TriFスタジオが2018年1月19日に国内向けクラウドファンディング“CAMPFIRE”での支援募集をスタートした、オリジナル短編アニメーション 『メカウデ』。本作は、先だって公開されていたPVで注目されていた作品だが、この度サイバーコネクトツー(以下、CC2)が全面的に監修することでも大きな話題を集めている。ゲーム制作会社であるCC2が、なぜ『メカウデ』に関わることになったのか? その真意と、今後の展開などについてCC2代表取締役の松山洋氏と、『メカウデ』制作者でもあるTriFの代表、麻生秀一氏、監督を務めるオカモト氏にお話しをうかがってみた。

サイバーコネクトツーが監修協力するアニメ『メカウデ』 CC2の松山洋氏と制作会社TriFのインタビューをお届け_17
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写真左:TriFスタジオ 代表 麻生秀一氏、写真右:『メカウデ』監督・キャラクターデザイン オカモト氏
サイバーコネクトツー 代表取締役 松山洋氏
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『メカウデ』イメージボード

『メカウデ』CAMPFIRE URLhttps://camp-fire.jp/projects/view/42333

『メカウデ』誕生の経緯からCC2とのタッグを組んだ理由、今後の展開などをキーマンたちに聞く

−−まずはTriFスタジオが、今回、オリジナルアニメ作品の『メカウデ』を制作するに至った経緯を教えてください。

麻生 TriFですが、もともとは学生の同志が集まってできた自主制作サークルでした。最初の頃は実写の映像制作をメインに活動をしていたのですが、周りのプロダクションさんからお声がけをいただく機会が増えていき、在籍していたメンバーで会社としての事業を始めることになったのです。我々が得意としているのは、CG(コンピューターグラフィックス)やVFX(ビジュアルエフェクツ:特殊効果)ですが、仕事をこなしていくうちに「このCG技術を活かした自分たちのアニメ作品が作れないかな」という流れになり、今回のプロジェクトが起ち上がりました。

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−−最初にオリジナル作品を作ろうとされたときは、まだ『メカウデ』で行こうというわけではなかったのですか。

麻生 そうです。最初は作画アニメではなく、CG作品で考えていました。ですが、今作の監督を務めるオカモトが学生のときに弊社でアルバイトをしていたとき、『メカウデ』の初期イラストを見せてもらい、「これはおもしろそうだ」ということで、その後どんどんとオカモトと話が進んでいき、「この作品でオリジナルアニメを作ろう」となりました。結果、オカモトにはそのまま弊社に入社してもらっています。

−−それでは、『メカウデ』が生み出された経緯を教えてもらえますか。

オカモト もともとはアニメ化などは念頭になく、ただ好き勝手に書き連ねていたイラストが始まりでした。このイラストを何人かの人に見ていただいたところ、「アニメ化を楽しみにしています」との声をいただき、麻生さんに見せたところすごくのってくれて、「これはアニメ作品にしないと」というようにとんとん拍子に話が進んでいったわけです。そこからは自主制作でPVを作り、それをYoutubeにアップして、海外向けのクラウドファンディングに出して、現在に至っています。

麻生 オカモトはどちらかというとイラストレーター気質のクリエイターで、学生時代からいろいろなキャラクターのイラストを手掛けていました。そのキャラクターのうちのひとつが、この『メカウデ』の元になるのですが、それがすごく魅力的で、「これが動く作品を作ろうよ」って提案させてもらって、そこからどんどんと話が大きくなっていったわけです。ですので、ストーリーや細かな設定はまったくなく、“機械のウデが人間から生えている”というコンセプトとキャラクターだけで立ち上がった企画になります。ただ、最初のビジュアルインパクトは非常に強烈でした。僕はこのヒロインに一発でやられてしまいましたからね(笑)。

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−−企画立ち上げ時、なぜクラウドファンディングに挑戦されたのでしょうか?

