ガンホー・オンライン・エンターテイメントが運営するPC用MMORPG『ラグナロクオンライン』(以下、RO)は、2017年12月1日に正式サービス15周年を迎えた。

 大規模な記念キャンペーンも盛況でひと息ついたかと思いきや、2018年も大きな動きがあるという。運営のキーマンに2018年の展望を訊いた。

 『RO』史上の中でもかなり大きな変革が予定されているので、わくわくしながら読んでほしい。

【出てきた話題】
ロビーワールドワールド倉庫のテストは2018年2月頃にスタート
・違うワールドでも対戦可能なワールドGvGを準備中
・新種族ドラム族の進捗

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長澤誠吾氏(左)、山本兼寛氏(中)、中村聡伸氏(右)の3人に話を伺う予定が、長澤氏は諸事情によりすぐに退席。「長澤が言いたいことは預かっているので大丈夫です」とのこと。

山本兼寛(やまもとかねひろ)

『ラグナロクオンライン』運営チーム。文中では山本。

中村聡伸(なかむらあきのぶ)

『ラグナロクオンライン』運営チーム。文中では中村。

新しいライフスタイルを提案できた2017年

――15周年を迎えましたが、2017年はどうでしたか?

中村目標は達成できたと思います。ロックリッジ(アメリカ風マップ)とそれ合わせだった実績(業績・称号という仮称だった)が遅れたのは反省点ですけど、だいたいスケジュール通り。
 マップ内のモンスターの配置とか経験値の調整も順次進めていて、予定にあったものは全部やりました。まだ(ドロップするアイテムの)ランダムオプション適用までは手を付けられていないのですが……もともと“2017年2月以降順次”としていたのでセーフですよね?

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2017年1月掲載のインタビュー時に公開された、2017年のアップデート予定。ほぼ完了したとのこと。

――言葉の意味としては間違ってないですね。100点満点中、何点くらいで2017年を終えましたか?

中村95点くらいだと思います。2017年の施策でいちばん注目されたのは、BaseLvの上限が175に引き上げられた“Episode TERRA GLORIA”。経験値テーブルの話で盛り上がりましたよね。

山本174から175に上げるのに必要な経験値が約1000億ってやつですね。

――あれはちょっと笑いました。1000億なんて腸内細菌の話くらいでしか聞かない数字ですよ。

(ここで「ブルゾンちえみですら35億なのに」と言おうと思ったが、中村氏は芸能ネタに異常なほど疎いので、グッとこらえた)

中村「時代に逆行している」みたいな声もあったようですが、『RO』プレイヤーのみなさんには受け入れていただいた感触はありました。(2017年11月28日時点で)175に達したキャラクターは121人。165だった人たちは170前後まで上がっていて、だいたい予測どおりに推移しました。
 いちばん早い方は実装から1ヵ月待たずに175になってました。山本の想定の範囲内だったみたいです。

山本ジャスト1ヵ月くらいだと思っていたんですよ。それより少しプレイヤーさんのがんばりが上回ったようなので、ちょうどいいですね。

中村マップ調整は、古参のプレイヤーさんが懐かしく感じるマップを中心に実施しました。
 たとえばピラミッドダンジョン。これはβテストの時代からあるダンジョンですね。正式サービス前後に入ったスフィンクスダンジョンなんかも懐かしい。ほかに、モロクが崩壊する直前くらいまでレベル上げのメッカになっていた名もなき島には、思い入れが深い方も多いと思います。
 名もなき島は、当時の遊びかたをいまのレベル帯でできるようにモンスターの強さを調整したんです。取り巻きを2体連れてやってくるネクロマンサーを火属性の魔法でばんばん倒すような雰囲気を、いまの強さで再現。当然、経験値量は増えてますけどね。

