『CSO2』開発と運営のキーマンにインタビュー

 2017年7月12日からオープンβテストが開始され、同年7月26日には正式サービス開始が予定されている、ネクソン提供のPC用オンラインFPS『カウンターストライクオンライン2』(以下、『CSO2』)。

 『カウンターストライク』シリーズと言えば、FPSの金字塔的存在。伝統的タイトルではあるが、先の発表会などでは現在のプレイヤーのニーズに応えるような姿勢が打ち出されている。

 今回はそんな疑問について直接お聞きするために、『CSO2』の開発・運営を手掛けるおふたりにインタビューを決行。『CSO2』のコンセプトや日本での展望について詳しく訊いてみた。

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▲ネクソンコリアで『CSO2』プロジェクトマネージャーを務めるキム・ヨンソク氏(右写真・左)とリ・ジヒョン氏(右写真・右)。

“伝統と新しさの融合”、そしてプレイヤー目線の重要性

――まずは『CSO2』を初めて知る読者のためにも、どのようなゲームかをご説明いただけますでしょうか。

キム・ヨンソク氏(以下、キム。敬称略) 原点となる作品である『カウンターストライク』を最新のトレンドに合わせ、よりマルチプレイに適合した形に仕上げたFPSになります。

――以前の発表会で「伝統と新しさの融合」を謳っておられましたが、そのふたつの比重はどれくらいを想定していますか?

キム 基本的には半分半分としていますが、国や地域によってその比率を変えています。

リ・ジヒョン氏(以下、リ。敬称略) 日本の場合は『カウンターストライク』の伝統的なコミュニティーがかなり強く形成されているので、どちらかというと伝統寄りになりますね。伝統6、新しさ4といったところを考えております。

――ひと言で“伝統”と言っても、具体的には何を指しているのでしょうか?

キム 何と言っても“クラシックミッション”です。『カウンターストライク』シリーズでは“オリジナル”と表現していて、これぞシリーズの伝統そのものと考えています。既存の形を踏襲するだけでなく、現在のトレンドに合わせて発展させていくことも含めて、「伝統を重んじる」ことになると考えています。

――では逆に、“新しさ”という部分についてはどのような要素を指しているのでしょうか。

 前作の『カウンターストライクオンライン』でも多様なモードがありました。そういったモードを含めて、伝統の部分であるクラシックミッションのようなコアなFPSではなく、FPS初心者でも気軽にプレイできる“かくれんぼモード”であったり、“ゾンビモード”であったり、カジュアルなコンテンツを新しさであると考えています。

――韓国での制作発表から日本でのサービスインまでに時間がかなり経っていますが、その期間の中で重視すべき点なども変わってきたのでしょうか。また、日本でサービスを提供するにあたり、どのような方針をお考えでしょうか。

キム 韓国では発表から2年ほどで公開し、そのあと日本でサービスインとなりますので、発表自体から5年後ということになります。当初は開発者目線でのおもしろさを重んじていましたが、今回の日本でのサービスではよりプレイヤー目線でのおもしろさについて重要視するように心がけています。

――なるほど。先のコンセプトのお話でも伝統的な部分のプレイヤー層、ライトな新規のプレイヤー層と、プレイヤーに寄せた部分が見られましたが、運営面でもそこは変わらず貫くわけですね。

 そうなりますね。ほかにも大会関連やクラン戦関連、ゲーム内の仕様などについて、より日本のプレイヤーの皆さんに気に入っていただけるように、いろいろとご意見を聞いて、適用できるものからひとつひとつ取り入れていきます。

――古くからFPSをプレイしている方からすると、『カウンターストライク:グローバルオフェンシブ』(以下、『CS:GO』)と比べてしまうかと思いますが……。

 サービス発表会のときにもお話ししました通り、『CS:GO』は競争相手とは考えず、『カウンターストライク』というブランドを盛り上げていく仲間と考えています。
 世界のプレイヤーと遊びたいときは『CS:GO』を選んでいただいて。『CSO2』は国内で運営をしていますから、大会などの参加型イベントを積極的に開くことができます。イベント期間などにはぜひ『CSO2』を楽しんでいただければと。

