ゲームの未来を見つめた熱いトークを展開

 2017年8月5日、6日の2日間、岐阜県岐阜市の柳ケ瀬商店街を中心に開催された、ゲームを中心としたエンターテインメントイベント“ぜんため”こと“全国エンタメまつり”。本記事では、開催初日にメインステージで行われた“電撃×ファミ通ステージ”の模様をお届けする。

SIEJA盛田厚氏とSIE WWS吉田修平氏が、ゲームファンからの際どい質問に答える!? 電撃×ファミ通ステージリポート【ぜんため】_01

 このステージは、その名の通りファミ通と電撃のコラボレーションによるもので、週刊ファミ通の林克彦編集長と、電撃プレイステーションの西岡美道編集長がMCを担当。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)ジャパンアジア プレジデント 盛田厚氏と、SIEワールドワイド・スタジオ プレジデント吉田修平氏をゲストに迎え、事前にゲームファンから募集したさまざまな質問をぶつけるという形でトークは進行していった。なかには、ちょっと際どい質問も……!?

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▲愛知出身であり、岐阜に訪れたことも何度かあるという盛田氏(左)と、今回初めて岐阜に来たという吉田氏(右)。両プレジデントがともにステージに立つのは稀!

 では、質問の内容とその回答についてリポートしよう。

おふたりがいちばん好きなゲームはなんですか?

 盛田氏の回答は『ドラゴンクエスト』。MSX版でプレイした1作目が本当におもしろかったのだという。盛田氏のゲーム体験の原点というわけだ。

 一方の吉田氏は、近年は『Demon's Souls(デモンズソウル)』、『DARK SOULS(ダークソウル)』、『Bloodborne(ブラッドボーン)』、『仁王』といった、難易度の高いアクションゲームが好き。最近ハマっているのは『LET IT DIE』で、「『LET IT DIE』の合間に、ごはんを食べたり仕事をしたりして生きている」というほどのハマりっぷり。プレイ時間は800時間を超えているという。吉田氏は、モバイルゲームを数多く手掛けてきたガンホーらしい“楽しく遊べるけど100%集中しなくてもいい”という塩梅を絶賛し、動画を見たり、ポッドキャストを聴いたりしながら楽しんでいると語った。

盛田さん、吉田さんはファミ通と電撃PSのことをどう思っていますか? あと、ファミ通と電撃PSにやってほしいことを教えてください。

 吉田氏は、“どちらについても好きなところ”として、番組配信をたくさん行っていること、インディーゲームを推していることを挙げた。少人数で作られたゲームの、あっと驚くような内容を楽しむのが好きという吉田氏は、日本でもインディーゲームを盛り上げたいと考えており、両誌がインディーゲームを紹介していることがうれしいとコメント。

 盛田氏も「すべて大好き」と、ありがたいお言葉。“やってほしいこと”としては、いま読者ではない人、いまゲームをやっていない人も、雑誌を読んで「ゲームをやろう」と思ってくれるように攻めていってほしい、と語った。

Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)のことをどう思っていますか? おふたりは買いましたか?

 2017年3月に発売されたニンテンドースイッチ。発売日に購入したという吉田氏は、ニンテンドースイッチはリージョンフリーであり、北米のアカウントを使えば、日本にいながらにして北米のゲームが買えるのがうれしいとのこと。ちなみにいまは、お子さんたちが『スプラトゥーン2』を遊んでいるとか。

 盛田氏はまだ持っておらず、ニンテンドースイッチがなかなか買えないいま、「自分が買うことで、誰かが買えなくなると申し訳ない……」と考えてしまうとか。ニンテンドースイッチによってゲーム業界が盛り上がるのはすごくいいことで、プレイステーションも負けずにがんばりたい、と意欲を語った。

『ワイルドアームズ』や『アーク ザ ラッド』がスマホで出ると聞きましたが、コンシューマーではそういったコテコテの日本向けRPGの新作はもう作らないのでしょうか?