山本かなり好評でした。いっしょに入ったロックリッジも経験値を稼ぎやすいマップだったので、全体的に稼ぎやすくなったと感じてもらえたのかな、と。

中村ロックリッジには週1で遊べるクエストを多めに入れたんです。週末に集中して遊ぶ、新しいライフサイクルの提案みたいな。

山本毎日遊ぶコンテンツを増やしすぎても遊びきれないので、ロックリッジはコンセプトを変えました。

中村プレイしやすい環境、レベル上げしやすい環境を作りつつ、楽しめるコンテンツも入れつつで、2017年を走り切りました。せっかくの15周年だったので、“くまめいと”とコラボしたり、LINEスタンプを出したり。Twitterなどで話題にしていただいて、本当にありがたいです。
 Twitterと言えば、15年の歴史の中の印象的な変化だったり、プレイヤーさんが驚きそうな出来事をちょいちょいTweetしてたんですよ。自分からは情報を取りにいかない人にも見てもらいたいなと思って。

中村おかげさまでアニバーサリーのイベントは多くの方にログインしていただけました。昨年より多かったかな。
 この勢いを落とすことなく2018年の目標を立てました。それが、これです。

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ばーん!

『RO』を変えるロビーワールドとワールド倉庫

中村最初はカード実装みたいな軽いアップデートから入りますが、2018年のメインはワールド倉庫。それと、そこからつながるロビーワールド。あしかけ2年でようやく技術面もクリアできました。
 じつはワールド倉庫の社内での検証をほぼ完了していて、2~3月にはプレイヤーさんを交えてワールド倉庫を使った負荷テストをやりたいんです。

山本ワールド(いわゆるサーバー)の垣根を越えて人が集まる場所を作りたくて、ロビーワールドの構想が出てきました。そこに紐づく形でワールド倉庫も作ったわけです。
 『RO』の倉庫システムはサーバーごとになっています。対して、ワールド倉庫はサーバー間をまたいでアイテムをやり取りできる仕組み。これを使ってロビーワールドに自分のサーバーから装備やアイテムを持っていって遊ぶというのを実現したくて。
 ワールド倉庫は取り回ししやすいように作られています。最初はロビーワールドと自サーバーのやり取りに注力しますけど、最終的にはワールド間の取引をできるようにしたいですね。ただ、いままでは1ワールドごとに完結していた倉庫が、13ワールドがまとめてアクセスできるようになります。単純計算で負荷も13倍ですので、まだまだ心配ではありますね。

――人が集まるロビーと異なるサーバー間での取引、最初はどっちがきっかけだったんですか?

山本ロビーのほうです。『RO』のワールドは13個あって、どうしてもプレイヤーの人数差が出てきます。こうなると大規模なコンテンツが作りにくいんですよ。こっちのワールドでは盛況だけど、こっちでは遊べないみたいなことがあるので。
 どのワールドからでもアクセスできる“イベントワールド”もありますが、あれは完全に独立しているもの。自分が育てたキャラやアイテムが使えないので、愛着がわかないんですよね。

――たしかに。自キャラじゃないとMMORPGを遊んでいる気分はどうしても薄まります。

山本『RO』のシステム構成上、キャラクターを別ワールドにコピーしたりはできないんですけど、装備やアイテムを倉庫経由で移してはどうかなと。この辺の仕組みを使って、ロビーワールドとそこに移動する方法を作ろうと、2年前から動いていました。

中村要は、自分が育てたキャラクターのレベルや情報をひとつのアイテムにしちゃうんです。それをワールド倉庫に入れて、ロビーワールドで取り出してから使うと、同じキャラクターができあがる。

――なるほど。厳密には違うキャラだけど、ほぼ同じ分身がロビーワールドに作られるわけですね。

中村ロビーワールドにも弱点があります。ひとつのワールドには違いないので、キャラクターネームが重複できない。(ロビーワールドを開けた)初日はちょっとやばいかもです。