――『CS:GO』とゲーム内容の差別化は考えておられるのでしょうか。

 『CS:GO』は、競技的な対戦に特化したゲームだと思っております。『CSO2』の場合、日本では対戦の伝統に重みを置きつつ、気軽に遊べるモードも多く用意し、よりカジュアルに遊べるゲームという面も打ち出し、どちらにも違ったおもしろさがあるように心掛けています。皆さんには、そのときの気持ちしだいで、どちらも選んで楽しく遊んでいただければと思っています。

――両方遊びつつも、できれば『CSO2』をより遊んでいただきたいところもあるかとは思いますが(笑)。

 そこは我々に強制できるところではありませんが、大会などのイベントを多くご用意することで、プレイヤーの皆さんとも協力して『カウンターストライク』ブランドを盛り上げていきたいですね。

キム 『カウンターストライクオンライン』を1と2に渡って開発・運営してきた経験から、オンラインで開催できるイベントという点でもノウハウは蓄積していますので、今後オンラインイベントについてもつぎつぎとご提供していく予定です。

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キャラクターへのこだわりと、日本独自の要素について

――続いてキャラクターについてお聞きします。とくに近代市街戦や特殊部隊の再現についてこだわったということで、注目してほしい点などはありますか。

キム 『カウンターストライク』というゲーム自体が、『ハーフライフ』のMODゲームのひとつとして生まれてから18年くらい経っています。この18年間で、世界の特殊部隊の装備は目まぐるしく発展してきました。
 そういった面も考えて、『CSO2』を開発し始めたころ、全世界の特殊装備をいちから調べ直したんです。すると、かなりの軽量化がされていたり、ミリタリーパッチのデザイン変更も行なわれていました。ある部隊では血液型が書かれていたり、アジアの一部の部隊ですとズボンに刺繍で名前が入っていたり。そういった細かな部分についてもこだわっております。

――それは見落としていました……。対戦中はあまり見えない部分ですが、カスタマイズ画面などでじっくり見直させていただきます。

 また、銃器もデザインや採用装備について実在のものにこだわっていますが、ゲーム内の性能面についても慎重に調整しています。
 いままでのFPSですと、装備と言えばデザートイーグル、M4、AKなどが定番というイメージが強いですよね。『CSO2』ではみんながみんな同じ武器を使うのではなく、「ちょっとこのマップでは変えてみよう」と思ってもらえるように、ほかの武器カテゴリーも上位まで解放すると活躍するようなバランスを心掛けています。

――たしかに、M4かAKというのがセオリーとして根強いですよね。たとえばどのような武器バランスになっているのでしょうか?

 サブマシンガンであれば、下位のものはあまり強くはないのですが、ライセンスを解放していけば近接戦ではアサルトライフルに勝るようになったりします。マップの構造が狭くて曲がり角が多い場所だと、サブマシンガンやショットガンがアサルトライフルを圧倒できるわけです。

――なるほど。逆に開けたマップならアサルトライフルが強かったりと、各カテゴリの長所が殺されないバランスになっているわけですね。

 話を戻してキャラクターの例を挙げますと、SAS(イギリス・特殊空挺部隊)隊員のライアンが装備している防毒マスクも、昔のデザインから大きく変わった現代のデザインになっています。

キム ただ、現在のライアンのその装備は開発当初の最新装備を参考にしていますが、最近になって確認し直してみると、さらに現場の装備は変化しているんです。もう一度最新の装備をリサーチして、それを再現したものを今後入れていく予定となっております。

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▲装備や衣装のデザインと性能に、並々ならないこだわりと調整が感じられる。ぜひさまざまなキャラクターや装備を使い、確かめてみてほしい。

――ライアンひとりで、SASの装備の歴史が学べますね……。ところで、とくにお気に入りのキャラクターなどはいらっしゃいますか?

