2019年2月22日にエレクトロニック・アーツからPS4/Xbox One/PCで発売予定の、アクションRPG『Anthem』。昨日そのRPG要素とTPS要素が融合したゲームプレイについてプレイリポートを掲載したが、引き続き、開発元バイオウェアでテクニカル・デザインディレクターを務めるブレノン・ホームズ氏へのインタビューをお届けしよう。

 なおゲームの基本やプレイ感等についてはそちらのプレイリポートで書いているので、そちらを一読してからインタビューを読み進めてもらえると幸いだ。

ブレノン・ホームズ

『Anthem』のテクニカルデザインディレクターを務める。

エンディング後も継続的に新コンテンツを投入予定

――プレスカンファレンスでのプレゼンテーションで、発売後も積極的にコンテンツ追加などをやっていくことが語られましたが、どうやってグラインディング(繰り返しばかり)になるのを避けながらこのゲームを新鮮に保っていきますか?
ホームズ それは人々が何をしたいかによるかと思います。オンライン必須(※)のゲームにした理由でもありますね。(※編注:プレイ形態としてはソロでも遊べる)今回は技術的にさまざまな面で、継続的にコンテンツを追加できるようにゲームを築きあげています。

 さまざまなコンテンツを追加できます。例えばストーリー要素がお好きなら、メインストーリーをクリアーしても、それはまだ長く大きな物語の始まりです。我々はさらなるストーリーを投入していきます。

 今日遊んでもらったような“ストロングホールド”と呼ばれる協力ミッションも定期的に増やしていくつもりだし、それ以外のタイプのものもちゃんと増やして、新鮮にしていきたいと考えています。

 それに加えて、この作品では世界をコンスタントに変えていくということが考慮されています。とてつもない嵐が吹き荒れ始めるといったことを起こせますし、それはプレイヤー皆が体験するものになります。

――嵐はどう作用するんでしょうか? 天候が変わるという話がありましたが、例えば雨が降ったら飛行時の熱メーターが上がりにくくなるかもしれないし、雷が落ちて痺れるなんてこともあるかもしれませんよね。
ホームズ はい、まず本作には天候シミュレーションの仕組みが入っていて、晴れ以外にも嵐や雨といった環境変化を再現できます。そのうちのいくつかは確かにゲームプレイに多少作用する部分がありますね。先程言ったイベントで発生させるようなものはもっと違っていて、より厳しいワールドイベント的なものになります。

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――運営型のゲームとしては、バイオウェアはMMORPG『Star Wars: The Old Republic』の経験があります。『Anthem』を作るにあたって、その経験は役立っていますか?
ホームズ 同作での経験は非常に重要なものです。ああいったゲームに関わったスタッフがチームにいることで、どうコンテンツを追加していくべきか、マルチプレイゲームの中でどうストーリーを語っていくかとか、その経験や知識を活かしてもらっています。非常に役立っていますね。

――プレスカンファレンスのステージ上では、ルートボックス(いわゆるガチャ方式)がないということが明かされました。ではシーズンパスはどうでしょうか? エレクトロニック・アーツのタイトルは、かつてシーズンパスがあったゲームすらも、シーズンパスなしでコンテンツを提供するようになってきていますよね。
ホームズ うーむ、これは話せるかな?(同席した担当者氏「まぁシーズンパスはないよ」)今聞いた通り、シーズンパスといったものはないです。

――ではどうやってアップデートをゲットできるんでしょうか。有料DLCという形もありえますよね。
ホームズ お金を使うものは基本的に外見に関するもので、購入前に内容はわかります。それ以外は単にダウンロードすれば遊べます。

ジャベリン・エクソスーツはカスタムして複数所有可能

――ゲーム中で別のタイプのジャベリンスーツに着替えることはできますか?
ホームズ ミッション中はできませんが、ハブとなる本拠地や前線基地であるストライダー(トレイラーに映っている大型の歩行兵器)に行けば変えることができます。

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本拠地や拠点などではソロプレイ状態になり、NPCなどとのストーリーやカットシーンなどが展開されるという。

――じゃあ別のジャベリンで遊ぶためにセーブデータを作り直したりする必要は……。
ホームズ はい、大丈夫です(笑)。あなたはあくまでパイロットなので。

――もしあなたが射撃がうまくなかったとしたら、どのジャベリンを選びますか?
ホームズ ストームが向いているんじゃないですかね。ストームはクレイジーな属性系アビリティに長けていて、今日も電撃パワーを叩きつけているのを見たと思います。アレはそんなに正確に狙う必要がなくて、大体で打っちゃえば「ドーン」と巻き込んでくれるし、楽しいので。だから射撃が得意じゃないならいいんじゃないかと思いますね。個人的にも好きなジャベリンです。

――バイオウェアの伝統であるRPGの文法で言えばAoE(範囲攻撃)タイプって感じがしますね。
ホームズ そう言っていいでしょう。能力はカスタマイズで選ぶことができて、氷の塊をぶつけるなんてものもあります。そちらはダメージ自体はそんなでもないんですが、ステータスに影響するタイプです。コンスタントに当てれば凍らせることが出来ます。そのかわりちょっとエイム(狙い)が必要ですね。

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弱点を持っている敵もいるので、うまくスキルの効果などを活用し、より大きなダメージを与えたい。

――カスタマイズ要素について教えてください。装備には武器やアーマーがあって、ランチャーなどのギアもあるわけですよね。
ホームズ 自分のスーツを作り上げるには、大きく分けて二種類があります。僕らは今おっしゃったような(装備系の)ものを“カスタマイズ”としています。例えば今日遊んでもらったキャラクターは腕にパルスキャノンがついていましたが、あれを異なるタイプのアビリティやギアに換装できます。スーツにはいろいろスロットがあって、どうプレイするかを変えていけます。

