リアルな挙動が魅力のラリーシリーズ最新作

 2017年7月27日、ユービーアイソフトよりコードマスターズ制作のレーシングゲーム『DiRT 4』が発売された。対応ハードはプレイステーション4とXbox One。ラリーゲームの代名詞ともいえる『DiRT』シリーズだが、その最新作はどのような作品に仕上がっているのか。さっそくインプレッションをお届けしよう。

チームとともに世界最高のラリーレーサーを目指せ! 『DiRT 4』インプレッション_01
▲レースゲームには定評のある、コードマスターズ制作のラリーに特化したシリーズ作品の最新作だ。

 まずはメインとなるキャリアモードから。このモードでは、プレイヤーはひとりのドライバーとなり、さまざまなレースに出場して賞金や名声を得ていくことが目的。最初は雇われのドライバーだが、資金を集めてクルマを購入すれば、自分のチームを作り上げることも可能。勝利を重ねていくと新たなライセンスを得られ、より幅広いレースにチャレンジできる、という仕組みになっている。

チームとともに世界最高のラリーレーサーを目指せ! 『DiRT 4』インプレッション_02
▲キャリアは、多彩な世界各地の多彩なレースに参戦し、賞金と名声を稼いでいくゲームモードだ。
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▲コースが複数あるレースも存在し、各コースのクリアタイムに応じてポイントが加算。その総数で優勝を競い合う。雇われドライバーとして参戦すると、賞金の大半をチームに持って行かれてしまう。

 さて実際のレースシーンだが、映像や挙動はとてもリアルに制作されており、オフロードを爆走するラリーの醍醐味をたっぷり味わえる。ラリーという性質上、レーサーである自分に加えてコ・ドライバーがマシンに搭乗し、コースの形、つまりつぎにどんな地形が来るのかを音声で教えてくれる。画面上にマップは表示されないため、プレイヤーはこの音声指示と自分の目を頼りにコースを走らねばならない。

 レースの難度は、慣れないうちはかなり高く感じる。その理由は、まずコースが狭いこと。クルマ1台分ほどの道幅しかない場面も多く、コースアウトは即、崖からの転落、なんて局面が多い。

チームとともに世界最高のラリーレーサーを目指せ! 『DiRT 4』インプレッション_04
▲コースの道幅はかなり狭く、急なカーブも多い。このようなコースを、場合によっては200Km/h以上の速度で走り抜けていく。
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▲マップは表示されないため、コ・ドライバーの「ライト4、レフト2」などという音声指示でコースを把握する。カーブの場合は、後ろに来る数字が小さいほど急カーブであることを表す。

 ふたつめの理由は、オフロードコースのためオンロードよりもスリップしやすく、車体の制御が難しいこと。先述のコースの狭さと相まって、スピードを出しているときの緊張感はレースゲームの中でも随一に感じた。

 3つめの理由は、天候などによって視界が悪くなるレースもあることだ。夕方でもかなり暗く、前方を確認しにくいのだが、これはまだ序の口。濃霧になると数メートル先しか見えず、こんな状況でも爆走しなくてはならないため、やはりドッキドキのレース展開を楽しめるのだ。

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▲夜間や濃霧といったコンディションでのレースも。視界が非常に悪く、クラッシュの危険が跳ね上がる。

 というわけで、普段はそんなにラリーゲームを遊ばない筆者が感じた“難しポイント”を挙げてみたが、いずれもレースをくり返していくうちに慣れてしまうレベルである。結果、ほどよい難度ながらレース中はつねに緊張感が持続し、うまくカーブを曲がれたときは大興奮、というゲームプレイを楽しめた。ラリーゲーム好きなら、初プレイから脳汁出っぱなしのレースを楽しめることだろう。

 ちなみに挙動はリアルに作られているが、ABSをはじめとするアシスト機能が満載なので、設定によってはとてもカジュアルに操作できるのもうれしいポイント。筆者がすぐにレースを楽しめるようになったのも、この機能が大きいかもしれない。ガチなレースゲーマーはアシスト機能を切ることで、よりリアルな挙動でレースを楽しめるため、幅広い人に楽しめるバランスに仕上がっているといえる。

 なお、序盤はいわゆるラリーコースのイベントばかりだが、キャリアを進めていくと、バギーでのレースやオンロードのラリークロスといったレースも解禁される。

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▲キャリアを進めていくと、バギーでのレースやオンロードトラックでのレースも楽しめるようになる。

スタッフと力を合わせてラリーを戦え!