 本来の『カウンターストライク』ではカウンターテロリスト(CT)側が5人、テロリスト(TR)側が5人の10人のキャラクターがいます。『CSO2』ではそのキャラクターにSASやGIGN(フランス・国家憲兵隊治安介入部隊)といった組織メンバーではなく、個人名を割り当てていったんです。たとえばGIGNですとジャン・ピエール、SASならライアンといった感じですね。
 そうして割り当てていくうちに、基本は男性キャラクターばかりだったんですが、男性にこだわる必要はないという話になりまして、女性にした枠もあります。その代表格が“リサ”や“ミラ”といった、オープンβテストでも実装されているキャラクターになります。

キム さらに既存の部隊とは別の部隊のキャラクターを入れていこうと考案したのが、スペツナズ(ロシア・特殊任務部隊)とミリシャ(民兵)です。
 スペツナズを入れるときに女性にしようと考え、最新のスペツナズ装備を女性用にデザインしたらかなりよくなりまして。個人的にもかなり推しています。

 サービス発表会の時のグラフィックリニューアルの例として表示されていた“ヘルガ”というキャラクターですね。

――女性キャラクターはどれもかなり美人ぞろいですが、これはどなたの趣味嗜好でしょうか?

 ひとりだけの好みに合わせるのではなくて、「こういうコンセプトのキャラクター」というところから、実在するハリウッドスターなどからこんな人の感じ、こういうスタイル、という意見が集まる感じですね。
 その雰囲気を生かしつつ、CTならこんな風、TRならこんな風になるんだろう、とアレンジを重ねて作成しています。

キム ちょっと与太話になりますが、アートディレクターの好みがもっとも反映されているのがリサです。
 体形や顔ももちろんですが、もっともこだわっているのがダイビングスーツだそうです。このスーツは材質感が命、とすごく力を入れたそうです(笑)。

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▲リサはオープンβテストの段階でも使用できた。こだわりのダイビングスーツの材質再現度については、実際の画面でつぶさにご覧あれ。

 あと日本運営の立場からすると、ミラがお気に入りですね。公式ツイッターのコミュニケーションを担当のキャラクターですが、声優の沢城みゆきさんがミラの雰囲気をものすごく理解してくださっているのが素晴らしいです。
 まだ日本では実装されていませんが、沢城さんにほかにも担当していただくことになる“チェ・ジユン”という『CSO』から入ってきたキャラクターがいまして、そちらの声もまたさらに素晴らしいです!

キム チェ・ジユンと同時に実装される“ユリ”というキャラクターもいるのですが、その担当声優である上坂すみれさんの演技も非常に素晴らしいので、ご注目いただきたいです。
 日本でユリを演じるなら上坂さん、と私個人では考えていたのですが、そのキャスティングは日本の運営サイドに一任することになりまして……お任せする以上、注文は伝えなかったのですが、実際にキャスティングされたのも上坂さんで、ものすごく嬉しかったです(笑)。

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▲6月末のサービス決定記念放送で、チェ・ジユンとユリのビジュアルとボイスも公開された。いずれもその演技力と、声によって生まれるキャラクターの存在感が光る。

――運命的な一致があったのですね……。キャラクターといえば、日本では独自のキャラクターも実装予定とのことでしたが、どのようなキャラクターになるのでしょうか?

 2017年7月26日の正式サービス開始時に日本コンセプトのキャラクターも実装されます。CTとTRの両方にひとりずつ。
 CT側は“ケンジ”という、SAT(日本・特殊強襲部隊)の一員です。ボンボン育ちというかエリートでして、いつも口上が丁寧で、趣味も弓道や書道など、日本ならではの特技や趣味を持ちます。
 そしてTR側は“ジョウ”というキャラクターなんですが、彼の場合はコンセプトは「極道」です。

――ケンジのほうはビジュアルが何となく浮かびますが、ジョウのほうは想像がつきませんね(笑)。

 すでに音声のほうも収録を終えています。このふたりの声は関智一さんに演じていただきました。個人的には、ジョウのほうはアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』で関さんが演じられた狡噛慎也のテロリストバージョン、といったイメージです。

――それはますます気になりますね! その音声、聞かせていただくことはできませんか?