麻生 きっかけは、TriFが別のクラウドファンディングのプロモーション映像の制作をお手伝いしていたことです。その時に、弊社のアニメ作品もクラウドファンディングに出せるのではないかという流れになりました。そこから準備を重ねていき、2016年秋に募集を開始させていただいたところ、目標金額を上回る支持をいただくことができました。

−−なぜ、日本ではなく海外に向けての挑戦をしたのですか?

麻生 最初は当然、日本に向けてということも考えていましたが、あえて海外に向けて声をあげてみるのも戦略としてはありなんじゃないかと思い、いっさい日本語でのプロモーションは行わない形で始めさせてもらいました。この作戦が功を奏したかはわかりませんが、ありがたいことにキャンペーン中に日本のメディアでも取り上げていただき、逆輸入的に日本でも話題を集めることができました。

−−日本語を排除したプロモーションでしたが、日本からの出資者はいましたか?

麻生 999人の方から支援をしていただきましたが、そのうちの約6%が日本からの支援でした。参加した“キックスターター”は、英語圏のクラウドファンディングだったということもあるので、出資者が片寄る傾向はありますが、国内でおよそ60人の方に支援していただいたことになります。

−−実際に目標額を達成しての手応えなどは感じられましたか。

麻生 この時のクラウドファンディングでは、25分の短編アニメを作らせてくださいという形で出資を募っていました。それで、目標額を達成したので昨年に制作をスタートしています。もともとは25分で完結する作品として制作を開始しましたが、予想以上に大きな反響をいただいたため、この作品をきちんとしたものに仕上げなければならないという大きな責任感を感じています。

−−今回国内でクラウドファンディングを始めるにあたって、新たにCC2さんが全面監修という形で加わっています。このタッグはどうやって実現したのでしょうか。

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麻生 じつは私は以前、『.hack//G.U. TRILOGY』の制作をお手伝いさせていただいたことがあり、それからしばらくのあいだ、CC2さんとお仕事をご一緒させていただいていた時期がありました。そして昨年、福岡で開催された“CEDEC+KYUSHU 2017”に、別なプロジェクトの関係で登壇させてもらったのですが、そこに松山さんも来られていたので、控え室で「『メカウデ』というオリジナルアニメ作品を作ろうとしているのですが、いろいろわからないことだらけなので、アドバイスをもらえませんか」とお願いをしたところ、「私でよければ」と快いお返事をいただくことができました。こうして、CC2さんに全面的に監修してもらう流れになったというわけです。

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ASTONISHING:驚くべき
AMBITIOUS:野心的で
ADVANCED:先進的な
AMAZING:素晴らしい
ANIMATION:アニメーション
“A5”ではこれまでに発表したIP作品ではなく、完全オリジナル作品で勝負していくと松山氏。“A5”の詳報は後日、改めて紹介予定とのこと。

松山 『.hack//G.U. TRILOGY』を作ろうとした当時、映像制作チーム“sai-サイ-”を立ち上げたのはいいのですが、弊社はまだ福岡本社しかなく、しかも巨大なプロジェクトを動かしている最中でした。映像作品は作りたいけどゲーム開発が手一杯で、自分たちでフルCGのアニメ作品を手掛けるというのは難しいこともあって、CG制作を行っている会社やフリーランスの方たちにお手伝いをしてもらうことになったのです。その中のひとりが、麻生君です。じつは我々は一昨年に社内で“A5”というプロジェクトを立ち上げました。これは“アストニッシング・アンビシャス・アドバンスド・アメージング・アニメーション”の頭文字を取ったものになりますが、弊社オリジナルのアニメ作品を作っていこうというプロジェクトです。この“A5”での話が進んでいるなかで、たまたま『メカウデ』を取り上げている記事を見かけたのですが、「これは熱い作品だな」と思いました。麻生君が作っている作品と知ったのは、その後になります。それからしばらくして“CEDEC+KYUSHU 2017”で久しぶりに麻生君に会って、相談を受けたわけです。その後、ミーティングの機会を設け、「『メカウデ』は短編を1本作って終わりなのか? それとも長編やシリーズ化などを考えているのか?」など、全体の構想を確認をしました。一昨年のキックスターターでは25分の短編アニメ作品を作るというだけで、『メカウデ』プロジェクトの全体像が見えていませんでしたからね。

