『GT SPORT』の制作現場を直に見学できる夢のツアーを開催

 Amazonが2017年7月10日より開催した“Amazon プライムデー”の目玉商品のひとつ、“『グランツーリスモSPORT リミテッドエディション』制作スタジオ見学ツアー付”。2017年7月21日、ポリフォニー・デジタル本社スタジオにて、商品購入者を招いてのイベントが実施された。本稿では、ファンとの交流も行われたツアーの模様をお届け。

 『GT』ファンなら是が非でも見てみたい開発現場の見学ツアーということで、商品は販売開始後、またたく間に完売。販売数は20個とのことで、幸運にも購入できた商品購入者のうち19名が当日、ポリフォニー・デジタルに集合。『GT』シリーズプロデューサーの山内一典氏より、「直接ユーザーの方とお話しする機会はなかなかないので、スタッフ一同今日の日を楽しみにしていました。今日はこれから、『GT』がどうやって作られているのか、簡単にスタジオを見学していただきます。また、『GT SPORT』の最新のデモバージョンも用意していますので、そちらも存分にプレイしてもらえたらと思います」と参加者への挨拶を行ったところで、スタジオツアーがスタート。

『GT SPORT』“Amazon プライムデー”の特別企画によるスタジオツアーを開催! 参加体験レポートを紹介_01

 今回のスタジオツアーは、山内氏自らがガイドをしてくれるというもの。まず初めに、オープンスペースに展示されている『GT』シリーズがこれまでに受賞したトロフィー類や記念品の数々を紹介。今回のイベントは、開発現場以外のスペースは撮影フリーとのことで、参加者たちはそれぞれが思い思いに撮影を楽しみながら、山内氏の説明に耳を傾けていた。

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▲こちらはオープンスペースに設置されているというDJブース。年に一度行うパーティのために用意されているものだが、常設しているとのこと。

 オープンスペースに設置されている巨大モニターで流れている『GT SPORT』のデモ映像を見ながら、「このテレビはソニー製の“Z9D”という、いま世の中に存在するテレビの中で、いちばん高輝度を出せるもので、4000nitの表示を可能にしています。ただ、『GT SPORT』は最大10000nitまで対応しているので、このテレビでも『GT SPORT』のすべてを表現はしきれていません。もっとテレビモニターが進化すれば、より現実世界に近いコントラスト表示ができるようになります」と、『GT SPORT』がこの先に登場するモニター環境まで見越した輝度表現を行っていることが説明されていた。

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▲もともと美麗な『GT SPORT』のグラフィックが、100インチの大画面でも一切破綻することなく表示されている様は圧巻のひと言。あまりの精細感とコントラストの高さは、見ていてため息まで出てくるほど。
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▲オープンスペースに置かれているコックピットは、最新バージョンの試作モデル。『GT SPORT』発売後は世界各地でFIAチャンピオンシップが開催されるため、無駄な装飾を省き、軽量で設置効率のよいコックピットの必要性が高くなるため、トヨタ自動車と共同開発しているとのこと。

 オープンスペースの紹介に続いて招かれたのは、山内氏自身の作業部屋。「『GT』の制作においては、撮影することがすべての作業の基点になっています。ですので、僕を含めたスタッフたちは基本的にカメラをいつも持っており、つねに世界中のさまざまな光をキャプチャしています」と説明をする氏のデスクの横には、膨大な数のレンズがズラリと勢揃い。参加者からの「どういったメーカーのカメラをよく使われていますか」の質問に対して「以前はキャノンを多用していましたが、最近はソニーのαシリーズが多いです」と、参加者と直にコミュニケーションを取りながらツアーは進行していった。

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 続けてやってきたのは、さまざまな画面やAD素材などが壁一面に貼り付けられたオープンロビー。まだ公開していない画面も貼り付けられていたためか、参加者より「画面構成はかなり変わりますか?」といった質問が。「メニューの構造自体が『GT SPORT』ではかなり変わって、整理されています。プレイしてもらうと、使いやすくなっていることに気付いてもらえるはずです」と、『GT SPORT』のメニュー構成についての話題も飛び出していた。

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▲『GT SPORT』のメインビジュアルのイメージ画は、ポリフォニー・デジタル内では通称、ガッツくんと呼ばれているといった秘話も紹介されていた。
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▲キャビネの上には、伝説のF1レーサー、アイルトン・セナのヘルメットが鎮座。レプリカと思ったところ、ひとつはアイルトン・セナ財団より贈呈された本物とのこと。あまりに無造作に置かれていたせいか、本物との説明に対し、皆一様に驚きの声をあげていた。