――新ワールド恒例の名前取り戦争だ。

中村こればっかりは仕方ないんです。『RO』は名前単位で管理しているデータが多いので。そこはどうしても変えられませんでした。

――この記事が公開されたらざわつくでしょうね。名前を先に取るイメージトレーニングしておかないと。

中村それともうひとつ、ごめんなさい。通常のフィールドでもPvPができるウルドワールドは、データ上の問題でワールド倉庫が使えないんです。

――そうか、ウルドワールドってクライアント自体も違うから、『RO』のシステムを使った別ゲームみたいなものなんですよね。

中村そうなんです。いろいろと対策を考えたんですけど、どうしても合わせられませんでした。
 “ワールド倉庫施策”ってたった8文字ですけど、これはもう通期で。しっかりと形を決めて、2019年2020年と遊んでいただくためのものです。仕組み自体は完成しているので、2~3月予定のテストにご協力ください。

――テストって具体的には何をするんですか?

中村やることはシンプルですよ。こちらが用意したアイテムをワールド倉庫に出し入れしてもらおうかと。

山本大量のデータのやり取りを確認するためのテストなので、アイテムは何でもいいんですけど、もしプレイヤーさんのアイテムが消えたら困りますからね。

中村アイテムの一方通行設定もできるんですよ。たとえば、ロビーワールドでゲットしたものを通常のワールドから取り出せるけど、それを再度ロビーワールドには戻せないとか。

山本逆は絶対ないので安心してください。大事な装備をロビーワールドで使ったら持ち帰れないとか、そういうことはありませんので。こういったことをイベント的にやっていく予定です。

――ただのテストという感じはしませんね。

山本単純にテストと銘打つとやっぱりおもしろくないですし、一部の人にしか参加してもらえないかもしれませんから。

――まさにみんなで作っていく感じ。昔ながらのMMORPG感がある。

山本異なるワールド間でアイテムをやり取りできるようにしていけば、最終的には市場の問題点も解決できると思っています。ワールドによって取引があるアイテムとそうでないアイテムの差が大きいんですよ。

――遊びやすさに直結する部分。全ワールドが同じように遊びやすいのが理想ですからね。

山本15年の積み重ねがあるので、ワールドによってアイテムの価値はバラバラです。いっぺんに解放すると市場が混乱するので、様子を見ながら徐々に進めていくことになると思います。

――失敗したら『RO』内で世界恐慌が起こりそう。

山本まずはしっかりテストを行うことが大切です。もちろん念には念を入れて(システムを)組んでいますけど、人数をかけたテストは社内だけだと絶対にできません。プレイヤーさんの力を貸していただきたい。テスト参加者には何かプレゼントも予定しています。

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ワールドGvGのテストは慎重に

山本ロビーワールド関係のテストを行った後、つぎはこれです。ワールドGvG。GvGの対戦相手がいなかったり、マンネリ化の対策ですね。新たな大規模コンテンツの1発目として、ワールドGvGをロビーサーバーで開催したいと考えています。
 ただ、これにも入念なテストが必要です。GvGっていちばん負荷がかかるコンテンツなんですよ。「13ワールドぶんも集まって負荷に耐えられるんだろうか」とか「ワールドごとの文化はうまくなじむだろうか」とか、心配があります。
 本当の意味でのテストです。仮に少しうまくいったからといって、そのまま導入しようなんてつもりはさらさらないんです。

中村GvGの負荷に耐えられれば通常のコンテンツは全部いけるだろうという算段です。まずは負荷をかけてテストを行いつつ、アンケートを取りながら意見を収集していきます。

――ワールドGvGのテストはいつから始まるんですか?

山本ワールド倉庫やロビーワールドのテスト次第ですが、いまのところは3月頃を想定しています。春にはやりたいですね。

中村すでにルール決めや基本設計は完了しています。倉庫で大きな問題が起きなければ、すんなりいけるかなって感じです。

――テスト内容はどういったものを予定していますか?