麻生 松山さんに相談したはいいものの、我々はオカモトのイラストが動く作品を作りたいという思いだけでプロジェクトを始動したので、25分のアニメ作品を作るということ以外、具体的な考えやプランはありませんでした。でも、松山さんの話を聞いているうちに、できればテレビアニメとして放映したいという思いが強くなってきたんです。松山さんは、「テレビアニメとして考えるなら、1クールないし2クールの展開を考えたうえで、その中の1エピソードをまずは制作しなさい」という助言をしてくれ、それで『メカウデ』は全12話の構成を作ることにしました。

松山 『メカウデ』って、パイロットムービーを見ていても“パーカーからウデが生えている”、“スカートから2本のアームが伸びている”といったビジュアル面でのキャッチーさはありましたが、そこで興味を持った人たちに対して「このメカウデはいったい何物なの?」といった設定がいまいち見えていませんでした。そこで麻生君たちとミーティングを重ねていき、テレビアニメ化を目指したいという方向性が定まってきたので、「それなら全12話のプロットを作り、その中の第4話をアニメ化するのはどうだろう」という助言になったというわけです。

−−映画『スター・ウォーズ』シリーズで、ジョージ・ルーカスが最初に全9話の構成を考えながらも、その中の1エピソードを1977年に映画化し、大ヒットを記録したことで以降の作品が出来ていったという流れに似ていますね。

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麻生 第4話を作るには、そこにつながるための1〜3話のプロットが必要になりますし、5話以降にバトンをつないでいかなければなりません。最終的に12話でオチがつくんだから、そこはきちんと考えましょうと松山さんに指摘をいただきました。

松山 そこからはほぼ毎週、麻生君とオカモト監督と定例のミーティングを行っています。弊社はゲーム制作会社ですが、ゲーム制作とアニメ制作って共通する部分が多いんですよ。我々自身もアニメーション制作に携わったこともあるので、声優さんの選出はどうすればいいのか、音響収録の依頼はどこにするのかといったものから、制作フロー、プロモーション展開など、いろいろとアドバイスさせてもらいました。そうして気がついてみると、クレジットに企画・脚本・設定・演出監修と書かれるようになりましたが、ようはひととおり全部見させていただいているわけです(笑)。

麻生 松山さんにはすごくよく面倒を見ていただいて、感謝しています。

−−全12話構成ということですが、シナリオは誰が担当されているのですか?

麻生 シナリオについては、松山さんのアドバイスを採り入れながらTriFのメンバーでベースを構築していっています。そこで完成したものをいったんプリビズ(Pre Visualization:正式に撮影を開始する前に作成する、全体の動きや流れがわかるビデオコンテ)に落とし込み、それを脚本家の方にブラッシュアップしてもらいます。

−−『メカウデ』のPVを見ると作画アニメーションに見えますが、本作はこのままのアニメーションになるのでしょうか。それともCGアニメになるのでしょうか。

麻生 オカモトのこだわりがあるので、作画アニメでの完成を目指しています。ただ、弊社はCG制作スタッフはいますが、作画アニメーションの制作経験があるのがオカモトだけになりますので、特殊な制作手法を採用しています。簡単に説明すると、まずCGアニメとしてキャラクターアニメーションカットを作成します。それを線画として描き出し、1枚1枚レタッチしていくやり方です。

