セガが“屋内型動物園”を運営する理由とは? オービィ横浜でかわいい動物とふれあった【写真多数】_09

 セガが運営する、横浜のとあるスポットが人気を集めている。MARK IS みなとみらいの5階にある“オービィ横浜”は、施設内にたくさんの動物がいて、その多くを間近で観察できたり、直接ふれあうことができる。

 いわば“屋内型動物園”というわけだが、広くない屋内の敷地をうまく使って、国内最大級のスクリーンが備わるシアターや、シーズンごとに異なるテーマでコンテンツが展開される企画展ゾーンなど、ほかにはないエンターテインメント体験を楽しむことができるすごい施設なのだ。

 それにしても、なぜ生粋のゲームメーカーであるセガが、気づけば“屋内型動物園”を運営しているのだろうか? 館長に直接取材してみました!

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森 隆之(もり たかゆき)

セガホールディングス オービィ横浜 館長(文中は森)

セガが“屋内型動物園”を運営するにいたった理由

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――いやあ、カピバラさんがとってもかわいいですねえ(ナデナデ)。

 この“アニマルガーデン”でふれあえる動物はほかにもアルマジロやケヅメリクガメ、ミーアキャットなどもいますが、カピバラはアンケートでもとくに人気が高く、海外のお客様からも人気がありますね。アンケート人気での次点では、小動物とふれあうことができる“アニマルスタジオ”のヒヨコも人気が高いです。

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ヒヨコ。手を入れると駆け寄って来る。餌もあげられます。
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ヒヨコと森館長。

――MARK IS みなとみらいという屋内商業施設で、動物を間近で観察でき、一部はふれあうこともできるのがすごいですね! まずは、セガがオービィ横浜を運営することになったそもそもの経緯を教えてください。

 開館は2013年8月で、ちょうど5年前になりますね。最初は、新しい屋内型テーマパークを検討する中で、英国BBCが保有する豊富な映像資産とセガの技術力を融合させ、都会で大自然や動物の生態環境を体感する……というコンセプトを企画し、オープンしました。

――動物たちや大自然の映像とセガのデジタル技術を組み合わせて、都会にいながらにしてネイチャーを体感できるというわけですね。

 そして2年前に、初めて動物とふれあえる“アニマルスタジオ”をオープンしました。そちらが非常に好評で、「もっと動物とふれあいたい」というご要望をいただき、2018年4月、その声に応える形で“アニマルガーデン”と“キャットパラダイス”のふたつのゾーンを新設し、動物とふれあえるエリアを以前の3倍にまで拡張しました。お客様からもいい反響をいただいておりますから、このリニューアルは間違いではなかったと言えるかと思います。

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アニマルガーデン。区切られたエリアの中には、様々な鳥やカピバラ、アルマジロなどが展示されている。館内は空調が効いていて、空気清浄機も強力とのことで、まったく動物臭さがない。
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――実際に、入館者数も増えているのですか?

 そうですね、リニューアル後、入館者数は前年比で2倍ほどと非常に多くのお客様にご来場いただいています。また、これまでは映像ファンの方に多く来ていただいていたという印象がありますが、お客様の幅がより広がったと実感しています。

――2018年4月のリニューアルは、どのようなきっかけで?

 お客様からの「もっと動物と触れ合いたい」というご要望に応えようと、触れ合いスペースを以前の約3倍にまで広げました。

オービィ横浜館長の経歴とは

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ハリネズミを抱っこするときは、革手袋を借りることができます。セガと言えばハリネズミだよね!

――森館長も、セガというゲームの会社に入社して、動物とふれあうことになるとは思っていなかったのではないですか?

 そうですね(笑)。私はセガ入社以来、ゲームセンターの店長や、東京ジョイポリスのアトラクション責任者、飲食や物販など、いわゆるさまざまな“現場”を長年経験してきました。その経験を買っていただき、このオービィ横浜はセガとしても新しいチャレンジでしたので、開業直後に、その経験を活かしてほしいと、開業直後にマネージャーという形で赴任することになりました。

――オフィスに毎日勤めるというよりも、現場畑を歩いてこられたのですね。オービィ横浜には、そういった現場、たとえば屋内型エンターテインメントパークのジョイポリスの運営ノウハウも活かされているのでしょうか。

 もちろんそうです。たとえばテーブルひとつとっても、お子様がぶつかっても怪我をしないように角を丸く“面取り”する、またラバーを貼るなど、設計段階から思想に入っていたりします。そういった、現場を運営することでしか培えない経験・思想なども、設計段階からオービィ横浜に活かされています。

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オービィ横浜に息づく“セガらしさ”

――オービィ横浜にある、“セガらしさ”というものを挙げるとしたら、どのようなものになるでしょうか。

 セガといえば、ゲームやデジタルというイメージがあるのかなと思うのですが、一方でずっと現場を歩んできた私としては、お客様と従業員の接点があるという“リアル”の場を持っている企業という特徴もあると思っています。そのふたつを持っているところが、じつはセガらしいのではないかなと。