 オープンロビーより、いよいよ開発現場に潜入開始。今回のツアーで見学できたのは、コース&オブジェクト、カーモデリングの制作現場で、それぞれ専任のスタッフが、実際に作業している様子を紹介。残念ながら、開発現場の撮影は参加者、メディアも含めて不可とのことで、写真付きでの説明をすることはできないが、実際に制作の風景を見させていただいて、その作り込みのこだわりには心底驚かされてしまった。
 コース制作はまず、専用のヘリに搭載したデータスキャナーで、上空から2000平方メートルを一気にキャプチャ。これは精度が5センチ程度と粗めのため、このデータはコースの全景部分で利用し、路面についてはより高精度のレーザースキャナーをクルマに積んで計測を実施。さらに精度が高いGPSデータも利用することで、コースが再現されているとのこと。
 コース脇に映えている木や草といった植生に関しても徹底したこだわりぶりで、まずは各サーキットに赴き、大量に樹木類の撮影をしたうえで、図鑑で調べるなど、実際の植生を観察。そのうえで、葉っぱの一枚一枚までをモデリングするなど、草木のひとつひとつに対しての真摯な作り込みを披露。ただし、そのままのクオリティで表示することはできないので、最終的にはPS4に最適化した形にデータを修正しているそうだが、ここまでしないと、ライティングの効果による見え方がおかしくなってしまうため、これだけの作り込みをしているのだとか。
 同じくコース脇に設置されているオブジェ類で、観覧車の制作過程も説明されたが、こちらも拡大してみると、ボルトの一本一本や、鉄材の接合部やエッジ部分までがしっかりと作り込まれているといったこだわりで、参加者一同、あまりの細かさにため息が出るほど。「一度その構造を分解し、すべてをデータとして再構築することで、光に対して自然な表現ができるようになるわけです」と山内氏。

 続けて、マシンの制作現場へと移動。CADデータが存在していない昔のマシン制作においては、ゼロコンマ数ミリレベルでの計測が行えるレーザースキャナーで、実車を取り込んだところからスタート。ただし、スキャンしたままのデータではかなり粗い部分も多く、そこから実際の写真などと見比べながら、細かな修正が施されていくことになる。その修正の細かさはまさに職人芸とでもいうべきもので、観察力とセンスの高さが求められるとのこと。メーターの文字盤などでも既存のフォントを使ってしまうと、微妙に偽物感が出てしまうため、あえて手作業で文字を作り込み、本物感が追求されている。
 クルマの形状が出来上がると、今度は検査場とも言えるチームが、実際の写真と比較しての質感チェックを実施。リアルタイムにライティングを施した3Dモデルデータと、実車の写真を比較しながら、最終的に質感の向上を果たしていくというわけだ。実際に開発デスクで見せられたクルマの出来映えは、写真と並べて見てもどちらが本物か区別が付かないほど。金属、樹脂、皮、布といった質感も完璧なうえ、ガンメタカラーのホイールに寄ってみると、細かく入っているラメまで視認できるなど、一見しただけでは伝わりにくいこだわりをこれでもかと採り入れられている様を見て取ることができた。
 「とにかく本物に近づけるということが大前提で、似てるではなく、そっくりそのままを再現するため、日々努力をしています」と語る山内氏は、「出来上がったデータを、PS4でレンダリングできるように軽量化する必要性もあるため、クルマ1台あたりの制作期間は6ヵ月にも及びます。新車が1台増えるたびに、開発現場ではひぃひぃ言いながら制作していますね(笑)」と、制作に膨大な時間がかかっている実情も明かしていた。

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▲スタジオ内には、クルマ関連のグッズやアイテムが所狭しと置かれており、クルマ好きなら一日中過ごせそうな空間が構築されていた。

 ここまで駆け足で開発現場のツアーを紹介してきたが、コース、オブジェ、マシンの徹底した作り込み(葉っぱの一枚、ボルトひとつ、メーター文字盤のひと文字まで)は、リアルドライビングシミュレーターの先駆けであり、つねにトップを走り続ける『GT』ならではといったところ。
 実際に説明を行っていたデスクの後方では大勢のスタッフ陣が、コースやマシンの制作を行っている姿も確認できるなど、まさにここで『GT』が作られているという実感をもって、開発現場の見学は終了となった。

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▲こちらが、自由に『GT SPORT』を楽しめるフリープレイスペース。“Thrustmaster T-GT”が設置されており、参加者は思い思いにプレイを楽しんでいた。
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▲フリープレイスペースには、巨大モニターを目前に置いたプレイ環境も。山内氏によると、『GT SPORT』はPS4 Proで高解像度化を実現したことによって、このくらいの至近距離でも問題無くプレイ可能になっているとのこと。
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▲こちらは、テレビ台を兼用した『GT SPORT』のプレイ台の試作品。ハンドルを外し、椅子を中央部に収納すると通常のテレビ台として違和感のない作りとなっている。椅子を引き出すことで、足下のペダルスペースも確保できるなど、快適なプレイ環境がすぐに構築できることを目的に開発した商品で、現在市販化に向けての開発が進められている。
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▲今回、ひときわ目を惹いたのが最年少となる12歳の参加者。免許が取得できる年齢には遠く及ばない若さながら、卓越したテクニックでスムーズな走行を披露。
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▲3年ほど前に叔父さんから譲り受けたPS2と『GT4』からシリーズを遊び始めたとのことで、今回のイベントはお母さんが“Amazon プライムデー”で購入してくれての参加となった。『GT SPORT』を遊んでみて「『GT5』よりもステアリングのフィードバックが滑らかで、ビックリしました」と、大人顔負けのコメントも。とくにレーサー志望ではないそうだが、これからも『GT』で経験を積んで、クルマ関係で活躍する姿を見てみたいところである。