−−素人考えだと、そのままCG作品として作っていったほうがいいのではないかと思ってしまいますね。

麻生 松山さんを始め、いろいろなところでそう言われます(笑)。でも、僕らはアニメ作りの経験がないことと、オカモト自身も中・長編の作品を手掛けた経験はないので、作品のクオリティーを高めつつ、スタッフたちの技能を活かすにはこれが最適な手段でした。実際のアニメ制作では、一度作画したあとに描き直しを行うことはタブーですが、CGの段階であればいくらでも動きに修正を加えられますし、線画として描き出した画に着色をしていく作業であれば、アニメの経験がないスタッフでも手伝うことができますからね。一見、回り道に見えるかもしれませんが、オカモトが作りたいビジュアルを再現するためにはこの方法しかなかったというわけです。

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オカモト プロジェクトを立ち上げた当時はCGで制作するという案もありましたが、キャラクターの表情などはCGよりも作画のほうが味が出せると思っているので、このやり方で全編作っていくことにさせてもらいました。

−−一般的なアニメ作品では世界観や設定があり、そこから登場キャラクターを考え、その後に絵コンテを制作し、作画に入るという流れが一般的だと思いますが、この『メカウデ』は世界観・設定誕生の経緯や制作過程の順番がかなり特殊ですよね。

麻生 そうです。それで、どうすればいいのか行き詰まっていたところを助けていただいたのがCC2さんです。

松山 『メカウデ』の発想は素晴らしいものがありましたからね。公開されたPVを見て、一発でファンになったくらいです。私は、コンセプトがしっかりとしているから、こんな素晴らしいPVが出来ているんだと思っていましたが、最初に話をしたときに「まだコンセプトはできていません」と言われて、ビックリしましたよ(笑)。

オカモト アタマの中ではなんとなくの世界観はあったのですが、それを言葉にして起こすのがすごく苦手だったんです。

松山 そこで、なぜコイツがここに存在して、どういった関係性で話を進めると目が離せなくなるのか、そして次を見たくなるか。そういったことをきちんと考えて作っていきましょうという話を昨年、させてもらいました。その時に麻生君がイメージスケッチを描いていき、それを持ち帰って監督と相談しながら、いきなりプリビズを作っていくんです。出来上がったビデオコンテが納得できたら、それをバラバラに分解して、コンテ用紙に貼り付けていく。作業の順番がデタラメですよね(笑)。

麻生 我々の誰ひとり、アニメ用の絵コンテが描けないんですよ(笑)。

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オカモト 映像作品って起承転結のルールが決まっていて、そのフォーマットに従って作られていますが、絵コンテにしようとするとアレもコレも盛り込もうとして、段々と時間の流れがわからなくなってくるんです。それに、映像作品を作るのだから、映像で作ってしまったほうが早いだろうとも思っていました。これまで私が作ってきた短編やミュージックビデオでは、いつも直接プリビズから入るのですが、このやり方で25分にすればいいんじゃないかなという考えもあって、結果的にこのような作り方になってしまいました。

松山 普通のアニメでは絵コンテは設計図で、それに基づいて複数人で作っていくじゃないですか。アタマの中でできているなら、それを紙に起こすだけですよね(笑)。オカモト監督ってある面では天才だけど、天然な人ですよね。ただ、ミーティングを重ねていくうちに、今回は小さなプロジェクトでの制作ということと、監督の思い描いている勢いを活かすためにもこのやり方がTriFには合っているんだなと思うようになりました。変わったやり方ではありますが、この方法で1〜4話までのプロットは仕上げてもらい、現在は5話以降のプロットを詰めている最中です。

−−実写作品で言えば、シナリオだけがある状態でいきなり撮影を始めて、それを編集して仕上げていくといった感じですよね。

麻生 そうですね。オカモトと話をしているとわかるんですが、どこか編集マン的なものの考え方をしている節があります。

松山 まるっきりプロモーションビデオやCMを手掛ける映像クリエイターの考え方ですよね。ただ、プロジェクトの規模が大きくなって、関わる人数が多くなるとこのやり方は通用しないよという話は散々させてもらっています。

麻生 いまは関わっている人数も少数で、すべての指揮系統をオカモトに集注させているからこそできる手段だと思います。

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−−ゲームファンとアニメファンって、共通したファンが多くいる面からも、CC2さんに監修協力をしてもらえるというのはいいことですね。ちなみに麻生さんとオカモトさんから見て、CC2はどのような印象の会社ですか?