山本確認したいのは“文化のすり合わせ”ですね。たとえば、Aワールドでは20人規模が主流、Bワールドは50人規模だとします。この人たちが集まっても、ふつうはBワールドが勝ちますよね。ここで大事なのは、Aの人たちは20人しか集まらないわけじゃないということ。彼らは20人の中で遊びたいだけなんですよ。勝つために50人揃えればいいかというと、そう簡単な問題じゃない。
 ですので、ボクシングの階級みたいなものを用意しました。小規模・中規模・大規模と用意して、規定の人数以上でギルドを組めないようにする。同じくらいの規模同士で戦ってください、と。無差別級を用意するのもいいですね。
 エンペリウムを最終的に取った(破壊した)ほうの勝ちという基本は変わらないですが、規模が制限されるのは初めてだと思います。こういったテストをして、楽しかった・つまらなかったを含めて意見をいただければ。

中村便宜上テストと言ってますけど、そのまま入るわけじゃないですからね。どんどん意見がほしい。少しずつ調整していって、プレイヤーも我々も納得できるものを永久実装にしたいです。

山本集まった意見によっては、複数のパターンを運営することになるかもしれません。ご安心いただきたいのは、本番実装のタイミングは目標として設定してありますけど、期日は決めていません。決めてしまうと、そこに収めないといけないので。極端な話、運営側で決めたルールをひっくり返してイチから設計し直すのもありだと思っています。あくまでも、プレイヤーさんが楽しんでくれる場所を、我々が提供するだけですから。

――ワールドGvGのつぎは新コンテンツとありますが、これは何ですか?

中村ロビーワールドの特性を活かした多人数向けコンテンツを入れたいんですよ。多人数と言ってもいろいろなタイプがあって。ひとつはモンスターハウスのような100人単位のイベント。もうひとつは純粋に1パーティー最大12人で遊べるもの。
 いまとくに気にかけているのが、後者のパーティー向けコンテンツです。それなりにパーティープレイは盛んなんですが、最大人数ギリギリまで集めにくいワールドもある状況です。そもそもワールド統合を求められる理由はそこ。通常のパーティー向けコンテンツを多人数で楽しみたい人たちに、人を集められる場所としてロビーワールドを使ってほしいんです。

――もうコンテンツの中身自体の構想はあるんですか?

中村近いものだと“夢幻の迷宮”や“深淵の回廊”ですね。深淵の回廊は年1~2回のペースで開催していて、いちばん最近登場したのが“深淵の古城”。
 これは部屋がたくさんある城の中を1パーティーで探索するコンテンツ。途中で分かれて別の部屋を調べたりしながら進んで宝物を開けていきます。達成度に応じてボーナスがもらえたり。やっぱり人数が多いほうが探索しやすいわけです。
 夏に実施したイベントも近い気がします。専用のメモリアルダンジョンを使ったイベントなんですけど、人数が多いほど罠の解読をしやすいんですよね。
 こういった感じで、既存ワールドの季節イベントをベースにしたりして、遊びやすくしたうえでロビーワールドに実装するというのもありかなと思ってます。

山本最初のうちは、レベル上げに便利なメモリアルダンジョンなどは(ロビーワールドには)実装しないつもりでいます。負荷の問題もそうですけど、できればキャラは自分のワールドで育ててほしいという気持ちもあります。とはいえ、可能性はないわけではなくて、ひとまずは様子見。必要そうであれば随時実装していくかと。

16年目にして新種族・ドラム族が実装

中村もうひとつの大型コンテンツは、春に実装予定のドラム族です。イラストだけ公開していた猫みたいな種族です。

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ドラム族は小動物っぽい雰囲気を持つ新種族。

――16年目にして新種族ってすごい話ですよね。

中村韓国で最終会議をやってきたのが2017年末。もう実装に向けて作業に入っています。スキルのテストも前々から始まっていて、開発のGravity社からもオーケーが出て進められるようになりました。
 人間ではない新種族ということで、プレイヤーさんがいちばん気にしていたのは属性的な扱いですね。一般的なプレイヤーキャラは“人間”の“中型”。当初はドラム族は“動物”の“小型”の予定でしたけど変わりました。“ドラム族”という扱いが新設されます。“ドラム族”の“小型”です。

