2017年9月21日(木)から9月24日(日)まで、千葉の幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。開催初日に行われた、ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントが贈る『シャドウ・オブ・ウォー』プレス向けプレゼンテーションの内容をお届けしよう。

 本作についてあらためて説明すると、J・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』や『指輪物語』に登場する世界“中つ国”を舞台とした2014年の『シャドウ・オブ・モルドール』の続編。数奇な運命に巻き込まれた主人公タリオンの戦いがふたたび描かれる。

『シャドウ・オブ・ウォー』個性的な敵対種族オークは千違万別 壮大なネメシスシステムによって常に変化し続ける【TGS2017】_07
プレゼンを担当したのは、発売元であるワーナー・ブラザーズ インタラクティブ・エンターテイメント アソシエイト・プロデューサーのダニエル・マガフィ氏(右)と、エバン・ニッケル氏(左)だ。

 今回のプレゼンでは、これまで何度かお披露目された砦の攻略ミッションが行われたが、日本語版ビルドが初お披露目に。タリオンやケレブリンボールの日本語ボイスも見事なものだが、それ以上に魅力的だったのがオーク。見た目やしゃべり方、表情までも前作よりさらに個性的で誰ひとりして似たものはいない。「汚物は消毒ってな! 」と、どこかで聞いたことがあるセリフを話すオークも確認できた。

 さて、本ミッションは、敵対するオークの砦をタリオン率いるオークの軍勢で落城させる、軍勢対軍勢の戦争が行われる。開戦前は、参戦する両軍の軍団長(固有名や長所・弱点を持つリーダー級のオーク)を確認したり、ゲーム内ポイントのシルバーを消費して、軍団長の追加を行うことに。この軍団長は毒攻撃や火炎攻撃が得意なもの、呪術攻撃を行うもの、遠くから敵を狙撃するアーチャーや槍使いといった遠距離攻撃が得意なオークから選べる。さらには、カラゴルを呼び出すビースト使い、ドレイク(竜)といったオーク以外のモンスターを使役できるのだ。

 筆者もプレゼンテーション後に試遊させていただいたのだが、この軍団長選びは敵軍団長の弱点や耐性を考慮する必要があると感じる。今回のビルドで初めて確認できた呪術攻撃が得意なオークを軍団長に指名しようとしたが、相手軍団長に呪術攻撃に耐性を持つ者がいたため、泣く泣く軍団長への採用を見送った。このように、味方のオークが持つ弱点や特性攻撃と、敵オークが持つ弱点や耐性をしっかり確認して、軍団長を選ぶのが、砦攻略のポイントとなる。
 もちろん、自身のコンバットスキルに自信があれば、敵との相性を気にしなくてもいいそうだが、それでも砦のミッションは「難度は低くない」とダニエル氏。しっかりと戦略を立てないと、重要な戦力(味方の軍団長)を失うハメになる。

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 戦闘ではまず、指定された4つのポイントの占拠が目的となる。円形の線で示されるフィールド内に入り、雑魚敵や遭遇した敵軍団長を倒すことでメーターを進められ、満タンになるとポイントを占拠できるという仕組みだ。ここで出会った敵軍団長は始末することもできるが、ケレブリンボールの幽鬼の力で支配し、味方としてリクルートも可能。戦闘で味方の軍団長を失ってしまったら、代わりとしてリクルートしてもいいし、ミッションをさらに有利に進めるためにリクルートするのもいい。もし相手に手こずって嫌な思いをしたなら、迷わず始末してしまってもいいのだ。
 
 ほかにも、幽鬼の力で支配して、“恥をかかせる”こともできる。プレイヤーは幽鬼の力を使うとその場でリクルートするか“恥をかかせる”か、またはそのまま戦闘を続けるの3つが選択でき、“恥をかかせる”を選択すると相手のレベルが下がり弱体化するといった効果が発揮される。なお、幽鬼の力を敵に使うには、相手を弱らせる必要があり、敵オークのレベルがプレイヤーよりはるかに高いと、幽鬼の力でリクルートすることはできなかった。
 なお、筆者は今回、ハンズオンで砦のボス“首領”に幽鬼の力を使ってみたが、リクルートはできず。試しに“恥をかかせる”を選択すると、ボス戦勝利と見なされ、砦を陥落できた。

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 またハンズオンでは、味方軍団長に味方カラゴル使いを選択したのだが、プレイヤーが瀕死になり膝をついていると(通常であればこの後QTEが発動し、オークの処刑をカウンター攻撃で避けるか、失敗して処刑される)、カラゴル使いの軍団長が救ってくれるというミラクルが起った。思わず「惚れてまうやろー!」と言いたくなるほどだ。本作の砦戦では、こういったピンチを味方のオークに救われる展開が生まれることもあり、プレイヤーはオークに友情のような気持ちを感じることもできる。

