一般社団法人デジタルメディア協会(理事長:襟川惠子、略称AMD)は、デジタルメディア業界の発展を目指し、優秀なデジタルコンテンツ等の制作者を表彰する“デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー”を毎年実施している。2017年に発表されたコンテンツの優秀作品を表彰する“デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー‘17/第23回AMDアワード”の授賞式が、2018年3月12日、東京都内の明治記念館で行われたので、その模様をレポートする。
本年の年間コンテンツ賞“優秀賞”は、2017年1月1日より12月31日のあいだに発売・発表された、最新のデジタル技術を駆使して制作された国内のデジタルコンテンツおよびサービスのなかから選出。当日は、その“優秀賞”10作品のほか、“審査員特別賞”、“功労賞”、“江並直美賞(新人賞)”、“リージョナル賞”を発表し、授賞式を実施。そして最後に“優秀賞”のなかから、“AMD理事長賞”と、“大賞/総務大臣賞”を選出するという流れだ。
まず最初に発表されたのは、“江並直美賞(新人賞)”、“功労賞”、“リージョナル賞”の3部門。まずPVで各作品の紹介がなされ、続いて表彰があり、最後に受賞者がコメントを述べるというスタイルが続いた。と言うことで、部門ごとに“作品名/制作・関連会社/登壇者コメント”を画像とともに紹介する。
江並直美賞(新人賞)
瀬尾拡史
中学2年生のとき、学校のパソコン部で3DCGのプログラミングが課題となって勉強していたのですが、同じころに、NHKで『驚異の小宇宙・人体』という番組を見ていて、それがきっかけでサイエンスCGに興味を抱きました。その後も東大に行きながらCG制作を学び、免許はありながら医師にはなっていないわけですが、自分が得意としている3DCGというツールを活かして、医学の世界をもっと楽しくしていければと思っています。(瀬尾拡史氏)
功労賞
『ドラゴンクエスト』シリーズ:株式会社スクウェア・エニックス
『1』を作ったころには、シリーズが30年も続くとは夢にも思いませんでした。『3』で社会現象となり、つぎもつぎもと作ってきて30年。みなさんに感謝の気持ちでいっぱいですね。30年の節目にこんな賞をいただけるのはうれしいですし、ここまでがんばった甲斐があったかと思います。(堀井雄二氏)
リージョナル賞
ディス(り)カバリー青森2:青森県/株式会社電通東日本
私たちのような地方のささやかな取り組みにも、このような晴れがましい機会を与えてくださいましたことに感謝しますし、励みになります。青森県って、リンゴとねぶた以外なにがあるんだろうと、首をひねる方も多いと思います。青森をもっと知ってほしい、もっときてほしい、そんな思いをこめてこの作品を制作しました。(青森県 観光国際戦略局 堀義明氏)
メインのコンテンツ賞は実力伯仲!
続いてはコンテンツ賞“優秀賞”10作品が、VTRとともに紹介され、代表者がステージで表彰された。10作品のタイトルや制作会社などの概要は以下のとおりだ。
終盤にはグランプリも発表!
10作品が紹介されたのちは、いよいよその中からさらに上の賞が決定となるが、そのまえにここで“審査員特別賞”が発表された。受賞作品は、テレビ東京(制作はテレビ東京・株式会社Hu)の『池の水ぜんぶ抜く大作戦』。ステージには制作スタッフ代表とともに、番組MCのココリコ・田中も登場。受賞を受けてのコメントを語ってくれた。
「約1年前に企画をいただいたとき、池の水を抜くだけの2時間番組と言われ、企画書も紙切れ1枚でした。そのシンプルさがこの番組の魅力でしょうし、実際に水を抜かないと何が出てくるかわからないという、そのライブ感も大事な部分だと思っています。この番組を通して、外来種が多いことも知りましたし、そうした問題をみなさんに知っていただく機会になるという意味でも、大きな意味を持つ番組なのかなと思います。全国には20万個のため池があるそうなので(笑)、がんばって埋めていきたいですね」(田中さん)。
そして授賞式は、メインイベントともいうべき“AMD理事長賞”と“大賞/総務大臣賞”の発表に。まず発表された“AMD理事長賞”には、映画作品『あゝ、荒野』が輝いた。これは寺山修二の小説をモチーフとした映画で、劇場公開、DVD発売、配信を同時に試みる手法が話題を呼んだ意欲作だ。ステージには制作スタッフのほか、出演した菅田将暉さんも登場した。
「こんな表舞台で、フラッシュを浴びるようになるとは想像していなかったです。最初は、映画とDVDと配信が同時というシステムは、どうなのかなと思ったんですね。やっぱり映画は映画館で観るものだと思ってましたから。でも地方の場合、見たくとも見れないこともあるし、なら新しい時代のエンターテインメントのあり方としてもいいのかな、と思いました。ほかのポップでキラキラした受賞作のなか、こんなハードな作品が受賞して、本当にありがたいかぎりです」(菅田さん)
グランプリである“大賞/総務大臣賞”は、任天堂より2017年3月3日に発売されたゲームハード、Nintendo Switch。ゲームをプレイする場所やプレイスタイルを多様化し、プレイヤーに新たなゲーム体験を提供した革新性が評価された結果だ。授賞式では、総務大臣の野田聖子氏も登壇。「いつでもどこでも楽しめるゲーム体験を提供してくれています。おめでとうございます!」と、お祝いのコメントを述べた。
なお、授賞シーンでは開発スタッフ代表3人が登壇したが、その蝶ネクタイの色は黒・赤・青。つまりは「Nintendo Switch本体&コントローラーの色に合わせました」とのスタッフの説明が入ると、会場からは大きな拍手と歓声が上がっていた。
「『ニンテンドーラボ』という、新しい遊びの提案も考えています。これからもいろいろ、みなさんが楽しめるものを作っていきたいと思っています」(任天堂 高橋伸也氏)。
授賞作を振り返れば、多彩な作品により盛り上がった2017年。この2018年も、魅力的なデジタルコンテンツの登場に大いに期待したい。