 少々お待ちを……(音声データでケンジの「位置を確保してください!」といった生真面目なセリフと、ジョウの「手榴弾行くぜぃ!」、「かわいがってやろうぜ……」といったセリフを再生)。

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▲こちらのケンジとジョウのビジュアルと音声は、2017年7月15日の公式放送で公開された。まるで別人のような演じ分けは、さすがのひと言!

――ジョウはインテリ寄りですね。『仁義なき戦い』などでの上級幹部の方々のような。

 日本コンセプトの要素として、キャラクターとしてはまずこのふたりが入ります。
 『CSO2』では頭や体、手袋と3ヵ所に装飾品を着けることができますが、正式サービスと同時に頭のパーツとして、歌舞伎面が入ります。

――え、あの隈取(くまどり)ですか!?

キム 完全に伝統的な歌舞伎面ではなくて、『CSO2』にもともとあった戦術的な鋼鉄製のマスク装備に歌舞伎のパターンを入れたものになります。

――それはジョウあたりに似合いそうですね! 装飾つながりでお聞きしたいのですが、FPSって自分のキャラクターが見えないのにキャラクターの装飾などにこだわるタイトルが多いですよね……これって何故なんでしょうか?

キム コンシューマーゲームだとひとりでプレイすることが多いですが、オンラインFPSでは人と人とでプレイするのが前提。ですから、“自分のキャラクターをほかの人に見せる”というのも楽しみかたのひとつなのかなと思います。開発する側としても力が入りますよ。

 ただ、それだけだと自分の目が楽しくないというのも事実ですので、手などの見える部分のデザインにもこだわっていますね。『CSO2』の場合はゲーム画面の左下に自分のキャラクターのポートレートが表示されますので、自分でも自分のキャラクターを見て楽しめるようにしております。

キム 『CSO2』では各キャラクターならではのボイスにもこだわっていますし、そのキャラクターを使っているからこそ楽しめる要素というのも、今後実装していきたいと考えています。

――日本向けのマップなどもご検討されているとのことですが。

 サービス開始時にはまだ実装できませんが、現在検討中です。清水寺などの日本の有名なスポットを導入することも考えましたが、お寺で銃撃戦というのはさすがに罰が当たりそうですよね(笑)。どこかひとつの場所にこだわらず、コンセプトをうまく活かすデザインにできるように検討しています。マップ構成なども、既存のものではなく、完全に新規のものになる予定です。

――なるほど、楽しみに待たせていただきます! 日本の伝統建築物は、さすがにゲーム内とはいえ傷つけるわけにはいきませんしね……。

 ローカライズにおいて難しい点なんですよね。たとえば東南アジアはイスラム教圏の地域も多いです。その国の特徴を活かした建物を作っていくうえで、文化も学ばないとたいへんな場所を爆破することにもなりかねません。
 日本のマップを作る場合、開発側だけでなく運営のネクソン側からも意見を出しつつ、日本の要素を味わいながら楽しくプレイしていただけるマップにしたいと考えています。

『CSO』の醍醐味、変わり種のモードも進化していく!

――『CSO』といえば変わったモードのイメージが強いのですが、『CSO2』ではサービス時にどれくらいのモードが入るのでしょうか?

 正式サービス開始時には、オープンβテストでプレイできたモードに加えて、ふたつのモードが追加されます。
 ひとつ目は“ステルスモード”。基本は人質救出任務で、CT側は人質救出かTR側の全滅が勝利条件。TR側は武器がスモークグレネードやナイフしかなくて、立ち止まると姿が見えなくなります。見えない敵を前に人質を救出する、というモードですね。

――見えない側がものすごく有利に感じますが……?

 CT側はTR側のキャラクターに近付くと、心音が聞こえるようになっていますので、足音以外にもこれで位置を判別できます。どんなに忍び足で隠れても、近付けば位置が特定できるわけです。

――なるほど、それは絶妙な対戦になりそうですね。もうひとつの新モードは?

