結末には、最高潮のカタルシスが待つ

 2017年8月3日に発売された『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』。本作は、『逆転裁判』に登場する成歩堂龍一の先祖である、成歩堂龍ノ介の奮闘を描いた『逆転』シリーズ最新作だ。本稿では、本作をエンディングまでプレイした記事担当編集者によるインプレッションをお届けしよう。
※本記事は、週刊ファミ通8月10日号(7月27日発売)に掲載されたものを編集、加筆、再構成したものです。

『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』発売記念! 担当編集者による最速インプレッション!!_01
『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』発売記念! 担当編集者による最速インプレッション!!_02

 前作『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』(以下、『冒險』)の発売から、早2年。この『冒險』は『冒險』で、事件はきちんと完結しているのだけど、その中で、非常に期待感を持たせる伏線が多く提示された。その点が、人によっては、物語が未完で、尻切れトンボだと感じたプレイヤーもいたかもしれない。

 そういう人たちは、本作『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』に対して、「本当に《謎》が解消されて、物語は決着するの?」という疑問を持っているだろう。まずは、その疑問に大声で答えたい。
 「めちゃくちゃスッキリするよ!!」
 ゲーム序盤では、前作にも登場し、その後の行方が気になっていた人物がいきなり被害者になっていたりと、謎はさらに深まる展開。新キャラクターで龍ノ介のイトコを自称する、成歩堂龍太郎が初めての法廷で、親友・村雨葉織のために熱く戦う。

 その後、舞台を倫敦に移し、過去の事件を回想する形で、夏目漱石の事件に取り組むことになる。ここでは、『冒險』にチラッと出ていたキャラクターの正体が明らかになり、伏線が“回収された感”を味わう初めての事件となる。ああ、なるほど。あのキャラクターはこういう役割で、ああいう場所にいたのか! この「ああ、なるほど!」という感じは、この後も立て続けに訪れ、凝り固まっていた疑問が解消されるスッキリ感は、本作の魅力そのものにもなっている。

 前作からの未消化の伏線(と呼ばれているもの)は、自分が見る限りではすべて回収というか、解消されていた。中には説明を簡便に済ませているものもあるけど、そこはそれでよかったと思う。重要なのは、コレに関して、もし仮にあなたがどこか別のところで、本作に関わる重要なネタバレを食らっても、それは本作の場合、致命傷にならない。むしろ、ネタバレを聞いたとしても、より中身が気になるようにできている。

「えっ? なに、○○が××になるなんて、それは……どういうこと??」

 と、むしろその展開を自分の目で確かめたくなってしまうだろう。『冒險』の続きが気になっている方は、ネットでネタバレを探すだけではなく(仮にネタバレを見てしまったとしても)、実際にプレイすることをオススメする。というのも、物語のタネ明かしを見るのが何より楽しく、続々と明らかになる《謎》と怒涛の展開に翻弄されることこそ、本作の醍醐味だからだ。

『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』発売記念! 担当編集者による最速インプレッション!!_03
『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』発売記念! 担当編集者による最速インプレッション!!_04

 物語の白眉は第3話以降。倫敦万博の会場で行われた公開実験の事故により、ドビンボー博士なる人物が窮地に追い込まれ、龍ノ介が彼を弁護することになる。同時に、倫敦の片隅にある蝋人形の館では、人形の《誘拐事件》が発生……。奇妙さと不気味さ、そして巨大な陰謀が見え隠れするこの事件から、物語は急展開を見せる。

 ここでぐっと心がつかまれ、さらに《死神》バンジークス検事が襲撃される衝撃のエピソードへと続くのだけど……息つく間もなくつぎからつぎへと飛び込んでくる事件、調査、裁判、次第に明らかになる《謎》の正体! 思いもよらない伏線、関係性、この上なくイカした演出! おっ、お前が、アノ、アレのあの人だったのかあ!! このあたりのスピード感とテンポのよさは特筆もので、ゲームにぐいぐい引き込まれて、遊ぶ手が止まらなかった。

 プレイを続け、時計の針が深夜を指しても、高まるボルテージに目は自然と冴え、夢
中で遊んでいるうちに夜は白々と明け、気がつけば街は光の中。夜が明けていた。この感覚、15年前にゲームボーイアドバンスで『逆転裁判』を遊んだときを思い出した。ゾクッとするような《謎》の提示、訪れる絶体絶命のピンチ、そして、みずからの選択が引き起こす逆転、大逆転。物語に丁寧に隠されていた秘密が、惜しげもなく、ダイナミックに明らかになっていく、背筋がゾワゾワとする、あの快感。あの興奮が、また味わえるとは!

 そして迎えるエンディング。すべての事件と謎に決着がつき、成歩堂龍ノ介がその《覺悟》を示す。詳細は割愛するが、「そうだよ、物語の結末ってのは、そうこなくっちゃあ!」と、思わず、明け方にひとり膝を打った(本当に自分の膝を叩いたのです)。

 ゲーム中盤からエンディングまで駆け抜けた後には、すさまじいカタルシスが待ち受けていて、興奮のあまりしばし放心状態になったほど。この感動は、『逆転裁判』シリーズの中でも、いや、僕が遊んできたゲームの中でも、屈指のもの。前作から2年間、続きを待った甲斐があった!