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ホームズ それと“パーソナライゼーション”と呼んでいるものがあります。こちらはよりスーツの見た目を変えるものですね。カラーとかエンブレムとかそういったものを変えられるわけです。

――銃のバリエーションはどうでしょう? 今日はマシンガン的なものを使いましたが。ロケットランチャーなんかは?
ホームズ ロケットランチャーのような重火器は、銃のカテゴリーじゃなくて(スーツに装備する)ギアとしての扱いです。それで銃のバリエーションについてですが、スタンダードな銃はもちろんいろいろあって、なかなかキテるのもあるんですが、それは今後のお楽しみということで。

――プレスカンファレンスではカラーバリエーションを示す動画が流れていましたけど、エヴァンゲリオン初号機みたいな緑と紫のカラーがあったので「これは!」と思いました。エヴァンゲリオンはご存知ですか?
ホームズ 知ってます。私の好きなアニメのひとつですよ。
――じゃあもしかしてあのカラーは……。
ホームズ はい、あれはインスパイアされたものですね(笑)。

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消費系アイテムが存在? 一方、現状でPvPはなし

――プレイしていて敵を倒した時に、さまざまなカラーのジェムのようなものが落ちるのを見ました。あれはなんですか?
ホームズ 赤いのがヘルスオーブで、回復をするものです。青いのは弾ですね。明るいグリーンのとかパープルのはアイテムですね。
――ゲームを開始する前の画面で、“消費アイテム”(Consumable)と書かれた欄があったんですが、あれはなんですか?
ホームズ あぁ、あれは……話していい奴?(担当者氏が首を横に振る)あれはまだ話せないですね。ゲームが開始するまでコントローラーを渡さなかったのは、まだ見ちゃいけないメニューがいくつかあるからなんです、ハハハ(笑)。
――まぁ何かをあそこで使うと。
ホームズ どんなものかは多分推測できると思います。

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――PvP(対人戦)モードはありますか? PvE(敵クリーチャーなどとの戦い)に特化しているんでしょうか?
ホームズ 我々は『マスエフェクト3』からのチームがメインなんですが、あのゲームではマルチプレイ要素がありました。『Anthem』でやりたい方向性はその延長上にあって、ストーリーと結びついた楽しいマルチプレイのCo-op体験を作りたかったんですね。それがローンチに向けてフォーカスしたいことで、PvPについては現状やっていません。ローンチ後の選択肢としてはありえるかもしれませんが、少なくともローンチ時点ではありませんね。

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――『Anthem』には『マスエフェクト』や『ドラゴンエイジ』シリーズのようなロマンス(恋愛)要素はないというニュースを読んだんですが、本当ですか?
ホームズ そうですね。
――では他の要素はどうでしょう。バイオウェアは恋愛要素以外でもプレイヤーキャラクターに幅広い選択肢を与えることで知られています。例えば僕は『マスエフェクト』でタフでワルい女性シェパードとしてプレイするのが好きでした。性別はどうでしょうか。あるいは肌の色とかその他の要素は?
ホームズ 『Anthem』にはキャラクタークリエイターがあって、性別を選ぶことができ、その他のオプションもいくらかありますよ。キャラクターカスタマイズという観点ではスーツについてが多いんですが、ワルい女性キャラクターでプレイしたければ、もちろんできます。

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遊んでもらえば『Destiny』との違いがわかるはず

――今日ゲームをプレイして非常に楽しめました。でも「ああこれはバイオウェア版『Destiny』なのね」って言う人もいると思うんですね。開発チームにとってのコンセプトの違いなどを教えてください。
ホームズ 個人的にはかなり違うと思うんですよね。バイオウェアはディープなキャラクターやストーリーの構築から来ているわけですし、(『Destiny』の開発元であるBungieとは)スタート地点から違います。我々としては、ディープなストーリー要素とCo-op要素の融合という観点からこのゲームにたどり着いています。なので、確かに一見似ている点もちらほらあるでしょうが、ゲームプレイ的にも遊んでみれば「コレは違うな」とわかっていただけるんじゃないかと思います。

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――こういった質問をしてもあまり明確な答えは難しいと思うんですが、どれぐらい地域やマップがありますか?
ホームズ まぁ正確な数字は今のところ言えないですね。でも今日遊んでもらったワールドだけでもかなり大きいです。「何km四方あります」とか言うのが好きな人もいますけど、移動速度の違いがあればあまり意味がないと思うんですよね。高速に移動ができるゲームだったら狭く感じちゃうわけですから。
 ただまぁ、大きく感じるものにはなっていると思います。それに『Anthem』のマップは今日遊んでもらった通りに立体的な構造なわけです。上に飛んだり下に飛んだり、潜ったりもするし、洞窟もあります。見た目も大きいし、行ってみるとさらに大きいと感じられるんじゃないかと。

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――数年前にバイオウェアのパネルディスカッションを見ていて、「今度のマスエフェクトはMako(乗り物)が帰ってきます」と発表されて盛り上がっていたのを思い出したんですが、『Anthem』に乗り物はありますか?
ホームズ うーん、ないですね。ストライダーがそれに近い存在とは言えますが。というかまぁ、ジャベリンで飛べるので。

――飛行のコントロールはすごくいいですよね。
ホームズ すごくいい感じになったと思います。

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――射撃、カスタマイズ、ストーリー、協力プレイ……いろんな要素がある本作ですが、あなたが個人的に一番好きな部分はなんですか?
ホームズ カスタマイズも確かに気に入ってるんだけども、自分としては飛行アクションかな。飛ぶのが楽しいように作ってあるから、起動して単に飛び回ってる時もあるぐらいで。飛んだり、そこからいきなり潜ったり、ホバリングしたり……それで景色を見て回ったりしてね。