 “ゾンビZモード”です。オープンβテストからプレイできるゾンビモードは『CSO』初代のものに近いですが、Zには“変異”という要素が加わります。
 ルーム内のプレイヤーは全員、最初に変異の能力をひとつ獲得します。変異には人間側、ゾンビ側、共用と、すべて合わせて70個くらいの種類がありまして、その中からランダムでひとつ獲得できます。

――スキルのようなものですね。人間用の変異を獲得したときにゾンビになるとどうなるのでしょうか?

 当然、使えません。人間のときに必ず人間の変異を獲得できるわけではない、というのがポイントのひとつです。毎ラウンドの開始時と、敵を倒すことで“変異可能性”が溜まり、それが最大になると新しい変異をランダムで獲得できたりと、さまざまな変異を活かして戦うことになります。

キム 変異は非常に強力です。“Z”というアルファベットには終局や究極などのイメージがありますので、強力なスキルを持つ者どうしが華麗に戦う、そのようなモードになっています。

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▲公式放送で公開されたゾンビZモードのスクリーンショット。バリアのようなものを張ったりなど、人間側も人間やめちゃってる感が漂う。これは楽しそう!

――これはまた楽しみなモードですね。ちなみに、『CSO』はどうしてこんなにも数多くのモードが生まれているのでしょうか? ほかのFPSと一線を画す要素だと思うのですが。

キム 『カウンターストライク』自体が『ハーフライフ』のMODとして生まれた作品だったことが背景にあります。“全世界のプレイヤーがいろいろなMODを開発して楽しむ”という文化がありますが、オンラインゲームとして運営していく以上、自由にMODを作ってもらうのはなかなか難しいんです。「だったら開発側がMODを作って定期的に配信しよう」というのが当初のコンセプトの中にありました。

 その中でも最初に作られたのが“ゾンビモード”です。それが意外にも評判がよかったため、ほかのモードも作っていこう、というスタンスになっていったわけです。

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▲『CSO』と同様に、高い戦略性とゾンビ映画さながらのシーンや体験が同時に楽しめる間口が広いモードになっている。

――ゾンビにやたらとこだわりがある気がしていましたが、そういった経緯があったわけですね。ちなみに、おふたりがお好きなモードは?

キム 私は“ゾンビZモード”ですね。演出面もすごく派手で、いいストレス解消になるかと思います。

 私は“クラシックミッション”ですね。ゾンビモードなどももちろんおもしろいのですが、クラシックミッションはひとりではなく連携がないと勝てない戦略性がとても強い。また、敵の位置を索敵するドキドキ感は、ほかのモードでは以上のものがあると思います。

――イベント開催などもお考えとのことでしたが、試合を配信などで見せていくシステムや工夫なども考えておられますか?

 配信用に導入している観戦モードがあります。戦況などをわかりやすく理解できるものになっているかと思います。現在、適用されているのはクラシックミッションのみですが、持っている武器や所持金、各員の戦績などをひと目で確認できます。
 オープンβテストを行なうに当たってさらに改良し、放送を見ている側はほかのプレイヤーの位置が輪郭線で見えるようになったりしています。また、観戦可能なルーム内でプレイしているプレイヤーの名前は確認できますので、お目当てのプレイヤーの戦いを観戦して参考にしてみてください。

キム クラシックミッションは大会で扱う予定があるので、優先して観戦モードを実装しています。とはいえ、これまでに実施した公式配信ではかくれんぼモードの評判が非常によかったので、「こんなUIが入ると楽しく観戦できそう」などの意見がありましたら、ぜひ集めて検討してみたいところです。

――かくれんぼはチャットも盛り上がりますよねあの盛り上がりは、確かに配信に最適かと思います。

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▲かくれんぼモードを実際にプレイしてみると、その独特のプレイ感覚と妙に盛り上がるチャット欄に驚かされる。やってみれば、そのおもしろさと一体感はすぐにわかるはず。

今後の展望は? 競技としてもカジュアル対戦ゲームとしても注目!

