えておくといいだろう。MPは比較的回復させやすいし、途中からはHG回復のアイテムも余るようになってくる。また、道中の敵はできるだけ倒しておくと、レベルアップ=能力アップ、スキル修得につながるので後の攻略もよりスムーズになるはずだ。

 ストーリー面については、一応設定もあるしボス戦後などイラストとともにシナリオらしきものが出てくるのだが、これはほぼあってないようなものだと考えていい。まぁ、おじさんたちが昔遊んでいた1980年代のゲームなんてだいたい同じようなものだったし、中途半端にシナリオを読まされるくらいなら、ないほうがいいのも事実である。

『百鬼城 公儀隠密録』プレイリポート、怖くて手応えある本格派リアルタイムダンジョンRPGを堪能_05

 その他、攻撃やギミック起動などの演出についても、すべてがシンプルにまとめられている。このゲームはダンジョンRPGと言ってもアクション性が強く、全滅をくり返して進むトライ&エラーが必須の作品でもあるので、同じルートを何度もプレイしなければいけないことがよくある。

 そんなとき、長々と続く演出を何度も観させられるのも面倒なので、このくらいシンプルに割り切ってくれると快適にプレイできてありがたい。

 コストパフォーマンスについても、1500円[税込]とお値打ち価格。ストーリーや演出こそほぼ省略された形にはなっているが、アクション系のダンジョンRPGとしてはかなりデキがいいし、ボリュームもあるので十分だろう。この逆輸入タイトル、悪くない!