――実際にリアルな施設に足を運んで、動物とデジタル技術の両方を体験して楽しむことができる。

 はい。じつは館内で流している映像も当施設のためだけに撮影しに行った貴重なものなどが流れていたりします。何気ないシーンなのですが、BBCのクルーが動物に警戒されないために1ヵ月そこに通い、初めて撮れた一瞬だけを使用していたりします。ミーアキャットが集団で行動したり、コブラと戦ったり、サソリを食べたり。そして、その映像で見たミーアキャットと実際にふれあうことができる。あたたかみを感じると。

――臨場感もより増しますね。

 私たちの世代はデジタル的なものを「新しい、珍しい」と感じてきました。私には娘がいて、いま小学生なのですが、彼女くらいの世代になると、むしろデジタルよりもリアルな動物の、本物のほうが珍しいと感じたりするわけです。私達はフナを釣ったり、ザリガニを捕まえたりしていたわけですが、Youtube世代といいますか、彼女たちにとっては映像でしか見たがことがない本物の動物にふれあうことに価値を感じるのではないかと。そういった、リアルにふれあえる場を提供することが、新しい経験を生み出せるのではないかなと思います。

――しかし、生き物相手だと、これまでの事業ではなかった苦労も多いのではないですか?

 信頼できるパートナー企業さまと提携し、動物の健康やストレスにはとても気を使っています。動物がリフレッシュするための牧場も用意されているんですよ。

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ネコたちとふれあえる“キャットパラダイス”。取材当日には、リクルートスーツ姿の大学生とおぼしき人がネコと遊んでいました。就活生もほんわか癒やされるにゃん。

――お客さんに、新しい感動や新しい体験を提供するというのは、確かにセガらしいポイントですよね。じつは、“セガのたい焼き”の取材のときにも訊いていたのですが、セガって昔から新しい事業や新しいチャレンジを行っていますよね。“セガカラ”とか。それってやっぱり社風というか、企業風土があるのですか?

 もうそれは、本当にそうですね。いろいろなことにチャレンジしています。その企業風土、ノウハウ、先人たちのチャレンジングスピリットが、このオービィ横浜にも受け継がれていると思いますね。そういったことに関われているのも貴重なことだと思います。じつはオービィは海外にもライセンスアウトの形で展開していて、海外はセガが運営しているわけではなく、ライセンスアウトをしているのですが、つねに新しい挑戦はしていますね。

――今回のリニューアルも、「動物を増やしてふれあえるスペースを大きくします!」と社内で提案したとき、反対意見などはありませんでしたか?

 いや、なかったですね。まったくなかったです。

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“なぜセガが屋内型動物園を運営しているのか?”その答え

――もともとゲームセンターを運営していたセガが、屋内型エンタテインメントパークのジョイポリスを運営するのはわかります。さらにそこから、じゃあ動物を中心に据えたテーマパークを運営してみよう、さらにそこにナマの動物を置いてふれあえるようにしてみよう……と、段階をひとつひとつお伺いすると、納得しやすいのですが……。

 最終的にできあがったものを見ると驚きますよね。私も「どうしてセガに入社して、いまヒヨコを抱っこしているのだろう」って考えると、すこし不思議な気持ちになりますから(笑)。でもやはり、東京ジョイポリスやゲームセンターで培ったノウハウや、オペレーションクオリティーが活かされていたり、新しい感動体験を創造するために継続してチャレンジし続けていたりと、セガらしさがしっかり生きていると思います。セガファンの皆さんにも、ぜひ訪れてほしいですね。かわいい動物たちに会いに、ぜひお越しください。

 というわけで、「なぜセガが動物園を!?」と一瞬驚いてしまうオービィ横浜だったが、そこはセガらしい新しいものを生み出す企業風土と、そして現場には、多くのゲームセンターや東京ジョイポリスなどの施設で培ったノウハウと思想が活かされている。いわば、セガらしさがしっかりと息づいているのだ。

 機会があれば、ぜひ一度訪れて、心ゆくまで動物たちを愛でてみてほしい。

●オービィ横浜
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-5-1 MARK IS みなとみらい 5F
4月1日リニューアルオープン
営業時間: 月~木曜9時~21時(最終入館20時)、
金~日曜・祝日・祝前日9時~22時(最終入館21時)
入館料:大人800円、中人500円、小人・シニア300円、幼児無料
動物とふれあえるゾーン(全3種)への入場は、その都度個別に支払いが必要(各500円)。すべてのふれあいゾーンに入れるフリーパスと入館料がセットになった“パスポート(大人2200円ほか)”や、年間パスポート(大人4700円ほか)の販売もあり。価格はすべて税込。
公式サイト http://orbiearth.jp/

※価格やデータはすべて取材時のものです。展示の動物は体調等によりふれあえないこともあります。

オービィ横浜で撮影した、かわいい動物たちの写真をどうぞ↓

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