――最近はカジュアルなデザインのFPSであったり、リアル系ではなくスポーツ的な要素が強いFPSが世界的にも人気が高くなっています。その中でリアル系FPSの新作を投入するという点に特別な意識はありますか?

 昨今の正統派のFPSはeスポーツ性を保たねばならないと考えています。『CSO2』も今後はネットカフェ大会などに重きを置いたり、全国大会などを数多く開いていこうと考えています。
 また、そうした公式大会以外にも、ゲーム内のシステムとして存在する“階級戦”もひとつの流れになるかと思います。こちらはクランなどが関係ない完全な個人戦です。友人といっしょにプレイしたいというご意見も多くいただいていますが、最初のうちは階級戦はひとりでのプレイ結果で報酬を得られる、という要素として定着させていきたいと考えています。

――個人の実力が真に問われるストイックなモードになりそうですね。個人というところでもうひとつお聞きしたいのですが、ソロで遊びたいプレイヤーも日本には多いかと思います。ソロ用のコンテンツの展開などはお考えでしょうか?

キム 正式サービス開始時に、ストーリーを楽しめる“キャンペーンモード”のチャプターが3つ追加されます。こちらでも沢城みゆきさんをはじめとする豪華声優陣のフルボイスが楽しんでいただけますので、ぜひご期待いただければと思います

 あとは完全にソロで遊べる、というわけではないのですが、対人戦が苦手という方のために協力型PvEモードも追加予定です。耐久戦のような戦いもあれば、『CSO』のゾンビサバイバルのように押し寄せるゾンビとボスを倒すといった戦いも楽しめる予定です。

キム そのモードと同時に、完全にソロでゾンビたちのボスを倒すモードも実装予定です。いまあるものの中では、“個人訓練”もソロでプレイしてBOT相手に練習ができるモードとなっています。

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▲このインタビューの後日に実施された公式放送で、正式サービス以降に実装予定の要素についての発表があった。懐かしいものも含む5つのマップの実装、スプレー機能の実装予定など、日本の『CSO』古参プレイヤーにはうれしい内容ばかり!

――大規模な大会やイベントは、具体的にはどれくらいの時期に開催される予定でしょうか?

 まずはネットカフェ大会を8月、9月に開催し、その後は1ヵ月ほどの周期で開催していくように計画中です。東京、大阪をはじめとして、全国の主要都市は回りたいなと。
 また、全国大会についても年内には開始し、可能なら年内に決勝までできればと考えています。参加していただけるクランの数にもよるかと思いますが、前半はオンラインでチームを絞り、決戦はオフライン、という形も検討しています。

――世界大会や国際大会についても、期待してもよろしいのでしょうか?

 考えてはいるのですが、各国の事情もありますし、各国のパブリッシャーさんとまだまだ相談しなければいけませんね。現段階では、まだ断言できない状態です。

――実現を楽しみにしています! では最後に、広くアピールしたい点を教えてください。

キム 階級戦やランキング、今後実装予定の階級戦の各シーズンごとの成績、統合成績がいつでも確認できる“名誉の殿堂”システムを準備中です。階級戦ではそのシーズンでしか手に入らない上位報酬が用意される予定です。
 階級戦はシーズンを重ねるたびに、よりよい対戦ができるように開発側も鋭意努力させていただきます。ぜひ楽しんでいただければと思います。

 運営側の観点からは、「何よりも大事なのは、開発目線よりプレイヤー目線」と考えています。オープンβテストに入っているシステムにも、小規模のフォーカスグループテスト(2016年11月に実施)でいただいたご意見を参考にしたものが多数あります。「これは!」という意見は積極的に取り入れていきたいと考えていますので、ぜひご意見いただければと思っております。

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▲クラシックミッション開始時の1ラウンド目の緊張感、所持金管理の感覚など、『カウンターストライク』ならではの醍醐味は本作でも健在だ。それを残しつつ新たな楽しみかたも増やすという「伝統と新しさの融合」、今後の開発・運営がどのように成し遂げてくれるのか、ぜひ注目していきたい!