 一方でプレイヤーは、瀕死になった味方の軍団長を、Bボタン長押しで蘇生することができた。倒れている味方軍団長は、「マスター、助けてくれ……」と苦痛に耐えながらきれぎれに助けを訴えてくる。しかし雑魚敵に蘇生を邪魔されて、何人か救うことはできなかった。この時、プレイヤーは「本当に申し訳ない」という自責の念を強く抱くだろう。とにかく、本作においてオークはとても強烈で、まさにプレイヤーにとって戦友のような相方にもなり得る。

 しかし、配下にした軍団長でも、戦いの最中に裏切られて攻撃を受けることがあった。敵に寝返ってしまう条件は詳しくは分からないが、筆者が目撃したのは、レベルの高い軍団長を倒しあとに裏切ってきたので、おそらく自分に力(自信)がついたため、「俺ならタリオンを倒せる」と考えて裏切りに走ったのかもしれない。ネメシスシステムが作り出すオークそれぞれの個性や世界が、とてつもなく深く巧妙に作られたものであると実感できた。

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味方軍団長の蘇生シーン

 4つのポイントを占拠したら、首領との対決となる。この首領は“ヘッドショットでひるむ”という弱点を持っているので、エルフショット(弓攻撃)でヘッドショットを果敢に狙い、弱らせることに成功。首領のペットらしい白いカラゴルも幽鬼の力で支配して、こちらの有利な展開に持っていくことができた。

 その後は、先ほども述べた通り、幽鬼の力で“恥をかかせる”ことに成功し砦の陥落に成功。最後に、配下の軍団長のひとりを砦の首領に任命することで、タリオンの戦力が強化されていく。筆者はここで、ピンチを救ってくれた軍団長を首領に指名しようとしたが、レベルが25と低いことが判明。砦戦の最中に幽鬼の力で支配下においた軍団長のレベルが40だったので、彼を新たな首領に任命した。首領に任命する軍団長のレベルによって砦全体の強さなどが決まるようで、あまりにレベルの低い軍団長を首領に任命すると、ゲーム進行中に敵に陥落させられてしまうこともあるようだ。

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オークは7つの民族に区分け、プレイヤーのスキルも豊富に

 今回のハンズオンでは、オークに関する情報も解説された。前作『シャドウ・オブ・モルドール』同様に、オークには二つ名がついている。例えば、酒好きなら「ブグリシュ“酔っ払い”」といった感じで、セリフも酔っ払いそのものだ。毒に侵されたことのあるオークなら“病気持ち”、なかには“心優しき者”という名を持つオークも確認できた。
 このように、各オークにはパーソナリティを表した名前が付けられる。そして、デストロイヤーやアーチャー、ビーストマスターといったオークの行動(戦いの特徴)を表したクラスと、外見を表すトライブの3つでオークは構成されるのだ。このトライブは部族という意味で、本作では7つの部族によって外見が区分けされるようだ。

 なお、オークの特性は前作よりさらに多様化されているので、タリオンのスキルもさまざまなものが収録されている。ハンズオンでは、屋根から地上に飛び降りる際に、数秒時間を止めたりと、ユニークなものが確認できた。

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クモ
酔っ払い
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 また、各オークにはミッションと呼ばれる、それぞれの目標が設定されている。ミッション内容は、「敵を何人殺害する」などさまざま。このミッションをクリアーすることで、さらにレベルアップして、強力なオークになっていくそうだ。ミッションは、タリオンを倒すことでクリアーすることもあるし、ライバルのオークを倒すことでクリアーすることも。「久しぶりに会った敵のオークが、いつのまにか前より強くなっている」といったこともしばしばあるそうで、その場合は、オークどうしの争いに勝ち上がって力を付けてきたという背景があるのだ。

 これらは、前作で好評を得たネメシスシステムに含まれるひとつ。ネメシスシステムによってゲーム内の世界が出来上がっており、もはや制作者ですら予測不可能な展開が度々起こるという。「プレイヤーの行動によってストーリーが変化する」といった仕組みを持ったゲームは多々あるが、本作ではプレイヤーの行動でストーリーだけでなく、オークひとりひとりの性格や弱点が代わり、その影響を受けて別のオークも少しずつ変化していく。誰一人として同じオークはいないし、オーク界(世界)の勢力が絶えず代わっていく。とにかく、ネメシスシステムのスケールは壮大すぎるくらいだ。このネメシスシステムについてエバン氏は、「4年かけて作ってきたシステムで、オークの構成要素は天文学的数字でパターンがある」と述べていた。

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 なお、アソシエイト・プロデューサーのエバン氏とダニエル氏へのインタビューは、10月5日発売の週刊ファミ通で掲載予定(後日、ファミ通.comでも掲載予定です)。そちらでは、ネメシスシステムをうまく使った砦の攻略方法などを伺ってきたので、ぜひチェックしてほしい。