今月始めにロサンゼルスで行われたインディーゲームイベント“IndieCade”の出展作品から、Terrifying Jellyfishによる『Nour』を紹介しよう。

 海外インディーゲーム界隈でも、アート寄りのバカネタが守備範囲の一部スキモノ諸氏に受けている『Nour』は、ポップな色使いが印象的な“実験的フードアートゲーム”だ。

 といっても、アートとゲームをまたいだ作品でよくあることだが、本作にゲーム的なゴールは何もない。ボタンを押すとゲームエンジンの物理演算を利用してラーメンの麺が舞ったり、タピオカティーのタピオカがぽんぽん飛び交ったり、金銀の延べ棒をぶち込まれたグラインダーから金銀のひき肉がニュルニュル出てきたりと、オシャレな色彩空間で荒ぶるフードを愛でるだけである。

フードはアートだ! 麺が物理演算で舞い、タピオカが飛び交い、金の延べ棒がひき肉にされる謎ゲー『Nour』【IndieCade 17】_05
「オシャレな色彩感覚と物理演算だけの一発ネタなんじゃないか?」と思った人、大体正解です。でもなんとなくバカバカしくて面白いんだから仕方がない。
フードはアートだ! 麺が物理演算で舞い、タピオカが飛び交い、金の延べ棒がひき肉にされる謎ゲー『Nour』【IndieCade 17】_02

 ほぼ物理演算で変なことが起こるのが面白いだけの作品なのだが、実際遊んでみると、ボタンに応じて色んなことが起こるのでいろいろ押してみたくなるし、イベントに来ていた子供受けなんかも抜群。そんななんとも言えない満足感に貢献しているのが、インタラクティブ性を高めるためにコントローラーに凝っていること。

 デモ出展などに使われるリファレンス機材としては、DJ TechTools製の“Midi Fighter 3D”を採用している。これは本来、ダンスミュージックのライブやデジタルDJなどに使われるUSB接続のMIDIコントローラーなのだが、ファイティングスティックなどでおなじみの三和電子製の16個のボタンに加えて、ジャイロセンサーで本体を傾けることでもMIDI信号を送れるので、それらを食材やアクションに対応させた入力として使っているのだ(サイドボタンを押すとシーンチェンジもできる)。

フードはアートだ! 麺が物理演算で舞い、タピオカが飛び交い、金の延べ棒がひき肉にされる謎ゲー『Nour』【IndieCade 17】_01

 ちなみに、USB経由などでMIDI信号を取れるコントローラーならMidi Fighter 3D以外でも動作する予定で、市販のPC用デジタルDJデッキなどでもプレイ可能になる模様。「サウンドと連動したら面白いのでは」と言ってみたところ、そういうアイデアもいくつかあるようだった。そのほか、ゲーミングキーボードのRazer Chromaにも対応していて、キーの発光がゲームと連動するとか(うーん、ニッチすぎる)。

フードはアートだ! 麺が物理演算で舞い、タピオカが飛び交い、金の延べ棒がひき肉にされる謎ゲー『Nour』【IndieCade 17】_04

 リリースは2018年第2四半期を予定しており、プラットフォームはPCとMacで、SteamほかItch.ioなどで配信予定。米ドルでの価格は12ドルとなっている。
 現在KickStarterで行われているクラウドファンディングでは、残り2日を切った現在時点で1000人以上の支援者を集め、すでに2万5000ドル(約280万円)の出資希望額をクリアー。40ドル以上の出資では“アルファ・タコヤキ”特典として、リリース前のα版をテストプレイすることもできるようだ。

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