麻生 私は『.hack//G.U. TRILOGY』のときの印象がいちばん強く残っています。もちろん、その前から名前は知っていましたが、最初にお仕事をいっしょにさせてもらったときは「なんて無謀なことをする会社なんだ」と思いました。当時はフルCGアニメを作るための敷居も高い時代で、さらにCC2さんは映像作品を作ったことがないというじゃないですか。僕らからしたら、見切り発車にしか見えませんでしたからね(笑)。でも、実際に作業を進めていき、きちんと評価される作品を作り終えたことで、「すごいことをやってのける会社だ」という印象に変わりました。その思いが強く残っているので、今回もまっ先に松山さんが思い浮かび、お声がけさせてもらったんです。

オカモト 私は小さい頃、家ではゲーム禁止だったのでCC2の作品は遊んだことがありませんでした。でも、クラスで『.hack』が流行っていたこともあって、名前だけは知っていました。そして中学生になってから、コミックの『.hack//G.U.+』を読む機会があったのですが、巻末にあった(松山さんが書いた)マンガを見て、「これは何だ、こういう人に近づいたら危ない」と感じたことを覚えています(笑)。

一同 笑。

松山 あの当時は好き勝手にやっていましたからね(笑)。

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オカモト それからしばらくはCC2さんから遠ざかっていましたが、大学でのゲーム会社の講演会でふたたび目にして、「あのマンガの会社だ」と思い出しました。大学ではCG制作をしており、いろいろなことができる会社としてゲーム会社への就職も考えていましたが、授業の一環でインターンシップに参加するというものがあり、第一志望でレベルファイブさん、第二志望でガンバリオンさんを選び、第三志望でCC2さんをあげさせてもらいました。

松山 見事に3番目だね(笑)。

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オカモト ただ、第一志望と第二志望からはお声がけがかからず、しかたなく第三志望でインターンに参加することになりました(笑)。当時は松山さんはプロモーションで忙しくしてらして、会社でお会いすることはありませんでしたね。もし会ってしまっていたら、「この会社に入りたい」と思っていたかもしれません。

−−そうやってゲーム会社に就職しなかったお陰で、こうやってアニメ制作をすることになり、CC2さんといっしょに仕事をされているなんて、不思議な巡り合わせですね。もしかしてこの先、『メカウデ』がコミカライズされたら巻末に松山さんにマンガを書いてもらえるかもしれませんね。

松山 いくらでも書きますよ(笑)。

−−ここまで話を聞いていると、ふたりともCC2さんとは数奇な運命で結びついているようですね。それでは『メカウデ』の今後の展開について教えてください。

麻生 1エピソードの制作は一昨年のキックスターターで出資が集まった時点で決定していましたが、こちらは7月に公開する予定で進めています。国内でまずは全12話構成の中の1エピソードを作ることになりますが、この作品と全12話のプロットを持って配給会社や版元などに営業をかけていき、12話を完成させるための活動をしていきます。“CAMPFIRE”の展開で国内の方たちにもさらに『メカウデ』に注目していただき、その流れで残りの11話を作る流れに持っていきたいですね。

−−CC2が全面的に協力するということで、今後『メカウデ』のゲーム化も期待できたりしますか?