山本動物系に効果があるものがすべてドラム族に当てはまるというわけではなくなりました。ドラム族に効果があることが前提となっているアイテムやスキルの説明文は修正されます。

中村プレイヤーキャラなので、プレイヤー耐性やプレイヤーに対するダメージアップは通用します。対人コンテンツでは対プレイヤーのブースト付きは多くて、それ自体はドラム自体にも有効です。

――人間型に効果のあるスキルやアイテムもありますよね。ドラム族の実装で戦いのトレンドが変わることはありますか?

中村うーん、使うスキルがガラッと変わるまではないかな、と。装備のトレンドには影響が出るかもしれません。

山本いまは中型に対してのダメージアップ主流なので、小型が相手だとダメージ効率が変わりますね。汎用的に使えるプレーヤー耐性があるものを用意するのが無難でしょう。スキルによっては人間型に効くものもあって、それはドラム族にはあまり効果がない。ちなみに、動物型に強いスキルはもともとあったんですけど、これはドラム族と動物が対象になります。

中村その辺はけっこう心配されてる方は多いみたいです。対人がガラッと変わるんじゃないか、みたいな。カンフル剤として少しは変化があったほうがいいと思いますけど、変わりすぎるといままで集めたアイテムの意味がなくなっちゃいますし。

山本攻城戦と新攻城戦はドラム族も参加可能ですけど、トレーニングエディションには参加できません。これに参加できるのは二次職までと限られてますし、レベル99の範囲内で遊ぶコンテンツとして用意していますから。

中村というのも、ドラム族は転職をせずにBaseLv175まで上げられる種族なんです。人間は何回か転職して転生して、みたいな流れなんですけど。
 JobLvは最大50なのでスキルポイントは49まで使えます。既存の職業よりスキルポイントは少ないですけど、そのぶん厳選されたスキルが3系統あります。

山本支援・魔法・物理みたいな感じですね。初心者向けに作られた種族なので、スキルの選択はわかりやすくなっています。スキルポイントは少なく感じますけど、そのぶん強さは凝縮されています。

――『RO』を知らない人からすると、イメージとしては新職業の追加と考えたほうがよさそうですね。

中村そんな感じです。これからプレイする方にもおすすめです。『RO』はステータス振りもあるので多少は頭を使いますけど。
 選んだスキル系統が合わないと感じたらスキルリセットする手もあります。ドラム族はほかの職業より別タイプに変更しやすいと思います。

――装備の制限はありますか?

中村専用の武器もあります。武器は多すぎると迷ってしまうので、困らないレベルで用意しようかな、と。

山本防具はそれほど迷わないと思いますよ。全職業と書いてあるやつなら基本的には大丈夫なので。

――新職業みたいなものということでしたもんね。ソードマン用、マジシャン用、全職業用、ドラム族用みたいな。

中村専用のチュートリアルマップも準備してます。そこで少し遊んでもらってからほかの人と合流する形にする予定なんですけど、すぐに友だちと遊びたいという意見もあると思うんですよね。その辺も加味してドラム族用の初心者マップに人間タイプのキャラが入れるかどうかを検討中です。

山本ドラム族は旅立つまでは人と接しない設定なんです。

中村基本設定が何から何まで違う新種族。『RO』を見た目重視で遊びたい人には注目してほしいです。初心者向けキャンペーンも展開したいと思ってますけど、慣れている方が使えば、それなりに強いキャラになるはずです。

日本の状況は世界から注目されている

――イリュージョンダンジョンとはどういうものですか?