 続いて、チーム運営について紹介していこう。ゲーム開始時は、プレイヤーは一介の雇われドライバーだが、賞金で自分のクルマを購入すれば、チームを運営できるようになる。

 作成したチームは、名前はもちろん、ペイントのパターンやチームカラーなども自在にカスタマイズ可能。自分だけのデザインを施したマシンで、レースを楽しめるワケだ。

 さらに、広報、コ・ドライバー、ラリークロススポッターなど、さまざまなスタッフを雇うことができる。とくに重要なのはエンジニアで、レースで故障したクルマの修理を行う際に影響を及ぼす。

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▲自分のチームを作成すると、レースカーのデザインやカラーをカスタマイズできる。スポンサーと契約して資金の提供を受けることもできる。
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▲チームにはさまざまなスタッフが必要。コ・ドライバーや多数のエンジニアを雇って運営していくのだが、スタッフには賞金の一部をギャランティとして支払う必要がある。またスタッフごとに能力も変化する。

 なおチームでレースに参加した場合、レース中にクラッシュすると、修理費が発生するようになる。スタッフへのギャラも支払わなければならない。こう見ると支出が増えそうな感じだが、雇われドライバーの場合はチームに賞金の大半を持って行かれてしまうワケで、結果的に自分でチームを運営したほうが儲けも大きい。

 さらに、施設に投資してアップグレードすることも可能。たとえば初期状態ではクルマを4台しか所持できないが、ガレージを拡大すれば8台所持できるようになる。アップグレードは一段階だけではなく、さらに強化して所持可能数を増やすこともできる。

チームとともに世界最高のラリーレーサーを目指せ! 『DiRT 4』インプレッション_12
▲自分のチームでレースに参戦すると、賞金はすべてゲットできるが、スタッフへの分け前やリペアの費用もかかるようになる。お金を稼ぐためには、クラッシュはなるべく避けたい。
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▲チームの施設をアップグレードすることも可能。スタッフの能力が上がったり、よりよいパーツを得られるようになる。

 ほかにも、宿泊施設に投資して雇えるエンジニアを増やしたり、リサイクルセンターに投資してリペアコストを減少させる、といったパワーアップが可能。施設の強化を通じて、チームを育成していく楽しさも味わえるわけだ。

 なお、施設の投資にはかなりの資金が必要となり、さらにプレイヤーの名声レベルも必要になる。こういった資金のやりくりに頭を悩ますのも、チーム運営の醍醐味と言えるのかもしれない。

そのほかのゲームモードも盛りだくさん

 キャリア以外にも、本作には多数のモードが用意されている。最大8人で楽しめるオンラインマルチプレイや、日替わり、週替わりなどでお題が変わるコンペティション、レースのルールや操縦テクニックを学べるDiRTアカデミーなどだ。

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▲DiRTアカデミーでは、さまざまなテクニックやルールを学ぶことができる。自分で走りながら練習することも可能だ。
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▲フリープレイでは、自分だけのチャンピオンシップを作成してレースを楽しむことが可能。距離やトラック難易度を指定してコースを生成させることもできる。

 個人的に気に入ったのは、ジョイライドというモード。これは、タイムアタックとスマッシュアタックというイベントを楽しめるゲームモードだ。

 スマッシュアタックは、コース上に配置された看板を、制限時間内に何枚破壊できるかを競うミッション。ルートは一本道ではないため、やみくもに走っていたのではすべての看板を破壊できない。そこで効率のよいルートを構築していくのだが、これが楽しい。さらに、ドリフトを行うとうまく壊せるような配置の看板が多く、遊んでいるだけで一癖あるラリーカーの操縦練習になる、という長所もある。

 タイムアタックは、指定されたコースを走り、そのタイムを競うチャレンジ。ただし、コース上にはマーカーが落ちており、緑のマーカーを取るとタイムが1秒減算される。逆に赤のマーカーを取ると、タイムが1秒増えてしまう。速く走りつつ、できるだけ緑のマーカーをゲットしていくという、一風変わったレースを楽しめるワケだ。

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▲体当たりで看板を壊していくスマッシュアタック。全部壊せた場合は、クリアータイムを競うことになる。
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▲体当たりで看板を壊していくスマッシュアタック。全部壊せた場合は、クリアータイムを競うことになる。

 このように、ジョイライドはキャリアモードなどに比べて、よりゲームらしいレースを楽しめるモードと言える。オンラインランキングでクリアータイムを競うこともできるため、ハイスコアを目指してつい熱中してしまうモードだ。

 ラリーゲームの雄である『DiRT』シリーズだが、その最新作は期待通りの完成度を誇る作品だ。キモとなるラリーレースの楽しさはもちろん、チームの運営やジョイライドをはじめとする多彩なゲームモードで、さまざまな方向からラリーの魅力を楽しめる一本になっている。アシスト機能のおかげでカンタンにレースを楽しめるため、ラリー好きはもちろん、一般的なレースファンもぜひ遊んでいただきたい。