麻生 そんな機会が訪れたらいいですね。もちろん、そのときは松山さんにまっ先に相談に行きます。

オカモト 今回のアニメのように、自分たちでゲームを作るのもありですよね(笑)。

麻生 ゲーム制作はアニメ以上にド素人なので、想像すらできませんね(笑)。とりあえずは7月のエピソード公開に向けての制作を進め、ゆくゆくはテレビアニメ化を目指したいと思っていますので、応援よろしくお願いします。

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『メカウデ』プロダクションノート
 『メカウデ』は福岡の新進気鋭のアニメ制作会社“TriFスタジオ”が企画制作。最初に作られYoutubeに公開されたショートPVを皮切りに、海外クラウドファンディング“キックスターター”で約700万円(当時のレート)の製作資金調達に成功。約25分の ”パイロットエピソード”の製作が決定している。この ”パイロットエピソード”は現在鋭意製作中で、2018年夏完成を目指して進行中とのこと。

あらすじ
 約100年前。
 母星で枯渇してしまった生命エネルギー「アルビトリウム」を求め別次元から機械生命体が来訪した。機械生命体達は次元超越に耐える為その姿を腕だけに収縮し、アルビトリウムが豊富にあるとされる地球に降り立つ。彼らは他の生物に合体寄生することにより地球での活動を可能とした。そして一部の人類と秘密裏にコンタクトを取り、アルビトリウムの探索に乗り出した。人はその姿から彼らを「メカウデ」と呼んだ。
 そして時を経て現代。
 とあるメカウデが封印されたキューブが、大企業カガミグループの研究施設から持ち出され失われてしまう。それを偶然見つけてしまった普通の中学生「ヒカル」はキューブの封印を解いてしまう。そこから現れたのは100年の眠りについていたメカウデ「アルマ」だった。
 アルマはヒカルの体に寄生しようとするが...ひょんなことからヒカルとアルマの奇妙な共同生活が始まってしまう。

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監督/キャラクターデザイン/原案:オカモト[TriFスタジオ]
総監修(企画・脚本・設定・演出監修)
 松山 洋[株式会社サイバーコネクトツー]
主題歌・OP曲:Eve『アンビバレント
 2017年12月13日に発売したインディーズアルバム「文化」は、全曲を自作曲で制作し、キー曲「ナンセンス文学」がYouTubeで400万再生され、オリコンインディーズチャート1位、総合デイリーチャート8位、iTunes2位などを記録し話題に。
主題歌・ED曲:AZLiGHTZ『ALONE
 4人編成バンド。 福岡を中心に活動。2017年11月8日に1st.EP「Lost Eden」をリリース。収録曲「Lost Eden」と「フリージア」が10月から始まるTVアニメ「アニメガタリズ」(MXテレビ 日曜22:00~)の挿入歌として起用されることが決定。
音楽:NARASAKI
 コールター・オブ・ザ・ディーパーズのリーダーとしてヴォーカル、ギター、プログラミング、プロデュースの他ほとんどの作詞・作曲を担当。91年の結成以来COALTAR OF THE DEEPERSでのリリースの他、大槻ケンヂ率いるバンド”特撮”のメンバーとしてギターを担当する傍ら、楽曲提供やプロデュースも多数行っている。また、TVドラマ、アニメ劇版、CMの他アーティストやアイドルまで幅広く楽曲提供しており、彼独自のオリジナリティーとして高く評価されている。
音響監督:高寺たけし [HALF H・P STUDIO]代表作:弱虫ペダル,Fate/Grand Order,ゆるキャン△

監修(企画・脚本・設定・演出監修)
 新里 裕人[株式会社サイバーコネクトツー]
脚本:TriF
脚本協力:中西 やすひろ[シナリオ工房 月光]
アニメーションチーム
 菅野 千愛(代表作:2D作画監督として『ブブキ・ブランキ』、『ID-0 』動画検査では『毎度!浦安鉄筋家族』等)
 村田 充範(代表作:動画検査では『AKIRA』、『スチームボーイ』等。原画では、『鉄コン筋クリート』、『スプリガン』等、多数。)
コンポジット協力:木綿 達史 [KOO-KI]
音響制作:HALF H・P STUDIO
製作・著作:TriFスタジオ