 このテーマについては、まず、フォワードワークス(SIEが昨年設立した新会社。スマートフォン向けゲームを手掛けている)の代表取締役社長でもある盛田氏が、『ワイルドアームズ』や『アーク ザ ラッド』をモバイルゲームにすることにした経緯を語った。盛田氏は、プレイステーションのことは一度置いておいて、“モバイルゲームで(ゲームファンに)いちばん楽しんでもらうには”ということのみを考えた結果、過去のすばらしいIPをモバイルゲームで展開したら喜んでもらえると考え、取り組むことを決めたのだという。

 では、コンシューマー向けでは今後展開はあるのか? 吉田氏は、予算やスタッフの数によって、取り掛かれるプロジェクトの数が決まってくる現状に触れ、PS4のタイトルの規模感が大きくなっているなかでは、世界でも通用するようなタイトルを選んで作ってきたと語る。

 しかしいまは、PS4が普及し、海外にいる日本のゲームファンの中にも、PS4を持っている人がかなり増えた。日本のパブリッシャーが日本向けに作ったゲームの売り上げも伸びてきている。今後は、日本のユーザー向けに、日本のクリエイターがいちばん得意としている部分で攻めると、世界でうけるのでは? と吉田氏も考え始めているそうだ。

今後、プレイステーション VRがもっとパワーアップしたら、どんなことになりますか?

 この問いに対し、まず吉田氏は、プレイステーション VR(以下、PS VR)のプロジェクトの立ち上がりかたについて解説。VRの世界は、これまで小説や映画などで描かれてきていたが、それに憧れていたスタッフたちが、仕事が終わった後や休日の時間を使って、ヘッドマウントディスプレイとプレイステーション Moveを利用したVRシステムを自主的に作っていたことが始まりだという。たとえばサンタモニカスタジオの『GOD OF WAR』スタッフは、ヘッドマウントディスプレイをかぶって自分の体を見下ろすと、自分の姿がクレイトスになっている! という体験を楽しめるコンテンツを作っていたそうだ。

 時が流れ、PS4の時代になると、いよいよ「これまで思い描いてきたVRを実現できるのでは?」と世界中のスタッフが情報交換を行い、それがPS VRのプロジェクトになった。そうして、5年ほどの研究を経て発売されたPS VRは、ハードとしては、スタッフたちにとってひとつの完成形となったわけだ。

 しかし、PS VRでどんなソフトを作るかは、作り手次第。このハードで何ができるか? いう作り手の試行錯誤の成果が、徐々に出てきているのが今年である、と吉田氏は語る。たとえば『傷物語VR』では、アニメ映像をさまざまな場所に投影するプロジェクションマッピングをバーチャルの世界で行う……という新しい試みを行っているが、そういった挑戦が、世界各地のエンタテインメント業界(ゲーム業界に留まらず)で見られるという。

 また吉田氏は、PS VRには、少人数&短期間でユニークなコンテンツを作れる楽しさがあり、初代PSのゲームのような雰囲気があるとコメント。そんな初代PSから20年以上が経ち、いまではPS4のハイクオリティーなゲームが作られるようになったのだから、PS VRも進化していけば、20年後にはすごいことになっているのでは? という展望を語った。

 盛田氏は、“我々だけでは考えつかないようなことを、あまりお付き合いのない方が考えていると思う”と述べ、そういった新しいアイデアを実現できるようにしたいし、サポートしたいと述べた。

SIEJAとSIE ワールドワイドスタジオの公認お菓子が決定?

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 トークの後には、盛田氏と吉田氏が岐阜の銘菓を味わう食レポコーナーも。玉井屋の“登り鮎”と“味噌松風”、つちやの“柿羊羹”、信玄堂の“からすみ”の試食が行われた。

 登り鮎は、カステラ生地で求肥を包み、長良川の清流に遊ぶ若鮎を型取って作ったお菓子。盛田氏は、このお菓子の鮎を小さいころによく食べていたとか。

 味噌松風は、岐阜の白味噌を混ぜ合わせて焼き上げた和風カステラ。といっても、思いっきり味噌の味がするわけではなく、ほのかに感じられるのだとか。

 柿羊羹は、つちやのイチオシ商品。美濃名産“堂上蜂屋柿”を丁寧に干し柿にして使用した羊羹で、「柿の甘みがおいしい」と好評。

 からすみは、その名を聞くと「珍味では?」と思うかもしれないが、岐阜では有名なお菓子で、米の粉に砂糖などを加えて蒸したもの。吉田氏は「懐かしの“ういろう”の味がする」とコメントしていた。

 この中で、盛田氏は味噌松風、吉田氏は柿羊羹がお気に入りとのこと。今後、岐阜を訪れる人は、ぜひ岐阜のお土産選びの参考にしてほしい。