山本簡単に言うと既存のダンジョンの上位版です。フェイヨンとかゲフェンとか、すでに韓国には第4段まで実装されていて、構造は同じままモンスターが変更されています。ストーリーが追加されているのもポイントですね。
 日本では第4弾までまとめて入れてもいいんですけど、それぞれの密度を上げたり装備を追加したりして、順番に実装するのもありかなと。迷ってます。詳細はこれから詰めていくところですが、夏には実装予定です。

中村せっかくレベル上限も上がったので、強くなったキャラで腕試しをする場所も必要かなと思いまして。

山本上位の新カードなどが手に入ります。日本の独自調整もしたいですね。

中村そのつぎはNew EPISODE。どうして秋以降と曖昧にしてあるかと言いますと、まだ韓国でも入ってないからです。実装されたら直ちに準備に取り掛かります。

――そう言えばTERRA GLORIAでストーリーが追いついたんでした。

中村メインにしたい部分がいくつかあるみたいで。TERRA GLORIAも謎の黒幕が登場したのでその先を見せたいですし。どこの話をメインでやるかを含めて企画を進めているという話でした。

――韓国に実装後、どれくらいでローカライズが完了するものなんですか?

山本半年くらいかと思います。

中村夏までに韓国で実装されたとしたら、何とか年内を目指したいですね。ストーリーの翻訳などは先に進めつつ、少しでも早くお届けできれば。
 Gravity社ではストーリーに力を入れていて、2017年の年末に(韓国で)生体工学研究所のキャラをモチーフにしたWebマンガが始まったんですよ。日本でも翻訳して公開したいと思っています。

――生体工学研究所は人気が高いですし、ウケそうですね。

中村韓国での公開が終わったら日本のWebサイトでも公開していいという話になっています。作品の雰囲気は笑いの要素も少し入ったシリアス系です。
 Gravity社に「日本では生体工学研究所やキャラが好評」と言い続けていたら、「生体(工学研究所の)マンガやりまーす」みたいな感じになりました。

山本韓国でも生体工学研究所は人気みたいですよ。根っこの感性は日本と変わらないんですかね。日本先行の衣装装備が入った後に、韓国でも「これいつ韓国に入るの?」みたいな声もあるようです。

中村基本的に、アイテムの要望を出した国に最初に実装されて、しばらく経ったらほかの国で解禁になるんです。衣装装備の開発依頼はこちらからバンバン出しています。

――それを韓国のプレイヤーがうらやましがっているわけですね。

中村日本の公式Twitterをフォローしている海外の方も多いですよ。セカンドコスチュームがようやく全職ぶん揃ったんですけど、新しいのが出るたびに「これ、うちの国まだ?」と盛り上がってました。日本は注目されているほうなんです。
 『RO』は着飾れる部位こそ少ないですけど、見た目にはこだわっています。記号化された中で自分らしさが出せるので。

山本日本のサーバーに接続して日本の状況を紹介する海外のプレイヤーもいます。

――アップデートが先行している海外サーバーに潜入調査をする人は日本でも多いですけど、ほかの国にもいるんですね。

中村いろんなところから注目されているので、我々も気が引き締まります。サービス16年目ですけど、アップデートだけじゃなくて地道な改良も続けています。
 実績システムを入れたときにメールシステムも導入したんですよ。Gravity社に言うならいまだ! と思いましたね。実績の報酬はメールで届くので。
 このとき、ボタンベースのグラフィカルなインターフェースも追加しました。このボタンを押すとメールを確認できて、こっちは装備が見られるみたいに。カーソルを合わせればボタンの内容も説明が出る。

――最近のゲームみたい。

中村今度は地面にガイドを表示させたいんですよ。目的地に迷わず行けるようになるので、初心者も遊びやすくなると思います。でも、わりと改造に手間がかかって二の足を踏んでいます。
 足りていなかった部分を少しずつ調整して、どんどん最新のゲームみたいに遊びやすくして、コンテンツも足していく。2018年は昨年以上に気合を入れていきます。