巨人との駆け引き、ドラマ性、オンラインを強化

 2017年8月22日~26日(現地時間)、ドイツ・ケルンメッセにて、ヨーロッパ最大のゲームイベントgamescom 2017が開催。同会場にて、偶然コーエーテクモゲームス代表取締役社長 鯉沼久史氏とお会いすることができたので、gamescom開催直前に電撃発表された『進撃の巨人2』について話をうかがった。

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――『進撃の巨人2』を電撃発表されましたが、反響はいかがですか?

鯉沼久史氏(以下、鯉沼) 発表後、すぐにドイツに来てしまったのでどのような反響をいただいているのかの詳細はわからないのですが、ティザー映像は北米、欧州の英語版、繁体字版、ハングル版を公開させていただきましたので、世界各国から反響をいただけるとうれしいですね。前作を遊んでくれていた方からは「待っていた」という声もいただいています。

――発表では対応機種が未定となっていましたが……。

鯉沼 機種につきましては、今後の発表を楽しみにしていただければと。ただ、基本的には“どう幅広く遊んでいただくか”ということを考えています。さまざまな言語版のティザー映像を公開したということから察していただけるとうれしいのですが、幅広く、同じ時期に皆さんに遊んでもらうためにやっているわけですね。正直に言えば、いろいろと迷っていますが(笑)。各地域のユーザーさんからニーズをうかがいながら、どう機種を決めるのか判断したいと思っています。

――前作は海外でも評価が高かったと記憶しています。

鯉沼 「ジャパニーズコンテンツで日本でしか売れていないんでしょ?」と言ってくる方もいるのですが、前作は予想以上に海外での評判、売上がよかったんですね。欧州だけではなくて、北米もです。『進撃の巨人』というコンテンツの力を感じました。そういったことも踏まえて、『進撃の巨人2』は北米、欧州もしっかりやっていきたいと思っています。

――『進撃の巨人2』のコンセプトについてお聞かせください。

鯉沼 IP系のゲームを作るときは「ゲーム化できるのか」、「ゲームにしておもしろいのか」という部分をまず考えるのですが、前作は立体機動装置の開発が思った以上にたいへんでして(笑)。立体機動装置で気持ちよく動き回り、気持ちよく巨人が倒せるように、というコンセプトが前作。一方、『進撃の巨人2』では、立体機動装置によるアクションはもちろんマイナーチェンジをかけますが、どちらかというと倒される側だった巨人の恐怖、怖さを感じてほしいということを軸としています。巨人の動き、そして反応をよりアニメに近いものにしているんですね。巨人の強化に注力することによって、前作との大きな違いを生み出したいと思っています。そのほか、前作ではキャンプがあって、そこでキャラクターたちとの会話が楽しめたのですが、もっとコミュニケーションをとっていただけるように、キャラクターとの楽しみを強化しています。

――なるほど。キービジュアルにあるように、巨人対巨人部分のゲーム性、演出の強化もされるのでしょうか?

鯉沼 『進撃の巨人2』ではテレビアニメSeason 2を描きますので、当然そこは強化します。先ほど申し上げたように巨人の動き、反応をよりアニメに近づけていますので、ザコ巨人にも手を入れていくことにより、これまでになかったさまざまなリアクションがとれますから、巨人対巨人部分にもバリエーションが出ると思います。

――テレビアニメSeason 2が描かれるとのことですが、ストーリーもそれに準じた形となるのですか。

鯉沼 テレビアニメのSeason 2の中でどう構築するか、どうサイドストーリーをふくらませるかという部分は、しっかりと考えています。前作でもゲームオリジナルの物語を作らせていただきましたので、今回もゲームならではの要素を入れさせていただきたいと思っています。

――ω-Force20周年記念作品となりますが、前作を引き継ぐ形で開発チームを編成されているのですか?

鯉沼 そうですね。大きく変わってはいません。私も前作と同じような形で関わります。アクション部分は経験者が作ったほうがいいモノができやすいので、そこは変えずに、ストーリー部分ですとか、キャンプ周りなどを新しいスタッフに担当してもらっています。

――そのほか、前作から変えたことや注目してほしい部分など、現時点でお話できることを聞かせていただけますか。

鯉沼 「同じ時期にいろいろな地域で」ということを目指しています。手触り感ですとか、操作する感覚を世界で通用するものにするということですね。

――ストーリー部分についておうかがいしたいのですが……。

鯉沼 冒頭、どのような入りかたとなるかは、このタイミングで詳細をお伝えできなくて……。すごく変わっていますので、いろいろと言いたいのですが(笑)。いいものは残し、悪かったものは削ぎ落として、まったくいっしょのところはありません。海外ではオンラインが非常に好評だったので、そのあたりも膨らませていきたいと考えています。巨人との駆け引き、ドラマ性、オンライン。この三軸がうまく噛み合えば、「これぞ『進撃の巨人』のゲームだ」というところに落ち着くのかと思っています。

――gamescomにて映像出展をされていますが、反響はいかがですか。

鯉沼 ブースにはミカサの格好をした女性がいるのですが、彼女といっしょに写真を撮るとスペシャルノベルティーがもらえます(笑)。

※コーエーテクモヨーロッパ公式Twitterより。ミカサの格好の女性と、いっしょに写真を撮るともらえるノベルティーが映っている。

――(笑)。

鯉沼 前作では、ふだんゲームに触れていない方にも楽しんでもらえるようにハードルを下げたつもりだったのですが、それでも社内からは(ゲームが)難しいという意見、批判があったんですね。ですので、今回はさらに幅広い方々に遊んでいただけるような入りやすさは担保しながらも、うまくなってきてからの駆け引き部分ですとかがしっかりと遊べるように、ゲームとして楽しいものにします。前回の反省があるからこそ『進撃の巨人2』はうまくいくと思っていますので、ぜひご期待ください。本当の意味でのファンアイテムになるよう、鋭意制作していますので、楽しみにしていてください。

――9月の東京ゲームショウでは……?

鯉沼 現状ですと詳細は言えませんが、情報を届ける方法を考えていますので、こちらも続報をお待ちください。

『進撃の巨人2』に登場する巨人は怖い? gamescom会場にて鯉沼久史氏を直撃【gamescom 2017】_01