2018年8月2日、“2018 PlayStation Press Conference in China”が、上海商城劇場(Shanghai Centre Theatre)にて行われた。中国市場におけるプレイステーションフォーマットの戦略を関係者に向けてお披露目する本カンファレンスが、毎年ChinaJoyの開催前日に行われるのもすっかりおなじみ。中国市場でプレイステーションフォーマットが解禁されてから4年。中国でのコンソールビジネスの展開をうかがうには、絶好の定点観測の場と言えるだろう。
カンファレンスは、『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』の映像からスタート。まるで、「ショウの始まりだ!」とばかりにド派手な映像で来場者の心を掴んだあとは、『モンスターハンター:ワールド』のお披露目へ。登壇した辻本良三氏からは、全世界で830万本を販売したことに触れたうえで、「中国のファンのために簡体字版に向けての取り組みを検討しています」と語った。現時点では、『モンスターハンター:ワールド』の中国発売は正式決定しておらず、今回のChinaJoyでは“参考出展”に留まるが、「喜んでいただける情報をお届けできるようになったらお伝えします」(辻本氏)とのことで、中国での『モンスターハンター:ワールド』に対する期待値の高さがうかがえる。
おつぎは、2K 『NBA 2K』シリーズのバイス・プレジデント・オブ・マーケティングのアルフィ・ブロディ氏が登壇し、昨年に引き続き今年もシリーズ最新作である『NBA 2K19』を中国で発売することをアナウンス。会場は歓声に包まれた。さらに、中国での発売元であるGamepoch CEO ステファニー・チェン氏からは、ローカルサーバーでのマルチプレイも好調であることが明かされた。
と、期待作が続々と紹介された今年のカンファレンスだが、冒頭で挙げた“定点観測”という見地から言えば、中国市場独自の取り組みがより増えたというのが印象。それをより強烈に印象づけたのが、China Hero Projectと中国発のIPのゲーム化した『Monkey King Hero is Back』だ。いずれもここ数年の取り組みが成果を上げ始めているということになるのだが、ちょっぴりおさらいしておくと、China Hero Projectはミドルウェアメーカーなどと協力して行う、中国クリエイター支援のプロジェクト。2016年に10タイトルが発表され話題を集めた。一方の『Monkey King Hero is Back』は、2015年に公開され、中国で大ヒットを記録したアニメ映画のゲーム化タイトル。こちらは2017年に発表され、“中国IPの大型ゲーム化”ということで、中国での期待値も極めて高い1作だ。
カンファレンスでは、China Hero Projectのタイトルのうちから、進捗が見えてきた5タイトルが紹介された。ゾンビと戦うFPSの『Kill X』(2018年冬発売)、宇宙を舞台にしたFPS『Project Boundary』(2019年発売)、ロボットアニメタッチで、影山ヒロノブがオープニングテーマ曲を担当することも発表された『Hardcore Mecha』、新トレーラーが公開されたサバイバルホラーの『Pervader』、そして『Lost Soul Aside』だ。同作は、クリエイターが『ファイナルファンタジーXV』の影響を受けたと明言しているビジュアルが日本でも注目を集めるアクションゲームだ。
カンファレンスのトリを飾ったのは、『Monkey King Hero is Back』。原作のアニメを手掛けるのが十月文化、パブリッシングをOasis Games、開発をソニー・インタラクティブエンタテインメントとヘキサドライブという、日中の叡智が結集したとも言える本作は、いま中国でもっとも期待を集めるコンソール向けゲームの1本。会場では最新動画が流され、2019年初頭にもリリースされる予定であることが明らかにされた。なお、さまざまなコラボレーションが予定されている『Monkey King Hero is Back』では、日本絡みだとGARNiDELiAのtokuが楽曲の作曲・編曲を担当することが発表されている。
欧米や日本のタイトルは控えめにして、中国発のタイトルの充実ぶりを披露した、今回のソニー・インタラクティブエンタテインメント上海のカンファレンスだったと言えるだろう。