2018年5月9日、バンダイナムコホールディングスが2018年3月期の決算短信を発表した。短信によると、当連結会計年度の業績は、売上高6783億1200万円(前期比9.4%増)、営業利益750億2400万円(前期比18.6%増)、経常利益753億8000万円(前期比19.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益541億900万円(前期比22.5%増)となり、売上高及び営業利益とも、過去最高の業績を達成した。

 2015年4月にスタートした3ヵ年の中期計画を推進したバンダイナムコホールディングスだが、ビジョンである“NEXT STAGE 挑戦・成長・進化”のもと、IP(知的財産)価値の最大化をはかる“IP軸戦略”の強化に向け、新規IPの創出育成やターゲットの拡大、新たな事業の拡大などの施策を推進。また、海外で展開するIPや事業領域及びエリアの拡大に取り組んだとのこと。2018年3月期も、スマートフォン向けゲームアプリケーションなどのネットワークコンテンツや家庭用ゲームが国内外で好調に推移したほか、各事業の主力IP商品・サービスが好調に推移した。その結果が、過去最高の売上高及び営業利益となったようだ。

 セグメント別に見ると、ネットワークエンターテインメント事業では、スマートフォン向けゲームアプリケーションなどのネットワークコンテンツにおいて、ワールドワイド展開している『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』や『ワンピーストレジャークルーズ』、国内の『アイドルマスター』シリーズなどの主力タイトルが好調を継続して収益に貢献。家庭用ゲームでは、欧米地域を中心に新作タイトル『鉄拳7』や『ドラゴンボールファイターズ』が人気となったほか、既存タイトルのリピート販売が好調に推移したとのこと。また、アミューズメントビジネスでは、アミューズメント施設の国内既存店が順調に推移したほか、VR(バーチャルリアリティー)を活用した機器開発や施設の出店を積極的に推進した。その結果、ネットワークエンターテインメント事業における売上高は4059億8600万円(前期比14.2%増)、セグメント利益は523億7400万円(前期比24.6%増)となっている。

 一方、トイホビー事業では、国内にて『仮面ライダー』シリーズや『プリキュア』シリーズ、『ドラゴンボール』シリーズなどの定番IP商品の好調が継続したほか、『機動戦士ガンダム』シリーズの商品がプラモデルを中心に安定的に推移。また、大人層などに向けたターゲット拡大の取り組みを強化したほか、IPラインアップ拡充に取り組むなど、IP軸戦略強化に向けた施策を実施した。海外では、アジア地域にて『機動戦士ガンダム』シリーズの商品や大人層向けのコレクション性の高い玩具などが人気に。欧米地域では、カード商品などハイターゲット商品の展開を推進したとのこと。その結果、トイホビー事業における売上高は2224億1700万円(前期比2.0%増)、セグメント利益は144億7600万円(前期比8.6%増)となった。

 映像音楽プロデュース事業では、『機動戦士ガンダム』シリーズや『ラブライブ!』シリーズ、『ガールズ&パンツァー』シリーズなどの主力IPの既存作品及び新作に関連した映像や商品展開を行い人気を獲得。『ラブライブ!』シリーズなどの作品に関連したライセンス収入などが収益に貢献した。ただし、事業全体では主力商品の発売タイミングなどの違いにより、前期の業績を下回ったとのことで、映像音楽プロデュース事業における売上高は560億5800万円(前期比0.4%減)、セグメント利益は125億800万円(前期比6.9%減)だった。

 今後の見通しとしては、社会や経済全体の先行き不透明感による個人消費への影響や海外の政治動向などの影響を受け、エンターテインメント業界でも不透明な状況が継続し、市場環境やユーザー嗜好の変化がさらに激しくなることが想定されると前置きしたうえで、バンダイナムコグループでは、従来のビジネスモデルや常識にこだわることなく、つぎのステージに向けあらゆる面で変化するという思いを込めた中期ビジョン“CHANGE for the NEXT 挑戦・成長・進化”を掲げた3ヵ年の新中期計画を2018年4月よりスタート。その新中期計画では、“IP軸戦略”をさらに進化させグローバル市場での浸透・拡大を目指すととともに、今後成長の可能性が高い地域や事業での展開を強化するとのこと。

 さらに、2018年4月より新中期計画の各戦略を推進するために、グループの組織体制の変更を実施。各事業戦略の実行を行う事業会社の集合体名称をSBU(Strategic Business Unit:戦略ビジネスユニット)からユニットに改め、中期計画におけるミッションごとに、よりスピーディに重点戦略を推進するため、従来の3SBU体制から5ユニット体制に変更するとのこと。具体的には、ネットワークエンターテインメントSBUを、ネットワークコンテンツや家庭用ゲームなどの分野で事業展開を行うネットワークエンターテインメントユニットと、リアルな場を活用しバンダイナムコならではの施設やサービス、機器などのコンテンツの提供を行うリアルエンターテインメントユニットに分割。また、新規IP創出に注力するIPクリエイションユニットが映像音楽プロデュースSBUから独立した。

 以上の施策を推進しつつ、バンダイナムコホールディングスでは、2019年3月期の連結業績を、売上高6500億円(前期比4.2%減)、営業利益600億円(前期比20.0%減)、経常利益610億円(前期比19.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益430億円(前期比20.5%減)と予想している。